Slack を業務の中心に置き、価値ある仕事を生み出すシンプレクス

「Slack という“ねぐら”の中で、情報収集を楽にすることにより、浮いた時間と労力を別の仕事に使うことができ、メリハリをつけて仕事をすることができます」

Simplexコーポレート・イノベーションディビジョン グループヘッド張替 鷹介 氏

シンプレクスグループは、ビジネスを成功に導くテクノロジーパートナーとして、コンサルティングやシステム開発、運用保守、改善提案まで一気通貫でサービスを提供しています。また、創業以来、金融領域でビジネスを展開してきましたが、近年は金融機関だけではなく、多岐にわたる業種へと事業領域を拡大しています。

業務範囲はもちろん、チームや拠点も増えていた同グループ。拡大する組織内での情報の共有や浸透という課題を解決するために Slack を導入した結果、導入から 1 年もかからず、情報やコミュニケーションの流れが整理され、組織全体の生産性を高めることに成功しています。

同グループで経営企画と広報を担当する張替 鷹介さんに、Slack の導入プロセスはどのようなものだったのか、その活用方法や利点についてお話を伺いました。

事業や拠点の拡大に伴い、効率的な情報の蓄積・共有が課題に

金融機関を中心に多様な業種の顧客にサービスを提供する同グループでは、現場で扱うプロダクトは多岐にわたり、担当する顧客の業種によって、必要とされる知識もチームの文化も異なります。そのため、同グループでは社内での情報の蓄積や共有を効率的に行うことに課題を感じていました。

また、事業の拡大に伴って従業員数も増加し、拠点が増設されたことにより、さらに情報やコミュニケーションのサイロ化が進むという問題も発生していました。これらの状況を打破するためには、メンバー間でのスムーズな情報共有を行える環境構築が急務でしたが、その一方、金融機関へのサービス提供も多い同グループでは、高いセキュリティを確保することも必須だったといいます。

そこで、同グループでは 2018 年 5 月ごろから、一部門で試験的に Slack 導入を行います。スモールスタートで開始した Slack でしたが、現場のプロジェクトで利用されはじめ、翌年の 1 月には 1 日の投稿が 1 万を超えるなど、着実に浸透していったといいます。

「さらに浸透が進んだのが 2020 年の 2 月 です。新型コロナウイルスへの対応として 1 つのプロジェクトのメンバーを複数の拠点に分散させたり、リモート勤務を行ったりしたことによって、社内での Slack の利用が大きく伸びました。そして 2021 年にはコーポレート部門も含めて全社で Slack を導入することが決定しました」(張替さん)

シンプレクスが安心して Slack の推進を進められた背景には、セキュリティ面での安心感もあったと言います。様々なツールの中でも世界的なコンプライアンス認証を取得し、高いデータプライバシー基準を満たしていたことは、情報漏洩などのリスク担保を最も求められる金融業界に必要な要素でした。また、ワークスペースやチャンネルごとに細かい設定ができる機能を持つことから、求めるセキュリティポリシーを実現できることも大きな理由でした。

シンプレクスが取り組む Slack の“ねぐら”化とは?

Slack 導入の当初の目的はコミュニケーションの手段とすることにありましたが、使っているうちに、単なるコミュニケーションとしてだけではなく、快適にコミュニケーションができる環境や文化を醸成していることに気づいたといいます。

「従来の電話やメールを中心としたコミュニケーションは、電話をかける、メールを送るなど、情報を伝えるためだけの動作でした。一方通行あるいは双方向であり、他のチームなどの第三者も参加した多方向のやりとりという観点は抜けていました。しかし、Slack がコミュニケーションの中心になると、情報が Slack 上に集まります。色々な方向へ発信することも、色々な方向から見てもらうこともできるようになりました」と張替さんは語ります。

また、やりとり自体もメールのように形式張る必要がなく、絵文字によって気軽に意思表示を行うことができます。これにより時間の短縮だけではなく、肩肘を張らないコミュニケーションが可能になったと感じたそうです。さまざまなチャンネルをパブリックで運用していることもあり、所属しているチーム外のメンバーと、物理的距離を超えてコミュニケーションをとることも可能になったといいます。

張替さんは、この状態を「Slack のねぐら化」と名付けているそうです。人と情報が Slack 上に自然と集まることで、無駄を減らしつつも心理的安全性を保ってコミュニケーションができる。そんな心地の良いねぐらとしての Slack をコミュニケーションの核にすることで、業務も働き方も大きく変わったのです。

「Slack がコミュニケーションの中心になると、情報が Slack 上に集まります。色々な方向へ発信することも、色々な方向から見てもらうこともできるようになりました」

シンプレクス・ホールディングス株式会社コーポレート・イノベーションディビジョン グループヘッド張替 鷹介 氏

小さな効率化を重ねて、業務に必要なタスクや情報を Slack 内に整理

Slack を使って小さな効率化を積み重ねているという同グループ。簡単に真似ができるものとして、張替さんはいくつかの例を紹介してくれました。

そのひとつが、会議の効率化です。同グループでは、「昨日やったこと」「今日の予定」「困っていること」を共有する会議を毎朝実施しているチームもあります。口頭で行うとつい長くなりがちですが、Slack 上で、各メンバーが事前に自らのトピックを投稿しておくことで、内容が整理されます。また、投稿自体が各メンバーのその日の ToDo リストにもなるほか、文字で残るため議事メモを取る必要もありません。参加できない人も後から簡単に内容を把握することが可能です。

また、その日新しく入ったタスクや、メッセージの管理にはリマインダー機能も活用しているといいます。アクションが必要だけれども、今しなければならないわけではないタスクや依頼については、投稿別にリマインダーを設定しておけば自分で覚えておく必要はないと張替さんは言います。

「私は社内での依頼は必ず Slack で受けるようにしていて、このリマインダー機能を使ってタスク管理をしています。タスク以外にも、後で見る投稿もリマインダーに登録しています。そうすれば、覚えておかなければ、という心理的な負担が減りますし、自分の脳のスペースを他のことに使うことができます」。

また、限られたメンバーで共有したい内容については、ワークフロービルダーを活用していると言います。全体に公開するべきではないけれども、担当者個人のみが取り扱うと対応漏れが起こるリスクもあるといった、センシティブな情報を取り扱う経営関連の業務などが当てはまります。

「経営企画関連の問い合わせ対応には、一次窓口として、誰でも閲覧や投稿可能なパブリックのチャンネルを用意しています。質問者は、チャンネル内でワークフローを立ち上げ、テンプレートに沿って内容を記入し、投稿します。このとき、このチャンネルには問い合わせ内容は表示されません。問い合わせ内容は、経営企画チームだけが参加しているプライベートチャンネルに投稿され、経営企画チーム内で共有されます。その後、その問い合わせを担当するメンバーが、『担当する』ボタンを押すと、一次窓口であるパブリックチャンネル上で、問い合わせをした人に対して担当者が誰であるのかが通知される仕組みです。これによって、問い合わせをした人は、自分の問い合わせが届いたことと、今後のやりとりの担当者を知ることができます」(張替さん)

顧客とのプロジェクト管理も Slack を活用して効率化しています。顧客との課題管理表をオンラインストレージ上のスプレッドシートでやりとりすることが多いという同グループ。複数のツールや API を使って変更を定期的にチェックする仕組みを構築し、差分が発生した場合や更新期限が切れた場合には、自動で Slack に通知がくるように設定しています。

情報収集を楽にして、より重要な業務にリソースを再配分

IT ツールやサービスはそれぞれのもつ特長を見極めて適切に使うことが必要だと話す張替さん。Slack の特長は人や情報を集め、繋げることであり、Slack 上に自動的に情報が集まるシステムを構築することで効率化を実現できるといいます。

「必要な人や情報が集まる環境を整えることによって、情報不足で発生する本来必要のないコミュニケーションを防ぎ、情報収集の手間も減らすことができます。Slack というねぐらの中で、情報収集を楽にすることによって、浮いた時間と労力を別の仕事に使うことができ、メリハリをつけて仕事をすることができます」。

Slack を業務の中心に据えることで、リソースの再配分ができると語る張替さん。時間と労力を本来取り組むべき生産性の高い価値ある仕事へより集中する。シンプレクスによる Slack のねぐら化への取り組みはこれからもますます進みそうです。