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ルールで縛らず、全員が自由にSlackを「使い込む」。クックパッドが実現する、オープンな情報共有文化

「今はもう当たり前のように、全社でSlackを使っています。エンジニアでもそうではなくても、全員が、Slack 上で仕事をしている状態になっていますね」

cookpadインフラストラクチャー部 部長 コーポレートエンジニアリング部星 北斗 氏

月間約5,500万人が利用する、料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」。

日本国内のみならず、海外にもその事業を拡大するクックパッド株式会社では、社内に Slack を中心とした業務システムを構築しています。

現在、そのウィークリーアクティブユーザー数は700強。エンジニアのみならず、会社全体で「当たり前のように」Slack を活用中です。

そしてまた、コミュニケーションの6割以上がパブリックチャンネルで行われるなど、「オープンな」情報共有の文化が根付いていることも特徴です。

このような文化は「自然発生的に」できあがった部分が大きいといいますが、一方では、「オープンな場所に誰でもどんどん投稿して良い」という雰囲気を作るための運用の工夫も行っています。

さらに2018年1月には、以前は分断されていた日本国内とグローバルの Slack 運用を統合すべく、Enterprise Grid を導入。

それぞれのワークスペースを独立させながらも、シームレスな情報共有が可能になったことで、コラボレーションのスピードをさらに加速させています。

エンジニアだけではなく「全員」が Slack 上で仕事をしている状態

「今はもう当たり前のように、全社で Slack を使っています。エンジニアでもそうではなくても、全員が、Slack 上で仕事をしている状態になっていますね」と、同社インフラストラクチャー部長の星 北斗さんは話します。

もはや社内でメールをやりとりすることは、ほとんどありません。業務の中心にある GitHub Enterprise (以下、GHE) と ServiceNow を Slack に連携させ、3つのツール上に社内のやりとりをほぼ集約しています。

Slack 導入以前から、「チャット文化」自体は根付いていたというクックパッド。今ではそれをさらに進化させ、Slack を中心とした業務システムを構築することに成功しました。

結果的に、エンジニア以外のメンバーでも Slack をどんどん「使い込む」ようになってきているそう。

例えば、Slack 上で Twitter 的に好きなことをつぶやく個人チャンネル「分報」を持っているメンバーも多くいます。

「僕自身も、ずっと何かしら自分の分報でつぶやいています。同僚として『最近この人元気かな』『どういうことを考えながら仕事してるんだろう』といったことを覗きにいけるので、相互理解にも役立ちますね」

クックパッドの場合、特に「Slack を活用するぞ」といった設計を用意したわけではなく、自然発生的にこのような文化が生まれてきた部分が大きいといいます。

「情報をオープンにする」文化を、意識的に浸透させる

「Slack は普段のコミュニケーションに使うツールなので、『こういうふうに使わなきゃいけない』という世界はあまり作りたくない」と星さん。

ですがその中でもひとつだけ、「オープンにやろう」ということは言い続けているそうです。

実際に同社のコミュニケーションの6〜7割は、誰でも参加が自由なパブリックチャンネルで行われています。

オープンな場所で色々な人の目に触れた方が、自然なコラボレーションが発生しやすくなり、結果的にメリットが大きくなる、と考えているためです。

このような考え方を浸透させるためには、ルールで縛るのではなく、パブリックな場所でされている会話に触れる機会を増やすことが重要だと捉えているそう。

例えばクックパッドの #general チャンネルには、全社へのお知らせなどに加えて、社内のヘルプデスクやバックオフィスに向けた「質問」も投稿されています。

敢えて、こうした投稿向けのチャンネルを分けず、全員にオープンにすることで、「みんなの目に触れるところにどんどん投稿してもいい」という安心感を醸成しています。

また同時に、「これをどこのチャンネルに投稿したら良いかわからない」という心理的ハードルも解除できます。

「チャンネルの『空気感』はそれまでの発言で決まると思っています。だからこそ、慣れている人が率先して『こういう話をしてもいいんだよ』という雰囲気を作っていっています」と星さん。

こうした「オープンな」情報共有文化は、エンジニアにはおなじみのものです。しかしクックパッドでは、その文化が職種の垣根を越えて根付いています。

例えば広報チームでは、部門長の発案でオープンチャンネル #public-relations を作成。部署内に留まらない、オープンなコミュニケーションができる場所を用意しました。

結果的に、広報メンバーがイベントのアイデアを模索していた時に社内エンジニアから提案があったり、社員への取材依頼があった際に気軽に相談をもらえるようにもなったり、といった効果があったそうです。

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インテグレーションを活用し、Slackを起点に業務を効率化

コミュニケーションや情報共有だけではなく、Slack を導入したことで様々な業務も効率化されています。

インパクトの大きかった改善のひとつには、ServiceNow への起票を Slack のメンション機能を使ってできるようにしたことがあるそうです。

ServiceNow では、社内のインシデントマネジメント(問い合わせ管理)を一元化しています。

例えば「PCの調子が悪いので調べてほしい」「オフィスでイベントを開催したいのだけどどうしたらいい?」といった問い合わせを集約し、解決するまでの進捗を追いかけることができます。

現在では Slackで「@XX」と特定の部署宛のメンションをつけて投稿すると、その部署に宛てた依頼の起票が簡単にできるようになっています。

「こうした仕組みによって、以前より気軽に部署を越えた相談がされるようになりました。社員同士の距離感も縮まったと感じています」と星さん。

また、クックパッドが全社で活用している GHE も、その更新情報がリアルタイムに Slack に流れるようになっています。

GHE 上で自分宛のメンションなど、察知したいコメントなどがあった場合にそれを分報に通知する、という仕組みを開発し、社内に公開しているエンジニアもいるそうです。

Enterprise Grid の導入で、情報を共有しながらの棲み分けも可能に

日本国外でもビジネスを展開するクックパッドでは、以前は日本とグローバルのチームで、それぞれ別の Slack のワークスペースを利用していました。

しかし、日本とグローバルで情報をシェアしながら仕事を進める機会が増えてきたことで、ワークスペースを切り替えながら業務を進めることの限界を感じたそう。

そこで2018年1月より、クックパッドでは Enterprise Grid を導入。2つのワークスペースを統合し、シームレスなコミュニケーションを可能にしました。

特にダイレクトメッセージが統合できたことによって、人事や経理といったセンシティブな情報を扱うことが多いチームでも、情報の共有がしやすくなったといいます。

また、2018年4月の CookpadTV 株式会社の設立に際しては、子会社としては初めて、使用するワークスペースを分離しました。

「やはりそれぞれの会社の中で、独自の『色』を出せたほうが良いと思うんですね。ですが同じワークスペースの中だと、#general の使い方、チャンネルの命名の仕方…といった、同居するなら合わせたほうが良いものがあって」と星さん。

「そこは各会社がやりたいようにデザインできるのが一番理想的と考えているので、使い勝手を落とさず、つながりも保ったままでワークスペースを分離ができることは良かったです」

今後も「オープンな」情報共有はそのままに、より社員1人ひとりがより自由に Slack を活用できるよう、バックアップをしていきます。