全社へ広がる Slack で新たな価値創出を目指すオイシックス・ラ・大地

「従来の対面コミュニケーションを重視する文化に、Slack による非同期コミュニケーションを取り入れたことで、世の中の変化に素早く対応できるようになりました」

Oisix ra daichiシステム本部 システム基盤部 グループ IT 企画セクション村田 龍星 氏

国内外で複数の食品宅配ブランドを展開するオイシックス・ラ・大地。ミッションである「食に関する社会課題をビジネスの手法で解決する」のもと、食品の提供だけでなく、食品ロスの削減や農家支援、困窮家庭への食料支援といった活動にも積極的に取り組んでいます。

これまで同社のコミュニケーションは対面を重視したものでしたが、コロナ禍によってリモートワークを余儀なくされます。従来どおりのコミュニケーションができない状況を打破するべく、Slackの導入範囲を拡大することを決定。その結果、柔軟かつ迅速な意思決定をより加速することができました。Slack 導入を担当した、オイシックス・ラ・大地株式会社 システム本部 システム基盤部の村田 龍星さんに、その変革の軌跡について伺いました。

対面・同期を重視するコミュニケーションがコロナ禍で一変

Oisix、大地を守る会、らでぃっしゅぼーやなど、食品宅配のサブスクリプション事業を展開するオイシックス・ラ・大地。同社では「Meet & Talk」と呼ばれる対面かつ同期的なコミュニケーションの推奨により、社内の至る所で 1 対 1 や少人数のグループによる対話が頻繁に行われ、プロジェクトの立ち上げやスムーズな進行に欠かせない文化となっていました。

一方でデジタルツールによるコミュニケーションは、メール、グループチャットを用いたやりとりが乱立し、Slack についてはエンジニアやデザイナーなど、一部のメンバーが利用しているだけで、全社統一のコミュニケーション基盤は導入されていない状況でした。村田さんは「Slack にポストされた内容をメールとグループチャットに送信したり、メールで共有された重要事項を、Slack やチャットに投稿するなど、『伝言ゲーム』のような情報伝達が日常的に行われていました」と当時を振り返ります。

ところが、新型コロナウイルスの流行でこの状況が一変。オフィスへの出勤が制限され、多くの社員が行ってきた Meet & Talk の実施が難しくなったことで、リモートワーク下でも充実したコミュニケーションを維持できる環境の整備が急務となりました。そこで勤務場所にとらわれない非同期コミュニケーションを定着させるべく、これまで Slack を日常的に活用していたメンバーが中心となり、Slack の導入拡大が推し進められることになりました。

Slack によるスピーディなコミュニケーションで実現した変革

Slack をコミュニケーションの基盤としたことをきっかけに、同社のプロジェクトの要となっていた Meet & Talk の文化は、Remote & Talk という新しい文化へと次第に進化していきました。

村田さんは Slack がもたらした変化について次のように語ります。「それまでは会議の議事録を送るまで、参加者以外のメンバーには情報共有ができない状況でした。しかし Slack で議論を進行すれば、いつでもどのメンバーでも、自主的に情報をキャッチアップでき、途中から参加したメンバーも、履歴をたどれば経緯が容易に確認できます」

Slack によって非同期コミュニケーションが促進されたことで、時間や場所の制約もなく同時に複数のテーマが議論できるようになり、意思決定にかかるプロセスは大幅に効率化されました。村田さんは「新しいサービスに関するアイデアも、発案してからすぐに執行役員クラスのメンバーをはじめとしたステークホルダーが参加するチャンネルを作成できます。そこへ関係者を巻き込んでいくことで、あっという間に話が進むようになりました」と、Slack 導入の効果を語ります。

例えば、コロナ禍で一斉休校となって需要が激減した酪農家の支援プロジェクトや、医療従事者への食品物資支援プラットフォームである We Support の立ち上げにはわずか数日、在宅期間中の冷凍食品需要に応える新プロダクト「パッと Oisix」の構想からローンチまでは 3 ヶ月と、いずれも短期間でのサービスインを実現。同期コミュニケーションだけでは難しかったスピード感のある業務プロセスが構築され、リモートワーク下でも社会のニーズに合わせた新しいサービスを次々と世に送り出すことができました。

Slack を活用した Remote & Talk への移行によって、世の中の速い変化にもスピーディに対応することができました。

ベネフィットをもたらした Slack の 3 つの機能

Slack を使った非同期コミュニケーションにより業務プロセスが高速化した主な要因は、その特徴的な機能である「パブリックチャンネル」「スレッド」「絵文字」の 3 つにあると村田さんは分析しています。

「パブリックチャンネルは、Slack 特有のユニークな機能です。誰でもアクセス可能な環境に関係者を巻き込んで議論できる場をすぐ作成できることで、プロジェクト進行のスピードが上がりました」と村田さんは評価しています。チャンネルはいつでも手軽に作成でき、必要なメンバーを集めてすぐに議論がはじめられるうえ、検索も簡単です。対面しなくてもディスカッションを進めることができるので、定例会議のために関係者の予定を聞き、会議室を予約するといった面倒な調整も不要になりました。

また、子どもの送り迎えなど、家庭の事情で業務時間が変則的にならざるを得ないメンバーにとっても、空いた時間に必要なチャンネルを確認すればすぐにチームメンバーとのコミュニケーションを再開できるようになりました。時間の制約によるパフォーマンスへの影響が軽減され、チーム力の全体的な底上げにもつながっています。

次に「スレッド」の利点は、チャンネル内で複数の議論を同時に進められることだと村田さんは言います。社内システムに関するチャンネルに投稿される「共有フォルダ接続の不具合」「新たに購入する PC の構成について」といったさまざまな問い合わせに対しても、スレッド機能で各投稿に紐付けた回答ができるため、質問ごとに内容を整理でき、同時進行での対応が行いやすくなりました。

「メールやチャットでは、複数の議論を同時進行すると煩雑になりますが、Slack のスレッドを用いたコミュニケーションなら、会話の履歴が散乱しないため、複数の議論でも混乱なく同時進行できます」(村田さん)

そして Slack の絵文字は、投稿に対するハードルが低く、手軽にアクションできる機能として広く社内に定着しています。村田さんは「堅苦しいやりとりばかりでは疲れてしまうので、息抜きのような投稿に絵文字で気軽に反応することも、Slack の浸透につながります。もちろん息抜きだけでなく、承認や非承認といったビジネス上の意思表示にも効率よく利用できます。また、オリジナルの絵文字を作るなど、楽しみながらミッション達成に向かっていけるのも、Slack だからできる大きな魅力だと考えています」と語りました。

「メールやチャットでは、複数のディスカッションを同時進行すると煩雑になりますが、Slack のスレッドを用いたコミュニケーションなら、会話の履歴が散乱しないため、複数の議論でも混乱なく同時進行できます」

オイシックス・ラ・大地株式会社 システム本部 システム基盤部 グループ IT 企画セクション村田 龍星 氏


非同期コミュニケーションの促進でさらなる価値の提供へ

Slack でさまざまな業務改善を実現し、成果を上げているオイシックス・ラ・大地ですが、グループ会社全体を見渡すと、メールやチャットがコミュニケーションの中心にある部門もまだ存在しています。そこで、2021 年 1 月から Slack Enterprise Grid へのプラン変更を実施し、セキュリティ強化や利便性の向上を図りました。今後は、Slack 浸透のためのプロジェクトチーム発足といった計画を推進し、グループ全体で非同期コミュニケーションのさらなる促進を図っていくそうです。

多くの人がより良い食生活を楽しめる環境を作り、良い食を作る生産者を支援することで、持続可能な社会を目指すオイシックス・ラ・大地。村田さんはこれからの展望について次のように述べました。

「Slack を活用した非同期コミュニケーションの有用性はもはや疑う余地がありません。食に関する社会問題を解決するというミッション達成に向け、全ブランド・子会社が Slack をハブとしてつながることで、単体では成し得ない価値の創出を目指していきます」

同社が取り組む Remote & Talk での場所や時間を問わないつながりが、グループ全体へと浸透することで、それぞれの事業の可能性が一段と広がり、これからも時代のニーズに応える新しい価値が続々と生み出されることでしょう。

「食に関する社会問題を解決するというミッション達成に向け、全ブランド・子会社が Slack をハブとしてつながることで、単体では成し得ない価値の創出を目指していきます」

オイシックス・ラ・大地株式会社 システム本部 システム基盤部 グループ IT 企画セクション村田 龍星 氏