自社ブランドで展開するクラウドサービスや、高度な技術をベースにしたインテグレーションサービスなどを提供。IT のトータルソリューションプロバイダーとして、企業のデジタル戦略を力強くサポートしている伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)。同社では、以前からビジネスチャットツールを業務に取り入れていましたが、既存のツールでのグループの乱立や、投稿の見落とし、検索機能の不足などに課題を抱えており、リモートワークの拡大に伴い、営業チームのコミュニケーションが希薄になってしまっていることに大きな危機感を感じていました。
そこで、営業チームのコミュニケーションをリモート上であっても活性化し、個人商店化しつつあった営業組織を再び 1 つのチームにまとめるため、2019 年から 導入していた Slack に情報を集約、全社での本格運用を開始しました。その結果、社内はもちろんお客さまとのコミュニケーションにも Slack を利用し、非同期でも手軽な会話ができる場として活用しています。
Slack の積極的な活用で営業のチーム力強化に成功しているその活用方法を、通信キャリアビジネス営業第 1 部 営業第 1 課 主任の坂口 勇磨さんに伺いました。
リモートワークで関係が希薄に。コミュニケーションを Slack に一元化
2022 年に創立 50 年を迎えた CTC。IT の発展と共に歩んできた同社は「明日を変える IT の可能性に挑み、夢のある豊かな社会の実現に貢献する」というミッションのもと、様々なプロジェクトに挑み、その多くを成功に導いています。
その中でも、営業チームはお客さまのビジネスと直面している課題を理解し、社内外のリソースとマッチングさせて、最適な組み合わせによる解決策を提案することで、CTC の培った技術力や知見を提供するための橋渡しとなる重要な役割を担っています。
しかし、近年、同社の営業チームは課題に直面していました。
1 つはリモートワークの普及によるコミュニケーションの変化です。「以前はオフィスで顔を合わせるのが当たり前の日常でしたが、状況が大きく変わったことで、各営業担当者のつながりは希薄になり個人商店化が進行。情報を共有して互いにサポートしたり、知見を共有し合ったりするのが難しい環境になりました。上司や先輩から部下、後輩へと自然に受け継がれていた営業スキルや IT 知識がうまく受け継がれず、タスクの整理や管理も煩雑になるなど、様々な課題が顕在化していました」と坂口さんは振り返ります。
また、働き方はオフィス中心からリモートワークに移行したものの、上長への申請や資料作成のやり方は以前のまま。事務処理のナレッジ化や簡素化が進んでおらず、SEのリソース不足や孤立化による IT リテラシーの低下など、営業部門内だけでも非効率なプロセスが数多く生じていました。
そこで、CTC での仕事の中心となるツールを Slack へと移行し、業務の自動化やコミュニケーションの仕組みを整えることで、事態は大きく好転しました。
営業とシステム部門がつながり、社内外のやりとりがスムーズに
Slack の本格導入後、営業チームでは、まず日常的に連携する業務の多い SE チームとのコミュニケーションを Slack の 1 つのチャンネルにまとめて、それまで個別に点在していた情報を 1 カ所に集めるようにしました。その上で、各案件の投稿方法にルールを設けて統一化し、スレッドやメンションの活用やリマインダーを使った通知で投稿が流れるのを防いだり、テキストだけのやりとりではなく、絵文字でのリアクションを効果的に使用し、コミュニケーションの活性化を図るようにしました。
これにより、チーム全体での情報共有や相互的なサポートを行い、ノウハウを蓄積して活用していける体制が整い、営業チームが強化。「現在では約 60 名の営業・SE 担当者が 1 つのチャンネルに所属し、よいサイクルのコミュニケーションが実現しています。そのことがお客さまへの対応のレスポンスや品質の向上につながっていると感じています」と、坂口さんは話します。
さらに同社では、お客さまとのコミュニケーションにも Slack を活用。社外のチームと安全にコミュニケーションを行える Slack コネクトを使って、お客さまごと、プロジェクトごとのチャンネルを立ち上げています。「以前は、お客さまを訪問した際に立ち話をしながら新サービスを手軽に紹介したり、メールでは得られない情報を共有いただいたりしていました。コロナ禍以降のリモート下でそうした直接的な会話の機会を持つことが難しくなっていましたが、Slack の DM やチャット感覚のやりとりによって、お客さまとの気軽な会話が復活しています」と坂口さんは続けます。
「リモート下で直接的な会話の機会を持つことが難しくなっていましたが、Slack の DM やチャット感覚のやりとりによって、お客さまとの気軽な会話が復活しています」
Slackによるワークフローの自動化で業務効率が向上
コミュニケーションの向上だけでなく、同社は Slack を使った業務改善も行っています。
「Slackbot を使って、新入社員や新しい営業アシスタント向けの『新入社員歓迎ボット』を作成。配属時には歓迎メッセージと併せて、PC のセットアップ方法、見てほしい営業マニュアル、参加して欲しいチャンネルなどが自動的に送信されます。Slack 内で新人が自ら学習できる環境を整えることで、入社直後の手持ち無沙汰をなくし、早期戦力化につなげています」と坂口さんは紹介します。
また、Slack ワークフロービルダーを活用して、営業事務の定型化も推進しました。社内ルールが反映されたワークフローを整備して申請時の行き違いや抜け漏れを削減したり、人によって伝え方が異なっていた営業アシスタントへの作業依頼を専用フォームに統一するなど、事務的な処理をわかりやすくすることで、手戻りやムダの少ない効率的な業務を実現しています。
各ワークフローは営業である坂口さんが自身で作成。「SE のような開発人材でなくても、業務効率化のプロセスを簡単に作成できることは、Slack ワークフロービルダーの大きな魅力です」と坂口さんは言います。
「SE のような開発人材でなくても、業務効率化のプロセスを簡単に作成できることは、Slack ワークフロービルダーの大きな魅力です」
コラボレーションを加速して新ビジネスの創出へ
Slack をプラットフォームとした業務改善により、CTC での Slack のアクティブユーザー数は右肩上がりに上昇。中でも営業チームのチャンネルでは、全社的にも上位のメッセージ数を誇る、活発なやりとりが行われています。Slack 移行以前での課題も大きく改善され、オープンなコミュニケーションで周囲との繋がりが深まったことで、1 番の懸念事項となっていた営業の個人商店化も大幅に解消されたと言います。
「Slack を使った取り組みを通じて各メンバーの業務効率化に対する意識が上がり、ミーティングで改善案を話し合う機会が増えるなど、副次効果も生まれています」(坂口さん)
今後も同社は Slack を積極的に活用して、コミュニケーションや働き方の改革を促進。Slack を業務の中心に据えるために親和性の高い Salesforce や Google Workspace などに既存システムをリプレースすることも検討しています。
「Slack とのシステム連携を高めることで、長時間労働をなくし、組織を超えたコラボレーションによる新ビジネスの創出などを実現していきたいと考えています」と坂口さん。多くの企業と Slack 活用に関する知見を共有しながら向上を図れることも Slack のメリットにあげながら、CTC の目指すコラボレーションのさらなる発展に向けた意気込みを語りました。
「Slack を使った取り組みを通じて各メンバーの業務効率化に対する意識が上がり、ミーティングなどで改善案を話し合う機会が増えるなど、副次効果も生まれています」