さまざまな企業のカスタマーコミュニケーションを担うベルシステム 24。「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」をミッションに国内 36 拠点にコンタクトセンターを展開し、3 千件を超えるアクティブプロジェクトを抱えています。そんな同社では業績が好調な一方、部門ごとの縦割り化によって情報の横展開が十分でないという課題を抱えていました。
こんな状況を改善すべく立ち上がったのが DX 推進担当社内外コミュニケーション改革プロジェクトリーダーの川崎佑治さんです。川崎さんの信念は「コミュニケーションに火をつけることでイノベーションを起こす」こと。この信念の下、「一番コミュニケーションに火をつけるツール」として選んだのが Slack Enterprise Grid でした。
導入後、なんと 94% のメンバーがコミュニケーション量が増えたことを実感。その成功のポイントとして川崎さんが挙げるのは、「経営層の意識」と「コミュニケーションリーダーの活用」です。詳しく見ていきましょう。
「セキュリティを保ちつつ横の連携を発展」を叶えた Slack Enterprise Grid
ベルシステム 24 が Slack Enterprise Grid を選んだ理由は「わがままを叶えたから」だと川崎さん。そのわがままとは、「守る情報はしっかり守りつつも、企業としてのスピードを持った横連携は発展させたい」という条件でした。同社では多くの企業のカスタマーコミュニケーションを担っており、その担当チーム以外の人が知るべきでない情報を多く扱っています。そのような情報がチーム外に流出しないようしっかり守りつつも、チームや拠点の壁を越えた情報共有やコラボレーションをもっと積極的に推進したいという思いがあったのです。
以前はメールをよく使っていたという同社ですが、川崎さん曰く「メールはのどかな田舎の一本道のようなもの」。往来が少ない時には良いのですが、行き交うメール件数が増えると大渋滞が発生します。大人数でのコミュニケーションになるとスレッドとは関係のないことを途中で誰かが言い始めたり、「CC から失礼します」と会話が広がったりと、結局何のメールだったのかわからなくなることが多いこともしばしば。一方 Slack のイメージは「整理された大都市の交通システム」。組織において複数人で同時にコミュニケーションを行うのに向いているツールだと考えているそうです。
実は以前、Microsoft Teams を利用したことがあったという川崎さん。しかし、「情報統制が取れないことがコミュニケーションの会社としては使いづらく、コミュニティとして自社にとっては十分でないことが最大のネックになった」と振り返ります。
そんな同社では 2018 年 12 月に Slack Enterprise Grid を導入。ワークスペースをプロジェクトあるいは部門単位で運用することで、そのなかでの情報をきっちり統制する一方、ワークスペース横断の「共通チャンネル」を作ることで横連携の発展を目指した運用が始まりました。
チャンネルを軸に他拠点メンバーとのコミュニケーションが増加
導入後に社内で行ったアンケートで見られたキーワードのトップ 3 は、「オープン」「速い」「気づきが増えた」。「コミュニケーションに火をつけてイノベーションを起こす」ことを目指す同社にとって、オープンでスムーズなツールによって気づきが増えたというのはまさに目指していた状態です。これにより、「Slack の導入によってメールではできなかった共有とコミュニケーションができるようになった」と川崎さんは話します。
実際、94% のメンバーが「Slack 導入によりコミュニケーション量が増えた」と回答。また「今までよりも遠隔の相手を身近に感じる」と答えたメンバーは 93%、「組織横断がしやすくなった」と答えたメンバーは 80% にも上りました。
コメント解析から見えたのは、「チャンネル機能を軸として、他拠点のメンバーと気軽にコミュニケーションが取れるようになった」という効果。具体的には「他拠点や上司との何気ないやり取り」や「あとでいいか、と思っていたこと」、「遠隔地や席が離れている人とのコミュニケーション」が増えたという声が集まったそうです。
実際にこれらの横展開から新しく提案が生まれた事例もあります。同社ではプレスリリースが発表されると Slack チャンネルに自動投稿される仕組みがあり、先日は台湾支店ができたことが発表されました。その投稿に対してあるメンバーが「台湾ならあのお客様と一緒に広告を出せばどうか」と提案すると、別部門のメンバーが「では聞いてみます」と反応。営業担当者、事業開発担当者、その他のメンバーがそのニュースに返信を重ねることでつながり、わずか 10 分程の間に新たなビジネスの話が生まれたそうです。
その効果は社内コミュニケーションだけに留まりません。アンケートでは 79% のメンバーが「お客様とのコミュニケーションに良い影響がある」と回答。実はこれまで、複数の拠点・担当者で同じお客様とやり取りする場合、それぞれの拠点や担当者がやり取りした内容が共有されていないという課題がありました。Slack 導入によってこれらの情報が共有されるようになったことで、お客様のニーズをより理解し新たな提案につながっているようです。
さらに、「会社が Slack 導入に前向きだと『会社が従業員のことを大切にしてくれている』と感じる」と答えたメンバーの割合はなんと 97%。Slack の導入が従業員満足度の向上にも貢献したことが明らかになりました。
Slack 展開成功の鍵は経営層のリーダーシップ
2018 年 12 月に Slack を導入した時のユーザー数は約 500 名。それが今では 3 倍の約 1,500 名にまで増えました。しかしここまでの道のりについて、「すべてがスムーズなわけでなかった」といいます。
川崎さんが振り返って思うのは、メンバーが Slack を使い始めるまでの最初の大きなハードルを越えるには、経営層のリーダーシップが欠かせないということ。組織が戦略を実行していくためには、全員が向かう方向を揃えることが非常に大切です。実際、ベルシステム 24 でも経営層が「コミュニケーションこそイノベーションの土台だ」と言い続けて率先して実践し続けてきたことが浸透の鍵になったと川崎さんは話します。
Slack でコミュニケーションリーダーを活性化し、イノベーションを促進
こうしてユーザーが増えてくると、見えてくるのは「投稿数がずば抜けている人」の存在。同社では、この人たちを人と人をつなぐのが好きな「コミュニケーションリーダー」と定義し、社内コミュニケーションのハブになりフォロワーを動かす存在として、コミュニケーションの活性化のみならずイノベーションを進めるのに欠かせない存在だと考えているそうです。
川崎さんが考えるコミュニケーションンリーダーの条件には 4 つあります。コミュニケーションが多いほうが健全であるという哲学を持っていること、テクノロジーに明るいながらも利用者の気持ちを理解できること、あきらめずに現場までハンズオンすること、組織とコミュニケーションを仕組みと捉えて継続的に改善すること。
「この条件を備えた人材の価値はずば抜けて高い」と川崎さん。さらに、「Slack だと、コミュニケーションリーダーがいきいきと社内コミュニケーションを推進していける環境が簡単に実現する。これによって社内のイノベーションも加速します」と話します。
リモートワークはもはや事業存続に欠かせないもの
2019 年には多くの自然災害が発生し、2020 年には新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威をふるっています。このような状況のなか、リモートワークはもはや「魅力ある企業に必要なもの」ではなく、「事業の存続にかかわるもの」だと川崎さんは指摘します。同社ではそんなリモートワークを支えるコミュニケーションプラットフォームとして、これからも Slack 活用を進めていく予定です。