変革

ロバート キャンベル氏が語る、これからのコミュニケーション

~イノベーションが起きる組織に必要なこと~

Slack チーム一同作成2022年7月29日

Digital HQ(会社を動かすデジタル中枢)をテーマに Slack で実現する「新しい働き方」について考える年次カンファレンス「Slack Frontiers Japan」。2022 年 5 月 17 日(火)に開催された本カンファレンスのエグゼクティブセッションでは、日本文学研究者で東京大学名誉教授のロバート キャンベル氏が登壇。コロナ禍で浮き彫りになった、持続可能なものづくりとコミュニケーションのあり方についてお話しいただきました。

「一物多用」の文化に見る日本人の SDGs 精神

2030 年のあるべき未来を描いた SDGs。ゴール達成を目指し、世界中で数々のイノベーションが生まれる一方、生活者の視点にも変化が現れています。

「レジ袋の有料化や分別リサイクルの徹底化により資源循環への意識が高まり、モノを買う際にもサステナブルであるかどうかを重視するなど、消費行動にも変化が起きています。その背景には、社会との調和を重んじる日本人の絶妙なバランス感覚があると考えています」

善と悪、苦と楽を二項対立なものと捉える欧米人と異なり、日本人にとっては善も悪も苦も楽も、メビウスの輪のようにつながっているという概念。「そこに身を委ねつつ、悪いことを少しずついいものに転換していくことで公約数的な幸福感を保っているのが、日本社会の特長です。きわどいバランスの中で安定を追求するその精神は、昔ながらの玩具、やじろべえにも表現されています」とキャンベルさん。何ごとにも美しいバランスを求めるがゆえに、モノやサービスに対しても、持続可能性や社会貢献性といったスペック以外の価値を見出すのではないかと推論します。

「日本人の美意識は、日本の発明品である 4 色ボールペンにも表れています。色んな役割をひとつのモノに集約させる発想で、江戸時代にはこれを『一物多用』と呼んでいました。当時でいえば、枕でありながら香りを焚け、宝箱になれば踏み台にもなるという『香枕』などが有名ですね。また昔の日本人は、飢饉を乗り越えるために発酵食品や乾物などの保存食を発展させるなど、自然と共生しながら暮らしを持続していく知恵にも長けていました。このような文化に、古来脈々と続く SDGs の精神を感じずにはいられません」

“mateship” がもたらすレジリエントな社会

コロナや飢饉のような危機に社会が直面した時、そこに暮らす人々がどのように支え合い、生き残れるかは、普段からの生活とコミュニケーション様式に依存するとキャンベルさんは言います。

「江戸の生活文化はまさにその一例。同じことは、“mateship(マイトシップ)” を大切にするオーストラリアの人々にも当てはまります。これは、仲間意識とか助け合いという意味で使われる言葉です。同国が日本同様にコロナ死者数を低く抑えられたのも、この “mateship” の力によるところが大きいといえるかもしれません」

“mateship” の例として、キャンベルさんはアメリカで報道されたニュースを取り上げ、次のように説明しました。

「2022 年 5 月の報道では、コロナウイルスにより、アメリカでは 100 万人もの生命が失われた一方、オーストラリアでは約 7,500 人にとどまっています。人口当たりの死亡率でいえば、およそ 10 分の 1 という少なさです。その理由は、オーストラリアの人々が「マスクを着用する」「ワクチンを接種する」「外出をしない」といった、コミュニティにとっての正しい行動を迷わず選択できたからだといわれています。

「危機下にあっても、自分だけでなく周りの人たちのために行動し、みんなで共に乗り越えていこうという連帯意識。それはまさに “mateship” の考え方に他なりません。ここに、理想のコミュニケーションの形を見出すことができそうです」

会議や組織を変革する新しいコミュニケーション手法

コロナ禍は、コミュニケーションのあり方も大きく変えました。キャンベルさんにとっては、素晴らしい変化となったようです。

「私が所長を務めていた研究所では、日常的に会議が行われていました。会議室は一種のヒエラルキー空間であり、席順も所長を筆頭として役職順に並ぶため、現場をよく知る若い人たちは私から最も遠くに座っていました。それがリモート会議になったことで一変。Web 会議画面では、役職に関係なく全員に均等の距離とスペースが与えられ、誰かが発言すればその顔がクローズアップされる。これまで遠くにいた人たちとも直に会話することができるようになった結果、より現場の声を拾えるようになりました」

一人ひとりの声を取りこぼすことなく組み上げるために、リモート会議ではミュートを外して誰もが互いに声を掛け合える形にしたことで、目指すべき方向性や課題の共通認識が深まり、解決に向けてそれぞれの感性や技術を共有し合う提案型の運営体を構築できたと、キャンベルさんは語ります。

「場所や空間、立場に束縛されない新しいコミュニケーション方法は、ビジネスを円滑に進めていく上でも非常に有効です。コロナが落ち着いた後も、Web 会議やリモートワークは残り続けるでしょう。大学の授業を例にとると、対面 7 割、リモート 3 割のハイブリッドが理想とされています。組織によってその比率は異なりますが、こうした新しい枠組みの中でいかにフラットなコミュニケーションを育み、SDGs に貢献しながらイノベーションにつなげていけるかは、今後の大きな経営課題となるでしょう」

オフィス勤務とリモートを組み合わせたハイブリッドワークは、今後の働き方の主流になるといわれています。ハイブリッドに働く人々が集うのは、物理的なオフィスに留まりません。イノベーションへの第一歩は、コミュニケーションのあり方を変えていくことから始まるといえるでしょう。

 

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