1878 年にワインと酢の工場として創業した Jägermeister は、世界で最も売れているプレミアムリキュールで知られています。昨年、世界中で 1 億本以上を売り上げた同社では、従業員を 500 人から約 1,000 人に倍増させました。
Jägermeister の秘伝のレシピは伝統的なものですが、同社のリーダーがイノベーションを重視していたおかげで、甘口の食後酒は誰もが知る商品となりました。その背景にはよりグローバル規模でのコラボレーションを実現するための、企業文化の変革とデジタル変革がありました。
「以前は、たくさんの部門がそれぞれ独自に動いていました。でも作業の重複を避けて、時短を実現するには、よりよいコミュニケーションが必要だと気づいたのです」と、Jägermeister で Corporate Communications Manager を務める Andrea Ostheer 氏は話します。
Jägermeister が目指したのは、よりスピーディで、オープンで、透明性の高い組織です。でもメールを中心としたやり取りでは、社内コミュニケーションはスムーズに進みません。そこで同社はよりよい働き方を求めて、安全なチャンネルベースのメッセージプラットフォームである Slack を導入。今ではメッセージやファイル、ツールを共有できる Slack チャンネルを活用してスピーディにやり取りし、企業文化やクリエイティビティを育んでいます。その中身を覗いてみましょう。
「社内のコラボレーションチームから Slack のことを聞いた時、メールでのコミュニケーションが時代遅れであることに初めて気がつきました。新しい世界がもたらす可能性にしっかり目を向けられていなかったのです」。
メールから Slack へ移行し、コミュニケーションが透明に
Jägermeister のマーケティングと企業広報チームが Slack を知ったのは、2018 年にテキサス州オースティンで開催された年次カンファレンス「South by Southwest」がきっかけでした。イベント期間中、Slack は同社のグローバルソーシャルイントラネット Jägernet やメールよりもすばやくわかりやすいコミュニケーションができる方法だと気づいたのです。
突き詰めると、Jägermeister のチームがスムーズにコラボレーションするには、イントラネットの「いいねとコメント」以上の機能が必要でした。イベント後、同社はさっそく Slack を全社で導入。Alexander Turk 氏が管轄する Jägermeister Deutschland GmbH の Operations and IT team ではすでに部門全体で Slack を使っていたため、国内外の残りの部門への導入をサポートしました。
「Slack を使い始めた日を境に、『CC に入れ忘れる』という状況が過去のものとなりました」と、Ostheer 氏は続けます。「さらに新入社員が入った時も、前よりも早く業務に慣れてもらえるようになったのです」。
Slack を使えば、各部門が閉じた空間のなかでやり取りすることがなくなります。代わりに、全社でナレッジや経験をすばやく共有し合えるようになりました。
「社内のコラボレーションチームから Slack のことを聞いた時、メールでのコミュニケーションが時代遅れであることに初めて気がつきました。新しい世界がもたらす可能性にしっかり目を向けられていなかったのです」と、Jägermeisterの取締役会のメンバーである Christopher Ratsch 氏は話します。
組織全体に Slack を展開してまもないある日、システム障害が発生し、社内のメールシステムが使えないことがありました。でもすでに仕事を Slack に移行していたチームは、モバイルや個人用のデバイスで業務を続けることができたのです。
Ostheer 氏も Ratsch 氏も口を揃えて、コラボレーションを成功させるためにはオープンなチャンネルでの透明性の高いコミュニケーションが何よりも肝心だと言います。実際、同社では次のようなチャンネルがよく使われています。
#status
: 毎朝 9 時半前に、チームメンバー全員が業務の進捗を簡単に報告するチャンネル。#int-all-coldbrew
: 新商品導入について戦略を策定し共有するチャンネル。このチャンネルによって、メール時代には遅く静的だったプロセスが、Slack 上ですばやく動的なプロセスに変わりました。今ではさまざまな関係者がチャンネルに集まり、あっという間に協力して商品発売を進められます。
Slack でグローバル展開もスムーズに
Jägermeister が新しい市場に進出する際は、国外の販売パートナーと提携しています。例えばイタリアでの販売パートナーはリキュール会社の Campari です。さらに、ドイツ、米国、英国、チェコ共和国、スロバキアには子会社を設立しています。
Slack の導入で、国内外のチームは閉じた空間でやり取りすることがなくなりました。部門や国の境目を越えて、ナレッジや経験を共有できるようになったのです。
また、Slack は企業文化の変革にも役立っています。Jägermeister は世界ナンバーワンの若者向けプレミアムスピリッツブランドになることを目指しています。その目標を達成するため、同社では Slack を活用して次のような価値観を共有し、しっかり根づかせていったのです。
- 顧客を中心に考える
- 卓越した品質のリキュールを作る
- イノベーションを続ける
「在宅勤務は問題なくできています。でも 3 年前なら不可能でした。当時はノートパソコンも Slack もなかったので、全員がオフィスに出社する必要があったんです」。
コロナ禍でもリモートチームのメンバーがしっかりつながる
パンデミックが始まって以来、チームがスムーズに仕事を進めていく方法に注目が集まっています。現在 Jägermeister の従業員はリモート体制で業務を進めていますが、#best_of_homeoffice
でお互いの様子を確認しています。メンバーが自宅のオフィスから普段の様子をビデオで共有することもあります。
「在宅勤務は問題なくできています」と Ostheer 氏は語ります。「でも 3 年前なら不可能でした。当時はノートパソコンも Slack もなかったので、全員がオフィスに出社する必要があったんです。もしあの時と同じ状況を今も続けていたら、今どうなっていたか誰でも想像がつくでしょう」。
チャンネルベースのコミュニケーションは、Jägermeister の仕事に革命とも言える変化をもたらしました。今後も同社ではイノベーションを進めながら、由緒ある伝統を守っていく予定です。