多くの開発者は、製品の開発を得意としています。しかし、製品のリリースはどうでしょうか?それは別問題です。
Slack に特化したアプリであろうと既存ビジネスへのアドオンであろうと、製品リリースを成功させるのに大いに役立つのは事前にきちんと考えて見通しを立てること。リリースを行うためのマーケティングチームやマーケティング予算は必要ありません。
ここでは、Slack アプリをお披露目するためのステップをご紹介します。
製品リリースを計画する
いいユーザーを惹きつけるには、よく練られた製品説明が鍵になります。
アプリの説明を考える際にまず行いたいのは、対象ユーザー(使ってほしい人)を理解すること。そのアプリは万人向けに作られたわけではなく、特定のグループの人たちの特定の問題を解決するためのものだからです。
アプリを説明する際はユーザーとなりうる人たちが共感できる言葉を使うことが大切です。そのために、まずユーザーの「悩みのポイント」と彼らが何とかしたいと思っている課題を十分に理解しましょう。一番良いのは、対象ユーザーに会って色々質問すること。ユーザーを悩ませている課題とは何でしょうか?ユーザーの仕事における最大の難関は?仕事の生産性を 10 倍向上させるにはどんな課題を解決すればよいのでしょうか?
次に、自社の解決策が既存のものとはどう違い、なぜ優れているのかを説明しましょう。(マーケターが言うところの差別化です)これらは、顧客の課題解決においてそのアプリを使うメリットをまとめたポジショニングステートメントの中に入れることができます。
バリュープロポジションの例 :
- スケジュールをきちんと管理したい生産性重視の Slack ユーザーのために、Google カレンダーアプリで各自のカレンダーをすでに使っている Slack に取り込めるようにします。これにより、予定確認のためにタブを切り替える必要がなくなり、Slack 内での作業に集中し続けることができます。
チームの人数が 1 人であれ 1,000 人であれ、基本的なポジショニングステートメントを設定しておくと、ウェブサイトの広告文や営業トーク、投資家会議やプレス向けプレゼンに至るまで外部チャンネル全般にわたって、チームが同じ重要なポイントをしっかり強調できるようになります。
アプリ一覧を作る
次に、Slack App ディレクトリの一覧を作りましょう。ここでは、ポジショニングステートメントの大部分を実際に反映していきます。この一覧はアプリのショーケースのようなものであると考えてください。人はアプリを見つけると、表示された情報をもとにインストールするかどうかを決めます。そのため、ここではアプリのストーリーや魅力的な使用事例のプレビューを伝えることで、インストールボタンをクリックしてもらいやすくします。
アプリの名前
いい名前は、アプリのエクスペリエンスを想起させます。覚えやすく、言いやすく、検索しやすく、簡単に入力できる名前を選びましょう。アプリのサービスを Slack 外に置く場合、その名前がすでに使用されていないかどうか Google で検索して確認してください。
アプリの説明
アプリの説明を作る際は、はっきりと、ポイントがわかりやすく伝わるようにしましょう。説明文は、アプリがユーザーの業務環境をどう改善するかについてしっかり伝えられる場所です。ここでは、ポジショニングステートメントがとても役立ちます。説明文を作る過程でこのステートメントに沿うことで、重要なポイントを取りこぼさず、偽りや誇張のない内容にすることができます。
アプリの説明は簡単バージョンと詳細バージョンの 2 種類を用意しましょう。
- 簡単バージョン
説明は簡潔にし、140 文字以内に収めます。
- 詳細バージョン
アプリの対象者、アプリの機能、および業務への活用方法(または仕事がもっと楽しくなる方法)について 3 ~ 5 文で説明します。わかりやすく、うまい言葉を使いましょう。
アプリのアイコン
アプリのアイコンは、App ディレクトリをスクロールするユーザーの目に留まるようなものであるべきです。ほかにないようなユニークなもので、目を細めて見てもわかるくらいシンプルなものがよいでしょう。
アプリカードの色
Slack ではアプリにも人間と同じようにプロフィールがあります。アプリをディレクトリにアップロードする際は、ブランドを反映するような色を選びましょう。この色は、アプリがまとう雰囲気のようなものです。
アプリのアイコン、説明、およびカードの例 :

画像とスクリーンショット
スクリーンショットを活用すると、アプリの仕組みや詳細バージョンの説明に入れた重要な機能をよりわかりやすく見せることができます。百聞は一見に如かず。ユーザーはアプリのインストール後にできることをイメージできるようなります。
また、アプリページには最大で 6 枚の高解像度アプリ画像を追加することが可能です。アプリの使用事例を吟味して、Slack 内で実現できる使用事例の画像を作りましょう。
アプリ画像の例 :

最新のデザインテンプレートおよびリソースについては、app-directory-assets Github リポジトリを参照してください。また、次のリンクも参考にしてください。
ビデオ
ビデオは、アプリを使うメリットを一番効果的に伝えられる方法です。ぜひ App ディレクトリページに YouTube ビデオを掲載しましょう!
ビデオの例 :
ビデオを作るのに専任のクルーは必要ありません。実際、シンプルなスクリーンキャプチャビデオに最小限の編集を加えるだけで、多くのことを伝えることができます。 そのスクリーンキャプチャビデオは、アニメーション GIF を作るのにも使えます。GIF Brewery のような無料サービスを使えば、ビデオのアップロード、適切な長さ(10 秒以下)へのトリミング、および GIF ファイルのエクスポートが簡単にできます。
どんな方法にせよ、そのアプリが誰に向けたどんなもので、Slack 内でそのアプリを使うと何ができるのかを伝えましょう。
ランディングページ
あなたのアプリのファンになり、称賛してくれる人たちはきっといます。リリース日に大成功を収めるには彼らを早く見つけることです!
わかりやすく作ったメッセージをよりしっかり伝えるランディングページを作りましょう(Instapage や Unbounce が役に立ちます)。アプリに興味を持った人がもっと詳しく知りたいと思ったとき、ランディングページはその受け皿になります。思いがけないほど多くの人が詳細情報を必要としているはずです。人の心をつかむような理由と方法をしっかり伝えましょう。
Slack アプリの提案
ユーザーが Slack 内でアプリを見つける方法は、App ディレクトリの一覧以外にもあります。例えば、Slackbot 用のロジックを組み込むことで、会話の中でアプリに関連するドメイン名を持つリンクがメンションされた際、アプリを提案するメッセージを送信することができます。
アプリの提案の例 :

このリンクで説明しているように、少量の HTML メタデータをサイトテンプレートに追加することでアプリの提案を有効化し、ユーザーにとってベストなタイミングでアプリが推奨されるようにすることができます。
Slack 内のアプリページ
Slack の左サイドバーにできた便利なアプリページでは、ユーザーがワークスペースにインストールされたアプリを見つけることができます。具体的には、アプリ名、アプリアイコン、およびアプリの説明が Slack 内に表示されます。そのため、アプリが一番いい形で表示されるようにするには、上で紹介した方法通りにすることがますます重要になりました。
リリースを宣伝する
アプリのメッセージングが終わったら、いよいよお披露目の準備です。どのようにアプリを知ってもらいますか?オーディエンスを絞り込むと、彼らに届けるために一番良いチャンネルを見極めやすくなります。
メディア露出(潜在的な顧客はどんな経路から情報を得ている?)のほか、ソーシャルメディア(オーディエンスは Twitter や Facebook ユーザー?)、有料プロモーション(LinkedIn や Google の広告など)、ブログ、ウェブサイト、メールのようなコミュニティグループおよび自社のチャンネルを検討しましょう。マーケティング活動全般にわたって、Slack に言及する際には必ずブランドガイドラインに従ってください。
メッセージング
すべてのメッセージはブランドの考え方に合ったものにしましょう。ポジティブなトーンで、このアプリのリリースが対象オーディエンスにとってなぜ重要なのかを伝えましょう。
これらのリリースについて発表資料を作る際は、読者が向かう落としどころ(マーケティング用語では「 CTA 」) を用意しておきましょう。読んだあと、読者にはどんな行動を取ってほしいですか?詳しいことを知る、アプリをダウンロードする、あるいはチームに問い合わせするには、どこをクリックすればよいか明確にしておきましょう。
広報
広報を開始するにあたっては、まず狙う経路について戦略的に考えましょう。各メディアの読者にとってどうすれば特別興味深いストーリーになるか考え、焦点を絞り込みます。特定の分野に特化したもの、公開された最新のストーリーと関連したもの、またはライバル企業に関する内容かもしれません。各メディアに合ったコンテンツを練りましょう。
効果的な広報文の要素 :
- 自社の製品が解決する問題は何で、その対象者は誰か?
- 自社の解決策はなぜ革新的、ユニーク、または予想を超えるものだと言えるのか?
- それがほかよりも優れていて、独特であるのはなぜか?
- それがそのメディアのそのライターにとってどう重要なのか?
- その他、報道価値のある情報 : 成長率は目覚ましいと言えるか?熱狂的ベータ版ユーザーのなかに有名人はいるか?ほかにそれを行った企業はないか?創業者は有名か?あるいはこの課題を解決するのに特別ふさわしい人か?
- そのニュースが公開される日時(情報解禁日)
原稿を作る際は、Slack 公認の便利なプレスリリーステンプレートを活用してください。
プレスリリースの例 : 「新しいワークスペースの導入で、Dropbox がファイル、ツール、チームを一体化」
ソーシャルメディア
ソーシャルネットワークを通してストーリーを拡散させると、アプリページへのトラフィック向上につながります。プラットフォーム(Facebook、LinkedIn、Instagram、Twitter、その他オーディエンスに人気のあるもの)ごとにそれぞれメッセージを作りましょう。その際、@SlackHQ を含めることをお忘れなく!
ソーシャルメディアの例 :

ブログ
ブログは、アプリの概要、作った背景、それがどうユーザーの課題を解決するか、また詳しい情報を知るにはどこに行けばいいかなど、あらゆるストーリーを伝える場となります。(ヒント : App ディレクトリ一覧へのリンク!)内容はキャッチーかつわかりやすいものにするとよいでしょう。
プレス向けプレゼンと同様に、アプリがユニークである理由や説得力のある統計を含めることで、より説得力のあるストーリーを作りましょう。あなたのアプリは業界にある大きな問題を部分的に解決するものであるかもしれませんし、オリジナルな解決策かもしれません。いずれにせよ、これはアプリをアピールする絶好のチャンスとなります。
ブログの例 : 「 Zoom + Slack:ユーザーのために強固なパートナーシップを構築」

ほかのチャンネル
ターゲットユーザーにリーチする方法はほかにもたくさんあります。コミュニティグループ、対象を絞ったイベント、有料プロモーション、自社のウェブサイト、およびメールキャンペーンについても検討してみましょう。
ここでも、アプリの詳細(概要、注目すべき理由、どんな課題を解決するのか、次のステップ)を入れるようにしましょう。
有料の検索広告の例 :
マーケティングのチェックリスト :
- メッセージと CTA を特定する
- 適切な配信チャンネルを見極める
- メディアを通して情報を伝達する
- ソーシャルメディアで情報を発信する
- 説得力のあるブログ記事を投稿する
- 有料プロモーション、コミュニティグループ、ウェブサイト、メールなどのほかの方法を検討する
チームを支援する
ほかにも考慮すべきオーディエンスがいます。それは、チームの仲間です!仲間には企業のアンバサダーとして、最新のアプリについて知ってもらいましょう。特に営業チームがいる場合、最新のアプリ連携について語るのに必要な資料をすべて持っていることを確認しましょう。社内ツールキットを作るのに、以下の便利なテンプレートを利用してください。
イネーブルメント資料 :
- 1 ページ資料—アプリの概要および紹介用の「ペライチ」です。
- スライド資料—機能の詳細やアプリの仕組みをビジュアルで説明を提供するためのスライドです。
- カスタマーストーリーテンプレート—製品を愛用するユーザーから直接感想を聞くことは一番の検証方法です。
- Slack メッセージ—Slack に関する説明が適切かどうか確認するのに使ってください。「Slack は毎日一緒に働く仲間やほかのツールと連携するためのコラボレーションハブです」
その調子でがんばりましょう
やりましたね!しばしの間、成功を祝いましょう。
やることはまだあります。
アプリの最適化や、利用指標の追跡に加え、プロモーション活動に関するインサイトを得る方法や、今後のリリースを通知する日などを検討しましょう。
特定のメッセージまたはチャンネルのパフォーマンスはほかよりも優れていましたか?それはなぜでしょうか?うまくいかなかった点は?空振りからもホームランと同じくらい多くのことを学ぶことができます。学んだことを社内で共有すると、チームにとってもメリットになります。ナレッジは力です。
そして学んだことを念頭に、アプリの改善や更新に励んでください。最後になりますが、Slack と提携していただきありがとうございます!