株式会社一号舘
スーパーマーケットやホームセンター、ディスカウントストアなど31店舗を展開する株式会社一号舘は、経営方針の転換に伴い、全社的なコミュニケーション基盤としてSlackを導入しました。
店舗と本部、そして店舗同士をつなぐリアルタイムな情報共有を実現した結果、個人のノウハウが「会社の資産」として蓄積され始め、売上・販売数量ともに前年実績を上回る成果を創出しています。
一方通行の伝達と、属人化による「資産」の消失
一号舘では長年、収益性を優先した経営を続けてきましたが、数年前より人材不足と物価高の社会問題を乗り越えるために「従業員のモチベーション向上」と「売上拡大」を最優先する方針へと大きく舵を切りました。しかし、そこで壁となったのが、旧態依然としたコミュニケーション環境でした。
当時の主な連絡手段は、電話、FAX、メール、そして本部からの業務指示に特化したツールのみ。現場の状況を本部に伝えるには時間がかかり、店舗間で成功事例を共有する術もありませんでした。特に深刻だったのは、優れた売り場づくりのノウハウや知見が、担当者個人のメッセージアプリやローカルファイルにしか残らない「情報の属人化」です。ベテラン社員が退職すれば、その貴重な経験知も同時に失われてしまう——。この「資産の消失」と、現場の孤立感が、組織の成長を阻む大きな課題となっていました。
誰もが直感的に使える「会社のOS」としてSlackを選択
「個人の経験を、組織全体の資産に変える」。そのために一号舘が選んだのがSlackです。
導入の決め手となったのは、PCに不慣れな従業員でもスマートフォンから直感的に操作できるユーザーインターフェイスと、議論の経緯を追いやすい「スレッド機能」でした。他社ツールも検討されましたが、単なる連絡網ではなく、ノウハウを蓄積し議論を深めるプラットフォームとしてはSlackが最適であると判断されました。
導入にあたっては、従業員が心理的な抵抗感を持たないよう工夫が凝らされました。以前は「売り場を見張られるのではないか」という不安もありましたが、まずは投稿を称賛し、その後に改善点を提案するポジティブなフィードバック文化を徹底。これにより、Slackは監視ツールではなく、現場を支援する「会社のOS」として定着していきました。
以前は個人のメッセージアプリや頭の中にしかなかったノウハウが、今はSlack上に『会社の資産』として確実に蓄積されています。去年の売り場の写真をワンタップで振り返り、今年の計画に活かす——。机の上の紙の山を減らし、知見という財産を全員で共有できるようになったことが、何よりの成果だと感じています。
「エノキが足りない!」現場主導の連携が機会損失をゼロに
Slackの導入は、一号舘の現場に劇的な変化をもたらしました。
1. 店舗間連携による機会損失の削減と業務効率化
以前であれば、商品の欠品が発生した際、バイヤーを介して在庫調整を行う必要があり、タイムラグによる販売機会の損失が起きていました。しかし現在は、現場担当者がSlackで「エノキが足りない」と発信すれば、他店舗から即座に「うちから送ります」と返信が入り、現場同士で解決が完結します。これにより、バイヤーの業務負荷が大幅に軽減されるとともに、販売機会を逃さないスピーディな体制が構築されました。
2. 心理的安全性の醸成とナレッジの資産化
「絵文字」による手軽なリアクション機能は、現場に「心理的安全性」をもたらしました。本部や同僚からの「見ているよ」という反応が、従業員の安心感とモチベーション向上に直結しています。また、ベテラン社員の売り場づくりの写真や工夫が日々共有されることで、若手社員がそれを見て学ぶという教育サイクルが自然発生しています。結果として、組織全体の販売力が底上げされ、売上および販売数量は前年を超える実績を記録しました。
私が驚いたのは、PC操作に苦手意識を持っていたベテランの店長やスタッフの方々も、スマホで楽しそうに売り場の写真をアップしてくれていることです。Slackは単なるツールを超えて、現場の意識を変え、会社全体の文化を変える土台になりつつあります。

今後の展望:顧客の声が組織を動かす「好循環」へ
一号舘が次に見据えるのは、Slackを通じた「顧客中心」な組織への完全な変革です。 これまでは埋もれがちだった現場レベルの「お客様の声」を、Slackを通じて本部がタイムリーに把握できる環境を構築します。現場の一次情報を起点に、管理本部やバイヤーが迅速に課題解決に動くことで、顧客満足度を向上させる狙いです。情報の透明性を高め、部門の垣根を超えて協力し合う文化を醸成することで、一号舘は地域のお客様に愛され続ける店舗作りを加速させていきます。













