Future Forum の最新アンケートのつながりについての画像
ニュース

ハイブリッドワークで注意すべきは公平な従業員体験

最新の Future Forum Pulse レポートで、オフィスにいる・いないで生まれる不公平リスクが明らかに

執筆者 : Future Forum2022年1月25日

Slack では、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、イギリスのナレッジワーカー 10,000 人以上を対象にしたアンケート調査 Future Forum Pulse を四半期ごとに実施しています。その最新の結果から、「リモート対オフィス」の議論に決着がついたことがわかりました。

  • 現在ナレッジワーカーの過半数(58%)がハイブリッドワークを行っているほか、3 分の 2 が自分の希望する働き方としてハイブリッドモデルを挙げています。
  • すべての従業員体験指標において、ハイブリッドワークとリモートワークの従業員によるスコアがオフィス勤務者のスコアを上回りました。完全オフィス勤務者にとっては、ワークライフバランスと仕事関連のストレスが大きい課題であることも判明しています。
  • 経営層、白人のナレッジワーカー、男性、子供のいない人ではオフィス勤務を選ぶ割合が高いことから、今後の職場では近接性バイアスによって既存の不公平が定着するリスクが高まっています。

 

世界中で主流になったハイブリッドワーク

今回の調査では、ハイブリッドワークを行う人の割合が 58% まで増加しました(2021 年 5 月は 46%)。一方で在宅勤務のみまたはオフィス勤務のみであると答えた人の割合は顕著に減っています。また調査対象者全体の 3 分の 2 以上(68%)が、望ましい仕事環境としてハイブリッドワークを挙げました。この結果からわかるのは、企業のリーダーが全従業員に対していかに公平な体験と柔軟性を確保するのか、その方向性を早急に揃える必要があることです。

Future Forum による最新のアンケートの動向を示すグラフィック今回のアンケートは、次々と発生する新型コロナウィルスの変異株により世の中の先行きが不透明な状況で行われました。にもかかわらず、データからはナレッジワーカーが従業員体験について、2020 年夏の初回アンケート以来最もポジティブに考えていることが判明しています。企業の経営層は当初、分散した組織が協力してイノベーションを生み出すためにどうサポートできるのかを頭を悩ませ、それをハイブリッドワークのハードルだと捉えていましたが、そうした不安は解消されつつあるようです。今回の結果からは 41% の経営者が、リモートワークとオフィス勤務の従業員間での不公平をいかに防ぐかという、より繊細で長期的な目標を見据えていることがわかりました。

「『リモート対オフィス』という構図はすでに過去のものです。働き方の未来は『どちらか』ではなく『両方』なのです」と話すのは、Future Forum の Executive Leader である Brian Elliott です。「ハイブリッドモデルを導入すれば、組織はさらに柔軟でインクルーシブな職場環境を築くことができます。ただし、それはリーダーが意識的に全従業員に対して平等な機会を用意し、公平な環境で参加するためのガードレールを設けた場合に限ります」。

場所と時間の柔軟性がますます重要に

今回の Future Forum Pulse では、世界各地のナレッジワーカーの大半が、働く場所や時間の柔軟性を求めていることがわかりました。アンケート回答者の 78%(前回は 76%)が働く場所の柔軟性を、95%(前回は 93%)が時間の柔軟を求めています。大転職時代を憂慮する経営層は、こうした柔軟性を求める声がこけおどしではないという点を頭に留めるべきです。事実、来年新しい職を探すつもりだと答えた人の割合は、全回答者では 58% だったのに対し、今の仕事の柔軟性に不満を持つ回答者では 72% に上りました。

柔軟性を求める声は、有色人種、女性、ワーキングマザーといった、これまで知識労働において過小評価されてきたグループの間で特に強くなっています。アメリカにおいては、ヒスパニック・ラテン系のナレッジワーカーの 86%、アジア人・アジア系アメリカ人と黒人のナレッジワーカーの 81% が、ハイブリッドやリモートの勤務環境を希望すると答えたのに対し、白人のナレッジワーカーではその比率が 75% にとどまりました。

世界全体で見ても、女性の 52% が少なくとも週 3 日は働く場所を柔軟に選びたいと考えているのに対し、男性ではその比率が 46% でした。さらに完全またはほぼリモートワークを希望する割合は、ワーキングマザーでは 50% だったのに対し、ワーキングファーザーでは 43% という結果になっています。

従業員体験スコアが改善 : リモートワーカーとハイブリッドワーカーの評価が最高に

今回の結果では、ハイブリッドワークの増加に伴ってナレッジワーカーの従業員体験スコアに目立った改善が見られました。世界的に Pulse アンケートの 8 つの項目すべてにおいて前四半期よりも高いスコアがつき、なかでも職場環境に対する全体的な満足度は 12%、ワークライフバランスは 15%、仕事関連のストレスや不安については 25% 高い結果となっています。また、全項目でリモートワークとハイブリッドワークを行う人のスコアが完全オフィス勤務者を上回りました。項目にはワークライフバランスや仕事関連のストレスだけでなく、職場への帰属意識や人間関係の価値も含まれます。これらは長らくリモートやハイブリッドワークについての懸念事項だったものです。

アメリカでは、有色人種、特に黒人およびヒスパニック・ラテン系ナレッジワーカーのスコアが大幅に上昇しました。2021 年 5 月以来、職場での帰属意識は白人の回答者で 5% 上昇したのに対し、黒人の回答者で 24%、ヒスパニック・ラテン系の回答者では 32% 上昇しています。さらにこの間、「自分は職場で公平に扱われている」という記述に同意する人は、黒人のナレッジワーカーとヒスパニック・ラテン系のナレッジワーカーの間で大幅に増加しました(増加率はそれぞれ 21%、13%)。しかし頭に留めておきたいのは、人種間における従業員体験のギャップが小さくなったとはいえ、どちらの指標についても依然として黒人の方が白人より低い点です。

増大する懸念 : 近接性バイアスによる不公平と人種や性別による構造的不平等の定着

従業員体験のスコアが改善したとはいえ、経営層の近接性バイアス、つまり実際のオフィスで一緒に働く従業員をひいきしてしまうリスクがますます注目されています。現在、柔軟な働き方に関して経営層が最も懸念しているのは、リモートワークの従業員とオフィス勤務の従業員との間に不公平が生じる可能性です(回答者の 41% が同意。前四半期では 33%)。

Future Forum の最新 Pulse アンケート結果を示すグラフィック Future Forum の最新 Pulse アンケート結果を示すグラフィックしかしそんな懸念があるなかでも、経営層は依然として従業員よりも長い時間をオフィスで過ごしています。今回の調査では、現在週に 3 日以上オフィスで仕事をしていると回答した経営層は 71% に上り、一般従業員の 63% を上回る結果となりました。この差は今後も広がることが予想されます。というのも、現在リモートワーク中の経営層のうち週に 3 日以上はオフィスで働きたいと考えている人は、一般従業員よりはるかに多いからです(それぞれ 75%、37%)。

 

ここで注意したいのは、近接性バイアスによって最も深刻な影響を受けるのは、これまで過小評価されていた従業員のグループです。なぜなら彼らはほかのグループよりも柔軟な勤務環境を好み、オフィスを選ばない傾向があるからです。実際に、アメリカでは、ヒスパニック・ラテン系の回答者の 84%、黒人の回答者の 76%、アジア人・アジア系アメリカ人の 74% が現在リモートまたはハイブリッドワークを行っていると答えたのに対し、白人の回答者では 67% にとどまりました。

世界的に見ても、女性のなかでリモートワークを選ぶ割合は男性よりも高くなっています(それぞれ 33%、27%)。一方、子供のいる人が柔軟な勤務環境を選ぶ割合は、子供のいない人より高いことがわかりました(それぞれ 75%、63%)。

「今や経営層は、過去 2 年間に大きな方向転換が起こったこと、そしてこのニューノーマルな世界で公平性を実現する方法がわからないことを認めています」と指摘するのは、ジョージタウン大学 McDonough School of Business の教授であり、Ellavate Solutions の創設者でもある組織心理学者の Ella F. Washington 氏です。「これは組織にとって、一部のマネジメントプロセスを見直す、あるいは作り直す機会です。そのなかにはパフォーマンスの評価や多様性とインクルージョンも含まれます。耳の痛い話ですが、従来のモデルを新しい働き方に適用しようとしても効果はありません。むしろ白紙の状態こそ、真のチャンスになるでしょう」。

近接性バイアスをなくしてリモートワークの従業員とオフィス勤務の従業員を公平に扱うには、リーダーが自社における効果的なハイブリッドワークの概要をまとめて原則と行動指針として示すことが必要です。原則は、インクルーシブであることや平等といった企業のコアバリューに対するアプローチを土台とします。一方、行動指針はあらゆる従業員にとって公平な職場環境を保つための行動を定めたガイドです。例えば、経営層が 1 週間にオフィスで過ごす日数を制限するほか、会議に「リモート参加者がいる場合は全員リモート参加」というポリシーを設けてもよいでしょう。

このような枠組みがあれば、リーダーは多様性とインクルージョンへのさらなる投資という重要な仕事に専念することができます。その仕事には、監視役ではなくメンバーに寄り添うコーチを育成するなどマネージャーに新たなスキル教育を行うことや、透明性の高いコミュニケーションで信頼を構築すること、インプットではなく成果を測定することなどが含まれます。さらに、従業員が対面で集まる時に帰属意識を高めて同僚とよい関係を築けるよう、オフィスのデザインの見直しについても考える必要があるでしょう。

ほかにも世界各地のナレッジワーカーの体験や要望に関するデータや、リーダー向けのリソースを知りたい場合は、Future Forum Pulse レポート(英語のみ)を参照してください。

    この記事はお役に立ちましたか?

    0/600

    助かります!

    ご意見ありがとうございました!

    了解です!

    ご意見ありがとうございました!

    うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。