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インシデントとは?事例やインシデント管理の方法を解説

インシデントとは、事故が発生するおそれのある状態のことです。重大な事態への発展を防ぐためのインシデント管理を、具体的な事例を交えてフェーズごとに解説します。

Slack チーム一同作成2023年6月16日

ビジネスシーンで「インシデント」という言葉を耳にするものの、「ヒヤリハット」や「アクシデント」との違いがわからないと感じていませんか?

今回の記事では、IT 業界におけるインシデントの定義や事例、インシデント管理の重要性について解説します。インシデント管理を効率的に行うポイントやよくある課題にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

インシデントとは事故が発生するおそれのある状態のこと

インシデント(incident)とは、出来事・事件といった意味の英語がもとになっている言葉です。ビジネスにおいては、実際には事なきを得ているものの、事件や事故につながりかねない状態のことを指します。

ただし、インシデントのニュアンスは、業界や業種によって異なる場合があります。例えば、IT 業界におけるインシデントとは、システムが正常に利用できない状態のことです。一方、情報セキュリティ分野では、メールの誤送信やマルウェアの感染など、情報漏洩につながる状況が発生していることをインシデントといいます。同じインシデントでも、業界によって異なる事象を指し示している点に注意してください。

インシデントとヒヤリハット・アクシデントとの違い

事件や事故が発生する手前の状況と聞くと、ヒヤリハットやアクシデントを連想する人も多いでしょう。ここでは、インシデントとそれらの用語との違いを解説します。

インシデントとヒヤリハットの違い

ヒヤリハットとは、重大事故につながりかねない事態が起きていることを発見し、ヒヤリとしたりハッと気づいたりすることを指します。事件や事故に直結する状況が発生していること自体は、インシデントとの共通点です。

ただし、ヒヤリハットは人的ミスが原因であるのに対して、インシデントは必ずしも人的ミスとは限らないという違いがあります。また、ヒヤリハットは医療や看護、建設業、製造業などの現場で使われるケースが多いのも特徴です。

インシデントとアクシデントの違い

アクシデントは、事故という意味をあらわすことから、すでに事故が起きている状態のことをいいます。

一方のインシデントは、事件や事故が起きる前の状態を表している点が大きな違いです。インシデントはアクシデントの手前の状態と考えていいでしょう。

インシデントの事例

続いては、インシデントの具体的な事例を紹介します。どのようなケースがインシデントに該当するのか、イメージするうえで役立ててください。

システム障害

メールの送受信ができない、システムにアクセスしにくい状態になっている、アプリの不具合が発生しているといったシステム障害はインシデントに相当します。不測の事態が発生する手前の状態のため、早急に原因を突き止めて解決する必要があります。

サイバー攻撃やウイルス感染

サイバー攻撃やウイルス感染といった外部からの攻撃は、システムに発生しているインシデントといえます。情報漏洩などのアクシデントが発生していない場合でも、攻撃を受けている時点で重大な事態が発生しているととらえるべきでしょう。

フィッシングサイト

フィッシングとは、実在する企業やサービスを装って情報を入力・送信させ、重要な情報を盗み出す手口のことです。具体的な被害が発生していない段階であっても、詐欺サイトの存在が判明した時点でインシデントに該当します。

人的ミス

システムの操作ミスや機密情報を含むメールの誤送信など、人が原因のミスもインシデントに該当します。人的ミスが原因で事件や事故が発生していなくても、重大な事態につながりかねないミスであればインシデントととらえる必要があります。

インシデントへの対策

重大な事件や事故を未然に防ぐには、そのような事態につながりかねない状況を作らないことが大切です。インシデントの発生を防ぐための対策について見ていきましょう。

本人認証の強化

パスワード等による本人認証の強化は、基本的なインシデント対策といえます。容易に推測できる文字列やパスワードの使い回しを避けるとともに、定期的にパスワードを更新することが大切です。

また、多要素認証(MFA)の導入やアクセス権の制限など、仕組みのレベルで本人認証を強化しておく必要があります。

セキュリティ管理の強化

従業員の個人的な努力によって、インシデントを防止するのは限界があります。ウイルスやマルウェアが侵入した時点で検知できるよう、セキュリティ体制を強化することも大切です。

また、外部から持ち込んだ記憶媒体にデータを入出力できない仕組みにするなど、そもそもインシデントが発生し得る状況を排除しておくことも有効な対策と言えるでしょう。

業務フローの構築と再確認

業務フローの属人化やブラックボックス化は、インシデントの温床になりがちです。業務フローを整理し、標準化を図ることでインシデントの発生率を抑えることができます。

構築した業務フローは携わるメンバー間で共有し、基本的なフローに沿って業務を進めるよう周知徹底を図りましょう。

社内周知や啓蒙

インシデントとはどのような状態を指すのか、どういった状況がインシデントの発生につながりやすいのかを社内に周知しておくことも大切です。定期的に研修会や勉強会を開催し、インシデントに関する啓蒙活動を実施するといいでしょう。

時間が経つと危機意識は薄れてしまいやすいので、一度だけでなく繰り返し実施する必要があります。

インシデント管理とは?

インシデント管理とは、インシデントの発生から収束までをフェーズごとに管理することを指します。インシデントが発生しないように対策を施すことも大切ですが、インシデントの発生率をゼロにすることは現実的に困難といわざるを得ません。

そこで、インシデントが発生した場合を想定し、どのように対応するのか事前に決めておくことをインシデント管理といいます。重大な事件や事故に発展するのを防ぎ、業務を正常に遂行できる状態に可能な限り早く戻すことが目的です。インシデント管理に取り組むメリットや管理の流れを見ていきましょう。

インシデント管理をするメリット

インシデント管理に取り組むことで、IT システムを安定稼働させることができます。アクシデントが発生する手間の状態で危機を察知し、適切に対応していくことによって、システム自体がダウンするなど重大な事態を避けられるからです。

また、インシデントが発生した場合の対処法を決めておくことで、特定の担当者が都度対応する必要がなくなります。組織全体でインシデントに対処できる体制が整っていれば、より早期に適切な対応をしやすくなるでしょう。一部の担当者に負担が集中するのを防ぐとともに、対応の迅速化につながることがインシデント管理のメリットといえます。

インシデント管理の流れ

インシデント管理は、一般的に次の手順で進めます。

上記の通り、インシデント発生時の初動対応だけでなく、部門間で協力して原因を究明することや、発生した事象を組織全体のナレッジとして蓄積していくことが求められます。インシデント管理は特定の部門が取り組むべき課題ではなく、全社での取り組みとして推進していくべき課題と言えます。

インシデント管理を効率的に行うためのポイント

インシデントへの対応は、できるだけすみやかに進める必要があります。ここでは、インシデント管理を効率的に行うためのポイントを確認しておきましょう。

インシデント管理のフローを見直す

インシデント管理のフローを見直し、具体的に誰が何をするのか明確化しておくことが大切です。次のフローに沿ってインシデントに対処していく仕組みを確立していきます。

インシデントにおける共有内容を決める

インシデントに対して適切に対処するには、緊急度・重要度を見極めたうえで優先順位を判断する必要があります。その際、判断材料として必要な情報が整理されていないことが原因で、意思決定が遅れるケースは少なくありません。

インシデントの発生日時、担当者、カテゴリー、内容など、インシデント発生時に共有すべき事項をあらかじめ決めておくことが大切です。

インシデントにおける情報を可視化する

インシデントに関する情報は社内の誰もが確認できるよう、可視化しておくことをおすすめします。インシデント発生時には対応の進捗状況が共有されるため、タイムラグによる被害の拡大を防げるでしょう。

また、過去に発生したインシデントへの対応履歴を公開することで対応がパターン化され、今後発生するインシデントについても適切に対処しやすくなるはずです。

インシデント管理における課題

インシデント管理に取り組むにあたって、さまざまな課題に直面することが想定されます。インシデント管理が不十分となり、アクシデントにつながることのないよう、次の課題についてはあらかじめ対策を講じておく必要があります。

人材不足

インシデント管理に取り組もうとしても、対応可能なスキルや知見を持つ人材が社内にいないという場合も考えられます。外部から採用するのもひとつの方法ですが、優秀な人材を早期に確保するのは容易ではありません。

人材確保が難しい場合、専門的なスキルがなくてもインシデント管理が可能なツールを活用したり、従業員間で解決策の共有化を図ったりすることをおすすめします。従業員への継続的な啓蒙が求められるでしょう。

インシデントについて共有できていない

インシデントのよくある事例や過去に発生した事象について、十分に情報共有がなされないという問題が出てくる場合もあります。インシデントに直面した当事者だけでなく、従業員間で情報が共有できる仕組みを構築しておくことが大切です。

イントラネットにナレッジ共有のスペースを設置したり、全体ミーティングで情報共有の場を設けたりするといいでしょう。

問題管理ができていない

インシデント管理の当面の目的は、発生したインシデントを解決することです。したがって、根本的な問題解決に至らないケースも珍しくありません。

問題管理とは、インシデントが発生した根本的な原因を究明し、再発防止策を講じることを指します。インシデントが解決しさえすれば良いととらえるのではなく、時間をかけてでも根本的な解決を目指すことが大切です。

インシデント管理のスキルを育てるインシデントプロセス面接

インシデント管理は、事象が発生してから対処法を考えるのではなく、発生した場合を想定してシミュレーションを行っておくことが重要です。代表的なシミュレーションの取り組みとして、インシデント管理のスキルを育てる「インシデントプロセス面接」が挙げられます。

インシデントプロセス面接とは、インシデントが発生したと仮定したうえで、どのように対処していくべきか回答してもらう形式の面接です。インシデントへの初動対応や原因究明、解決策の提示といった一連の思考プロセスが垣間見えることから、対応力・解決力の強化を図るために活用されています。次に、インシデントプロセス面接の手順を見ていきましょう。

インシデントプロセス面接の手順

インシデントプロセス面接の一般的な手順は、面接官が提示した事例をもとに、質問による情報収集で問題点を見つけ出し改善策を絞っていきます。

最終的な解決方法を含め、面接官は面接を通した総合的な評価を判断します。

❶ インシデントを提示

発生したと仮定するインシデントの条件・状況を面接官から伝えます。このとき面接官は、インシデントが起きた具体的な背景などは伏せたまま説明を進行します。

❷ 情報収集・問題の絞り込み

インシデントの背景を把握するため、事実確認などを通じて情報を集めていきます。問題点の絞り込みだけでなく、面接官がどんな基準や条件で解決したいと考えているのか探っていくことが必要です。

❸ 解決策の提示

面接官との質疑応答を通じて判明した原因にもとづき、有効な解決策を提示します。面接官の考えとは異なっていても、発見から解決まですべての過程が評価対象になると考えましょう。

❹ 面接官による評価

提示された解決策の優劣ではなく、解決策に至るプロセスを重視して評価します。面接内容の総合的な振り返りが重要となってくるでしょう。

このように、インシデントプロセス面接を繰り返すことにより、インシデント発生時の対応をシミュレーションすることができます。

実際にインシデントが発生した際には、より適切な対応がしやすくなるはずです。

インシデント管理に Slack を活用

インシデント管理においては、きめ細かなコミュニケーションが欠かせません。ここでは、インシデント管理に「Slack」を活用する主なメリットを紹介します。

インシデントを素早く発見できる

Slack はさまざまなツールと連携できるため、業務で利用しているツールを一元管理できます。いずれかのツールでインシデントが発生した際には、事象を素早く発見して初動対応を行うことができるでしょう。

また、社内にインシデントに関するエキスパートが在籍していれば、Slack でコミュニケーションをとり、タイムラグを最小限に抑えてニアリアルタイムで状況を把握し、関係者に周知することも可能です。

インシデント管理・対策がスムーズ

インシデント管理・対策は、特定の部門だけが取り組むべき課題ではありません。さまざまな部門が連携して協力し合える仕組みを構築しておく必要があります。

Slack にはチャットのほか、ダイレクトメッセージやハドルミーティング、ビデオ会議など、状況に合わせたコミュニケーションの方法が用意されています。インシデントへの対応フェーズに応じて、適切なコミュニケーションの方法が選べます。

ノウハウの蓄積

過去に発生したインシデントへの対応事例を Slack にアーカイブしておくことで、必要な情報をいつでも検索できます。

今後発生するおそれのあるインシデントに関しても、過去の事例に照らし合わせて適切な対処法を素早く確認できるでしょう。

インシデントの定義を理解し、インシデント管理の最適化を図ろう

インシデントとは、具体的な事件や事故には至っていないものの、重大な事態につながりかねない状態を指します。インシデントを未然に防ぐとともに、万が一発生した際には素早く対処できる体制を整えておくことが大切です。

今回紹介したポイントを参考に、ぜひインシデント管理の最適化に取り組んでください。

よくある質問

インシデントとは、実際には事なきを得ているものの、事件や事故につながりかねない状態のことを指します。重大事故につながりかねない事態を示す「ヒヤリハット」の原因が人的ミスであるのに対して、インシデントの原因は人的ミスとは限りません。また、すでに事故が起きていることをあらわす「アクシデント」とは異なり、インシデントは事件や事故が起きる前の状態を表します。
インシデント管理を効果的に行うポイントは、主に下記の 3 つがあります。・インシデント管理のフロー見直し発生時の報告を受け付ける窓口を一本化し、検出された状況・内容を記録したうえで解決策を決定する必要があります。また、解決後には一連の対応を記録し、蓄積しておくことも大切です。・インシデントに関する共有内容の決定インシデント発生時の意思決定が遅れることのないよう、発生日時、担当者、カテゴリー、内容など、具体的な共有事項を明確化しておきましょう。・インシデントに関する情報の可視化インシデント発生時に対応の進捗をリアルタイムに共有することで、被害の拡大を抑えるのに役立ちます。過去のインシデント対応履歴を公開し、適切な対処法を周知する効果も期待できます。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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