「インターネットやAIを活用し、世の中にデライトを届ける」というビジョンを掲げ、IT領域を中心として多角的に事業を展開する、株式会社ディー・エヌ・エー。
同社では、2017年10月にSlack Enterprise Gridを導入。これまで事業部・プロジェクト単位で個別に契約されていた Slack をひとつにし、社内の「誰にでも」Slackを通じてアクセスできる状態を実現しました。
現在は、Enterprise Grid が持つ機能を活かし、複数のワークスペースをシームレスに連携。事業部を越えたコミュニケーションを加速させています。
また、社内ヘルプデスクの AI チャット bot 化、外部サービスとのインテグレーション (連携) によるワークフローの統合、RPA との接続による業務の効率化など、Slack を起点とした様々な生産性向上にも取り組んでいます。
デイリーユーザーは3,000人超。全社で Enterprise Grid を導入
ディー・エヌ・エーでは2014年ごろから、各事業部がそれぞれ Slack の導入を始めていました。
2017年の春に全社利用状況を確認したところ、既に社内の9割以上の部署で Slack が個別に契約され、利用されている状態にあったそうです。
そこで同社では、2017年10月に Slack の Enterprise Grid を導入し、社内の個別のワークスペースを、Enterprise Grid オーガナイゼーションに統合しました。
「ここまで利用が浸透しているのであれば、全社公式のツールとして正式に採用し、セキュリティやコンプライアンスに関しても統制していこうという狙いがあった」と話すのは、同社IT戦略部の成田 敏博さん。
統合にあたっては、複数のワークスペースを統合できる Enterprise Grid の特長を活かし、各事業部が使っていた既存のグループをそのままワークスペース化。
アカウント情報や履歴、設定などを含めてそのままコピーすることで、スムーズな全社統合を実現できました。
現在 (※2018年6月) の時点で、日々のアクティブユーザー数は3,000人超。1日に7〜8万のメッセージが、事業部の枠を越えてやりとりされています。
成田さんは、「今回の Slack 導入によって、何度か社内の知らない人から『導入してくれてありがとう』とお礼を言われたんです。こんなことを言われたのは初めてなので、導入して本当に良かったですね」と言います。
コミュニケーションのスピードアップにより、実務も効率化される
同社で社内ツールのメンテナンスや問い合わせ対応を務める長田 麻梨さんは、「そもそもSlackを使うようになって、お互いに相談がしやすくなりました。また、皆のいるチャンネルで発信をすることで、意図しない人が回答をくれるときもあります」と話します。
1対1ではなく「皆がいる場所」で情報をやり取りすることで、「必要な人間が必要なときに、いつでも情報にアクセスできる」という状態を実現できています。
このように、コミュニケーションや情報共有のスピードが高まったことで、実務の効率化にもつながりました。
成田さんによると、Slack の「複数の人間で情報を共有しやすい」という強みによって、複雑になりがちな業務もスムーズに進行することができているそうです。
「昨年、非常に短い期間でグループ内に新会社を設立しなければいけないことがあって。一時的にふたつのロケーションで相互に連絡を取りながら進めていたのですが、Slack がなければ、期日に間に合わなかったかもしれませんし、少なくとももっと混乱が起きていたと思いますね」
また Slack 上では、テキスト情報だけではなく、様々な種類のファイルデータを簡単に共有することができます。
以前は、ファイルを共有するためにはその都度メールに添付して送る必要があり、業務が煩雑になってしまうことも多かったそう。
今ではそうした作業の必要がなくなり、コミュニケーションと情報共有が Slack というひとつの場所で完結できるようになりました。
さらに「絵文字」を用いることで、気軽にメッセージに対しての「リアクション」をしています。これにより、コミュニケーションが活性化されるだけでなく、「既読」代わりの役割も果たしているそうです。
特に同社のロゴマークでもある「デライト・マーク」は、ディー・エヌ・エーのオリジナル絵文字の中でも、特に人気がある絵文字のひとつだそうです。
外部ツールとの連携により、Slack 上でワークフローを完結させる
他にも、Slack の拡張性の高さを活かし、様々な外部ツールと Slack を連携させることで、さらに業務効率を高めています。現在、連携ツールの数はのべ200を超えるそうです。
例えば最近では、財務会計システムである「NetSuite (ネットスイート)」との連携を強化し、Slack 上で発注やりん議の「承認」が完結するフローを構築しました。
以前はその承認フローは、メールを介して行われていました。メールで届く承認依頼のリンクをクリックして NetSuite に入り、そこで承認を行っていたのです。
しかし今では、承認者が Slack 上で「承認」のボタンを押すだけで、フローが完結します。
これによって、承認の際に複数のツールをまたぐ必要がなくなりました。
また、未承認の案件を一覧で表示したり、自動でリマインドをしてくれる機能を持たせたり、といった工夫をすることで、より利便性を高めています。
「以前は外出が多いメンバーなど、なかなか承認ができずに業務のスピードが落ちてしまうこともありました。この機能によって、そうした課題を解決できると考えています。また、承認のスピードが上がったことにより、結果的に申請者からも業務効率が上がったという声を聞きました」と成田さんは話します。
「共有チャンネル」を活用し、事業部間の情報共有を促進
そして、Enterprise Grid の導入により、現在では「社内の誰にでも」Slack を通じてコンタクトできる状態も実現できています。
「以前は部署ごとに Slack を使っていたので、プロジェクトを越えて誰かと連絡を取りたいときは面倒でした。それがなくなって、現在はストレスフリーです」と長田さんは話します。
また、以前はメールやポータルサイトを使って周知していた全体アナウンスも、Slack を通じて発信できるようになりました。
人事系のお知らせはもちろん、日々の報道やニュースの共有、所有しているスポーツチームの応援など、目的に応じた様々な「全社向け」チャンネルが立ち上がっています。
また、Enterprise Grid ではワークスペースを越えた「共有チャンネル」を使うことができるため、事業部を横断したコミュニケーションも強化されました。
「共有チャンネルは、すごい機能だと思ってます。ワークスペース同士を簡単につないで、それぞれのメンバーやインテグレーションの設定をそのまま引き継げるのが便利です」と話すのは、Enterprise Grid の導入を担当したプネル・フランソワさん。
様々な部署のメンバーをつなげる必要があるプロジェクトであれば、今は新しいワークスペースを作るのではなく、共有チャンネルを用いて行っています。
通常のチャンネルを共有チャンネルに変更することも簡単なので、コミュニケーションやファイル共有の履歴をそのままシェアすることも可能です。
業務の「自動化」も、Slack を起点にして実行していきたい
今後は、Slack を起点とした更なる業務効率化を進めていくそうです。
例えば、RPA (Robotic Process Automation) を Slack から起動させることで、ルーティン業務の処理をボタンひとつで実行できるような仕組みを構築中です。
さらに、同社のオリジナル AI チャット bot で、Slack 上で届いた問い合わせに対して自動応答する「マリちゃん」が、日々「学習」を進めています。
全社員の生産性がより一層向上していくように、これからも Slack の活用を進めていきます。