1 on 1 ミーティングとは?目的やメリットを解説
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1 on 1 ミーティングとは?目的やメリットを解説

注目されている.1 on 1 ミーティングには、どのような効果やメリット・デメリットがあるのでしょうか。円滑に実施する方法や成功させるポイントを紹介します。

Slack チーム一同作成2023年12月21日

組織におけるコミュニケーションのあり方として「1 on 1」が注目されています。上司が部下に対して実施する「面談」とどう違うのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

今回は、1 on 1 の効果やメリット・デメリット、円滑に実施する方法についてわかりやすく解説します。1 on 1 ミーティングを成功させるポイントや、アジェンダに盛り込んでおきたい内容と併せて見ていきましょう。

1 on 1 ミーティングとは 1対1 で交わす対話

1 on 1 ミーティングとは、上司と部下が 1対1 で交わす対話を指します。アメリカのシリコンバレーで取り入れられているコミュニケーション方法で、近年では日本の企業においても導入するケースが見られるようになりました。
1 on 1 ミーティングの大きな特徴として、現状を部下自身に考えてもらい、解決策を自分で見つけてもらう点が挙げられます。1 on 1 ミーティングは、上司が部下を「指導」するための場ではありません。
ここでは、1 on 1 とは何か、面談との違いや具体的な効果を紹介します。

1 on 1 ミーティングの必要性

1 on 1 ミーティングが必要とされている背景には、VUCA 時代の到来と人材確保の必要性があります。VUCA は変動性・不確実性・複雑性・曖昧性といった、予測困難な現代社会を象徴する言葉です。正解が見えない時代においては、上司が部下に「何が正しいのか」を教えることはできません。ですから、上司から部下への一方的な指導ではなく、双方向のコミュニケーションを通して信頼関係を構築していく必要があるのです。

また、労働人口の減少に伴い、優秀な人材の確保が困難になっています。社員が各自の長所や得意分野を伸ばし、力を発揮できる環境を整えていかなくてはなりません。部下の価値観を尊重し、丁寧にコミュニケーションを図る重要性が増していることから、1 on 1 ミーティングが注目されているのです。

1 on 1 ミーティングと面談の違いは?

上司と部下が 1 対 1 で実施する「面談」と 1 on 1 には大きな違いがあります。面談は、上司が部下を指導したり、評価を伝えたりすることを目的に実施するのが一般的です。そのため、年に 1 回〜数回といった頻度で実施されるケースが少なくありません。

一方、1 on 1 ミーティングは部下との関係性の構築や、部下自身の成長を促すために実施されます。1 on 1ミーティングで取り上げるのは業務関連の話題とは限りません。部下が最近関心を持っていることやプライベートの出来事も含めて、部下自身のことを話してもらうことが大きな目的です。部下の状況は常に変化しているため、1 on 1 ミーティングは月1回や週1回など定期的に実施する必要があります。

1 on 1 ミーティングの効果

1 on 1 ミーティングを実施する主な効果は次のとおりです。

こうした効果を、通常の面談で得るのは容易ではありません。丁寧にコミュニケーションを図る1 on 1 ミーティングだからこそ、得られる効果と言えるでしょう。

1 on 1 ミーティングに必要な要素

1 on 1 ミーティングを従来型の面談のような「指導」「伝達」の場にしないために、次の 4 つの要素を満たす必要があります。

以上のような1 on 1 ミーティングの目的を踏まえ、上記の 4 要素を意識していくことが大切です。

1 on 1 ミーティングのメリット

1 on 1 ミーティングを取り入れることで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットは次の 4 点です。

部下の主体性を引き出し、成長を促せる

部下の主体性を引き出し、成長を促せることが 1 on 1 ミーティングのメリットのひとつです。1 on 1 ミーティングでは、部下に自身の状況や課題について考えてもらい、解決策を導き出してもらうため、自力で振り返りを行い、課題解決に向けた方策を考えられるようになるには最適なトレーニング方法と言えます。

部下との信頼関係を構築できる

1 on 1 ミーティングを行うことで上司と部下がお互いに対する理解を深め、信頼関係を構築しやすくなります。部下にとっても上司の考え方や人柄にふれられる機会となるため、双方の理解を深めるメリットとなるでしょう。

離職率が低下する

1 on 1 ミーティングを継続的に実施していけば、組織や上司に対するエンゲージメントの向上を図れるメリットがあります。組織への帰属意識が高まり、離職率の低下を実現しやすくなるでしょう。

業務や組織の改善ができる

1 on 1 ミーティングで部下の状況をきめ細かく把握できれば、部下の性格や健康状態、生活状況などを含めて理解できるメリットがあります。部下を把握できれば、適性に合わせた業務分担がしやすくなるでしょう。

部下のモチベーションが上がる

1 on 1 ミーティングで、上司に気にかけてもらえる・意見や考えをしっかり聞いてもらえると実感すれば、部下のモチベーションが向上するメリットがあります。結果として業務のパフォーマンスも改善され、より高い成果を得られる可能性が高まるのです。

1 on 1 ミーティングのデメリット

1 on 1 ミーティングには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。次のデメリットを理解し、1 on 1 ミーティングを導入すべきかどうかの検討をしましょう。

部下の人数が多いと時間がかかる

1 on 1 ミーティングでは部下 1 人と対話する必要があるため、相応の時間を要します。特に部下の人数が多い場合には、時間を確保する工夫が求められるでしょう。

上司に本音を言いにくいケースもある

1 on 1 ミーティングは気軽に会話できる場です。しかし、部下にとっては上司に対して本音で話しにくいことも想定されます。お互いの理解が深まり、信頼関係が構築されるまでには時間がかかる場合もあるのです。

有益でない1 on 1 ミーティングは部下が業務時間を削られていると感じる

部下にとって 1 on 1 ミーティングが有益な時間と感じられない場合、形式的な面談のために業務時間を削られているように受け取られかねません。1 on 1 を実施する以上、部下にとって有益な時間となるよう配慮する必要があります。

1 on 1 ミーティングを円滑に実施する方法

1 on 1 ミーティングを円滑に取り入れ、効果を高めるには何をしていく必要があるのでしょうか。1 on 1 ミーティングを実施する際に、取り組んでおきたい事項について解説します。

事前に目的を周知する

1 on 1 ミーティングが部下の成長や働きやすさをサポートするための時間であることを伝え、実施する目的を知ってもらう必要があります。部下にとっても時間を取られることになるため、「忙しいので参加できない」といった声が上がらないよう、優先事項について意思統一を図っておくことが大切です。

期待事項を設定しアジェンダなど事前準備を行う

1 on 1 ミーティングを通して実現したいことを明確にし、期待事項に沿ったアジェンダを作成しましょう。何も準備しないまま 1 on 1 ミーティングに臨むと、雑談に終始することになりかねないため注意が必要です。

スケジュールを調整し柔軟に開催する

1 on 1 ミーティングは定期的に開催する必要があるものの、部下の都合やリソース状況も考慮することが大切です。スケジュールをいくつか選べるようにするなど、柔軟に調整しやすくするとよいでしょう。

定期的にミーティングを行う

1 回限りの 1 on 1 ミーティングにならないよう、定期的に開催して継続していく必要があります。あらかじめ開催頻度を決めておき、1 on 1 ミーティングを織り込んだ業務スケジュールを立てましょう。

部下に 1 on 1 ミーティングをリードさせる

1 on 1 ミーティングは上司が一方的に話すための場ではありません。部下が主体となって進められるよう、話しやすいテーマや質問を用意するとともに、上司は聞き役に徹することが大切です。

スケジュールを決めるのは誰なのかを明確にする

1 on 1 ミーティングの日程を決めるのは上司・部下のどちらなのかを明確にしておきましょう。開催頻度のみ決めておき、部下に都合のよい日程を選択するよう依頼するのもひとつの方法です。

ミーティングの時間を守る

1 on 1 ミーティングの時間が決まったら、上司は必ずその約束を守りましょう。別の予定が入った場合には丁寧に説明し、代替日程を用意することが大切です。自身が軽視されているかのような印象を部下が受けることがないように、配慮する必要があります。

欠席しない

上司・部下ともに、1 on 1 ミーティングを無断で欠席しないよう習慣づけてください。1 on 1 ミーティングが重要な活動であるという認識を共有し、キャンセルしてもいいという考えを根づかせないことが重要です。

1 on 1ミーティングを成功させるには?

有意義な 1 on 1 ミーティングとして成功させるには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。特に上司側が意識しておくべきポイントを確認しましょう。

上司のコミュニケーションスキルを高める

1 on 1 ミーティングの効果は、上司のコミュニケーションスキルによって大きく左右されます。部下が話しやすい問いかけ方や共感を軸としたやり取り、傾聴するコミュニケーションを身につけていきましょう。

相手の話に真剣に耳を傾けフォローアップする

部下の話を真剣に聞き、安易に否定したり上司の持論を押し付けたりしないことが重要です。1 on 1 ミーティングでは部下を指導するのではなく、問いかけを通して部下の気づきを促し、フォローアップしていく必要があります。

成長を促進する働きかけを行う

部下に共感を示すことは重要ですが、共感だけでは有意義な 1 on 1 ミーティングにはなりません。部下の成長を促すコーチングやティーチング、フィードバックの共有といった働きかけを行い、部下にとって気づきを得られるミーティングにしていきましょう。

1 on 1 ミーティングの導入そのものが目的にならないようにする

部下の成長を促し、パフォーマンスを向上させる効果を得ることが 1 on 1 ミーティングを導入目的であることを意識して開催しましょう。新たな試みとして 1 on 1 ミーティングを取り入れること自体が目的化しないように注意が必要です。

プライベートの話題でアイスブレイクする

1 on 1 ミーティングはプライベートの話題など日常会話から始め、アイスブレイクすることが大切です。部下の緊張をほぐすことで、話しやすい環境・雰囲気を作ることは、上司にとって重要な役割と言えます。

テーマを部下に決めさせる

1 on 1 ミーティングのテーマは、必ずしも上司が決める必要はありません。部下の興味や関心に応じてテーマを設定してもらったり、取り上げたいテーマを募集して決めたりしてもよいでしょう。

建設的な会話をして解決案を考えさせる

1 on 1 ミーティングでは、部下が担当業務や職場の人間関係などについて不満を漏らすこともあります。上司は部下の言葉に耳を傾けて理解を示しつつ、同時にどうすれば解決できるのかを部下自身に考えてもらいましょう。

不安を打ち明けられる雰囲気を作る

部下が抱えている課題は、必ずしも今すぐに解決できるものばかりとは限りません。1 on 1 ミーティングの内容が評価に影響しないことを周知し、部下が不安に思っていることや悩んでいることを安心して打ち明けられる雰囲気を作りましょう。

会話はメモに残して内容の振り返りに利用する

1 on 1 ミーティングで交わした会話はメモに残しておき、定期的に振り返りを行いましょう。部下が抱えていた課題が解決されたのか、良い方向に向かっているのかを、上司が気にかけていると伝わることが重要です。

キャリアサポートをする

部下が自身の強みを発揮し、有意義なキャリアを築いていけるようサポートしましょう。部下の自発的な成長を促すには、問いかけを通して部下自身に必要なアクションを考えてもらうことが大切です。

アジェンダに取り入れたい内容

1 on 1 ミーティングで取り上げることのできるテーマは多岐にわたります。次のようなテーマをアジェンダの項目として挙げておくとよいでしょう。

テーマ例 概要
緊急度は低いが業務で困っていること 急ぎではないものの、日頃の業務で困っていることや悩んでいること
仕事を通して気づいたこと 仕事から新たに得た気づきや自身の成長を感じた瞬間など
良かったこと、悔しかったこと 想定どおりの結果が得られた、思うように仕事が進まなかったなど
現在取り組んでいるテーマや課題点 伸ばしたいスキルや改善したいと考えている点など
実現したい仕事 現在の担当業務を通して目指していることや、今後取り組みたいこと
部下自身の強みと弱み 自身の強みや弱みをどのように自己分析しているか
どの仕事内容にやりがいを感じているか やりがいを感じている業務はどれか
部下の将来について 今後のキャリアビジョンや、目標にしていること
健康状態について 現在の健康状態はどうか、心身の不調を感じていないか

Slackを 1 on 1 ミーティングに活用する方法

1 on 1 ミーティングの効果を高めるには、ビジネスチャットとしても人気の「Slack」を活用できます。具体的な活用例と得られる効果を見ていきましょう。

1 on 1 ミーティングのアジェンダを掲載する専用チャンネルを作る

1 on 1 ミーティングのアジェンダを事前に共有しておくことで、部下は話す内容をあらかじめ考えておくことができます。Slack に 1 on 1 ミーティング用のチャンネルを設け、アジェンダを掲載していくことにより、部署やチーム内でアジェンダを手軽に共有することが可能です。以前取り上げたテーマを探したい時には文書内を含めて検索できるため、必要な情報を素早く見つけられるでしょう。

ダイレクトメッセージ(DM)をフィードバックやサポートに使う

Slack には 1 対 1 でやり取りができる「ダイレクトメッセージ(DM)」があります。ダイレクトメッセージは、1 on 1 ミーティングでの対話を通じて必要になる、フィードバックやサポートを適宜行うのに最適なツールです。

1 on 1 ミーティングを部署やチームの活性化にもつなげよう

1 on 1 ミーティングは部下の成長や気づきを促すための場です。効果的に 1 on 1 ミーティングを実施していくことで部下の成長やモチベーション向上につながるだけでなく、部署やチームの活性化にもつながるでしょう。今回紹介したポイントや注意点を参考に、ぜひ有意義な 1 on 1 ミーティングを実践してください。

よくある質問

1 on 1 ミーティングを導入することで、「部下の成長や主体性を促せる」ことに加え「部下に自身の状況や課題について考えてもらい解決策を導き出してもらう」「上司と部下がお互いに対する理解を深められる」といったメリットがあります。また、部下のモチベーションが上がることで、離職率を下げることもできるでしょう。
1 on 1 ミーティングを円滑に実施するためには、事前に目的を周知したり、期待事項を設定しアジェンダなど事前準備をしたりすることが必要です。また、スケジュールの調整や、定期的なミーティングにきちんと出席させることも、 1 on 1 ミーティングの円滑な実施につながります。ほかにも、話しやすいテーマや質問を用意し、上司は聞き役に徹することで、円滑に進める方法もあります。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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