従業員のモチベーションやエンゲージメントが低い場合、その原因をツールやプロセス、さらには職場の文化のせいにするのは簡単です。しかし、ほとんどの場合、従業員のやる気の欠如は良いリーダーの不在が原因です。
良いリーダーは、Vega Factor の共同創業者である Lindsay McGregor の言う「従業員のトータルモチベーション」を引き出すことができます。 McGregor によると、「リーダーは従業員が仕事をうまく進めるだけでなく、各自が役割に目的を見いだせるよう刺激を与えなければならない」といいます。そこで今回は、リーダーがチームとのつながりを深め、協調的なリーダーシップを発揮し、メンバー 1 人ひとりがベストを尽くせるようにするための 4 つの方法を紹介します。
1.フォロワーにもなれるリーダーが信頼される
良いリーダーは不必要に権威をかざしません。「I Follow, Therefore I Lead,」という研究論文を発表した心理学者の Kim Peters と Alex Haslam によれば、リーダー自らほかのメンバーのリードに従えることを示すこと、そしてチームの一員として積極的に仕事をする姿勢を見せることは、リーダー自身にとってメリットになるといいます。
Peters と Haslam は、Harvard Business Review 誌のなかで「リーダーは『チームの一員』と見られる必要がある」とも述べています。 彼らの分析によると、自分が生まれつきのリーダーであるかのように振る舞う人はチームからリーダーとして認めてもらえず、自分のことを「フォロワー」と呼ぶ人の方が最終的に出世してリーダーになったことがわかりました。
2.良いリーダーの情熱とポジティブさが従業員の成果につながる
大手リサーチ企業 McKinsey のアナリストは、140 人あまりの企業リーダーへの取材から、より良いリーダーになるための「センタード・リーダーシップ」の 5 つの大事な資質を特定しました。
- 仕事に意義を見いだす
- つながりとコミュニティを活用する
- ストレスや不安をチャンスに変える
- リスクがあっても行動を起こす
- モチベーションによってメンバーの士気を保つ
自分の仕事に熱意を示し、その情熱を周囲に伝えることは、成果と従業員エンゲージメントを高めるのに役立ちます。変化の激しい時代において、メンバーが物事に進んで取り組みリードできるようにすることは、チーム内で協調的なリーダーシップを促進します。
3.良いリーダーは組織の健全性を優先する
良いリーダーは、目の前の仕事を完了して次の目標を目指すだけでなく、全体的な組織が健全であることを大切にします。
McKinsey の調査では、組織の健全性に役立つ 4 つの主なリーダーシップのレシピ(つまり経営習慣の組み合わせ)を提案しています。そのなかにはイノベーションと人材開発を優先するレシピ、競合他社と財務分析にフォーカスしたレシピなどがありますが、チームを支える観点から見て、良いリーダーに必要なのは次の 5 つの資質です。
- 成長する機会を与える
- 従業員のやる気とモチベーションを高める
- オープンで、人を信頼している
- 金銭的なインセンティブを提供する
- リスクを評価・管理する
良いリーダーとしてオープンで率直なコミュニケーションができる環境を作ると、LEADx.org の創設者 Kevin Kruse の言う「エンゲージメントの収益チェーン」を活性化することができます。 これは、従業員エンゲージメントをきっかけとして始まる一連のアクションで、組織全体の大規模かつ長期的な成功につながるものです。
4.メンバーを大事にすれば、ミッションが大事にされる
マネージャーは、チームに対して心から関心と信頼を示す必要があります。McKinsey の調査によると、従業員へのサポートは、問題解決、コラボレーション、生産性向上などと併せて効果的なリーダーシップ全体の 89% を占めています。
自分や企業よりも従業員の幸福と生産性を優先することは「サーバントリーダーシップ(奉仕型リーダーシップ)」の土台となる考え方であり、これは Slack の Global Workplace and Real Estate 担当バイスプレジデントである Deano Roberts が目指しているものです。Roberts は「メンバーを大事にすれば、ミッションが大事にされる」と話します。
良いリーダーシップが信頼の基盤を築く
良いリーダーは、従業員にサポートとフィードバックを提供すること、そしてその貢献や成果を認めることが一番大事な仕事だとわかっています。また良いリーダーは、チームのよいお手本になっているかどうか自分で気づき、客観的に評価することもできます。従業員に期待する行動のお手本をまず自ら示すことで、良い時も悪い時もエンゲージメントの高いチームを作ることができるのです。