アンドパッドが実践する Slack 早期習熟のためのオンボーディング

「Slack を業務の中心にしっかりと根付かせれば、中途採用者への定着度が上がり、生産性も着実に伸びていきます」

ANDPADコーポレート本部 経営管理部青木 勝則 氏

株式会社アンドパッドは、クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」の開発・提供を通じ、長時間労働・人手不足・低生産性等の建設現場の課題解決に取り組んでいます。

社内コミュニケーションはもちろん、仕事のプラットフォームとして Slack を業務の中心に組み込み徹底活用することで、組織全体のパフォーマンスを高めているというアンドパッド。同社では、中途採用の社員が入社するオンボーディング時に、Slack の基本的な使い方や運用ルールについての説明を行ってきたといいます。そして、同社では中途採用者が Slack を使いこなして早期に立ち上がるため、さらなるサポートや新しい取り組みを始めています。

中途採用者への Slack 促進と定着によって、組織全体のパフォーマンスを底上げするオンボーディングのポイントについて、同社のコーポレート本部 経営管理部の青木 勝則さんに伺いました。

業務に不可欠な Slack。新メンバーの早期習熟が組織成長の鍵に

従業員数 600 名を超える組織であるアンドパッドでは、その 84 % が週 4 日、3 時間以上 Slack を使っているほど業務の中心として浸透しています。急成長を続ける同社では Slack を業務の起点となるプラットフォームとして位置づけ、ワークフローの自動化やアプリ連携なども積極的に取り入れ、効率化を図っています。

ビジネスの拡大に伴って、年間を通じて多くの中途採用者が入社するというアンドパッドでは、オンボーディング時に仕事のベースとなる Slack の使い方や運用ルールについての説明を実施してきました。初期の段階で Slack への理解を深めて共通認識を持つことで、より早く慣れてもらうことが目的です。

中途採用者をサポートするため、定期的にフォローアップ面談を実施していた青木さんは、入社後のギャップや困っていることとして、ツールをはじめとした前職との業務の進め方の違いについての悩みがよく挙げられていると感じました。

「アンドパッドは Slack への依存度が高い組織です。Slack を使いこなすことは、生産性の向上にも組織に溶け込むためにも大事な鍵となります。Slack を初めて使う中途採用者でも、できるだけ負担を感じずに使えるような、さらにわかりやすいオンボーディングへと変えていく必要があると考えました」(青木さん)

青木さんは、Slack をはじめとしたデジタルツールの習熟が、組織全体のパフォーマンス向上や成長につながると考えたのです。

「Slack を初めて使う中途採用者でも、できるだけ負担を感じずに使えるような、さらにわかりやすいオンボーディングへと変えていく必要があると考えました」

株式会社アンドパッドコーポレート本部 経営管理部青木 勝則 氏

Slack 活用の土台を築く基本のオンボーディング

アンドパッドが実施する従来のオンボーディングでは、まず同社における Slack を使った業務の進め方について理解を促してきました。

同社が大切にしている大前提が「オープンなコミュニケーション」。職場でさまざまな人たちがお互いのナレッジやスキルを共有していくことが組織力アップにつながるからです。そのため、だれでも投稿を見ることができるパブリックチャンネルは自由に作成が可能で、限られたメンバーだけが閲覧できるプライベートチャンネルの作成には申請が必要といった基本ルールをはじめに理解してもらいます。

チャンネル作成時にも、名前の付け方にガイドラインを設けています。プロジェクトなら「#pj_○○○」、開発なら「#dev_○○○」など、部門と目的、プロジェクトがわかるような接頭辞をチャンネル名に用いるというシンプルなものです。Slack に不慣れな人でも迷うことなく活用できるよう、最低限のルールを覚えてもらう一方で、ルールによって Slack の利用が制限されないよう、あまり厳格な管理は行っていないといいます。

基本ル―ルに加え、全社向けのお知らせや雑談用チャンネル、各部門への問い合わせ用チャンネルなどフォローするべきチャンネルやその用途、メンションの基本的な仕組みなども説明しています。他にワークフローを活用したチャンネルも用意されており、初めて利用する人でも自動化されたプロセスに沿って抜け漏れのない業務連絡が可能です。

Slack を中心とした働き方の土台作りに、こうした基本への理解は欠かせません。青木さんは、中途採用者と既存メンバーとの習熟度のギャップを解消し、より早期に立ち上がる環境を目指して、新しいサポートの提供を決意します。

さらなるレベル差の解消を目指し、きめ細かなフォローアップを提供

習熟をより促すためのより細かなフォローアップとして、アンドパッドでは Slack 初心者向けのオリジナルの教材や、定期的な勉強会を通して中途採用者への定着支援をはじめています。

勉強会では、例えばパブリックチャンネル、プライベートチャンネル、DM の特長と使い分けなど、Slack の基本構造をわかりやすくレクチャーしていると青木さんは説明します。

「例えば、私と A さんとの DM に途中から B さんを招待するには、別の DM を新たに立ち上げることになり、 B さんは過去の履歴が見られません。チャンネルであればその心配もなく、必要なメンバーを随時追加して過去のやりとりも共有することができるので、定期的にやりとりをする場合は、最初からチャンネルを作ったほうが便利です、といった細かなことまで説明しています」

さらに、コミュニケーションを確かにするための適切なメンションの使い方や注意点、カスタムセクションを利用したチャンネルやアプリの整理や分類の方法、優先度が低いチャンネルに対して退出が気まずい場合はチャンネルのミュートで通知をなくすなど、様々な機能を丁寧に紹介しています。また、疑問や不明な点をいつでも聞ける問い合わせチャンネルも設置し、知りたいことを速やかに解決できる環境も用意しています。

こうしたきめ細かなアフターフォローによって、すべての中途採用者が Slack をうまく業務に取り入れて、組織に 1 日でも早く馴染んでもらうことが青木さんたちの目標です。

Slack は仕事のプラットフォーム。生産性を高めるスムーズな定着が重要

アンドパッドでは Slack を中心として、さまざまなテクノロジーを高度に駆使した業務改善に取り組んでおり、全てのメンバーにデジタルツールへの高い習熟度が求められます。

そのため毎月のように入社する中途採用者に対して、先に挙げたような詳しい説明や勉強会など、手厚いサポートを実施することは、大きな意味があります。たとえ自分で検索すれば分かるような些細な疑問や使い方でも、きめ細やかに伝えてツールに対する不安を払拭することで、だれもが自信を持って活躍できるように支援をしていると青木さんはいいます。

Slack が業務に欠かせないツールだからこそ、その基本的な使い方をしっかりと知ってもらうことが、結果として生産性を高めるための基礎となっていくからです。

青木さんは「Slack をベースに仕事をすると、単なるツールではなく、業務の起点となるプラットフォームの機能を果たします。Slack を業務の中心にしっかりと根付かせることで、生産性が直線的ではなく、指数関数的に伸びていくはずだと考えています」とサポート強化の意義を語ります。

中途採用者が Slack を早期習熟することで、スムーズな定着や、高いパフォーマンスを発揮する人材育成にも繋げているアンドパッド。仕事のプラットフォームとして Slack を業務に根付かせ、全社的な成長の底上げを図るオンボーディングは、今後の組織拡大へも大きく寄与することでしょう。

「Slack を業務に密着させれば、単なる『ツール』が業務の起点となる『プラットフォーム』へ変わっていきます」

株式会社アンドパッドコーポレート本部 経営管理部青木 勝則 氏