職場環境を簡単に定義すると、仕事をする人を取り巻くすべてのものです。その要素としては、まず室温や窓の外の景色など物理的なものがあります。ほかにも挙げられるのが心理的・感情的な要素です。これはチームの仲間意識の有無や、従業員が建設的なフィードバックを定期的に受けられるかどうかなどが該当します。これらあらゆる要素が合わさって、従業員体験の良し悪しが決まるのです。
マズローの「欲求の 5 段階説」を知っている人は多いでしょう。欲求は特定の順序で満たす必要があるピラミッドだとする説です。例えば、食べものがなくて餓死しそうな時に人間関係の心配はできません。職場でも同じことが言えます。生産的な職場文化を作るには、組織ではなく個人に注目し、個人的欲求の 5 つのカテゴリーそれぞれに対処しなければなりません。重要度順に並べると次のようになります。
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- 生理的欲求 : 快適な仕事スペースや、いつでも利用できる安全な飲料水と清潔な洗面所、食事がとれる休憩時間が必要です。
- 安全の欲求 : 従業員は、オフィスで安全を感じる必要があります。ここで言う安全とは、職場の事故を防ぐ対策などの身体的な安全と、ハラスメントを禁止する規定などの精神的な安全の両方です。最近では、新型コロナウイルス感染症に関する厳しいルールも重要です。
- 社会的欲求 : 誰しも職場に居場所を求めています。新しいメンバーがチームの一員になれるようサポートしてください。コラボレーションを推進し、積極性と受容の文化を創り出しましょう。
- 承認の欲求 : 各従業員が認められていると感じられる方法を積極的に探しましょう。成果を称賛するほか、確実なフィードバックの仕組みを作るのも効果的です。またネガティブなフィードバックを行う際は、解決に向けた建設的なものにしましょう。
- 自己実現の欲求 : 従業員がベストな状態でいられるようサポートしましょう。そのためには、課題を提示し、ゴールとマイルストーンを設定し、昇進のルートを整備すること。さらに、それぞれの強みに注目し、それが活かせる配置を行うのも大切です。
職場環境が従業員の生産性に与える効果
生産的な職場環境なら従業員はスマートに仕事を進められますが、ネガティブな環境の場合は燃え尽きにつながる可能性があります。実にシンプルな話です。ポジティブで盤石な職場文化を作れば、従業員のエンゲージメントは上がります。そしてエンゲージメントの高いチームはよく働き、成果を上げ、組織全体の成功に貢献するのです。
ポジティブな環境を企業文化の一部に
とはいえ、ポジティブな企業文化を作りたいけれど、その方法がわからないという人も多いでしょう。そこで、これらはマズローの「 5 段階」の上層にある「社会的欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」に対応しやすくなるちょっとしたヒントを用意しました。
- 透明性を重視 : チームメンバーには、今後予想されるよいことも悪いことも知らせるべきです。徹底的に透明性を確保するよう意識して情報共有を進めましょう。
- 一貫したコミュニケーション : マネージャーが何も言わないと憶測が飛び交うものです。常にコミュニケーションの扉を開けておき、双方向のやり取りを維持しましょう。メンバーとマネージャーがやり取りする方法を複数用意すれば、タイムリーに対応してもらえるという信頼感が生まれます。
- 双方向性のフィードバック : 一方的にお説教を聞くのは誰だって嫌なもの。双方向で問題解決につながるフィードバックの仕組みを構築し、十分なサポートも用意しましょう。
- コラボレーションの推進 : 強力なコラボレーション文化の構築には、2 つの目的があります。1 つは、メンバーの帰属意識を高めて従業員エンゲージメントを加速させること。もう 1 つは、アイデアを引き出し、それを洗練させて最高のものに仕上げることです。
- 仕事とミッションの連携 : 可能な限り、従業員が仕事の意義を感じられるようにしましょう。組織全体のミッションにおける各プロジェクトの位置づけや、プロジェクトの各パーツと全体とのつながりを明らかにしてください。
現実とバーチャル両方の環境を整備
オフィス勤務でもリモートワークでも、全体的な環境を改善するためにできることは山ほどあります。以下に挙げるヒントを活かして、生理的欲求や安全上の問題など、チームの基本的な欲求を満たせるようにしましょう。
職場における身体の快適さ
オフィスで働くチームには、仕事スペースの検証が有効です。人間工学的に最適か、必要なものがすべて手の届く範囲にあるかなどを検証します。
また、広い範囲にも目を向けましょう。例えば、冷水器や従業員用のカフェテリアはありますか?なければ、無料あるいは少額でヘルシーな間食を摂れるスナックコーナーの設置を検討してください。
新型コロナウイルス感染症に関するルールについても検証します。ワクチン接種やマスク着用を求めるのか、ソーシャルディスタンスのための十分な広さがあるかなどを考えましょう。
リモートチームの場合は、物理的な仕事スペースの管理は難しいものの、遠くからでもサポートはできます。同じ動作の繰り返しで発症する腱鞘炎などのリスクを軽減し、快適な空間を作るための情報を提供するのもよいでしょう。
職場における心の快適さ
企業の規定を再確認しましょう。ハラスメントやいじめを禁じる有効な規定は実施されているか、問題があった時に従業員が不安なく打ち明けられるか、前向きでインクルーシブな文化を推進しているかなどを確認します。メンタルヘルスに懸念のあるメンバーに向けた、従業員援助プログラム(EAP)などのリソースを用意するのも重要です。
コミュニケーションとコラボレーションのツール
リモートワークでもオフィス勤務でも、必要なツールが使えなければたちまち不満が募り、意欲が下がります。そうならないためにも、Slack などのツールでコミュニケーションとコラボレーションを推進しましょう。チームごとのニーズを満たすためにさまざまなチャンネルを作成できるだけでなく、個々のアクセス権のカスタマイズも簡単です。時間管理のリソースを導入するのも手です。特に自宅で集中力が途切れがちなリモートワーカーにとっては、タスクごとに所要時間を示してくれる自動タイムトラッカーが役立ちます。
まとめ
ポジティブで盤石な職場環境があれば、従業員はベストを出しやすくなります。それにより、エンゲージメントと生産性が上がり、結果的に収益も改善するでしょう。そのためには、個人に注目することが大切です。Slack をはじめとするツールを活用して、誰もがコミュニケーションしやすい整った環境を整えましょう。そして、従業員の欲求ピラミッドをすべて満たしてください。