ビジネスを大幅に進化させ、成長させたいなら、デジタル変革を実行する時かもしれません。デジタル変革とは、戦略的ビジネス目標を達成するため、デジタルのプロセスやツールを繰り返し試していくことを意味しています。
適切な IT ツールを活用することで、顧客の需要への対応を強化し、無駄な出費を抑え、サービスの提供スピードを上げ、変化の激しいビジネスの世界で俊敏性を維持できます。これらはすべて競合優位性となり、長期的に拡張可能な成長を促進します。
おそらく、会社のビジネスのさまざまな面がすでにデジタル化されている(つまり、毎日のビジネス運営でデジタルテクノロジーを利用している)ことでしょう。しかし、デジタル変革はもっと範囲が広く、戦略的な取り組みです。手始めに、テクノロジーを活用してビジネスを真に変革し、ビジネスの長期的かつ戦略的な成長を促進する 6 つのステップをご紹介します。
1. 現状を評価する
現在地がわかっていなければ、テクノロジーを活用してビジネスの今後の成長を促進することはできません。社内で現在使用しているテクノロジーツールの調査から始めることが重要です。デジタル変革に乗り出す前に、次のような点を自問してみましょう。
- 現在、全社的に使っているテクノロジーツールはどんなものか?
- それらのツールの強みは?役立っている点、さらに活用できる方法は?
- それらのツールの弱点は?日頃から使いづらさや物足りなさを感じていないか?
- ツールにかかっているコストは?その予算の目的は?
2. 今後の目標とビジョンを明確化する
デジタル変革は、さまざまな側面と不確定要素が存在する、込み入ったプロセスです。そのため、多角的な戦略の立案が必要です。最初のステップは、ビジネスの成長の目標とビジョンを明確化することです。そうすれば、それに沿った戦略を立てられます。
- 組織のなかで、戦略とのギャップがあるところは?そしてそれを埋める方法は?
- どのような顧客体験を提供したい?それを実現しやすくするうえで、テクノロジーツールはどう役立つ?
このような質問によって、自社のビジネスに対して最も効果が大きいデジタル変革のタイプはどのようなものか、どの分野に優先して注力すべきかが明らかになってきます。
例えば、不十分なプロセス管理や透明性の欠如のために従業員が仕事の期限を守れていないなら、プロジェクト管理ソフトウェアの導入によってギャップを埋めることができます。または、リモートワーク中の従業員の生産性維持やチームメンバーとの効果的なコラボレーション方法について心配がある場合、Slack のようなコミュニケーションプラットフォームが解決策になるかもしれません。
3. テクノロジーロードマップを構築する
現状と目標がわかったところで、テクノロジーロードマップをまとめましょう。これは、組織のテクノロジー戦略をおおまかに示すプランです。テクノロジーロードマップを作成することで、全員の方向性を統一し、デジタル変革の進捗を把握することが容易になります。
テクノロジーロードマップの詳細は、会社の規模、業界、目標、顧客やその他の要素によってそれぞれ違ってくるでしょう。とはいえ、どのテクノロジーロードマップにも、次のような点を含める必要があります。
- 項目の優先順位。予算と時間には限りがある以上、現実的に考えなければなりません。デジタルへの最適化を一晩で完了することはできません。一度にすべてを実行できないので、緊急で実施すべき項目とあとで実施できる項目を分けておくことが必要です。
- タイムライン。デジタル変革戦略において、それぞれの取り組みを実行するタイムラインを設定します。こうすれば、タスクや情報を整理した状態で戦略的に共有できるため、そこに紐づく業務やほかのプロジェクトに対応しやすくなるでしょう。
- 予算。タイムラインと予算は切っても切れない関係です。例えば、次年度の IT 施策は四半期ごとの予算に基づいて計画します。その際、テクノロジー関連の予算について特に検討すべき要素がないか、IT 関連の支出を異なるチームのニーズに振り分けられるか考えてみましょう。
- チームメンバー。それぞれの取り組みに参加する従業員と、特定のタスクの責任者となる役員やマネージャーを明確に決定し、関係者全員が責任感を持って真剣に取り組むようにします。
4. 導入戦略を確定する
新しいテクノロジーを導入することで、新しい脆弱性やセキュリティリスクが発生する可能性があります。そのため導入戦略として、デジタル変革の計画やプロセスを定め、発生する可能性があるリスクを洗い出し、不測の事態に備えた復旧プランを決めておくべきです。こうすることで、サイバー攻撃、停電、ネットワーク需要の急増、接続の問題が発生した場合でも、最も重要なテクノロジーとビジネス運営を停止させることなく乗り切れるでしょう。
5. KPI を測定する
投資によって、期待される価値が得られるでしょうか。KPI を設定して定期的にモニタリングすれば、テクノロジー戦略がビジネス目標の実現に役立っているかどうかの判断に役立ちます。Gartner が 2019 年に実施した調査「How to Measure Digital Transformation Progress(デジタル変革の進捗を測定する方法)」によれば、対象となったすべての組織のうち、ほぼ半数はデジタル変革を測定する指標を設定していませんでした。指標を明確に決めておくことで、競合優位性が大きく高まる可能性があります。ただし自社のビジネスや目標と無関係な大量のデータに圧倒されないことが大切です。重要な指標を 5~10 個選んで、それらに集中しましょう。
6. テクノロジーロードマップを必要に応じて改定し、状況に適応させる
テクノロジーに関する明確な目標を設定すれば、成功が保証されるわけではありません。デジタルの最適化には柔軟性が必要であり、その途中ではある程度の試行錯誤も避けられません。重要なのは、俊敏性を備えて必要に応じて方針転換することです。デジタル変革の過程では、全体を通してデータを重視し、十分な情報に基づいてより戦略的な決定を下すようにしましょう。
ビジネスを成長させるためには、時間、チームワーク、投資が必要です。しかし、適切なテクノロジーを利用して近代化することで、優れた結果につながります。これらの基礎的な戦略を使用し、自社に合ったテクノロジーツールを特定して活用することで、ビジネスを前に進めていきましょう。