富士通、次世代へ向け生産性向上のための業務プラットフォーム Slack を選択

「Slack を基点としてオープンで新しい文化が醸成され、『つながり』を感じながらより効果的に働くことができるようになっています」

FujitsuUvance Core Technology 本部 Tech Standardize 統括部 Developers Platform 部細井 雄介 氏

通信システムや情報処理システムなどのテクノロジーソリューション、電子デバイスの製造・販売を手掛ける富士通では、2020 年 7 月から新しい働き方「Work Life Shift」を推進。近年デジタル変革を一気に加速させ、従業員が場所や時間にとらわれることなくイノベーションを創出し続けられるよう、原則テレワークとするなど大胆な方針を掲げました。2021 年 10 月からはリアルなコミュニケーションも効果的に取り入れたハイブリッドワークや、さらなる生活の充実に焦点を当ててコンセプトを進化させた「Work Life Shift 2.0」を展開しています。

ハイブリッドワークに適したオープンな文化の醸成が求められるなか、技術の複雑化に伴ってプロジェクトに関わるステークホルダーも増加し、セキュリティリスクが広がるなど、様々な課題も生じていました。

これらの課題を解消するため、仕事の生産性を高めるためのプロダクティビティプラットフォームとして Slack を導入。同社のデジタルシフトを推進する Uvance Core Technology 本部 Tech Standardize 統括部 Developers Platform 部の細井 雄介さんに、Slack 導入の背景や具体的な活用方法、効果についてお聞きしました。

リモート移行で訪れた業務環境の変化と見えてきた 3 つの課題

「Work Life Shift」のコンセプトは、「働く」だけでなく、「仕事」と「生活」をトータルにシフトし、従業員のウェルビーイングを実現するというものです。毎日決まったオフィスに出勤する従来型の概念を取り払い、多様な人材がお互いの信頼に基づいて、自律的な価値創出と変革に取り組める働き方を後押ししています。こうしたコンセプトの実現をサポートするため、社内のデジタル化を推進する部門に所属する細井さんは、働き方の変化によって生じた 3 つの課題を挙げました。

ひとつは、テレワークによるコミュニケーションの変化です。オフィスで顔を合わせることがなくなったことでコミュニケーションの頻度は低下しました。さらに電話やメールだけでは相手の表情や様子がとらえにくいだけでなく、個別のクローズなやりとりになってしまうという問題も生じていました。全体の状況をリアルタイムで把握するためにはテレワークに適した、オープンなコミュニケーション文化やマインドのシフトチェンジが求められました。

ふたつめは、技術の複雑化に伴う関係者の増加です。特に売上の約 7 割を締めるテクノロジーソリューションの分野では、プロジェクトを推進するために国内外のビジネスパートナーとの緊密な連携が必要となります。拠点の異なる複数のステークホルダーとも必要な時に迅速なコラボレーションを実現できる手段が必要となりました。

そして最後に、セキュリティ担保に対するリスクへの懸念です。社外パートナーとのスムーズでセキュアな連携が求められる一方で、プロジェクトごとに個別契約する SaaS の利用によって急増するシャドウ IT 環境も問題となっていたのです。メンバー同士のオープンなコミュニケーションや自律性を促す上で、社内で統一したポリシーに基づく統合環境の整備は急務でした。

業務プラットフォームとして Slack が最適解だった理由

こうした 3 つの課題は、新たな業務プラットフォームを検討するための指標として、ツール選定の評価項目となりました。そしてこれらの評価軸をもとに細井さんが複数のツールを比較検討したところ、すべての課題を解決できるとして Slack に白羽の矢が立ったのです。

ひとつめの課題であった「オープンなコミュニケーション」に関して Slack がとりわけ秀でていたのは、どんなに情報の流量が増えても状況をきちんと整理・把握でき、カジュアルに反応がしやすい点でした。

「Slack はチャンネル一覧やチャンネル内の視認性が高く、未読もひと目で分かりやすい上、スレッドやメンション機能で確認すべき情報を素早くに見つけられる仕組みが整っています。大事な投稿にはブックマークやピン留めができるのも非常に便利です。カスタム絵文字で対応状況の見える化やスピーディな反応が簡単にできることもポイントです」(細井さん)

先の課題のひとつでもあった「ステークホルダーとの効率的な連携」に関しては、社内・社外を問わずにスムーズにやりとりできることを重視しました。社内であれば、同業種の別プロジェクト間で、社外であれば技術ベンダーや顧客と情報共有が必要となりますが、Slack ではプロジェクト間や組織間を跨いで、目的に合わせた共有チャンネルを柔軟に作成することができます。

一方で、オープンな情報共有との両立が難しい「セキュリティの担保」に関しても、Slack ならチャンネル設計とメンバー権限を組み合わせて情報アクセスの範囲を適切に管理できるため、社内の厳しい要件をクリアして運用に進めることができました。細井さんは「Slack コネクトやマルチワークスペースといったチャンネルを共有する機能によって、社内外のステークホルダーと効率的に連携でき、厳しいセキュリティ条件下でも適切な管理が可能です」と運用の安全性も評価しました。

さらに、SaaS 利用に関しても、個別ではなく会社としてのポリシーに沿った管理体制を徹底し、Slack の監査機能とも連携した管理を行うことで、よりセキュアな環境を築くことができます。

必要な条件をクリアし、Slack の導入が決定したあとは、オープンなコミュニケーションを促進するための規約の整備や社内への活用拡大に取り組みました。Slack を初めて使うユーザー向けには Welcome チャンネルを作成して周知するなど、Slack 浸透の活動を通して、新しい働き方の文化、そしてマインドを整えていきました。また、定例ミーティングの招集や課題整理・共有の自動処理を行えるワークフローなど、日常業務に役立つ機能の使い方をレクチャーして積極的な利用を促進し、さらなる定着と効率化を図っています。

2023 年 3 月時点での環境全体の利用データとしては、チャンネル比率においてプライベート 27% に対し、パブリックは 73% を占めていることから、「よりオープンなコミュニケーション文化が受け入れられています」と細井さんはコメントしました。一度でより多くのメンバーが同じ情報を共有できることで、「誰々には言ったのですが」というような余計なやりとりがなくなり、共通認識を持ってすぐに動けるようになったといいます。

「チャンネルの視認性が高く、ブックマーク機能もあるので、Slack なら情報が増えても確認すべきメッセージをすぐに見つけられます」

富士通株式会社Uvance Core Technology 本部 Tech Standardize 統括部 Developers Platform 部細井 雄介 氏

海外メンバーともコミュニケーションが活性化し生産性がアップ

富士通で Slack を利用する各プロジェクトのアンケート結果から得られた活用事例のひとつとして、細井さんは海外拠点のメンバーや国内外のパートナーが参加する金融系プロジェクトでの活用方法を挙げます。

融資審査機能サービスの機能改善を行うこのプロジェクトは、国内外の社内・社外メンバーがひとつのチームとして密な連携を取りながら進められています。金融に関わるプロジェクトのため、関連する法律や規制の改正などがあると、それに基づくシステム変更にもスピーディに対応しなければなりません。Slack を使えば、蓄積した知見をカテゴリー別に管理しながら、対象メンバーを限定してセキュアな状態で共有できるため、機密情報のやりとりが多いプロジェクトでも、安心して適切なコミュニケーションが可能となります。

メンバーへの打ち合わせに関する声がけやナレッジ共有、進捗報告など、同プロジェクトでは日々の業務にも Slack を活用しており、プロジェクトに関する Q&A チャンネルでは、ピン留め機能などを上手く使って、問い合わせに漏れなく回答できる体制も整えています。

また、それまでは通訳を介していた海外のメンバーとも Slack 上で直接コミュニケーションが取れるようになったことで、時間や工数のムダが大幅に削減でき、生産性の向上に繋がったといいます。絵文字による気軽なリアクションや交流でメンバー同士の距離も近づき、プロジェクト内の雰囲気も良好になっているため、今後さらなる効率化を目指して、モバイルでの利用や他の海外パートナー企業も参加できるような、より良い環境の構築を目指しているそうです。

「インターナショナルなプロジェクトチームでは、海外のメンバーとも Slack で直接やりとりすることで距離が近づき、業務効率化だけでなく、プロジェクト内の雰囲気も向上しています」

富士通株式会社Uvance Core Technology 本部 Tech Standardize 統括部 Developers Platform 部細井 雄介 氏

離れていても同じ空気でつながれる業務プラットフォームとしての Slack

文字だけでなく、時には同期的な音声コミュニケーションも Slack 上でシームレスに行われています。細井さんは「簡易的なミーティングや、Slack 上のやりとりの延長線として突発的な会話に発展する際は、ハドルミーティングで通話を行うこともあります。別の通話アプリに切り替える手間もなく、Slack 上にメモを残すこともできるので、とても使いやすいです。その場にいないメンバーでも、ログを見ればいつでもキャッチアップでき、チャンネル自体がデジタルなプロジェクトルームとして機能しています」と、非同期コミュニケーションとの組み合わせによるさらなる利便性を語りました。

Slack を業務の中心となるプロダクティビティプラットフォームとして、様々な機能との連携で仕事の生産性を高め、新たなコラボレーションの可能性を広げている富士通。毎日のコミュニケーションにおいても、個人のタイムラインチャンネルでメンバー同士が近況を発信し合うなど、同じオフィス空間にいた時のようなお互いの声がけや助け合いも生まれています。当初目指していたテレワークに適したオープンで新しい文化が醸成され、働く場所が離れていても Slack を基点として「つながり」を感じながらより効果的に働くことができるようになっています。

富士通が「Work Life Shift」によって目指すのは 1 人ひとりのウェルビーイングの実現。日本を代表する企業のひとつである富士通が、新しい時代へ向けて Slack とともに進み、価値ある働き方のあるべき姿を示すことで、社会全体にも良い波及効果が期待できそうです。

本事例は 2023 3 月時点の内容です。

「その場にいないメンバーでも、ログを見ればいつでもキャッチアップでき、チャンネル自体がデジタルなプロジェクトルームとして機能しています」

富士通株式会社Uvance Core Technology 本部 Tech Standardize 統括部 Developers Platform 部細井 雄介 氏