最近の仕事では「前と同じように」が通用しなくなりました。多くの企業が働き方を大きく変えましたが、だからと言ってビジネスが失速したわけではありません。職場で肩を並べる時間がほぼ(または完全に)なくなったこの 1 年ですが、そろそろ振り返りの時期です。
しかし、心配はいりません。年度振り返り面談は、従業員にとっても上司にとっても不安なものですが(なかにはその意義を問う人もいます)、方法によっては方向性を揃えてやる気を高める時間にすることもできるのです。この記事は、年度振り返りの人事評価を「乗り切る」ためのガイドです。
今回紹介する方法で面談のストレスを減らし、成果を高めることができれば、新たな年度を前向きな気持ちで迎えられるでしょう。
自己評価を記入する時のポイント
たいていの場合は、上司との人事評価面談の前に、自己評価を記入するように求められます。そのためには、次のような準備が必要です。
- 自分の職務内容と今年の目標を確認する
- カレンダー、保存したメールやメッセージ、その他のメモを振り返り、自分の成果をリストアップする
- 自分の成果がチームや部門の成功にどのように貢献したか整理する
これらを日頃からまとめておけば、年度末の自己評価の際に情報を集めるのも簡単です。成果のリストアップは、準備作業の最初のステップにすぎません。次のステップは、あなたが達成したすべての成果の効果を上司にしっかり理解してもらうことです。
遠慮は無用 : 人事評価面談では最高の成果を強調する
人事評価面談は、自分を卑下する時間ではありません。この 1 年間、自分が職務で果たしたことを堂々と主張しましょう。自分を褒めるのは気が進みませんか?リーダーシップと自己啓発のコーチである Jane Scudder 氏は、評価指標に語らせることを提案しています。「説得力のある自己評価には評価指標が伴うため、その数字をそのまま伝えるのもよい方法です。『2017 年にチームの大きな成功に貢献した!』と書くのではなく、『2017 年の売上目標を 135% 以上上回った』と書いてみましょう」。
指標をあまり重視しない分野であっても、似たような仕事をしている同僚と比べてどうだったか説明できるかもしれません。また、自分のスキルや技術が前年と比べてどのくらい成長したかをしっかり評価してもらえるように伝えるのもよいでしょう。新年度が始まったら、上司と一緒に自分の職務における成功の基準を確認しましょう(あなたが上司なら、その基準をメンバーに伝えましょう)。
自己評価へのフィードバックを事前に依頼する
Scudder 氏は、自己評価を同僚と見せ合って、自分にとって最高の成果を盛り込んでいるか(そして余すところなく伝えているか)を確認するよう勧めています。「書いた自己評価や成果を軍事機密ではありません。隠すのではなく、親しい同僚や社外の人と見せ合ってみましょう!」。
人事評価面談は対決の場ではない
人事評価面談は上司と対決する場のように感じられるかもしれませんが、実際には両者にとってすり合わせの時間です。評価に関する不安を軽減する最善の方法は、普段から上司とメンバーがこまめにコミュニケーションすることです。
人事評価面談における上司の役割
上司は、年度の初めに各メンバーの目標を設定し、その後定期的にフォローアップを行うなどコミュニケーションの計画を立てます。また普段から各メンバーのパフォーマンスを記録しておけば、人事評価面談の際に適切なフィードバックができるでしょう。人事評価面談では、称賛だけでなくネガティブなフィードバックも、目的を持って的確に伝えるようにします。
人事評価面談におけるメンバーの役割
J. Knipper and Co. の人事部長である Stephanie Gibson 氏は、メンバーに対して定期的にフィードバックを行うのは本来上司の役割であるものの、それが期待できない場合はメンバーから切り出すべきだと述べています。「未来は自分の手で切り拓くものなので、自分からフィードバックを求めるべきです」と、同氏はアドバイスします。「自分の評価は常に把握しておかなければなりません。どんな特殊なプロジェクトでも何らかのフィードバックを受けるべきですし、それが期待を満たすものだったかどうかを知るべきです」。
ネガティブなフィードバックを受けたら
Gibson 氏によると、その年のパフォーマンスについて上司と意見が合わない場合は自分自身を擁護してもよいそうです。「上司との関係がうまくいっていないと自覚しているのなら、必ず情報を用意して臨まなければなりません。そして、フィードバックに異議を唱える勇気が必要です」。 ネガティブな認識を変えるには、自己評価の手綱を自分が握ることで対処するしかないと同氏は説明します。
もちろん、職場で反対意見を建設的に述べる方法も色々ありますが、警戒しながら面談に臨むことのないようにしたいものです。というのも、警戒しているといとも簡単に防御的な態度を取るからです。上司のフィードバックにすぐに納得できない場合は、少し時間をもらい、改めてフォローアップミーティングを設定するとよいでしょう。
コンサルタントでハーバード大学ロースクールの講師でもある Sheila Heen 氏によると、ネガティブなフィードバックが気になって仕方がない時は封じ込めチャートを作ることが有効だそうです。同氏は次のように TED で語っています。「紙に、2 つの列を作ります。一方の列には、そのフィードバックが伝える内容を書き、もう一方の列には、そのフィードバックが伝えていない内容を書きます。例えば、会議でもっと発言するように言われたとしましょう。この時、上司はあなたの会議での発言が要領を得ないとか、情報が不十分だと言っているのではありません」。
人事評価面談は、上司から一方的に評価を受ける場ではありません。メンバーは、この機会に質問したり情報を共有したりすることで、上司の間に有益な会話が生まれます。
あなたが上司の立場なら、メンバーはやや緊張して人事評価面談に臨んでいることに留意してください。そして、あなたにできる限りのサポートをする意思があることを示す質問をすることで、そのストレスを軽減できます。キャリアサイト「The Muse」の Editor である Katie Douthwaite Wolf 氏によると、次の 4 つの質問が効果的だそうです。
- どのように報われたいか?
- どのように働きたいか?
- 自分のマネジメントスタイルで好きではない点は?
- あなたの仕事をしやすくするにはどうしたらよいか?
こうした質問をすることで、人事評価面談は、メンバーがその職務でどれだけ活躍できたかを確認するだけでなく、上司がどんな点を改善できるかを示す場となるのです。
両者が年度末のレビューを 1 年間の会話の自然な集大成のように扱えば、お互いのストレスがかなり減るでしょう。振り返り面談は、これまでの 1 年を振り返り、来たる 1 年に備える機会です。それでもこの時期にストレスが溜まるのなら、年度末のパーティーで一緒に発散しましょう。
執筆協力 : Nic Vargus 氏