給湯室での笑い声。人気のドラマをめぐるおしゃべり。パンデミック前のオフィスを懐かしく感じる人も多いでしょう。新型コロナウイルス感染症のおかげで、それもすっかり過去の話になってしまいました。Gartner の最近の調査によると、2021 年には世界の労働者の 32% がリモートで働いていましたが、今後この数字は、さらに増加すると考えられています。人々がもっと柔軟に働きたいと考え、企業も競争に勝ち残っていこうとするためです。
デジタル変革(DX)の気運が高まっているのは間違いありません。McKinsey Global Survey によると、顧客とのやりとりや社内業務のデジタル化は 3~4 年も早められたことがわかりました。さらに、デジタル製品またはデジタル技術を活用した製品の展開については、なんと 7 年も早められています。DX を成し遂げた企業も、増え続けています。市場と消費者に関するデータ調査企業 Statista の調査では、2023 年までに、世界の GDP の半分以上を DX を遂げた企業が占めると予測しています。
それでもデジタルファーストな文化を作ることは容易ではなく、ビジネスのあらゆる側面を考慮しなければ成功は望めません。DX の初期段階にある企業なら、「デジタルファースト」が実際に何を意味するのか、自社にどんなメリットがあるのかと疑問に思っているかもしれません。そこで、今回は、デジタルファーストの企業とはどのようなものか、あらゆる活動にデジタルファーストを応用するためには何から始めたらよいかをご紹介します。
デジタルファーストな文化とは?
デジタルファーストな文化を作ることは、最新のテクノロジーを取り入れることだけにとどまりません。デジタルファーストとは、アジャイルな組織を作り出すことを意味します。そうした組織では、テクノロジーと企業文化が結びつき、プロセスの改善や効率の最大化、比類のない顧客体験を実現できます。
そのためにリーダーがまず重視すべきは、デジタルファーストな考え方の醸成です。そうすれば、従業員 1 人ひとりがデジタルに親しみ、スムーズに新しいテクノロジーに適応できるようになります。Gartner の別の 2021 年の調査では、研修やサポートが十分でないために、従業員の 60% が新しいソフトウェアに不満を感じていることが明らかになっています。つまり、デジタルファーストな文化は働く人の積極的な関与から始まるのです。
デジタルファーストな文化がもたらすメリットとは?
テクノロジーにより、あらゆる業界の企業が成長とイノベーションをかつてない速度で実現しています。デジタルファーストは、もはや先んずることではなく、むしろ遅れを取らないことを意味するのです。
とはいえデジタルファーストな文化があれば、自社の将来性が高まり、業界の新しい基準を決めるリーダーとして台頭できるかもしれません。少なくとも、市場や社会経済的状況に対する機動力と適応力を高めることは期待できます。
ここからは、デジタルファーストな職場に投資するメリットを、もう少し具体的に見ていきましょう。
チームのサイロ化がなくなり、透明性が向上
デジタルファーストなアプローチを採用し、適切なツールを便利に使えるようになれば、部門を越えた非同期型のコラボレーションが可能になり、単発的な対面のコラボレーションで起こりがちな遅延や誤解がなくなります。
チーム内のコラボレーションにデジタルファーストを応用すると、全員が同じプロセスに沿って企業情報に等しくアクセスできるようになります。また、デジタルファーストは透明性を高め、情報を利用しやすくします。
機動力と適応力が向上
テクノロジーを活用すれば、機動力を高められます。変化する消費者のニーズや市場の需要にもうまく対応でき、ビジネスへの悪影響を極力抑えられるでしょう。これは有形・無形のどちらの製品やサービスにも有効です。
例えば、メイクアップという極めてフィジカルなものまでデジタル化できるとすれば、ビジネスがどれほど広がるか想像してみてください。例として、化粧品をバーチャルで試せるツールである GLAMlab を見てみましょう。Ulta Beauty のサイトでは、コロナ禍前もこのアプリを利用できましたが、コロナ禍後の利用は 7 倍に増えました。ユーザーがアプリで試した色見本は、実に 5,000 万通り以上でした。
収集データが増加
経営にデジタルのやり取りやプロセスを取り入れると、必然的にデジタル上に足跡が増えます。それを活用しない手はありません!経営上の非効率の分析、パターンの特定、全社的な業績の改善などに役立てましょう。これらは特に、強固なオムニチャネル戦略の策定に有効です。顧客とのやり取りや好みに関するデータは、さまざまな販売経路をまたぐシームレスな顧客体験の創出に役立つでしょう。
デジタルファーストな文化を作る 4 つの方法
1. 人に注目
テクノロジーは、使い方を知らなければ用をなしません。しかし、変化に対して抵抗感を持つ人も少なくないもの。適切なサポートなしで新しいテクノロジーを導入しても、望む結果は得られません。また、テクノロジーや自動化によって職を失うのではないかと恐れる従業員がいる可能性もあります。デジタルファーストな文化を確立するには、この問題にできるかぎり早く対応する必要があります。
充実した研修と透明性のあるコミュニケーションによって、この懸念を払拭しましょう。まずは、チームのスキルレベルを評価し、ソフトウェアの活用法について業務に応じた研修を実施しましょう。例えば、ソフトウェア開発者なら Slack を使ってコードのリリースや問題の監視を行う、法務チームなら特許アイデアのソーシングや社外顧問との協力に Slack を活用するという具合です。最大限活用するうえで、両チームが使うアプリやインテグレーション、機能は違ってくるでしょう。次に、従業員からのフィードバックを募集します。そして、デジタル化によって、従業員が企業にもたらす価値が低下することはなく、むしろ高まることを十分に説明します。
2. 上層部から始める
企業文化の確立を考えるとき、鍵となるのは上級管理職です。企業のバリューがウェブサイトに掲載されたり、オフィスの壁に掲げられたりしていても、マネージャーや経営幹部がバリューを体現しなければ、従業員にそれを期待できません。
デジタルファーストな文化を確立しようとするなら、リーダーがあらゆる場面でそのアプローチを提唱しなければならないのです。自ら手本となりましょう。従業員にはタスクの管理と共有に Asana を使うように言いながら、上司は相変わらず従来のスプレッドシートに頼り切っている光景を想像すると、わかりますよね。
3. テクノロジーを受け入れる
今日の職場では、デジタル化が進まない事業部門がその企業の弱みになってしまいます。1 つの部門だけを強化して残りが従来どおりのままだと、DX がビジネスのあらゆる側面にもたらすはずの有効性を十分に得ることができません。
デジタル化が進めば、データを紛失したり、重要な情報を見逃したりするリスクが最小限に抑えられます。だからこそ、さまざまなツールを可能な限り連携させることが非常に重要なのです。その結果、さまざまな部門が効果的に機能するようになっていきます。
例えば、営業とマーケティングで別々のプラットフォームを使うのではなく、両者を管理できる、あるいは連携してシームレスなデータフローを確保できる、1 つのプラットフォームを選択しましょう。Hub Spot はその優れた例です。このプラットフォームは営業とマーケティングの機能が連携されており、双方のチームがリアルタイムでデータを共有することができます。別々のツールを使っている場合には、Zapier を使って両者を連携することもできます。
4. 共有ビジョンを伝える
マネージャーも、経営幹部も、従業員も、すべて共通の目標、すなわちビジネスの成功をめざして働いています。ところが、McKinsey によると、改革プログラムの 70% 近くが、従業員の抵抗と管理職の支援不足により、頓挫してしまっているのです。実現したい改革に従業員も巻き込むことで、これを回避できます。その証拠は数字にも表れています。同じ McKinsey の調査で、従業員が改革について発言権があると感じる場合には、改革プログラムの存続の可能性が 30% 上昇することが明らかになっています。
従業員の職務内容を明文化する際は、期待されるテクノロジーツールやスキル、仕事のスタイルも含めるようにしましょう。これは現在の従業員に対してだけでなく、新規採用の際にも行います。期待される内容が明確で透明性が確保されていることは、組織が共有するデジタルファーストな考え方の醸成にも役立ちます。
始める準備はできましたか?
すでに業務やコミュニケーションのほとんどはオンラインで行われているなか、デジタルファーストな文化は、ビジネスの最前線に残ろうとする企業には必須と言えます。それにはビジネスのやり方を根本的に変える必要があるのは確かですが、真に変革的な結果を得られることでしょう。
デジタルファーストな文化の確立に Slack がどう役立つか確認するために、Slack を無料で試してみてください。または、Slack の営業担当者にご相談ください。