グローバルに展開するオンラインのデザインプラットフォーム Canva のミッションは、誰でも何でもデザインできるようにすることです。Canva の共同創業者である Melanie Perkins、Cliff Obrecht、Cameron Adams は、「適切なツールが人を急成長させる」という考えのもと、これからのデザインはオンラインで簡単に使えて、さまざまな人と一緒に進めやすいものになるべきだという信念を持っています。
Slack が導入される前の創業間もない Canva では、10 人にも満たないチームで顔をつき合わせてスタンドアップ・ミーティングを行っていました。Canva の Global Head of PR である Liz McKenzie 氏は、「会社が大きくなるにつれて、コラボレーション方法を変える必要がありました」と振り返ります。「当時は誰もが複数の役割を担っていました。チームを効率的なワーキンググループへとうまく移行させるには、適切なツールを導入する必要があったのです」。
現在、Canva は 190 を超える国で 4000 万人以上の月間アクティブユーザー数を抱えるまでになりました。そのユーザーベースのなかには中小企業のオーナーやソーシャルメディアのインフルエンサー、非営利機関、大企業の従業員、教師や学生など、さまざまな人がいます。2013 年のローンチ以降に Canva で作成されたデザインは 30 億以上に上ります。これは毎秒 80 件のデザインが作成されているという計算です。
そんな Canva が Slack を導入したのは 2016 年のことです。今ではこの安全なチャンネルベースのメッセージプラットフォームによって、オーストラリア、フィリピン、中国、アメリカなど世界各地に分散したチームが成果を生み出しています。
1,000 人を超える Canva の従業員は、Slack のチャンネルでメッセージやファイルを共有し、お互いに連携してプロジェクトを進めています。またチャンネルは、全社的なお知らせや、「Canvanauts」と呼ばれるチームに新しく入ったメンバーの研修にも役立っています。
Slack チャンネルで不具合をすばやく解決
Canva の Internal Infrastructure Team では、Slack を活用して社内のテクノロジーソリューションを効率よく進めています。例えば Sentry のインテグレーションで不具合を追跡することで、発生から 1 分も経たずに問題を検出できるようになりました。「チームの Slack チャンネルに届くエラー通知は、最新情報がライブストリームで届くような感じで、メールのようなスパム感がないんです」と、Infrastructure Engineer の Lawrence Law 氏は話します。
「チームの Slack チャンネルに届くエラー通知は、最新情報がライブストリームで届くような感じで、メールのようなスパム感がないんです」
開発者の生産性を高めるには、カスタム Slack ボットでコードを実行し、タスクを自動化するのがスマートです。Canva の Internal Applications and Systems Operations Teamでは、次のような方法でボットを使っています。
Canva では、従業員研修はさまざまな部門が連携して取り組むべき仕事だと考えています。「部門を越えたチームのタスク確認にも Slack リマインダーが役立っています」と話すのは、Infrastructure Engineer の Caly Yang 氏です。「例えば、People Operation 部門の担当者向けに研修リストを更新するようリマインダーを設定したり、新メンバーのハードウェアを用意するよう Tech Support 部門にアラートを送ったりしています」。
オフィスがどこにあろうと、社内の全員が常につながっていれば、新しいメンバーは必要なシステムやツール、Slack チャンネルにすぐアクセスして良いスタートを切れるのです。
Slack コネクトで社外パートナーとの関係を強化
プロジェクトをすばやく進めるためには、専門スキルを持つ社外の人材が必要なことがあります。企業の成功がそうした人材を活用できるかにかかっている場合も多いでしょう。Canva では Slack コネクトを使って、社外パートナーとの仕事を社内でのコラボレーションと同じくらいスムーズに進めています。
2019 年、Canva はフィリピンで「Pasko」(タガログ語でクリスマス)という季節型キャンペーンを立ち上げました。これは、親しい人のためにオンラインでグリーティングカードをデザインするというコンテストです。同社ではこのキャンペーンを社外代理店と進める際、最初の計画段階から実行に至るまで Slack コネクトを活用しました。「このキャンペーンの鍵は『サプライズ』の瞬間でした。そのためには家族が集まる体験をしっかり捉える必要があったのです。そこで関係者全員が確実に情報を共有できるよう Slack を活用しました」と McKenzie 氏は話します。
「目指したのは、皆さんに喜んでもらうこと、自分のデザインを見てワクワクしてもらうこと、そして家族との新しい集まり方を作ることです。キャンペーンのフィナーレでは、オーストラリアのメルボルンに住むあるフィリピン人の家族を、故郷フィリピンの家族のもとへ招待しました」。
「Slack のおかげで、自分がチームの一員であると感じられるうえ、たくさんの情報が得られるんです」
Slack コネクトを通して、Canva は 社外パートナーとの間に信頼関係を築き、プロジェクトをうまく進めることができました。チャンネルによって代理店パートナーとの仕事をすばやく進められるようになったことで、チームが優先順位の変更、フィードバックの依頼、キャンペーンの詳細などに対応しやすくなったのです。
1 つのチャンネルには、最大 20 のオーガナイゼーションが参加できます。Pasko キャンペーンの場合、Canva の Slack コネクトチャンネルでは Canva 社内の PR and Communications Team が、フィリピンでの手配を担当する代理店の Havas とアイデアをやり取りしていました。また、クリエイティブアセットを扱う Internal Brand Studioや、家族の実際の生活のなかでサプライズを実現させた Community Team も含まれていました。
このキャンペーンの成果について、McKenzie 氏は「見事に連携して進められた」と評価します。「今後も同じ代理店と継続的に仕事を続けることにしました」。
透明性、従業員エンゲージメントと社員研修を加速
「Canva にとって最も重要なのは、コラボレーションとチームに権限を与えることです」と McKenzie 氏は語ります。「Slack のようなチームワークを促進するコミュニケーションツールを使おうと考えたのも、自然なことでしょう」。
同氏は、新しい製品やキャンペーンを立ち上げる際に主な関係者の当事者意識を高めるためには、透明性と非同期コミュニケーションが欠かせない要素だと考えています。「新しい情報があれば、みんなに知らせます。反応があるとは限りませんが、状況を知ってもらえるからです」。
同社には、チーム、グループ、プロジェクト、オフィス、ディスカッションなどの目的別に、何千もの Slack チャンネルがあります。さらにさまざまなチームが、サービス展開、サポートに関する質問、部門を越えたコラボレーションにチャンネルを活用しています。
「Canva にとって最も重要なのは、コラボレーションとチームに権限を与えることです。 Slack のようなチームワークを促進するコミュニケーションツールを使おうと考えたのも、自然なことでしょう」
「Slack のおかげで、自分がチームの一員であると感じられるうえ、たくさんの情報が得られるんです」と McKenzie 氏は話します。また絵文字は、チャンネルベースのメッセージをさらに効率よく表現豊かなものにしてくれます。「例えば、同僚が『このキャンペーンの準備ができました』と投稿したら、 チェックマークや「いいね」マークのような絵文字リアクションを追加して、自分の反応や状況を知らせます。こうすれば誰が何をしているのかが、すぐにわかるんです」。
新しいメンバーが入ると、すぐに多くの Slack チャンネルに参加することができます。例えば次のようなチャンネルです。
- #kudos(表彰)では、Canva でのすばらしい行動について全社に発表します。
- #polyglots(多言語)は、世界中のチームで話されている 50 以上の言語でヘルプを提供します。
- #internal-infra-team(社内インフラチーム)は、Canva の Internal Infrastructure Team に連絡したい人のためのパブリックチャンネルです。
- #team(チーム)は、全社的なコミュニケーションと通知に使われます。
- #sydney(シドニー)は、シドニーオフィスだけに影響するお知らせに使われます。
- #karaokeclub(およびその他 360 種類のソーシャルチャンネル)は、メンバーが共通の趣味でつながるためのクラブ活動のチャンネルです。
Slack の絵文字で Canvanauts の文化をサポート
オーストラリアで最高の職場としてランクインした Canva では、支え合い、多様性を持ち、違いを恐れない企業文化を Slack で実現させています。
同社のチームでは、普段から優れた成果を認め合うようにしています。それを実現するのが、分散したチームのためのオンラインカルチャープラットフォーム Disco です。このアプリを Slack と連携させれば、メンバーは同僚に称賛を送ることができます。
Canva では、これをさらにカスタマイズして使っています。「誰かのことを称賛すると、アプリが立ち上がり、その行動が当社の 6 つの価値のどれに当てはまるかを選ぶようになっています」と McKenzie 氏は説明します。
Slack は Canva の全社的なツールとして、創業者、コーチ、マネージャー、チームリーダー、その他関係者に活用され、「複雑なものをシンプルに」といった Canva のコアバリューの実現に役立っています。
「Slack のようなツールは、全員が使い、全社が活用することで初めて効果が表れます」と McKenzie 氏は続けます。「同僚の成果を認めて称賛することは、職場での私たちのあり方の一部になっています」。