コラボレーション

リーダーによる社内コミュニケーションや情報発信に役立つ 4 つの実例

刺激を与え、やる気を引き出し、勇気づけるためにリーダーが実践しているパブリックコミュニケーション戦略とは

Slack チーム一同作成2019年6月13日

リーダーのコミュニケーションスタイルは、従業員のやる気や成果に大きな影響を与えます。『International Journal of Management & Business Studies』にも書かれているように、優れたコミュニケーションとは、つまるところ「チームによるプロジェクトの成功だけでなく、組織の成功と成長にも役立つ」ものなのです。

リモートでの共同作業が日常となった今日の職場環境でも、実際に何をするかに加えて、どのように伝えるかが依然として重要です。すなわち、自信を持って話し、励ましの言葉をかけ、専門知識に基づいた情報を提供し、決断を明確に伝えるコミュニケーションが求められます。そこで今回は 4 人のリーダーの例を紹介し、そこからリーダーがチームメンバーとコミュニケーションをとる際に役立つヒントを探っていきたいと思います。

Brené Brown 氏 :「弱さを見せること」が持つ力

「弱さを見せること」は弱さとイコールで捉えられがちですが、Brené Brown 氏によると、実際は真逆だといいます。教授である同氏は 5 冊のベストセラー、多くの人に視聴されている 2 つの TED トーク、および Netflix スペシャル『The Call to Courage』(邦題 : 『勇気を出して』)において、リーダーのコミュニケーションスキル向上に役立つ知見を伝えています。

有名な 2012 年の TED トークではこう語っています。「弱さを見せることと、弱さは同じではありません。弱さを見せることとは、感情的なリスクをとって、不確かさを表出することだと私は考えています。それは私たちの日々の生活の活力となるものです。だから私は、弱さを見せることとは、勇気を正確に測る物差しだと考えるようになりました」

また Brown 氏は、あるビジネス関係のイベントで「恥」などではなくイノベーションや創造性、変革について話してほしいと言われた時のことに触れ、弱さを見せることこそが、それらの源であると指摘しています。「創造とは、それまでなかったものを生み出すことです。それほどに、はかなく脆いものはないでしょう。変化に適応するとは、つまるところ、弱さががもとになっているのです」

心を開くことは、同僚と難しい会話をする時だけでなく、新しい取り組みに挑戦したりアイデアを試したりする際にも重要です。心地よい場所に安住せず、勇気を求めましょう。ときには、失敗する可能性のある状況や、答えが得られるとは限らない状況にも飛び込んでみることが大切です。

Scott Kelly 氏 :共通点がチームを結束させる

優れたリーダーは、小さなことから始めて共通の目標に向かってチームを導く方法を知っています。米国の宇宙飛行士 Scott Kelly 氏も、その一人です。同氏とロシアの宇宙飛行士 Mikhail Kornienko 氏は、立場の違いにもかかわらず、地球を周回する国際宇宙ステーションで 340 日間の共同作業をやり遂げ、結束や連帯、プロ意識を示しました。

NASA の宇宙飛行士としての 20 年のキャリアの中で 4 度の宇宙飛行を経験した Kelly 氏は、個人的な問題や政治的な問題がミッションに影響する可能性があることを認識しつつ、共通点を見つける機会は常にあると言います。Harvard Business Review のインタビューでは、こう述べています。「たとえ最高の友人同士ではなかったとしても、お互いが信じること、思い入れの強いこと、双方のメリットになることを目指して、協力することができます」。

チームメンバーの心に響くような共通のビジョン・目標・価値を明確に述べることは、リーダーの務めです。Kelly 氏はかつて同僚の宇宙飛行士である Cady Coleman 氏から、もっと自分を出すようアドバイスされたといいます。そこから、自身のストーリーや経験を皆と共有するようになったのです。同氏の親しみやすいコミュニケーションスタイルは、NASA の活動に対する大衆の関心や支援を集めるのにも役立ちました。

Michelle Obama 氏 :自分らしく、人間らしく、ユーモアも忘れずに

完全に落ち着き払っているリーダーもいれば、即興で自分に正直に行動するタイプのリーダーもいます。その両方を兼ね備えているように見えるのが、Michelle Obama 氏です。

元ファーストレディである Obama 氏は、回顧録『Becoming』(邦題 :『マイ・ストーリー』)を PR するツアーでブルックリンのバークレイズ・センターを訪れ、満員の聴衆を前に、詩人の Elizabeth Alexander 氏と女性の平等と成功を妨げる障壁について対談を行いました。Obama 氏は、世間で話題を集めていた「リーン・イン」(女性一人ひとりが仕事に積極的に挑戦すること)という考え方に触れてこう述べました。

「皆さん、いまだに結婚は平等ではありませんよね。リーンインするのに十分な環境が常にあるわけじゃないんです。なぜって……実際そうだから」。

その率直な発言を受けて、会場は笑いと喝采に包まれました。卓越した人格を持つ同氏は、真実をユーモアたっぷりに、自分を偽ることなく、熱意を持って語ります。このように、リーダーがチームメンバーと接するときも、人間らしさを忘れないことが大切です。

Obama 氏は大統領夫人であった当時、(少なくとも私たちが知っている限り)大衆の前で軽口を叩くようなことはありませんでしたが、人々に馴染みのある現実世界のテーマを取り上げることはよくありました。自分の人生や仕事、家族に関する個人的なエピソードをしばしばスピーチに取り入れていたのです。これはリーダーシップコミュニケーションのひとつの見本になるでしょう。

『Becoming』には次のように書かれています。「あなたのストーリーはあなたが持っているものです。これからもずっとそう。それはあなた自身のストーリーなのだから」。

Indra Nooyi 氏 : だめな時に平気なふりをしない

Indra Nooyi 氏が 2006 年に PepsiCo の CEO に就任した時、同社の先行きは不透明な状態でした。そこで同氏は自身の立場を使って、会社が直面していた課題を公にしたのです。

Nooyi 氏はCNBC のインタビューでこう語っています。「私が学んできたことのひとつは、決して人々に嘘をついてはならないということ。つまり、現実と異なることは決して言ってはいけないのです」。

Nooyi 氏が真実を語ろうとしたのは、スピーチだけではありません。Fortune によれば、同氏は幹部たちを連れて小売店やレストランを一日中見て回り、後で問題の当事者に送信できるよう、販売方法に関する問題点を詳細にチェックして写真に収めていたといいます。

「事業が完璧になるまでレベルを引き上げ続ける必要があります。非の打ち所をなくすというのが、私たちの究極の目標なのです」。

この確固たる(時に反感を買うこともある)実直さが、Nooyi 氏の成功を導く大きな要因となりました。2006 年に 350 億ドルだった PepsiCo の収益は 2017 年には 635 億ドルまでに上昇し、株主への配当も 162% 増加。手腕を疑問視する声を払拭しました。

このストーリーから得られる教訓、それは、思っていることを正直に話し、その言葉を守り、良心に従って行動することが大切だということです。Nooyi 氏の勇気あるコミュニケーションスタイルは、失敗を素直に認めることは決して失敗ではないと教えてくれます。

リーダーとしての社内コミュニケーション・情報発信スキルを磨くために

今回紹介した 4 名は、業界、考え方、リーダーシップスタイルの点では、それぞれ大きく異なります。しかし、そこから得られる教訓は、リーダーの立場にいるすべての人に当てはまるものでしょう。

自らの職場で、コラボレーションと理解の文化を育みたいと思っているリーダーにとって、このようなコミュニケーションの実例はきっと参考になるはずです。自分のチームのメンバーに対し、弱さを見せることを認め、自分をオープンにして、自分らしく行動し、正直に接するにはどうすればよいかを、ぜひ考えてみてください。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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