NEC Izumikawa

「ビジネスのたね」を育くむ、コミュニティ運用のヒント

新たな価値を創造していくには、1 社で推進するだけではなく、お客さまやパートナー企業とのコラボレーションが欠かせません。NEC では 「Orchestrating a brighter world」をかかげ社会価値創造に 取り組むとともに、パートナー各社と「共に創る」「共に売る」ことを推進するため「NEC 共創コミュニティ for Partner」を運営しています。この共創プログラムには、AI、IoT、RPA など 9 つのテーマがあり、現在のべ 536 社が参加しています(2020年10月)。

多彩なカルチャーを持つ企業とのコラボレーションを Slack 上で推進して、「ビジネスのたね」を育くむために、共創コミュニティではどのような工夫をしているのでしょうか。今回は NEC プラットフォームソリューション事業部 パートナー共創推進グループ 泉川 皓介さんより、さまざまな企業と「共創する」ためにつながるヒントをお届けします。

「1 対 1<>」から「N 対 N」のコミュニケーションへ

Slack 導入の背景

以前は、NEC とパートナー各社との 1 対 1 のコミュニケーションがほとんど。ただ今後はパートナー各社同士もつながって、気軽なコミュニケーションからビジネスのたねを見つけ、それをカタチづくりたいという想いから コラボレーションツールの導入が検討されました。多くのコラボレーションツールがあるなか、Slack を選択した理由は、「パートナー各社がかんたんに使える」「運用や展開がかんたんにできる」という点。ツール選定には実に 6 ヶ月もかかったという同社ですが、市場認知度も高くパートナー企業でもなじみがある ツールであること、さらにワンクリックでつながりたいパートナー企業を招待できるといったような、情報システム部でない部署でもかんたんに運用・展開ができることが決め手になったようです。

Slack 利用ガイドの充実化

Slack 導入前の課題を乗り越えるヒント

Slack を導入することが決定したものの、「会社同士が知り合いでもないのに、みんな投稿してくれるだろうか?」「秘密情報の取り扱いはどうしたら良いだろう?」などの課題があったそうです。これに対して、NEC 共創コミュニティでは、「地道な啓蒙活動」「チャンネルとダイレクトメッセージの使いわけの周知」という取り組みを行いました。

地道な啓蒙活動の具体的な内容としては、親切な利用ガイドの制作を心がけたそうです。例えば、知らない会社同士をつなぐための、プロフィール欄の記載方法とアドバイスを加えることで、氏名や写真掲載だけでなく、打ち解けるための趣味欄の記入や、自己紹介記載などの推奨を行いました。また、秘密情報の取り扱いについては、ダイレクトメッセージの使い方を解説し、どのように Slack 上で安全に秘密情報を取り扱えるのかを伝えました。

さらに、コミュニケーションをより活発化するためのオンライン説明会もあわせて行い、運営側の顔も知ってもらう、パートナー同士も知ってもらうという取り組みを通じて、少しでも Slack に投稿しやすい雰囲気づくりを心がけたそうです。オンライン説明会では、コラボレーションツールに慣れていない方のために、「リアクション絵文字はどんな時に使うの?」という解説から、「♡は普段使いして構わない」という細かいことまで説明したと言います。

まず少人数で盛り上がる

Slack 導入後の課題を乗り越えるヒント

Slack を導入したあとも、「継続的に活用されるの?」という課題があったそうです。

それに対して NEC 共創コミュニティでは、「少人数でのやりとり」から Slack を使ってもらうように推奨しました。ただし、この少人数でのやり取りの推奨は、導入後の試行錯誤のすえにたどりついたそうです。NEC 共創コミュニティは 2020 年 2 月に Slack を利用開始しました。当初は、さまざまなパブリックチャンネルを設定して、運営側が「パブリックチャンネルでぜひ会話してくださいね」と呼びかけるも、「パブリックチャンネルに投稿するだけのネタがない」「テーマを絞ったチャンネルがほしい」との利用者の声があがりました。

このような声や状況に応えるため、コミュニティではパブリックチャンネルに加えて、「顔認証」「RPA」などの領域・商材に特化したメンバーだけが入れるプライベートチャンネルを設けました。これにより、いきなり大人数の前で会話をするという緊張感から解放されるうえ、会話が通じやすいテーマ設定への安心感からか、ダイレクトメッセージやプライベートチャンネルが盛り上がり、結果、パブリックチャンネルにも投稿数が増えるという効果が表れたそうです。

気軽なコミュニケーションを起点に新しいビジネスのたねが生まれる

Slack 導入後の効果

Slack での運用が軌道にのってくると、新しいビジネス連携や効果が出てきたと言います。ある投稿をきっかけに、今までつながりのなかった新しい領域での連携が始まったり、あるパートナー企業が自社のイベントや展示会の情報をお知らせして、集客につながったなどの効果が表れています。従来のコミュニティ運営では、運営側からの一方通行になりがちなメール配信などの手段になっていたものの、Slack を導入したことにより、リアクションや返信が気軽になり、ビジネスの打ち合わせに発展しやすかったり、コロナ禍によるオフラインイベントがなくなるなかでもパートナー同士がつながる場として利用されたりしています。

しかし、まだまだこの取り組みは、道なかばだという泉川さん。パートナー同士が自然に会話するような環境を目指して、エコシステムづくりに努めていきたいと言います。ビジネスのたねを見つけるためのきっかけづくりには気軽なコミュニケーションが重要。Slack では、他のメンバーが投稿した幅広い知見を大勢が見ることができたり、絵文字などを使ってメールに比べるとライトなやり取りをしたりできます。「『イイね』という絵文字をきっかけに、相手をメンションして新しいやり取りが始まる。そんな事例がいくつか出てきている」と、Slack ならではのコミュニケーション効果について語りました。

オンライン上でのコミュニケーションの取り方・距離の縮め方は、多くの企業でも苦労しているポイントのひとつ。ぜひ NEC 共創コミュニティの先行事例を参考にしてください。

NEC 共創コミュニティ for Partner では、デジタルショールームをオープンし、パートナーとの間で共創したソリューションを多数出展しています。詳しくはこちら