コミュニケーション能力という言葉自体は聞き慣れているものの、具体的にどのような能力を指すのか、コミュニケーション能力の「高い」「低い」とは何をあらわしているのかは、はっきりと説明できない方もいるでしょう。
今回は、コミュニケーション能力の意味や構成要素、コミュニケーション能力が高い人や低い人の特徴について解説します。コミュニケーション能力を高める方法にも触れていますのでぜひ参考にしてください。
コミュニケーション能力とは他人との関係性を築く能力
コミュニケーション能力と聞くと、淀みなく話したり、他人と楽しく会話を交わしたりできる能力をイメージするかもしれません。つまり、コミュニケーション能力の本質は「人との関係性を築く能力」にあると言えます。そのため、仕事に限らず、社会生活や家庭生活を営むうえでも重要な能力と言えるでしょう。
ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力
ビジネスシーンで求められるコミュニケーション能力は、一般的なコミュニケーション能力よりもさらに具体的です。自身の意図や計画を周囲に伝え、他者を巻き込むことができれば、1 人では不可能な仕事も可能になります。しかし、他者を巻き込むためには、相手に理解させる・納得してもらうために説得する能力が必要になるのです。また、物事を順序立てて論理的に伝える能力も求められるでしょう。このように、ビジネスシーンにおいては「仕事を円滑に進めるための伝え方」を実践できることがコミュニケーション能力と言えます。
外交的とコミュニケーション能力は異なる
コミュニケーション能力が高い人は外交的というイメージがあるかもしれません。しかし、外交的であることとコミュニケーション能力が高いことは異なります。
例えば、自分が話したいことを一方的に伝えたり、相手の立場や気持ちを無視して話したりする人は、外交的と言えます。しかし、コミュニケーションは双方向の対話によって成立するものですから、コミュニケーション能力が高いとは言えません。逆に、内向的でも周囲の人の気持ちをきめ細かく察知し、相手を気遣う話し方ができる人はコミュニケーション能力が高いと言えます。
コミュニケーションの種類
コミュニケーションは、大きく分けて「言語コミュニケーション」「非言語コミュニケーション」の 2 種類があります。言語コミュニケーションとは、言葉を介したコミュニケーションのことです。非言語コミュニケーションは、ノンバーバルコミュニケーションとも呼ばれ、声のトーンや表情、しぐさのほか、会話のニュアンスや背景状況なども含まれます。このように、コミュニケーションには「言葉」以外の要素も含まれる点を押さえておくことが重要です。
コミュニケーションのスタイル
コミュニケーションのスタイルには、1 対 1 で対話をするスタイルと組織内で意思疎通を図るスタイルがあります。1 対 1 の場合には相手と直接やりとりをするため、相手に合わせた伝え方ができれば言いたいことが伝わるでしょう。一方、組織内にはさまざまな立場や考え方の人がいます。会議などで同じ伝え方をした場合、どのように伝わるかは相手によって異なるのです。同じコミュニケーションという言葉でも、1 対 1 と組織内では、求められている能力には違いがあることを押さえておく必要があります。
コミュニケーションの役割
コミュニケーションには「情報交換や共有」「人間関係の構築」「相手への働きかけ」といった役割があります。ここでは、それぞれの役割についてご紹介しましょう。
情報交換や共有
お互いが把握している情報を伝え合い、共有するにはコミュニケーションが不可欠です。形式的に伝達するだけでなく、ニュアンスや背景状況も含めて同じ質や量の情報を共有するには、コミュニケーションを取り合う必要があります。
人間関係の構築
コミュニケーションをとることで人間関係が構築されれば、信頼関係も生まれるきっかけになるでしょう。周囲の人々と言葉を交わし合うことで相手について理解し、自分の考えを伝えることができます。
相手への働きかけ
説得や依頼、指示などは、いずれも相手に働きかけるためのコミュニケーションです。相手に行動を促したり、協力を依頼したりするには適切なコミュニケーションが必要になります。
コミュニケーション能力を構成する要素
コミュニケーション能力は「言語」と「非言語」、「伝える力」と「聴く力」の各要素によって成り立っています。これらを組み合わせた能力が、コミュニケーション能力の主な構成要素です。
言語×伝える力
言葉を使って理路整然と伝える力は、コミュニケーション能力の重要な要素です。伝える順序や必要な背景情報、自分と相手との立場の違いなどを踏まえ、適切な言葉を選んで伝える力が求められます。
言語×聴く力
コミュニケーションは双方向のやりとりのため、相手が伝えようとしていることを聴く力も大切な要素です。相手の話を最後まで聴き、意思を受け止める姿勢で臨むことが求められます。
非言語×伝える力
コミュニケーションは、話す声のトーンや表情、しぐさなどを効果的に駆使して伝えることも大切な要素になります。言葉以外の要素から伝わる情報や、相手に与える印象を意識することが大切です。
非言語×聴く力
相手の意思や感情を読み取るためには、非言語要素に気づく力もコミュニケーション能力の要素です。表情や視線、しぐさ、声の抑揚などをよく観察し、相手の気持ちや伝えようとしているニュアンスを読み取る必要があるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人とは
コミュニケーション能力が高い人には、どのような特徴があるのでしょうか。共通して見られる主な特徴を紹介します。
伝わることを重視
コミュニケーション能力が高い人は、相手に「伝わる」ことを重視しています。自分が何を話したいか、どう伝えたいかではなく、どうすれば目の前の相手にうまく伝わるかを優先しているのが特徴です。
聴くことを重視
自分が一方的に話すのではなく、相手が言っていることや伝えようとしていることにじっくりと耳を傾けられるのも、コミュニケーション能力が高い人の特徴です。相手は「きちんと聴いてもらえる」と感じることによって話しやすくなるでしょう。
ジェスチャーや話し方なども意識
コミュニケーション能力が高い人は、話す内容だけでなく、話す時のジェスチャーや話し方も意識しているという特徴があります。聞き手は言葉以外からも多くの情報を得られるため、より理解しやすくなるのです。
相手に興味や関心を持つ
話す相手に対して興味や関心を持ち、相手の状況や気持ちを踏まえて話せることもコミュニケーション能力が高い人の特徴と言えます。興味・関心があれば、自然と相手に合わせた話し方ができるでしょう。
相手の気持ちがわかる
相手の様子から今の気持ちを察することができるのも、コミュニケーション能力が高い人の特徴です。相手がどう感じているのかを尊重できるため、人間関係において軋轢が生まれにくくなります。
相手のモチベーションを高める
自身の感情を的確に伝え、相手の感情を揺さぶれることも、コミュニケーション能力が高い人の特徴と言えます。相手のモチベーションを高められる能力と言い換えてもよいでしょう。
話が魅力的
話の内容が興味深く、相手を引き込む力に優れているのも、コミュニケーション能力が高い人の特徴です。相手や場の雰囲気に合った話題や言い回しを選べる人は、魅力的な話し方ができる傾向があります。
結論から先に話す
コミュニケーション能力が高い人は、結論から先に伝えるようにしています。聞き手は話の全体像をとらえたうえで耳を傾けるため、何を言いたいのかが理解しやすくなります。
的確な質問ができる
疑問点や不明点について的確な質問ができる人は、コミュニケーション能力が高いと言えます。相手の話を聞いて正しく理解しているからこそ、的確な質問ができるのです。
話をまとめることができる
話をうまくまとめられるのも、コミュニケーション能力が高い人の特徴と言えます。話題全体の趣旨や流れを正確に聞き取り、頭の中を整理しながら聴いているため、話の要点をまとめられるのです。
相手に好感を持たれる
コミュニケーション能力が高い人の特徴として、会話を交わした相手から好感を持たれるということも挙げられます。話していて楽しいと感じるため、また会って話してみたいと思ってもらえるのです。
人を動かすことができる
相手の感情に訴えかけ、人を動かすことができるのもコミュニケーション能力に長けた人の特徴と言えます。人が理屈では動かないことを理解しているため、感情を込めて話すことで相手の心を揺さぶるのです。
コミュニケーション能力が低い人とは
コミュニケーション能力が低い人には、どのような傾向が見られるのでしょうか。次に挙げる特徴に当てはまる場合には、改善することでコミュニケーション能力を伸ばせる可能性があります。
相手の話を最後まで聞かない
相手の話を最後まで聞かず、自分の意見や考えを話し始めてしまう人はコミュニケーション能力が低い特徴があると言えます。相手が何を伝えているのかを理解していないため、会話が食い違いやすくなるため、結果として「話しても伝わらない」「理解してもらえない」と思われてしまうのです。
伝えたいポイントが不明確
伝えたいポイントがはっきり伝わらないことも、コミュニケーション能力が低い人の特徴です。結論から話していないことや、伝えるべきことが 1 つに絞られていないことが主な原因と考えられます。
相手に興味や関心を持たない
相手に対する興味や関心が薄い人は、コミュニケーションがうまくとれない可能性があります。相手がどのような状況に置かれており、どう感じているのかを察することができないため、自分の言いたいことを一方的に主張しがちになるのです。
相手の立場や考えを理解しようとしない
自分と相手は立場も状況も異なることを理解しようとしないという点も、コミュニケーション能力が低い特徴と言えるでしょう。相手の立場や考えを理解しようと耳を傾けながら会話をしていないため、コミュニケーションが成立せずに自己主張に徹する結果になりかねないからです。
コミュニケーション能力を向上させる 2 つのポイント
コミュニケーション能力を向上させるには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。特に重要な 2 つのポイントを押さえておきましょう。
伝える力を磨く
コミュニケーション能力を向上させるには、自分が伝えたい内容を簡潔・的確に伝える力を磨いていくことが大切です。相手が理解しやすいよう順序立てて話すことや、結論から話し始めること、言葉だけでなく表情や声のトーン・しぐさなども連動させることによって、相手が理解しやすい話し方になるよう心掛けましょう。
聴く力を磨く
伝える力だけでなく、相手の話に耳を傾ける力も伸ばせれば、コミュニケーション能力を向上することができます。自分が言いたいことを伝えるだけに終始せず、相手が何を言おうとしているのか、どのような気持ちであるのかを知るために、じっくりと聴く習慣を身につけてください。聴く力を磨くには、まず相手に対して興味や関心を持つことが重要です。
コミュニケーション能力を鍛えられるビジネスシーン
日々のビジネスシーンにおいても、コミュニケーション能力を鍛えられる場面は多々あります。次に挙げるようなビジネスシーンを利用し、伝える力や聴く力を向上させましょう。
報告、連絡、相談
報告、連絡、相談、いわゆる「報連相」は、まさしくコミュニケーション能力を鍛えられるビジネスシーンと言えます。自分が何を伝えたいかではなく、相手が何を知りたがっているのか、必要としている情報は何かを考え、順序立てて話すよう心掛けてください。報連相を受ける側の立場であれば、相手が何を伝えようとしているのか、じっくりと耳を傾けるといいでしょう。
議事録作成
会議などの議事録を作成する際にも、コミュニケーション能力を鍛えることができます。会議で発言した人がそれぞれ何を伝えようとしているのか、じっくりと耳を傾けましょう。そして議論や協議のポイントを整理し、読む人に会議の要点が伝わるように記載してください。
プレゼンテーション
プレゼンテーションもコミュニケーション能力を鍛えられるビジネスシーンと言えます。伝えたいポイントが強く印象に残るよう構成を検討したうえで、当日は聞き取りやすいテンポや聞く人の理解度に合わせた話し方を意識することが重要です。
Slack でコミュニケーションを補完する方法とは?
コミュニケーションツールの「Slack」を活用することにより、お互いにとってコミュニケーションを図りやすい状況を作ることができます。コミュニケーション能力を補完する Slack の使い方を見ていきましょう。
チャンネルなどを作成し、コミュニケーションに活用する
Slack 上で複数名が参加するチャンネルを作成することにより、メンバーの考えや意見に対する理解を深められます。そのうえで対話を交わすことで、相手の状況や背景にある情報を踏まえたコミュニケーションが実現しやすくなるでしょう。
議事録などを canvas に集約し、コミュニケーションに活用する
会議や打ち合わせの議事録を canvas に集約することにより、これまで話し合ってきた経緯を可視化します。過去にどのような話し合いがなされたのかを知りたい場合には、canvas 内を検索することで素早く見つけることも可能です。プロジェクトの途中から参画したメンバーとの間に情報格差が生じるのを防ぎ、円滑なコミュニケーションを図るうえで役立つでしょう。
クリップやテキスト投稿で場所や時間が異なるメンバーとのコミュニケーションに活用する
離れた場所で就業しているメンバーや、時差勤務などにより話せる時間帯が限られているメンバーとも、Slack のクリップやテキスト投稿を活用することでコミュニケーションを図れます。音声クリップや動画クリップを活用すれば、文字だけでは伝えにくいニュアンスも伝えられるでしょう。
社外との連絡も Slack コネクトを利用することでコミュニケーションに活用する
Slack コネクトも、社外とのコミュニケーションに活用できます。非連続的なやりとりになりがちなメール上でのコミュニケーションを Slack のチャンネルに移行することにより、社外とのコミュニケーションがよりスムーズに行えるでしょう。絵文字リアクションを活用すれば、文字だけでは伝えにくい感情も含めたコミュニケーションが可能になります。
ハドルミーティングを活用し、リアルタイムなコミュニケーションを実現する
Slack はチャンネルやダイレクトメッセージ(DM)からハドルミーティングへと素早く切り替えることができます。必要なタイミングで音声通話やビデオ会議へと切り替えることにより、リアルタイムなコミュニケーションが実現可能です。お互いの声のトーンや表情を確認しながらコミュニケーションをとっていくことで、相互理解を深められるでしょう。
伝える力と聴く力を伸ばしてコミュニケーション能力を高めよう
コミュニケーション能力は、ビジネスシーンにおける良好な人間関係を築くとともに、相互理解を深めることによる業務の質向上にも欠かせない重要な能力です。コミュニケーション能力は伝える力だけでなく聴く力も含まれます。また、言語のほか非言語の要素もコミュニケーションに大きな影響を与えていることを知っておくことが重要です。伝える力と聴く力をバランスよく伸ばすことを意識して、ぜひコミュニケーション能力を高めてください。
よくある質問
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