LIFULL らしいコミュニケーションを目指し Slack を選択

「リスクと手間の観点から、当初はコミュニケーションツールの移行を個人的にあまり積極的に推進しようとは考えていませんでした。しかし、組織改革の観点で評価したところ、私自身が Slack に惚れてしまいました」

LIFULLテクノロジー本部 コーポレートエンジニアリングユニット エンタープライズアーキテクトグループ グループ長 兼 インフラアプリグループ グループ長飯塚 大仁 氏

株式会社 LIFULL は、コーポレートメッセージ「あらゆる LIFE を、FULL に。」を掲げ、事業を通して社会課題の解決に取り組む企業で、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」をはじめ、人々の暮らしや人生にまつわるさまざまな事業を展開しています。

新型コロナウイルスの影響で急速にリモートワークを推進した LIFULL は、対面のやりとりから非対面でのやりとりが中心になったことをうけ、コミュニケーション手段の改善と利便性向上、加えてセキュリティの向上を目的に Slack を 2021 年 11 月に全社導入しています。

Slack 導入の指揮をとった LIFULL のテクノロジー本部 コーポレートエンジニアリングユニットの飯塚 大仁さんに、選定の決め手と移行時に行ったアクションについて伺いました。

リモートワークへの移行で発覚したコミュニケーションの課題

LIFULL では全従業員がリモートワーク可能な環境を整備し、多くがリモートワークによる業務を行っています。しかし、移行によってさまざまな課題が見えてきたといいます。対面でのコミュニケーションが減少したことで、“情報の非対称性” が生じやすい状況となっていました。

飯塚さんは当時について「クローズ型コミュニケーションの弊害として、会話の参加者以外は情報共有がされにくく、コミュニケーションのエラーやロスが起こりやすい状態でした。投稿数が多いと、出社して未読の投稿を遡って確認するために 1 時間以上を費やす人もいて、非効率な状況だと思っていました」と振り返ります。

それに加え、従業員と社外パートナーの区別が分かりづらく、セキュリティのリスクも課題となっていたという LIFULL。このままでは将来行き詰ってしまうかもしれないと感じた飯塚さんは、社内コミュニケーションツールの変更・改善の検討を始めます。

情報格差、機密性、効率化…現状の課題をすべて解決できるツールを探し Slack に

検討当時、従来のツールは導入から 5 〜 6 年が経過しており、約 1,300 名が利用していました。そのため、ツール移行で生じる工数やリスクを考えると、そのツールをベースに現状の課題解決を検討していたといいます。

しかし、現状の課題を解決するために必要な 3 つの要件としてあがった “情報格差の解消”・“安全性の担保”・“業務の効率化” を基に 10 種類のツールを比較・検討したところ、LIFULL が求めるすべての要件は Slack でクリアできると判断します。

情報格差の解消については、コミュニケーションがオープンであることに加え、精度の高い検索機能が求められました。「『以前だれかが書いていたことが気になっているけれど、どこにあるのか覚えていない』といったことがよくあり、コミュニケーションコストが発生していたのですが、Slack では簡単に過去のやりとりを検索でき、この問題が解消できると感じました」と飯塚さんは説明します。

また、安全性の担保という観点では、社内外を問わないオープンなコミュニケーションと意図しない情報漏洩を防ぐという、相反する要件を両立できる「Slack コネクト」や、ゲスト機能が評価されたといいます。社外秘の話をする際に、チャンネル上の管理によって参加メンバーの所属を意識せずとも機密性が保持できる点は、オープンなコミュニケーションを行いつつ、セキュリティを強化したい LIFULL にとって大きなメリットでした。

そして検討時に大きなポイントとなったのは、業務の効率化でした。そのため、外部アプリやサービスとの連携ができることを必須の条件としていましたが、この点においても、2,000 以上のアプリと連携できる Slack であれば、複数のアプリを切り替える手間を軽減できると判断しました。

こうして、当初はツール移行に積極的ではなかった飯塚さんは Slack 推進派の指揮官となり、「LIFULL の Slack 移行」が動き出します。

「以前は気になった書き込みを後から見つけることがむずかしくコミュニケーションコストがかかりましたが、Slack では簡単に過去のやりとりを検索でき、この問題が解消できると感じました」

株式会社 LIFULLテクノロジー本部 コーポレートエンジニアリングユニット エンタープライズアーキテクトグループ グループ長 兼 インフラアプリグループ グループ長飯塚 大仁 氏

推進派をどんどん広げた、LIFULL の Slack 移行に向けたアクション

Slack への移行を進める飯塚さんでしたが、従来環境から新たなシステムを導入するためにはコストも工数もかかる上、利用する社員が慣れ親しんだこれまでの環境からの変更を、広く受け入れてもらう必要がありました。そこで、導入の承認と全社への浸透を得るために次のアクションを実行していきます。

はじめに行ったのが、今回の移行が適切な投資対効果を得られることを証明するための、経営陣に対する啓蒙活動です。利用料などのコスト試算だけでなく、Slack が単なるチャットツールではなく、ビジネスコラボレーションツールとして新たにどのような価値をもたらし、どのように組織変革につながるのかといったメリットについて丁寧に説明したといいます。

次に社内のアーリーアダプターをたくさん集め、デモ環境を展開します。実際に使用することで、使いやすさとセキュリティに優れた点を実感してもらい、移行への不安を払拭しました。

「一部のメンバーは以前のツールを好む傾向にあったのですが、Slack のリマインダーをはじめとしたさまざまな機能を実際に使ってみることで、その良さを体感し、積極的に Slack へ移行したいと考える人が増えていきました」と飯塚さんは話します。

また、実際の展開に際してはガイドラインとサポート体制の整備を徹底しました。Slack を 1,300 人の社員全員に浸透させるためには、だれでも容易に使えるよう、利用者を迷わせないルールやガイドライン、利用マニュアルの整備が必要です。社外とのコミュニケーションやチャンネル作成のルールを決め、個人アカウントを安全に設定するためのマニュアルなども社内サイトで提供したといいます。

更に導入から運用をスムーズに進めるために Slack 移行のための疑問や不安に回答する FAQ の設置や、毎月 2 〜 3 回の広報活動を行うことで、社内への情報発信も行いました。

こうした取り組みの結果、LIFULL 全社への Slack 導入は想定以上に迅速に進み、2 ヶ月もかからず完了します。

活用による更なるコミュニケーション変革を期待

社内外のコミュニケーションにおける課題を解消するには、まずその企業が実現したい姿を設定することが重要です。LIFULL にとっての目指す姿は、オープンでありながらも安全なコミュニケーションと、業務の効率化でした。

セキュリティ統制面のリスク担保、各種システムと連携できる利便性、スレッド表示や絵文字などによるコミュニケーションのしやすさから、Slack はもはや手放すことのできないツールだという飯塚さんは、Slack を「コミュニケーションを革新するビジネスコラボレーションツールである」と位置づけます。

Slack 移行後の変化から飯塚さんは「シンプルに利便性の向上を実感しています。今後もっと活用が進めば、社内外のコミュニケーション変革がより加速していくのではないかと感じています」と、さらなる期待を寄せています。

「セキュリティの担保はもちろん、様々なシステムとの連携が可能な上に、使い勝手のいい UI や絵文字など、今や Slack は手放せない存在です」

株式会社 LIFULLテクノロジー本部 コーポレートエンジニアリングユニット エンタープライズアーキテクトグループ グループ長 兼 インフラアプリグループ グループ長飯塚 大仁 氏