経営会議は、企業の経営方針や事業計画など、重要な意思決定を行う役割を担っています。今後の経営を大きく左右する可能性も十分にあることから、経営会議を適切に運営することは重要です。
今回は、経営会議を開催する目的や運営に必要な基礎知識、経営会議を成功させるためのポイントについて解説します。経営会議の運営に役立つツールも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
経営会議とは、経営方針や事業の実績などについて議論する会議のこと
経営会議とは、企業の経営方針や事業の実績などについて議論する会議のことを指します。
経営会議には取締役や執行役員のほか、各部門の事業責任者など経営上の意思決定に関わるポジションの人が参加するのが一般的です。経営会議の議題によっては、現場のリーダーや中間管理職が招致されることもあります。経営会議で討議された内容を取締役会で検討し、正式な決定とするケースも少なくありません。このように、経営会議は会社の意思決定を左右する重要な会議と言えるのです。
経営会議の目的
経営会議の目的はさまざまで、主に次のような事案について討議されます。
これらは幹部クラスが把握している必要がある事柄ですが、執行役員や事業責任者であっても管轄部門以外の状況を常に正確に把握しているとは限りません。
そこで、現状を共有するとともに、自社が置かれている状況を把握し、今後の課題について意思統一を図ることが経営会議を開催する主な目的になります。
経営会議と取締役会の違い
経営会議と同じように、会社の方向性決める会議として取締役会があります。取締役会とは株式会社における意思決定機関のこと。経営会議は基本的に企業の裁量で行われますが、取締役会はその開催が会社法で規定されています。
取締役会に役員の過半数が出席し、出席者の過半数が賛成した事案は、会社としての正式な決議事項となります。両者の主な違いは、以下の通りです。
■経営会議と取締役会の主な違い
経営会議 | 取締役会 | |
会社法上の規定 | なし | 以下の会社に設置義務あり ・公開会社 ・監査役会設置会社 ・監査等委員会設置会社 ・指名委員会等設置会社 |
開催頻度 | 任意 | 3 ヵ月に 1 回以上 |
参加者 | 任意(取締役・執行役員・上級管理職が中心) | 会社法の役員に該当する人 |
経営会議を円滑に運営する方法
経営会議を円滑に運営していくには、どのような点を意識する必要があるのでしょうか。経営会議の運営側が準備すべきことをご紹介します。
経営会議の規定を作る
経営会議は、取締役会のように開催方法や開催頻度などが、会社法で定められているわけではありません。企業の裁量で行われるものなので、経営会議で話し合うべきことや会議の進め方、意思決定の手順など、自社における経営会議開催のためのルールを定めておくことが重要です。
定期的に開催する
経営会議は不定期に開催するよりも、月 1 回など開催頻度を決めておくほうが円滑に進めやすくなります。参加者は次回の経営会議に向けて準備や調査を行い、報告・共有すべき内容をまとめておけるからです。毎月 10 日に開催というように、具体的な開催日を定めておくことをおすすめします。
資料や議題を事前に共有する
経営会議で取り上げる議題や配布する資料は、事前に参加者へ共有しておくことが大切です。参加者は、会議前に議題や資料に目を通しておくことで、当日は意見交換や討議に集中できます。
経営会議が始まってからその場で資料に目を通したり、参加者間で情報が共有されないまま討議を進めたりすると、背景情報や前提条件に食い違いが生じかねません。資料や議題は日数に余裕を持って共有しましょう。
議事録や資料を残す
経営会議で話し合われた内容は議事録として残し、発言者や発言内容を含み、意思決定に至った経緯や議論の争点を後日確認できるようにしてください。
また、経営会議の議事録だけでなく、配布資料の履歴を残しておく必要があります。いつどのような討議が行われたのかをさかのぼって確認できるよう、議事録と資料をセットで保管するルールを設けましょう。
経営会議を成功させるために重要な 7 つのポイント
経営会議の開催目的を着実に達成し、効果の高い会議にするためのポイントを解説します。経営会議を成功させるには、次に挙げる 7 点を押さえておくことが大切です。
事前に各部署へのヒアリングをする
現場の状況を理解しておかなければ、経営会議で決めたことを実践できないケースもあります。そこで、事前に各部署へヒアリングを行い、必要な情報を収集しておきましょう。
経営会議で討議される内容が会社としての意思決定や決定事項となるケースも多いため、現場の状況を正確に把握したうえで意見を述べる必要があるからです。
アジェンダを用意しゴールを決める
限られた会議時間を無駄にしないためにも、経営会議で話し合うべき項目をアジェンダにまとめ、それぞれの議題についてゴールを決めておくことが大切です。
例えば、「事業実績について」といった抽象的な議題では、何を決めればゴールになるのかわかりません。事業実績のなかでも「不採算部門の取り扱いについて」といったように、具体的な決議事項を明示しておくことによって討議の方向性が定まりやすくなります。
ファシリテーターを入れる
ファシリテーターが中心となって会議を進めることにより、経営会議を滞りなく進行できます。経営上の重要事項を討議する経営会議では、参加者間で意見の対立が生じることも想定されます。中立な立場で議論に耳を傾け、調整役を担うファシリテーターを配置することで、会議を円滑に進行しやすくなるでしょう。
参加者を厳選し役割を決める
経営会議の参加者は、毎回固定する必要はありません。話し合うべき議題に合わせて参加者を厳選しましょう。必要に応じて、現場の従業員も経営会議に参加させることも大切です。
また、議論が交わされるのを聞いているだけの参加者を出さないようにするため、参加者には「何のために経営会議に参加するのか」を明確にし、役割を決めておくことも重要なポイントです。
タイムテーブルを設定して効率良く進める
経営会議は開始および終了の時刻を明確に示し、議題ごとの時間配分を決めておくことをおすすめします。タイムテーブルを設定することにより、会議全体の流れや各議題の討議にかけられる時間が明確になるからです。制限時間内に結論を出すよう、すべての参加者が意識することで、討議を効率的に進めやすくなるでしょう。
活発な意見交換の場にする
経営会議は、意思決定を行う重要な場であるのと同時に、参加者が意見交換を行い納得したうえで決断を下すための場でもあります。活発な意見交換が行われるようにするためには、発言しやすい環境を整えていくことが大切です。
例えば、社長の考えに対して役員が反対意見を述べにくいといった状況が生まれないよう、議論を交わす意義について共通認識を形成しておく必要があります。
会議で決定したことを実行させる
経営会議での決定事項は関係部署の責任者に必ず伝え、現場で着実に実行してもらいましょう。経営会議で決まったことが現場に反映されない状態が恒常化すると、組織が機能しなくなっていきます。
経営会議での決定事項は会社としての方針であり、現場では必ず実行すべきものであるといった認識を意識させることが大切です。
経営会議が失敗するケース
経営会議が有意義なものとならなかったり、目的を達成できなかったりする場合は、いくつかの原因が考えられます。次に挙げるケースにあてはまらないよう、注意しておく必要があるでしょう。
社長の意見のみで進行する
「社長が独断で進行し、ほかの参加者は社長の考えを聞いているだけ」というような経営会議は、有意義とは言えません。社長一人では組織全体を掌握できないからこそ、経営会議を開催する意義があるのです。議論が交わされる会議にならないのであれば、進行方法や役割分担を見直す必要があるでしょう。
積極的な発言をしにくい環境
発言しても声が大きいタイプの役員に否定されてしまったり、社長の鶴の一声で物事が決まったりする場合、参加者が発言しにくい環境になります。会社にとって重要な議題について話し合う経営会議だからこそ、積極的な発言を促し、十分な議論を尽くしたうえで意思決定を行うことが大切なのです。
意見を出し合う時間と議論する時間を分けるなど、発言しやすい環境を整えていきましょう。
経営計画が曖昧
経営会議の土台となる経営計画そのものが曖昧だと、話し合うべき議題のゴールを設定しにくくなります。経営計画が明確でなかったり、役員間で十分に共有されていなかったりするのであれば、まずは経営計画を最優先議題に設定しましょう。経営会議の「軸」が定まることによって、討議や意見交換を交わしやすくなるはずです。
経営会議の準備や運営に Slack を活用しよう
経営会議を円滑に進行するには、インテリジェント プロダクティビティプラットフォームの「Slack」の活用をおすすめします。経営会議の準備や運営に活かせる Slack の主な機能を見ていきましょう。
議事録や資料、アジェンダを canvas に集約し、社内のナレッジとして蓄積する
経営会議で使用するアジェンダや配布資料、会議後に共有する議事録は、Slack のナレッジ共有スペース「canvas」に集約して蓄積すると便利です。
canvas にはファイルや画像、動画などを埋め込めるため、経営会議で使用した文書類などをまとめて保存できます。議事録や資料を後日確認したい場合には、検索機能で必要な情報を素早く見つけることも可能です。情報の整理と検索性の確保が同時に実現し、社内のナレッジとして活用しやすくなります。
報告や共有は、チャンネル投稿やクリップで行う
現場から上がってくる報告や、経営会議の決定事項を共有する際には、チャンネル投稿やクリップを活用するといいでしょう。業務の内容や状況によっては、文字で説明するよりも担当者が口頭で説明したり、現物を見せたりしたほうが、実態を把握しやすいケースもあるはずです。録音・録画ボタン 1 つで音声や映像を簡単に共有できるクリップをチャンネル投稿と併用することで、正確な情報共有を実現できます。
経営会議の役割と進め方への理解を深めて、円滑な運営を実現
経営会議は取締役会とは異なり、参加者や開催頻度などの規定が設けられていません。運営方法を自由に決められるからこそ、有意義な会議になるよう工夫が求められます。
今回紹介したポイントや注意点を参考に、経営会議の円滑な運営を目指してください。より現場の実態を踏まえた現実的な意思決定を行えるようになれば、有意義な経営会議が実践できるようになるはずです。
よくある質問
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