Notion が Slack で実現する AI インターフェースとは

「最高の仕事は、コンテキストとアクションが結びついた時に生まれます。Notion AI と Slack の組み合わせによって、チームはあらゆる会話をアクションに変えることができるのです」

NotionChief Revenue OfficerErica Anderson 氏

Notion について

チームが使いやすいツールを構築および共有できるコネクティッドワークスペース

Notion は 1 つのワークスペースでドキュメントの作成、整理、コラボレーションを行える場として生まれました。やがて日常業務のためのドキュメントやデータベースを構築する場となり、さらに AI 機能を備えるまでに進化。現在は、Slack などのツールを通じてチームとエージェントが連携する場として活用されています。

課題

同じ質問への対応コストが無視できないレベルに増大

Notion は、サンフランシスコやニューヨークをはじめ各地にオフィスを構えるグローバル企業です。同社が世界的に拡大し始めた頃、コミュニケーションシステムがそのスピードに対応できなくなりました。最初にその負担を感じたのはオフィスや設備、日常的な従業員体験の管理を担当するワークプレイスチームです。以前は対応可能な範囲で少しずつ届いていたリクエストが、絶え間なく押し寄せる波へと変わったのです。

「会社が小さな頃は、従業員が私に直接 DM を送るやり方でうまくいっていました」と語るのは、Workplace Portfolio and Projects Partner の Tiffany Chan 氏です。「でもチームが成長するにつれて、収拾のつかない状況になったのです」。

従業員が求める情報の多くは、オフィスの規則、フロアの配置、手順など Notion 内に文書化されているものでした。しかし Wiki の検索は、Slack での質問よりも大変だったのです。その結果、作業のサイロ化や重複が発生し、担当者が不在やオフラインの場合は経緯を把握できない状態でした。

エンジニアリングチームも同じような問題に直面していました。アラートが Slack に届くものの、調査するには複数のシステムから関連情報を集めて手作業でまとめなければなりません。「エンジニアがアラートの発生理由を調査するのに 20 分も費やすこともありました」と、ソフトウェアエンジニアの Sean Keenan 氏は振り返ります。このようなことが 1 日に何度も起こるため、仕事への集中力も途切れていました。

「以前のやり方はもはや機能しなかったのです。Slack によって時間にゆとりが生まれ、従業員にとって意味のある特別な体験を生み出すなど、本当に大事にしたいことに集中できるようになりました」

NotionWorkplace Portfolio and Projects PartnerTiffany Chan 氏

Notion が Slack で仕事の進め方を改善

Notion 社内の会話が Slack でアクティブな記録システムに変身

社内では Notion に、計画やドキュメント、決定事項、共有ナレッジを蓄積していました。一方 Slack では、議論や意思決定がリアルタイムで進んでいます。そこでチームはこれらを別々の世界として扱うのではなく、接続することにしたのです。

2 つの領域をうまくつなげるために、チームは Notion AI をSlack に直接統合しました。これにより、チャンネルで Notion を @メンションすれば、質問やスレッドの要約ができるだけでなく、Notion データベースから情報を引き出せるようになりました。さらに Slack 上で直接、リアルタイムで発生中のディスカッションをドキュメントや計画、タスクに変換することも可能です。

「Slack と Notion を連携させる真の価値は、この 2 つの場所ですべての仕事を完結できる点です」と、Keenan 氏は話します。「あらゆる関連情報を検索できるのです」。

舞台裏では、Notion AI が両方の情報を引き出しています。Slack の検索機能により、Notion は関連するメッセージやスレッドを直接参照できるだけでなく、構造化された長期的な記録として機能するため、手動による引き継ぎ作業を減らせます。「やるべきことはこれ」と確認して終わるのではなく、会話内容がそのままタスクの記録、更新、遂行を担うシステムに直接集約されるのです。

「私は Slack を毎日使っています。Notion 社内やチームの会話はすべて Slack にあります」

NotionProduct ManagerMarina Camim 氏

質問のたびに職場環境が向上

会話が進む場所での仕事をさらに自動化するために、Notion は独自のカスタムエージェントを Slack に直接連携させました。これらのエージェントは、Slack と Notion から共有コンテキストを引き出して、Slack チャンネルで直接応答するだけでなく、チームからのフィードバックを受けて徐々に改善していきます。

例として、Notion の Slack チャンネル #environment-ask に存在するカスタムエージェントの Smilers を見てみましょう。シンプルな入力フォームとして始まったこのエージェントは、今やワークプレイスチームのデジタルチームメンバーになり、Notion に保存された情報を使って 従業員の質問に Slack で直接回答しています。

Smilers が画期的なのは、誤った回答をした際の対応にあります。「私たちはこれを自己修復型 Wiki と呼んでいます」と説明するのは、Notion のカスタムエージェントを主導する Marina Camim 氏です。「メンバーは Slack のスレッド絵文字を使ってフィードバックを提供できます。それを受けて Smilers は Wiki を更新し、Slack で返信するのです」。

Slack を使ったシームレスなフィードバックループにより、ワークプレイスチームの時間の使い方は変化しました。「Smilers のおかげで、少なくとも 1 日 2~3 時間は節約できています」と、Chan 氏は語ります。リリース以来、Smilers は世界全体で職場に関するリクエストを 2,500 件以上処理してきました。チームは絶え間なく発生していた手動のフォローアップから解放され、週に 10~20 時間を節約できました。

エンジニアリングチームも Notion と Slack のこの相乗効果を活用しています。別のカスタムエージェントは、Slack で HoneycombSplunk などのツールを使ってアラートをモニタリングし、エンジニアが対処する前に一次分析を提供します。「このカスタムエージェントは、発生した事象に関して信頼できる初期分析を Slack 上で提示してくれるため、1 日 2 時間以上は節約できます」と Keenan 氏は説明します。

人間とエージェントが協働して優れた仕事を実現

チームは Slack 上で Notion のカスタムエージェントを構築および改良し、実際の動作を最適化します。「各エージェントに対して、複数のメンバーが Slack 上でコラボレーションできる点は非常にユニークです」と、Camim 氏は話します。フィードバックや修正、改善のプロセスはすべてこの共有環境内で完結するため、別のツールを使う必要はありません。一方、Keenan 氏は「エンドユーザーがカスタムエージェントを実際にどう活用しているかを把握できることには、大きな価値があります」と言います。「そして、そのすべては Slack で行われているのです」。

エージェントは Slack API によって、Notion 社内と Notion のユーザーの両方に対して、チームの一員のように振る舞うことができます。「お客さまが Slack 上でカスタムエージェントを使うときは、人間のような応答を期待します」と、Keenan 氏は続けます。「入力中の表示や Slack のコンテキストによって、それが実現するのです」。

エージェントの人間味は、より軽いかたちでも表れています。チームのお気に入りの Slack チャンネルでは、エージェントの意外な回答やおもしろい応答が共有されています。これらの反応もまたフィードバックとなり、エージェントが実際のユーザーにどう受け止められているかを理解する手がかりになります。

こうした細かな点は、Notion の規模が拡大するにつれて重要になります。「私たちは毎日、朝から晩まで Slack を使います」と Chan 氏は語ります。「異なるタイムゾーンにまたがってグローバルに成長するなかでも、Slack のおかげでスピーディに仕事を進めて、方向性を揃えられるのです」。

「Slack 向けの開発がこれほど影響力の高いものになる理由は、わずかな基本要素だけで優れた体験を構築できるからです」

NotionソフトウェアエンジニアSean Keenan 氏

今後の展望

Slack 上でエージェント同士が連携して仕事を進める未来へ

Notion 社内で、カスタムエージェントは今も進化を続けています。次のフェーズはオーケストレーションです。個々のエージェントから、エージェント同士が互いにトリガーし合い、より長く複雑なタスクの流れのなかで仕事を実行できるシステムに向かっています。 Camim 氏によると、それは「まだ始まったばかり」であり、今は「 Slack 上でエージェント同士を効率的に連携させることを重視している」そうです。

このような機能が進化するなかでも、Slack はユーザーが Notion AI とやり取りするための重要なインターフェースであり続けます。「Slack はお客さまが仕事をする場所であり、その流れを妨げたくないのです」と、 Keenan 氏は言います。Notion では AI を Slack に組み込むことで、エージェントが常に表示され、使える状態にするだけでなく、容易に改善できるようにしています。その結果、質問やフィードバック、意思決定が、仕事の進むその場所で生まれ続けているのです。