ココネのビジネス発展を支える Slack Enterprise Grid

「ビジネスプラスプランでは実現できなかった利便性や、管理・セキュリティに関する機能が、Enterprise Grid で可能になりました。Slack 全体の管理についても、体制が整えやすくスムーズな運用ができています」

cocone開発本部 インフラ室長ユン ソンウォン 氏

お客さまの感性を自由に形にできるデジタルワールドを提供し、感性のメタバースを実現しようと、キャラクター着せ替えアプリ「ポケコロ」をはじめとするソーシャルネットワーク事業やアプリ開発を行うココネ株式会社。Slack を使ってオープンなコミュニケーションや情報共有を実現してきた同社ですが、事業の急成長に伴って、さらなる利便性の向上や、ユーザー数の拡大による管理体制、およびセキュリティ強化の必要性を感じていました。

そこで、ココネが決断したのが既存プランの見直しです。2018 年 2 月に 350 名で利用開始をしたビジネスプラスプランから、2021 年 12 月に、1,000 名規模の Slack Enterprise Grid へと移行しました。同社でサービスインフラと社内システムを担当する、開発本部 インフラ室長のユン ソンウォンさんが、Enterprise Grid への切り替えを決定付けた理由や導入に至るまでの背景と、導入後のワークスペース管理やセキュリティの向上がもたらす利点について語ってくれました。

事業の急拡大に伴うコミュニケーションの課題をどう解決するか

数々の賞を受賞し、2,200 万人以上のお客さまに愛される人気アプリやアバターアプリなど、2008 年の設立以来、ココネはソーシャルネットワーク事業やアプリ開発で豊富な実績を上げています。デジタルコンテンツ制作以外にも、英語学習・幼稚園経営などの教育事業、ブロックチェーン開発事業なども手掛けており、福岡や韓国のソウル、シンガポールには、各事業を担う子会社も展開するなど、その規模は年々拡大しています。

同社は 2018 年から Slack を活用し、オープン&フラットな働き方の実践に役立ててきましたが、近年コミュニケーションでの新たな課題が浮上していました。

事業数は倍以上に増加し、多い時では 10 以上の事業が同時期に存在。子会社も 1 社 から 11 社に、社員数は 330 名が 3 倍を超える 1,000 名以上の規模になるなど、急速なビジネスの拡大と既存プランでの Slack の利用環境にギャップが生じていたのです。

例えば、事業や社員の増加に伴ってチャンネル数が急増し、ひとつのワークスペースを複数の組織が共有することで視認性が落ち始めていたり、子会社側とは Slack コネクトによってグループ間のコミュニケーションや情報共有に対応していましたが、公開できる情報が限定的になるなど、十分なコミュニケーションが行えなくなっていたと言います。さらに、この体制では各社が独自のワークスペースを運用することになるため、グループを横断して役割を持っている役員やリーダーなどは、複数の Slack アカウントを使い分けなければならず、大きな手間になっていました。「そもそも 1 つのアカウントではないため、グループ会社は別のコミュニケーションツールを導入するという選択も残っています。グループ会社の設立や分離、合併の度に、その議論が繰り返されてしまうことも課題でした」とユンさんは言います。

加えて、セキュリティ面の問題もありました。社員数の急激な増加により、組織内で個人が独自に利用する無償プランやトライアルなどのワークスペースが増えたことに対して、全ての把握がむずかしくなり、管理の一部を現場に委譲するにも、限られた権限設定により一定の管理者への負担が大きくなってしまうといったことが懸念されました。

「事業の拡大により生じている課題をどのように解決すべきか。現状の問題と要望の多い機能について洗い出しを行いました。その結果、既存の Slack ビジネスプラスプランよりも機能性がさらに高く、データ移行やログ収集、監査機能などにおいてセキュリティ面でも充実している、Enterprise Grid プランへの切り替えに論点が絞られました」とユンさんは続けます。

「事業の拡大により生じている課題をどのように解決すべきか。機能性がさらに高く、データ移行やログ収集、監査機能などにおいてセキュリティ面でも充実している Enterprise Grid プランへの切り替えに論点が絞られました」

ココネ株式会社開発本部 インフラ室長ユン ソンウォン 氏

組織を 1 つにまとめるため Enterprise Grid に移行

Slack を最初に導入して以来、Slack 側のサポート担当者と常により良い使い方を模索していたというユンさん。その中で、Enterprise Grid への移行という選択肢に自ずと導かれていったそうです。

「大きなきっかけとなったのは、Slack から届く利用状況を分析した定期レポートです。図式的にビジュアル化されているため、本社を中心とするグループ体制の中で、どの会社とどの会社のやりとりが多いかなどが一目で把握できました。そこで、この状況に合わせて利便性を高めるには、グループ企業を 1 つのプランに統合すべきと考えました」(ユンさん)

Enterprise Grid には、ワークスペースのさらに上の階層に、オーガナイゼーションの略称である Org(オルグ)という管理単位があり、ユーザーは Org を通じて、1 つのアカウントの中に複数のワークスペースを設けることができます。これによって、それまではココネのグループ内で会社ごとに別々だった Slack のアカウントを統合することが可能になり、複数のアカウントを切り替えながら仕事をしていた役員やリーダーたちも、1 つのアカウントでグループ内の様々なワークスペースやチャンネルに参加できるようになります。

こうした理由で Slack のアップグレードを検討する中、2021 年 9 月に開催された Slack のイベントに参加したココネは、セキュリティの専門家の事例や他社とのディスカッションで得た知見を基に、Enterprise Grid 導入に向けての動きを本格化させました。それからおよそ 3 ヵ月後、当初からプラン更新に対して肯定的だった役員やリーダーたちの賛同も得て、グループ各社が違うアカウントで運用されていた Slack ビジネスプランから、ココネ全体を 1 つのアカウントで管理できる Enterprise Grid プランへの移行を開始しました。

豊富な機能を駆使して管理の効率化とセキュリティ強化を実現

Enterprise Grid への移行により、管理面でも改善された点は多いとユンさんは言います。

「それまでのビジネスプランでは、別々のアカウントで各ワークスペースが孤立し、切り替えの手間やワークスペースの肥大化が生じていましたが、Enterprise Grid では Org での一括管理の下、全員がそれぞれのワークスペースを横断して情報を検索・共有できるようになり、同一アカウント内での迅速な連携と、グループ間での情報の有効活用に繋がりました。それぞれのワークスペースで増え続けていたチャンネル数も整理することができ、よりオープンで使いやすい環境が構築されています」(ユンさん)

分散することができなかった管理権限も細分化することができ、全ての Slack チャンネルの管理やログ出力、デバイス紛失時などの端末からの強制サインアウト、監査ログの収集も行えるようになったため、管理者の負担を軽減すると同時に、シャドー IT の防止や情報漏洩の抑止といったセキュリティ面での強化も図ることができます。

「ビジネスプランでは実現できなかった利便性や、管理・セキュリティに関する機能が、Enterprise Grid で可能になりました。Slack 全体の管理についても、Org 管理は本社、ワークスペースは子会社に委譲して分けることができ、体制が整えやすくスムーズな運用ができています」と、ユンさんはその効果を説明します。

「全員がそれぞれのワークスペースを横断して情報を検索・共有できるようになり、同一アカウント内での迅速な連携と、グループ間での情報の有効活用にも繋がりました」

ココネ株式会社開発本部 インフラ室長ユン ソンウォン 氏

Slackをさらに有効活用し、ビジネスの発展に役立てていく

Enterprise Grid プランの導入から 5 ヵ月を経て、元々本社と同じアカウントを使用していたソウル支社は、ワークスペースの分離を全て完了。プランの移行にあたっての作業や、別のアカウントを使用していた子会社のワークスペースのアカウント統合も、大きな問題なく順調に行われました。

「今後は、ソウル支社以外に本社のワークスペースを利用している各子会社のワークスペースの最適な分離、そのための各拠点におけるワークスペース管理者の育成をすることが課題となっています。そして、複数の Slack 組織、監査ログ、Data Loss Prevention(DLP)連携などの整備を完了させ、より強固なセキュリティ対策を進めていきます」(ユンさん)

ビジネスの急成長に合わせて Slack Enterprise Grid プランへの切り替えを実行し、利便性の向上と管理機能の統制、セキュリティ強化を図ったココネ。「わたしたちの取り組みが、他の企業にとってもより良いツール活用のヒントになればと思っています。これからも Enterprise Grid の特性を活かして、さらなる Slack の有効活用をしていきたいです」と、ユンさんは締めくくりました。

事業の規模や体制の変化に合わせて Slack の最適化を実現したココネの進化とビジネスの発展は、多くの企業の成長にとっても、役立つ要素に溢れています。