パルナス、VIP 体験の始まりと終わりは Slack で、ホテル DX の先駆者に

「お客様がチェックインしてホテルから去るまで、リアルタイムで対応する必要があります。迅速に対応することは、最終的にはカスタマーサービスの質を高めることにつながります。Slack のおかげで、すべての部門の動きが迅速化しました」

PARNAS戦略企画チーム / マネージャーパク・チャンウ氏

パルナスホテルは、これまで 40 年あまりにわたって韓国のホスピタリティ業界をリードしてきたホテル専門企業です。韓国の文化やビジネスのみならず、MICE 産業の中心地である江南のテヘラン路に位置する「グランドインターコンチネンタルソウルパルナス」と「インターコンチネンタルソウル COEX」、済州島の中文観光団地に位置するラグジュアリーリゾートホテル「パルナスホテル済州」を運営しています。その他にも、明洞、仁寺洞、東大門、板橋、龍山など首都圏の中核地域に位置するプレミアムビジネスホテル「ナインツリーホテル」や、ベトナムのハイフォン市に位置するレジデンスホテル「サウンフラワーインターナショナルビレッジ」などを運営しています。

ホテル事業だけでなく、プレミアム複合ショッピングスペース「パルナスモール」、テヘラン路のランドマークである韓国最高レベルのグローバルスタンダードオフィスビル「パルナスタワー」なども運営しており、総合プレミアムライフスタイルブランドとしての地位を確立しています。

パルナスホテルは、団体観光中心から個人観光中心へと変化した外国人宿泊客のトレンドにいち早く対応しています。また、MICE やビジネス出張が活発化する内外の変化を捉え、コンベンションスポットとしての圧倒的な競争力を積極的に活用しました。その結果、1985 年に創業して以来、昨年は過去最高の業績を達成しました。

パルナスホテルの営業利益は昨年、前年比 45% 増の約 1,032 億ウォンを記録しました。売り上げは前年の約 3,694 億ウォンから 30% 以上増の約 4,822 億ウォンを達成しました。客室、飲食、宴会などホテルの全部門で売り上げが成長したパルナスホテルは、さらなる飛躍が期待される韓国を代表するホスピタリティ企業です。

ホテルのフロントからバックオフィスまで、Slack で実現する「リアルタイムコミュニケーション」

宿泊客のカスタマーエクスペリエンスには、ホテルを予約したときからホテルを去るまでのすべてのプロセスが含まれます。宿泊客がホテルを訪れると、最初に対応するフロントオフィスだけでなく、全部門が一丸となって宿泊客を迎えます。最高のサービス体験を実現すべく、パルナスホテルは客室、飲食、宴会、施設、セキュリティなど各部門で宿泊客の移動状況を絶えず把握し、最高のサービスを提供しています。

特に、宿泊客のホテル利用記録を保存して、食事の好み、希望する客室環境、ルームサービスの方法を考慮し、担当部門でリアルタイムに情報を共有してコミュニケーションを行います。ホテルに初めて訪れた宿泊客に対しては、その動線に沿って、フロントからバックオフィスまでが継続的にニーズを確認します。そのため、宿泊客のニーズを部門間で迅速に共有し、組織的かつ柔軟に対応できる体制が何よりも重要です。

Slack を導入してからは、サービスに対する宿泊客のコメントや履歴などの情報を迅速に共有できるようになりました。メールや他のシステムに保存されている顧客情報をわざわざ呼び出すことなく、Slack 内で顧客情報を検索し、リアルタイムで宿泊客のリクエストを担当部門に伝達できます。また、サービスが提供されたときに、サービス内容のリストにチェックマークをつけ、完了状況を写真撮影して現場の状況を共有できます。会話の内容は一種のデータベースとなり、宿泊客が再びホテルを利用する際、すぐに内容を呼び出すことができます。これにより、社内スタッフはよりよいサービスに集中する余裕を確保できるようになり、最終的にサービスの完成度を高めるきっかけとなりました。

「報告にかかる時間を半日短縮」、Slack で迅速化した役員報告

パルナスホテル戦略企画チームのマネージャーであるパク・チャンウ氏は、Slack によって連携が容易になったと言います。戦略企画業務とは、企業の全部門のデータを網羅し、分析・整理する一種の「事業再構築」業務に近いものです。収集した企業の重要情報は、経営陣に報告され、意思決定をサポートするのに中核となる役割を果たします。戦略企画チームは、チーム内部でコミュニケーションを行うよりも、多くの場合、他の部門との連携が必要です。

売り上げ、営業利益、事業企画と中長期計画をすべて見る事業企画チームにとって、共同文書を円滑に作成することへの高い需要がありました。1 つのレポートを作成するために、毎日午前に実績情報を取りまとめ、多くの人の手を経たレポートを統一性のある文書として作成する必要がありました。以前は、小さな修正についてもメールをやり取りしたり、スタッフと直接会ったりしてコミュニケーションを取る必要がありましたが、Slack を導入してからは、このような消耗的なコミュニケーションが減少しました。

「以前に比べて報告にかかる時間が半日は短縮されました。おかげで、チャンネルを作って、作成したオフィスレポートをリンクで添付するだけで済むようになりました。1 つの場所に集まってコミュニケーションを取り、内容に合意するようにすることで、1 日に送信するメールの量も 20 ~ 30 件は減りました。戦略企画の業務を 10 年やってきましたが、Slack のおかげでここ 1 年のうちに業務が大きく変化したと感じています」

戦略企画チーム / マネージャーパク・チャンウ氏

パク・チャンウ氏は、Slack の「リマインダー」機能が気に入っていると言います。経営陣と緊密につながってコミュニケーションをするからには、会議で話し合われるさまざまなテーマの議論や経営陣の計画について、細かく気を配らなければならないことがよくあります。売り上げ、収益、投資など、当日議論されたさまざまなテーマや事業アイデアが次回の会議で十分に扱われるように、特記事項はリマインダーを設定しておきます。後でリマインダーが表示されたら「完了」をチェックして、業務の開始と完成も確認できます。パク・チャンウ氏は、議事録の作成やさまざまな文書管理業務、会議スケジュールの確認にも同様にリマインダー機能を活用しています。

戦略企画チームだけでなく、文書で報告を受ける役員のコミュニケーションツールが一段と軽量化したのもパルナスホテルの特徴です。以前とは異なり、複雑な文書やプラットフォームでコミュニケーションをする必要がないので、重い業務用デバイスは必要ありません。パルナスホテルの役員は、社内スタッフが共有したウィークリーレポートから事業計画書まで重要文書を Slack で確認しています。Slack で文書の内容を簡単に修正し、業務指示を再び共有できます。複雑な修正が必要ないため、役員は以前のようにノートパソコンを持参する代わりに、タブレットを使用することが増えました。

Slack でホテル DX の先駆者に

パルナスホテルにおける活発な Slack の使用は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の開始とともに実現しました。ホテルでは、デジタル DX はややなじみのないものと感じられる傾向があります。接客が中心であるホテルの特性上、対面業務がビジネスを主導するというイメージがあるためです。客室予約から宿泊客の状況の把握まで、スムーズで効率的なデジタルコミュニケーションを実現したホテルは多くありません。パンデミックによる内外の業務環境の変化を感じ取ったパルナスホテルは、経営陣の強い意志に基づき Slack を導入しました。

パルナスホテルの IT チームは、戦略企画チームを含む会社全体の DX を統括しています。パルナスホテルの DX には、各部門の業務自動化が含まれます。このため IT チームは、各部門の業務自動化に関する問い合わせを受ける「自動化業務リクエスト」チャンネルを立ち上げました。特定業務の自動化の可否を確認したいスタッフは、IT チームが作成したワークフローを利用して簡単にリクエストできます。ワークフローの使用説明は Slack のキャンバスで確認でき、業務リクエストは統一された方法で作動します。IT チームは、業務リクエストのための無駄なコミュニケーションにではなく、スタッフが解決したい問題に集中することができます。

IT チームのチームリーダーであるチョン・ウォンジェ氏は、多くのチームのリクエストを自分の個人 Slack チャンネルに記録していると述べました。Slack で寄せられた業務リクエストだけでなく、他のプラットフォームから寄せられた問い合わせについても、内容をそのまま取り込んでアーカイブしておきます。優先度の高い仕事を進めつつ、後で解決すべきリクエストは、リマインダーを活用して見逃しのないようにタスクを管理しています。パルナスホテルの DX のためにさまざまな自動化業務を立ち上げているチョン・ウォンジェ氏は、Slack によってさまざまなデジタル関連事業を準備する段階に至ったと語りました。

「パルナスホテルでの DX のきっかけとなったのは Slack でした。デジタルツールがうまく導入され、定着してこそ、その次の段階を見据えることができるからです。Slack というツールをいざ使用する段階でつまずいていたら、次のデジタル戦略を検討することもできなかったでしょう。今では、Slack とともに業務シナジーを創出できるグループウェアソリューションには何があるのかについて検討する段階に入っています」

IT チーム / チームリーダーチョン・ウォンジェ氏

チョン・ウォンジェ氏は、「デジタルツールは、使用したことのない状態では不便だったりコストに感じたりしますが、一度使用してみると、その利点を確実に理解できるものです」と述べました。さらに、宿泊客のリクエストを確認して保存するシステムはこれまでも存在したが、Slack を使用するほうがリアルタイムのコミュニケーションや記録管理に適しているとも言っています。また、「社内スタッフが余裕を確保できてこそ、サービスの質が向上するというものです」とし、Slack のおかげでスタッフがより迅速に動けるようになったとも言っています。より迅速なカスタマーサポートを可能にすることで、カスタマーサービスを拡充できるようになり、最終的には全体的なサービスの満足度を高めることに寄与するのです。


「同じ業界の人から『なぜホテルが Slack を使用するのか』と聞かれたりもします。社内メッセンジャーや業務ツールと何が違うのか、と言うのです。パルナスホテルが Slack を導入した当初の目的は、お客様のリクエストに対して迅速に現場対応するためでした。当初はメッセージをやり取りするものとしてしか考えていませんでしたが、今では Slack を活用して他の部門とどのように効率的に連携できるのかという、より大きなビジョンをもっています。今後は、Slack AI やさまざまなワークフローなどを通じて、連携をより高度化させたいと思います」