生産性を測る指標とは?その種類や生産性向上に向けた施策を解説
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生産性を測る指標とは?その種類や生産性向上に向けた施策を解説

生産性を向上させるためには、生産性を数値化し、適切な施策を講じることが大切です。そのための指標とその種類、具体的な施策、有効なツールについて解説します。

Slack チーム一同作成2023年11月15日

生産性を向上させるための取り組みにおいて、何を基準に生産性の高さを判断するかを把握しておくことは非常に重要なポイントです。具体的な指標がなければ、何をどれだけ改善すべきか、改善後にどれほどの効果が得られたのかを判断できません。

今回は、生産性を測る指標の種類と、生産性向上を実現するための施策について解説します。生産性向上に取り組む際の注意点や施策に役立つツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

生産性とは?

生産性とは、投入(インプット)した資源(ヒト・モノ・カネ・情報)に対して、産出された成果(アウトプット)の比率をあらわす概念です。具体的には、「労働者 1 人あたりが生み出した成果」または「労働者 1 人が 1 時間あたりに生み出した成果」をあらわしています。生産性の向上とは、できるだけ少ない資源で高い成果を上げることを目指す取り組みを指しています。

生産性を数値化するための計算式

労働者 1 人あたりの生産性を算出する際は、「労働者数」を投入量として用います。労働者 1 人が 1 時間あたりに生み出した成果を基準に算出するのであれば、投入量に相当するのは「労働者数×労働時間」です。算出された生産性が高ければ高いほど、従業員は効率良く成果を上げているととらえることができます。
生産性を算出するための計算式は次のとおりです。

生産性の指標を活用するメリット

生産性の指標を活用した分析は、財務分析の一環と言えます。投入した資源に対して、売上や付加価値を効率良く創出できているかを客観的・定量的に分析できるため、現状を正しく把握した上で適切な改善策を講じられるのです。

生産性の指標を継続的に算出していくことで、前年度との比較や競合他社との比較がしやすくなります。結果として自社が現在抱えている課題が明確になり、必要な対策を適切なタイミングで講じられることが大きなメリットと言えるでしょう。

生産性を測る指標

労働力に着目した場合の生産性には、大きく分けて「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の 2 種類があります。それぞれの指標の考え方と具体的な計算方法は次のとおりです。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、生産量や重さ、売上金額など、定量的に計測可能な生産性をあらわす指標です。物的労働生産性を算出する際には、下記の計算式を用います。

物的労働生産性を向上させるには、いかに少ないインプット(労働量)で、多くのアウトプット(生産量・売上高など)を上げられるかを目指すことになります。顕在化しているモノや金額に着目することから、物的労働生産性はシンプルな生産性の測り方といえるでしょう。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性は、企業活動を通じて新たな価値をいかに効率良く生み出せたかをあらわす指標です。付加価値労働生産性を算出する際には、下記の計算式を用います。

付加価値額とは、売上高から外部購入価値(材料費、運送費、外注費など)を差し引いた金額です。売上高から原価を差し引いた金額ととらえてください。付加価値労働生産性を算出することで、労働によって生み出された価値をより正確に算出できます。

生産性を測る指標の種類

生産性を測る指標は、何を成果とみなすかによっていくつかの種類に分けられます。自社にとって重要度の高い成果を見極め、活用する指標を選択することが大切です。

従業員に関する生産性の指標

従業員に関する生産性の指標には「労働生産性」と「人時生産性」の2つがあります。

・労働生産性

労働生産性は、労働力に対して、どれだけの付加価値を創出したのかをあらわす指標です。「産出÷投入」の計算式で求められることから、「生産量÷従業員数」や「売上高÷従業員数」などの計算方法がよく用いられます。労働生産性が高いほど、従業員一人ひとりが効率良く価値を創出できている状態と言えるでしょう。

・人時生産性

人時生産性は、労働者 1 人が 1 時間あたりに創出した成果をあらわす指標です。「粗利÷総労働時間」で求められます。人時生産性が高いほど労働の効率が良く、高い生産性を実現できていると判断できます。

資本に関する生産性の指標

資本に関する生産性の指標には「資本生産性」「総資本回転率」「売上高付加価値率」の 3 つがあります。

・資本生産性

資本生産性とは、企業が保有する設備・機械・土地といった有形固定資産の投入量に対して、どれほどの付加価値を創出できたかを表す指標です。「付加価値÷有形固定資産」で求められます。資本生産性が高いほど、自社の資本を有効に活用して価値の創出につなげられているととらえることができます。

・総資本回転率

総資本に対する売上高の割合をあらわす指標が総資本回転率です。「売上高÷総資本」で求められます。総資本回転率が高いほど、資本を価値創出にうまく活用できている状態をあらわします。

・売上高付加価値率

売上高付加価値率とは、売上高に対する付加価値額の割合を表す指標です。「付加価値÷売上高」で求められます。事業活動を通して新たに創出した価値の比率をあらわしていることから、企業の収益性を判断するために用いられる指標のひとつです。

広告に関する生産性の指標

広告に関する生産性の指標としては「CPA」「CPO」「ROAS」などが挙げられます。

・ CPA

CPA(Cost Per Action または Cost Per Acquisition)とは、顧客 1 人を獲得するために投じた費用をあらわす指標(顧客獲得単価)です。「広告費用÷コンバージョン数」で算出されます。 CPA が低いほど、広告費を効率良く活用して顧客を獲得できていると考えてください。

・ CPO

CPO(Cost Per Order)とは、 1 件あたりの注文を獲得するために投じた費用(顧客獲得単価)をあらわす指標です。「広告費用÷受注件数」で算出されます。CPOが低いほど、広告費を効果的に受注へとつなげられていると捉えてよいでしょう。

・ ROAS

ROAS(Return On Advertising Spend)とは広告費に対する売上の割合(広告の費用対効果)を表す指標です。販促費生産性・広告費用対効果・広告費用回収率などと呼ばれ、「売上高÷広告費」で算出されます。 ROAS が高いほど、広告の費用対効果が高い状態と言えるでしょう。

生産性を向上させるメリット

生産性を向上させることにより、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。具体的なメリットとして、下記の 4 点が挙げられます。

コスト削減を達成できる

生産性を高めることでコスト削減を達成できることは、企業にとって大きなメリットとなります。生産性を高めるにはインプット(投入量)を抑える必要があるため、自ずとコスト削減に取り組むことになるからです。また、残業手当などの人件費や原材料費などの抑制につながる方策を講じていくことで、コスト削減の達成が可能となります。

労働時間を短縮できる

労働時間を短縮できることも、生産性向上がもたらすメリットのひとつです。生産性が向上することで、 1 時間あたりにこなせる作業量が多くなります。従来と同じ作業量をより短時間で完了できるようになれば、労働時間を短縮することも不可能ではありません。

労働人口の減少による影響を解消できる

生産性を向上させることで、労働人口の減少による影響を解消できることも企業にとってはメリットとなります。近年、日本国内の総人口は減少傾向にあり、その影響が顕著になりつつあります。生産性が高まれば、限られた人員で生産量を維持できることから、労働人口不足の有効な解決策となるでしょう。

売上や利益率を改善できる

売上や利益率を改善できることも、生産性向上のメリットです。生産性が向上するということは、より少ない投資で高い成果を上げられるようになることを示しています。限られたリソースで売上伸長を実現できれば、利益率の改善にもつながるはずです。

生産性を向上させるうえでの注意点

生産性の向上を目指すにあたっては、取り組むべき施策を見誤らないようにすることが大切です。次に挙げる 3 つの注意点を押さえ、生産性向上を効果的に実現させていきましょう。

長時間労働にならないようにする

コスト削減さえ達成すれば、生産性向上が実現するとは限らない点には注意が必要です。
生産性を高めるために人員を削減したことで、 1 人あたりの仕事量が単純に増えるようでは本末転倒です。組織全体の生産性を高めるには、従業員一人ひとりの負荷をできるだけ軽減する方向で施策を検討していく必要があります。

施策を厳選する

生産性を向上させるには施策を厳選し、効果を分析・検証してから次の施策に着手することが重要です。
生産性向上に寄与する施策は多数ありますが、多くの施策を同時並行で進めれば効果が上がるとは限りません。一つひとつの施策の効果が評価しにくくなり、有効な施策に注力できなくなることも想定されます。
そのためには、現状を把握し、どのような施策が必要かを見極める必要があるのです。

従業員の理解を得る

生産性向上のための施策をトップダウンで進めてしまうと、現場の理解が得られず、かえって従業員の負担が増してしまうこともあり得ます。施策を講じる目的や意図を十分に説明し、現場の意見もヒアリングしたうえで施策を推進していくことが大切です。

生産性向上に向けた施策

生産性向上を実現するために有効な施策を紹介します。自社が現在抱えている課題と照らし合わせ、効果が高いと考えられる施策に取り組んでいきましょう。

人材開発・組織開発

人材開発・組織開発は生産性向上を実現するための基本的な取り組みといえます。スキルや能力が高く、時間あたりの作業効率が高い人材を育成・採用していくことが大切です。

ただし、外部から優秀な人材を採用するのは決して容易ではありません。特に近年は働き手にとって売り手市場となっていることから、能力の高い人材を今すぐには採用できない場合もあります。必要に応じてアウトソーシングも活用しながら、実務を担う人員の増強を図っていくことをおすすめします。

従業員のスキルアップ

既存の従業員がスキルアップすることで、組織全体の生産性向上につながります。従業員に研修やセミナーへの参加を促すのも、ひとつの方法ですが、日頃の業務を通じてスキルアップを図るという観点も必要です。そのためには、部下の適性に応じて仕事を割り振れるように、管理職のマネジメントスキルの強化も有効だと考えられます。管理職を対象とした研修や勉強会を開催し、マネジメントに関する知識・スキルの増強を図っていくことが大切です。

業務を可視化する

従業員一人ひとりが担当している業務を可視化し、実態を明らかにしておくことも重要な施策のひとつです。既存の業務を洗い出し、細分化したうえで、不要な業務や 3M(ムリ・ムダ・ムラ)が生じていないかを点検していくことが大切です。ルーティンワークや定型業務のうち、自動化できるものがあれば ツールを用いて積極的に自動化を図っていくことをおすすめします。

IT ツールの導入

生産設備の増強や刷新を図ることも、生産性向上を目指すうえで欠かせない観点です。特に IT ツールを導入することにより、生産性を高められるケースは少なくありません。ただし、 IT ツールを導入するにあたっては、初期費用やランニングコストが発生することも十分に考慮する必要があります。生産性向上に寄与する度合いの見通しを立て、費用対効果が得られる可能性の高いツールを選定することが大切です。

ナレッジやマニュアルの共有

各担当者が保有している業務知識やノウハウを共有し、組織のリソースに変えていくことも重要なポイントのひとつです。業務マニュアルを整備するだけでなく、必要なタイミングでいつでも参照できる仕組みを整えておく必要があります。

生産性向上に役立つ Slack の活用

生産性向上を実現するための取り組みとして、コミュニケーションを円滑にし、生産性を向上させるインテリジェントプロダクティビティプラットフォームの Slack を導入・活用していくことをおすすめします。 Slack を活用することで、下記に挙げるような点で生産性の向上が期待できるでしょう。

コミュニケーションの活発化

Slack には 1 対 1 でやり取りできるダイレクトメッセージ(DM)のほか、チャンネルを活用したグループチャットやハドルミーティングといった多彩なコミュニケーション方法が用意されています。状況に合わせてコミュニケーション方法を選択しやすくなるため、情報共有やアイデア創出の活発化に有効です。

コミュニケーションが停滞している状況が続くと、業務の属人化や業務量の偏りにつながりかねません。 Slack の多彩なコミュニケーション方法を活用していくことで、より効率的・生産的な働き方を実現しやすくなるはずです。

ナレッジ・マニュアル・ワークフローの共有

Slack ではファイルを送受信できるほか、 Slack canvas を活用して社内のナレッジをわかりやすくまとめたり、動画や音声クリップを活用してマニュアルを共有したりすることができます。また、生成 AI を活用した検索機能により、社内のナレッジを最大限に活用することも可能になります。 Slack を活用して、ナレッジ・マニュアル・ワークフローの共有を促進してみてはいかがでしょうか。

生産性を数値化し、適切な向上施策を講じよう

生産性を測るための指標には、さまざまな種類があります。各指標の目的や意味を理解したうえで、自社の課題に合わせて活用していくことが大切です。今回紹介した指標を駆使して、ぜひ現状の生産性を客観的に分析するとともに、生産性向上に向けた施策に取り組んでください。自社にとって有効な施策を選択できれば、生産性の向上がいっそう現実味を帯びていくはずです。

よくある質問

生産性を測る指標は、何を成果とみなすかによっていくつかの種類に分けられます。例えば、従業員に関する生産性の指標は、労働力に対して、どれだけの付加価値を創出したのかを示す「労働生産性」、労働者 1 人が、 1 時間あたりに創出した成果をあらわ「人時生産性」の 2 つがあります。ほかにも、資本に関する生産性の指標として「資本生産性」「総資本回転率」「売上高付加価値率」、広告に関する生産性の指標に「CPA」「CPO」「ROAS」などが挙げられます。自社にとって重要度の高い成果を見極め、活用する指標を選択することが大切です。
生産性の向上を目指すにあたっては、取り組むべき施策を見誤らないようにすることが大切です。例えば、コスト削減に注力するあまり、従業員の負担が増すようでは本末転倒です。また、生産性を向上させようと、多くの施策を同時並行で進めてしまうと、一つひとつの施策の効果が評価しにくくなってしまうでしょう。さらに、トップダウンで一方的に施策を推進してしまうと、従業員の理解を得るのが難しくなってしまうおそれもあります。このように、かえって生産性を低下させる原因にもなりかねないため、施策を講じる際には十分に注意してください。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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