リモートワーク環境下で会議をどのように実施するかは、企業にとっての課題と言えます。例えばビデオ会議ツールを利用したとしても、リアルな対面会議と比べてやりにくさを感じるケースもあるでしょう。
そこで今回は、ビデオ会議よりも臨場感のあるコミュニケーションが可能な「バーチャル会議」について解説します。バーチャル会議を導入するにあたって必要な機材や、バーチャル会議のメリット・デメリットをわかりすく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
バーチャル会議とは VR 技術を活用した会議
バーチャル会議とは、VR(仮想現実)技術を活用した会議を指します。ここでは、そもそも VR とはどのようなものなのか、バーチャル会議はビデオ会議とどのように違うのかを見ていきましょう。
VR(仮想現実)とは
VR(Virtual Reality)は、私たちが存在している現実とは異なる「仮想現実」をコンピューターで人工的に構築する仕組みです。すでにゲームをはじめとするエンターテイメントの分野では実用化が進んでおり、仮想空間に構築されたゲーム世界で遊んだり、仮想空間上でコンサートを楽しんだりすることも可能です。
VR を楽しむには、VR 専用のゴーグルを装着します。そして、コントローラーなどを使って操作することで、身体の動きに合わせて仮想空間上のアバターを操作可能です。アバターとは、自分の分身の役割を果たすキャラクターになります。 VR 専用のゴーグルに映し出される空間は、まるでその世界が実在するかのような臨場感です。
AR との違いは?
VR と近い言葉に AR(拡張現実)があります。VR では CG(コンピューターグラフィックス)で構築された映像が仮想世界になるのに対して、ARは現実の世界に情報を追加して表示されるのが大きな違いです。AR 技術の例としては、スマートフォンのカメラを通して映し出された現実の部屋にインテリアの画像を重ね合わせて表示することで、実際の配置イメージを把握しやすくする方法があります。
ビデオ会議との違い
ビデオ会議とバーチャル会議の大きな違いは、参加者がどのように表示されるかです。ビデオ会議で表示されるのは現実の参加者の映像ですが、バーチャル会議では参加者が設定したアバターが表示され、アバターを通してコミュニケーションを行います。
バーチャル会議を開催するために必要なものは?
バーチャル会議を開催するには、どのような機材などをそろえればよいのでしょうか。基本的にはビデオ会議で必要なマイクやスピーカー、インターネット環境に加え、ハイスペックのパソコンなどが必要です。ここでは、バーチャル会議を開催するために必要な機材などをご紹介しましょう。
ハイスペックのパソコン
まずは、ハイスペックのパソコンが必要です。バーチャル会議では、360 度どこを見回しても仮想空間が表示されることに加え、ユーザーの動きや表情をリアルタイムで反映させる必要があります。そのため、高性能な CPU や大容量メモリ、高度なグラフィック処理が可能なグラフィックカードなどを備えたパソコンが必須です。こうしたハイスペックなパソコンは高価ですが、バーチャル会議で求められる性能を満たすには必要な条件と言えます。
会議用の VR ゴーグル
仮想空間を表示させるには VR ゴーグルを用意する必要があります。VR ゴーグルには大きく分けてスマートフォン用、ゲーム機用、パソコン用がありますが、バーチャル会議で使用するのはパソコン用の VR ゴーグルです。パソコン用の VR ゴーグルには HDMI 端子が備わっており、高解像度の映像にも対応できます。
バーチャル会議ツール
バーチャル会議に対応したツールやシステムの導入も必要です。バーチャル会議ツールには一般向けのものとビジネスに特化したものがあります。一般向けツールのほうが機能面はシンプルですが、活用できる機能は限定的です。一方、ビジネス向けツールは企業での使用を想定していますので、用途に応じてカスタマイズしやすい仕様になっています。
バーチャル会議を開催するメリット
バーチャル会議を開催することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここではバーチャル会議に特有のメリットについて解説しますので、導入を検討する際の参考にしてください。
ビデオ会議より臨場感がある
モニターを通してコミュニケーションをとるビデオ会議と比べて、仮想空間に構築された会議室に集合して実施するバーチャル会議には、現実の会議に近い臨場感があります。まるで実際に全員が集まっているかのような感覚は、バーチャル会議に特有のメリットと言えるでしょう。
移動コストや移動時間が必要ない
バーチャル会議は、ビデオ会議と同様に通信環境と必要な機材さえ整っていればどこからでも参加できます。会議室に集まる必要がなく、参加者は遠距離からでも参加できるため、移動コストや移動時間を削減可能です。
リモートワークに最適
バーチャル会議は、リモートワーク(テレワーク)の会議にも最適です。移動コストや移動時間の削減が求められていなくても、会議のためにわざわざ出勤するより、バーチャル会議で十分対応可能でしょう。
別人格になりきって発言できる
バーチャル会議のメリットとして、アバターでの参加があります。アバターであれば別人格になりきって発言できるため、普段は言いにくいことでも言えるようになる方もいます。また、バーチャル会議であればビデオ会議のように身だしなみを整える必要がないのもメリットと言えます。
イメージの共有がしやすい
バーチャル会議ではモノを仮想的に表示できることから、イメージの共有がしやすくなります。プロダクトの3D プロトタイプや CAD モデルなど、アバターが手に取って確認することも可能です。あらゆる角度からプロダクトを確認することで、画像だけを見て確認するよりもイメージの共有がしやすくなります。
プレゼン中に隣人と会話も可能
バーチャル会議では、ほかの参加者がプレゼンをしている最中に、バーチャル会議場での隣の参加者と直接会話ができます。プレゼン内容について意見を述べ合ったり、専門知識を持つ参加者に質問したりしながら、プレゼンへの理解を深められるでしょう。これはビデオ会議にはないメリットです。
バーチャル会議を開催するデメリット
バーチャル会議のメリットは多数ありますが、注意しておくべきデメリットもあります。これらのデメリットを理解したうえでバーチャル会議を導入することに問題はないかを確認し、検討材料にしてください。
導入コストが必要
バーチャル会議を開催するには、参加者各自がハイスペックパソコンや会議用の VR ゴーグルが必要になるため、導入コストがかかります。また、バーチャル会議ツールも導入しなければいけません。ビデオ会議で使用する機器と比べると、より高額な機器が必要になるため、検討が必要でしょう。
利用経験がないと慣れるまで時間がかかる
VR ゴーグルやハイスペックパソコンの扱いなど、バーチャル会議で使用する機器に慣れるまで時間がかかるケースもあります。参加者全員が機器の使い方を覚え、スムーズに会議が進められるようになるまでには、一定期間のレクチャーが必要になるケースもあるでしょう。
長時間 VR ゴーグルの装着が必要
バーチャル会議中は VR ゴーグルを装着していなければいけないため、慣れるまでにはストレスを感じるケースもあるでしょう。人によっては、VR ゴーグル装着中にめまいや吐き気、不快感といった「VR 酔い」と呼ばれる症状が現れることもあるため注意が必要です。
周囲の様子がわからなくなる
VR ゴーグル装着中は、視覚と聴覚が仮想世界に占有されるため、現実世界の周囲の様子がわからなくなります。そのため、身近な場所で何らかのトラブルが起きていても気づかないおそれがあるのです。例えば、子供が泣いていても気づかないケースが起こり得るため、長時間の会議には注意が必要です。
Slack でアジェンダや議事録を活用する方法
バーチャル会議をスムーズに進めるには、Slack を活用したコミュニケーションを併用するのがおすすめです。アジェンダや議事録を Slack で活用する方法を紹介します。
議事録やアジェンダを掲載する専用チャンネルを利用する
バーチャル会議の議事録やアジェンダを掲載する専用チャンネルを Slack 上に設けることで、事前・事後の情報共有をスムーズに進められます。例えば、会議開催前にアジェンダを専用チャンネルで共有し、会議終了後には議事録を共有するといった方法です。会議内容を後日に確認する際も、チャンネル内を検索することで目的の情報を素早く見つけられます。
議事録やアジェンダを canvas に集約し、社内のナレッジとして蓄積する
議事録やアジェンダは、Slack canvas に集約して管理することも可能です。文字情報だけでなく、画像や動画ファイルも canvas にできるため、社内のナレッジとして蓄積していくのに適しています。canvas はチャンネルで共有することもできるので、会議に参加しなかったメンバーや関係部署に情報を共有したい場合に最適です。
コストに注意してバーチャル会議を開催しよう
バーチャル会議は、現実の会議室に集まることなく臨場感のある会議が開催できるソリューションと言えます。しかし、ビデオ会議と比べると準備しなくてはならないことが多く、コストがかかる点には注意が必要です。たくさんのメリットを活かせるよう、事前準備を整えたうえでバーチャル会議を開催してください。
よくある質問
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