このカスタマーストーリーでは、新型コロナウイルス感染症への対策として組織がどのようにリモートワークをサポートしているかについてご紹介。皆さまの組織のリモート化が少しでもスムーズに進むよう、すぐにできるコツやヒントをシリーズでお届けします。
新しいスキルを身につけるには、「すでにやっている」人たちに学ぶのが一番です。 最近、Slack の社員を含めた多くの人が初めての在宅勤務を突然始めることになりましたが、それも経験者に学ばない手はありません。
そこで私たちは、皆さんが在宅勤務にうまく適応できるように、完全リモートワーク制を導入したり以前からリモートワークを推進したりしている Automattic、Zapier、Glitch の 3 社にある質問を投げかけてみました。それは「毎日の厄介な問題にチームがどう対処しているのか?」というものです。その答えを 1 社ずつご紹介していきましょう。
毎日のルーティンを重視する Automattic
Automattic は、世界で最も使われているコンテンツ管理システムの 1 つ、WordPress を提供している企業です。同社では、約 1,800 人のスタッフが世界各地からリモートで働いています。設立以来約 15 年間常にリモートワークを推進してきた Automattic ですが、オフィス使用率が下がったことから 2017 年にはサンフランシスコの本社オフィスを閉鎖するという大きな決断を下しました。
リモートワークを始める時にぶつかる課題としてよくあるのは、同僚とのつながりを保つことです。チームから離れた環境でも、チームの一員であるという意識を失わずに仕事をしっかり進めていくにはどうすればよいのでしょうか?
Automattic で Executive Director of the WordPress project を務める Josepha Haden 氏によると、強いリモートワーク文化を築くには、全員に毎日のルーティンや習慣をちゃんと行うよう意識させることが大切だと言います。彼女の 1 日はチームへの挨拶から始まり、「おつかれさま」と声をかけることで終わります。そしてチーム全員に対して同じことをするよう奨励しています。
「ルーティンを持つことは大切です。それがあるからこそ、いつもと違うことや異常事態が起きた時に気付くことができるのです」
Haden 氏はまた、朝食を摂る、仕事のために着替えるなど個人的な朝のルーティンも重視しています。たとえオフィスがベッドから 10 歩の場所にあろうと、朝のスタートの切り方によって、1 日の過ごし方が決まると言います。Automattic では、どのチームも Slack のアプリ Geekbot を使ったスタンドアップ・ミーティングで 1 日を始めます。各チームメンバーが朝一番に 1 日の予定を共有することで、全員がそれぞれの優先タスクを把握できるほか、マネージャーがチームの進捗を確認することもできるようになります。
Zapier でリモート管理がうまくいく理由
マネージャーからよく聞こえてくるのは、目の前にいない(そしていくつもの大陸に分散している)チームの監督が大変だという声です。
Zapier もリモートワーク経験が豊富な企業です。8 年前に設立され、現在は約 300 人のメンバーを抱える自動化ソフトウェア企業の同社では、オフィスを借りたことは一度もありません。そんな同社では、マネージャーはどのようにして全員に目を配っているのでしょうか?
「当社のナレッジワークには『排気口』があり、そこを見るとマネージャーはメンバーの仕事を邪魔することなく監督できるのです」
Zapier の CEO である Wade Foster 氏によれば、マネージャーは細部に至るまでしっかりと注意を払う必要があるものの、それは難しいことではないそうです。マネージャーの仕事は、Foster 氏が言う「排気口」の確認、つまり全員が 1 日を通して使うアプリから送信された細かい更新や通知の確認から始まります。
- ソフトウェアエンジニアであれば、エンジニアがコードを作って送信した時のアラート
- マーケティングコンテンツ担当者であれば、Google ドキュメント上に加えられたコメントや編集
- 営業であれば、発注や売上発生
- カスタマーサポートチームであれば、カスタマーチケットの確認
Zapier はこういった「排気口」の大半を Slack と連携させています(方法についてはマシン生成チャンネルに関する以前の記事でほぼ同じ内容をまとめています)。マネージャーは Slack で全体を把握し、チームの進捗を確認しています。
リモート管理においてもう 1 つ重要なのが、メンバーとこまめにコミュニケーションしながら期待値を設定することです。Foster 氏によると、たいていのマネージャーが毎週月曜日にチームメンバーと顔を合わせて 1 週間の計画を立てた後、金曜日には進捗状況をレビューしているそうです。新人に対しては、慣れるまでマネージャーが毎日顔合わせをするようにしています。
Foster 氏のチームは、ほかにも次のような基本方針にのっとり、全員の足並みを揃えています。
- マネージャーとメンバーが1 対 1 で週に 1 度、ビデオ会議をする
- Slack のパブリックチャンネルをデフォルト設定にする。これによって質問を全員で共有して、答えが見つかるようサポートし合い、ほかの人からも学ぶことができる
Glitch に根付いたリモート前提の会議
Glitch は、大規模なコミュニティで共有されるウェブアプリ作成用のプラットフォームです。これを支えているのはさまざまな場所から働く 50 人のチームで、この分散型の働き方が事業を進める中心になっています。
メンバーの半数がリモートで働いている同社では、より大きなリモートワークコミュニティのための社員向けハンドブックを制作して、オンラインで共有しています。そこでは、同僚との付き合い方、就労時間に関して求めること、ワークスペースの推奨事項などのヒントを細かく知ることができます。
「リモートで働いていることを伝える唯一の方法は、Slack でそう伝えることです。そうでなければ、社員が席を離れていることも、別の地域にいることもわかりません 」
Glitch が全社で実施している革新的な取り組みの 1 つに、リモートファーストミーティングがあります。これは、会議をする際に本社社員の働き方を前提としないよう細心の注意を払うというものです。
すべてのミーティングは Zoom で行われます。これはニューヨーク本社のメンバーによる会議でも同じです。ただしほかの企業とは違い、Glitch のメンバーは会議室ではなく自分のオフィスかプライベートブースから会議に参加することになっています。こうすることで、参加者全員の体験が同じものになるからです。
Glitch はアプリの構築とホスティングを手掛けるサービスであるという特性上、メンバーも自分たちのプラットフォーム上でいくつものアプリを実行しています。そこで、彼らはリモート用リソースページにお気に入りのリストを公開しています。そのなかには次のようなものがあります。
- Remote Hands : シンプルなボタンで出席者全員に言葉以外での反応やメッセージを伝えることができます。例えば、質問がある時に挙手したり、進行を遮らずに話し手に同意したりすることが可能です。
- Meeting Roles : 書記役やタイムキーパー役などをランダムに割り振ることができます。シンプルな番号生成機を使って参加者全員に対する公平さを保つだけでなく、この手のタスクを年長者が若手に割り振るようなオフィスの慣習を止めるのにも役立ちます。
今回ご紹介した 3 社が口をそろえるのは、常にコミュニケーションをとれるようにしておくことで、メンバーがどんなに離れていても一緒に働くことができるということ。そしてそのために Slack がとても役に立っているとも言います。
もしチームメンバーが突然リモートワークを希望しても思い悩む必要はありません。さまざまなテーマにおける最近の事例をいくつも用意しました。