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Slack 導入で gumi 社内のコミュニケーションがスムーズに

「私が CTO に就任して最初に取り組んだのは、みんなが拠点やチームごとに、それぞれ好き勝手に使っていたコミュニケーションツールを統一することでした」。モバイルゲームをはじめ、幅広い事業を展開する株式会社 gumi で CTO を務める幾田雅仁さんは、こう振り返ります。

gumi は 2007 年に創業。主力のモバイルゲーム事業に加えて、最近では VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、MR(Mixed Reality)といった XR や、ブロックチェーンなどの新領域にも事業を拡大するエンターテインメント企業です。国内では福岡、海外ではシンガポールにも拠点を構えるなど、地域や国を超えてグローバルに事業を展開しています。

幾田さんが入社した 2012 年当時、gumi で採用されていた公式コミュニケーションツールは メール だけでした。「ただ、メールだけだと社内の円滑な情報共有は難しい。そこで実際には各支社や拠点、部やプロジェクトチームがそれぞれ、独自にチャットツールを採用していました。ビジネスが急拡大していく一方で、ツールはバラバラ。個人アカウントをそのまま使っていたり、入退社者のアカウント管理ができていなかったり、公開・非公開のルールもあいまいだったりと、セキュリティが十分に担保されていない状況でした」。

「いくらルールを厳しくしても、社員のみんなが納得して使える公式ツールがない限り、陰で使い続ける人は減らない」

ツールの統一と情報システム部門での一括管理を目指して、最初に導入されたのは、のちに Slack と戦略的パートナーシップを締結する Atlassian 社の HipChat でした。HipChat はエンジニアにとってはカスタムしやすいツールだった一方で、「エンジニア以外の人にとっては機能が乏しく、結果的に隠れて他のツールを使い続ける人は減りませんでした」と幾田さん。「それどころか、個人用のメッセンジャーで情報をやり取りし始める人もいて、これはなんとかしなければいけないと、さらに危機感を強めていきました」。

2016年に CTO に就任したのを機に、「シャドー IT 」(企業が把握していない IT 活用のこと)を取り締まるべく検討を始めた幾田さん。しかしいくらルールを厳しくしても、社員のみんなが納得して使える公式ツールがない限り、陰で使い続ける人は減らないとの考えに至ります。そこで改めて向き合ったのが、社内統一のコミュニケーションツールの要件を一から定義し直すことでした。

gumi が考える社内統一のコミュニケーションツールの要件

  • SAML(Security Assertion Markup Language)認証※に対応している
  • 英語だけでなく多言語に対応している
  • 他システムと連携が容易にできる
  • 管理機能が充実している
  • ツール本体の改善が活発に行われている

特に、「英語だけでなく多言語に対応していて、さまざまな言語を話すメンバー全員にとってサポートまで含めて使いやすいこともポイントでした」と幾田さん。「ヘルプデスクのリソースは限られているので、何かわからないことがあったときに自分で情報を探せることが大切。その点 Slack は、さまざまな言語で情報が出ているので安心です」。

また エンジニアでなくても機能を拡張できるなど、他のシステムと連携しやすいツールであることも重視したといいます。実際に Slack の導入後には、人事部によって従業員同士がインセンティブを送り合う「ピアボーナス」との連携が行われたり、総務部の主導で来客受付システムと連携できるようになるなど、エンジニア以外の社員が主導して、システムと連携をはかるような動きも活発になっています。

「これらの要件を満たすサービスについて、社内でアンケートを実施した結果、最有力候補として浮上したのが Slack でした」。

※1回の認証で許可されているすべてのサービスが使えるようになる、「シングルサインオン」を実現するしくみのひとつで、異なるセキュリティドメイン間で認証情報を連携するXMLベースの仕様。

使って楽しいということは、みんなが気分よく仕事ができているという証拠

導入にあたっては、まず社内に影響力のあるインフルエンサーに納得してもらい、導入の後押しをしてもらえるようにと、意見交換会も行われました。また「意外だったのが、海外拠点の反応だった」と幾田さん。「海外のメンバーの中には 公式ツールとして HipChat を導入したあとも、他のメッセンジャーツールを使い続けていた人が多かったのですが、『Slack を導入してくれるならもう他のツールは使わない』と大歓迎されました」。こうして HipChat のサービス終了にあわせて、全社的に Slack へ移行することが決定。2019 年 2 月に Enterprise Grid が導入されました。

「当初は Slack プラスプランでの導入を検討していましたが、今後も拠点が増えていくことを考え、また複数のワークスペースを一元管理して、情報システム部門の運用管理コストを下げるために、Enterprise Grid を選択しました。当初は各子会社ごと、拠点ごとにワークスペースを設定しましたが、もっとワークスペースの単位を小さくしていって、ワークスペースそのものをプライベート化し、一旦その中に入ってしまえばより活発にやり取りができる環境を作っていきたい。 Enterprise Grid ならそういった柔軟な運用を実現できますし、今後も運用方法については改善を続けていきたいと考えています」。

「いろいろなツールを社内に導入してきましたが、こんなにお礼を言われたのは初めての経験です」

導入から数ヶ月を経て、幾田さんのもとには「これまでのようにコードを書かなくても、簡単に拡張できた」「もう以前のような環境には戻りたくない」など、多くのポジティブな声が寄せられています。「これが Slack ならではだと思うのですが、特に『使っていて楽しい』という意見が多いですね。楽しいということは、みんなが気分よく仕事ができている証拠。これまでいろいろなツールを社内に導入してきましたが、導入を主導したメンバー以外の人から、こんなにお礼を言われたのは初めての経験で驚いています」と、幾田さん。うれしいサプライズを笑顔で語ってくれました。