生産性

ミーティングの生産性を上げるコツ

ミーティングの生産性を高めるヒント

執筆者 : Deanna deBara2024年8月27日イラスト: Wenting Li

生産性の低いミーティングが長々と続くと、時間を無駄にしている気持ちになるものです。その一方で、参加者の心を 1 つにするような生産性の高いミーティングもあります。ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された調査によると、ミーティングの生産性が低く効率が悪いと感じるシニアマネージャーは 71% に上ることがわかりました。

ミーティングはビジネスにとって欠かせない要素です。従業員研修やブレスト、進捗共有などその種類は多岐にわたりますが、そのミーティングの生産性が高いかどうかはなかなか判断できません。

では効果的なミーティングとはどんなもので、ミーティングで生産性を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?その問いに答えてくれたのは、組織心理学者でありコンサルティング企業 Organized Change の Managing Partner である David Chaudron 氏と、心理学者でリーダーシップコーチであり、Facebook などで UX リサーチに従事した経験を持つ Erin Baker 氏です。

2 人の話からは、従業員の生産性を最大化してさらなる成果を出すうえで、必要なミーティングが 6 つ、まったく必要のないものが 3 つあることがわかりました。詳しく見ていきましょう。

生産性の高いミーティング

まずは、生産性の高いミーティングを見ていきましょう。仕事を進めるうえで実際に必要なチームミーティングです。

従業員研修

チームに入ったばかりの新メンバーは、たくさんのことを学ばなければなりません。そのトレーニングの場として一般的なのが従業員研修でしょう。

新メンバーは、自社や職務について学ぶことがたくさんあります」と話すのは Baker 氏です。「従業員研修は、組織の構造、今後のプロジェクト、自分の職務や仕事の位置づけを把握する場となるほか、最初の数週間や数か月に期待されていることを理解するうえでも大きな役割を果たします」。

新メンバーは従業員研修を通して、全体のなかでの立ち位置をわかるだけでなく、直属のマネージャーや全社との関係をうまく築くための足掛かりを得られます。

「企業は従業員研修を通して、新メンバーを大事にしていること、そしてスムーズに慣れてもらうために力を注いでいるというメッセージを伝えられます」と Baker 氏は続けます。「またマネージャーにとっても、よい関係を長期的に築くためのコツを新メンバーに教えるよい機会です」。

新メンバーを即戦力にする従業員研修のポイント

新メンバーを即戦力にしたいなら、1 回のミーティングだけでは足りません。必要なものをカバーするために設定すべきミーティングは次のとおりです。

  • 1 on 1 ミーティング : 新メンバーの勤務初日に、主に一緒に働くメンバーとの 1 on 1 ミーティングを設定しましょう。例えば直属のマネージャー、チームリーダー、また特定分野のエキスパートなどです。
  • チーム紹介ミーティング : 勤務初日から数日中に、新メンバーと既存メンバーの顔合わせの場を設けるのも大切です。ミーティングの形は問いませんが、チームランチなどのカジュアルなものなら、新メンバーが歓迎されていると感じられるでしょう。
  • ツールトレーニング : 仕事に必要なツールやシステム、ソフトウェアの使い方を説明する場を設定しましょう。
  • 人事・運営・設備に関するミーティング : 人事や運営、設備など、ビジネスの基盤となる面にもできるだけ早く慣れてもらうことも大切です。

ブレスト

ビジネスは常に新しいアイデアを求めています。アイデアをどんどん出すためのミーティングと言えば、ブレスト(ブレインストーミング)です。

「ブレストは、短時間でさまざまなアイデアを出す場です。問題解決や目標達成のために行う姿勢で臨めば、非常に有意義なものになります」と話すのは、Chaudron 氏です。

では効果的なブレストの鍵とは何でしょうか?それは結果ではなくアイデアそのものに注目することです。

Chaudron 氏は、ブレストではどんなアイデアでも歓迎すべきだとしたうえで、次のように続けます。「その際、そのアイデアが正しいかどうか判断する必要はありません。うまくいきそうなものとそうでないものは、ブレストが終わってから見極めます。ブレストだけを行う場を確保することが大切です」。

キックオフミーティング

新しいプロジェクトや施策を始める際は、キックオフミーティングを開いてチームに詳細を共有しましょう。

Chaudron 氏によると、キックオフミーティングが効果的なのにはいくつか理由があります。「全員の方向性を揃えるためには、メンバーにプロジェクトの長期的なゴールを理解してもらうことが大切です。またメンバーはそれぞれが担う役割をしっかり把握し、リーダーはメンバーの協力を得るようにしましょう。特にメンバーからの協力は重要です。それがあれば、何が起こっても前向きに進めていけるからです」。

フィードバック・振り返りミーティング

キックオフミーティングと同じか、もしかするとそれ以上に重要なのが、プロジェクト終了時の振り返りミーティングです。これを通じて、チームは経験から学びを得ることができるでしょう。

「どんなプロジェクトも完璧に進むことはありません」と、Baker 氏は話します。「プロジェクト終了後に全員で振り返りの場を設けて、うまくいった点や苦労した点を出し合えば、次のプロジェクトに活かせる改善点を見つけられるでしょう」。

予算・財務ミーティング

お金に関するやり取りは問題が発生しがちです。だからこそ、財務ミーティングを定期的に行うことが重要です。

「たいていの場合、一番ピリピリするのは財務が関係する場合です」と、Chaudron 氏は話します。「行う内容に合意しても、今度は誰がいつその費用を支払うのかを話し合わなければなりません」。

予算・財務ミーティングを効果的に進めるには、関係者全員で次の認識を揃えておきましょう。

  • 使う予定の金額
  • 使う目的
  • 投資から期待できる効果

財務に関して関係者全員の認識を揃えておくと、起こりうる対立や衝突を最小化でき、出費を管理しやすくなるうえ、予想外の事態も起こりづらくなります。

必要のない 3 つのミーティング

生産性の高いミーティングについて理解したところで、今度は特に必要のないミーティングを見ていきましょう。

進捗共有ミーティング

チームが成果を出すのに重要なのは、ほかのメンバー(ひいてはチーム全体)の最新状況を全員で共有しておくことです。しかしテクノロジーが発達した今、そのためにチーム全員を同時に 1 部屋に集めなければならない理由はありません。

Baker 氏も、進捗共有ミーティングはあまり効果がないと指摘します。「各自の状況を知らせるのに全員が集まらなくても、ミーティングツールを使えば十分です」。

進捗共有はチームの業務フローにおいて重要です。各メンバーが進捗を共有すれば、チームはプロジェクトの進捗状況や方向性、事前に対応すべき問題について理解することができます。しかしチーム全員を集めるのに時間と労力を使うよりは、デジタルチャンネル上で定期的に進捗を確認する方がはるかに効果的でしょう。

アジェンダのないミーティング

「ミーティングを設定するものの、実は目的[が]はっきりしないケースはよくあります」と、Baker 氏は言います。明確なアジェンダや目的がないまま開くミーティングは、間違いなく時間の無駄です。

効果的なミーティングを開きたいのであれば、そのミーティングで何を話すのか、そして終了後に何を得たいのかを把握しなければなりません。ミーティングの成果物は、実体があって測定できる状態が理想的です。例えば、新製品について実現可能なアイデアを検討する場合、成果物(そのミーティングで成し遂げたいこと)は次のようになるでしょう。

  • 製品アイデアを実現可能な順に 10 個出したリスト
  • 各アイデアを調査する担当者(および各責任者)のリスト
  • 調査結果の共有期限

これはどんなミーティングにも当てはまります。50 人で行うブレストでも、マネージャーや CEO との 1 対 1 の面談でも、アジェンダの内容とミーティングで期待する成果を明確にしておきましょう。

対面がデフォルトとなったミーティング

ミーティングというと、さまざまなメンバーが会議室のテーブルに着いている状況を思い浮かべる人がほとんどです。もちろん、顔を突き合わせて話し合った方がよい場合もありますが、なかには対面で行う必要がないものも少なくありません。

対面ミーティングをデフォルトとするのではなく、バーチャルミーティングも試してみましょう。多くの場合、バーチャルミーティングは設定にかかる時間や労力が少ないだけでなく、リモートワーカーや別のオフィスにいるメンバーなど、実際にその場にいないメンバーも参加できるという利点があります。

バーチャルミーティングを行う場合は、内容をすべて録画しておくと、主要メンバーがリアルタイムで出席できない時にあとから共有できて便利です。あるいは、もし新メンバー向けのトレーニングを行うミーティングなら、その録画を将来の新メンバーに見てもらうこともできるでしょう。

ミーティングの生産性を上げて時間を節約

時間の無駄になるミーティングがある一方で、本当に必要なミーティングだけを行えば、そうした無駄が減り効果がぐっと高まります。ミーティングの生産性を上げるためには、次の点を頭に入れておきましょう。

  • 明確なアジェンダを作る。そして参加者にも事前に確認してもらいましょう。主なテーマは?何について検討する予定でしょうか?事前に参加者がやるべき宿題はありますか?参加者がミーティングの内容を前もって知っておけば、事前に準備ができて時間を有効に使えるだけでなく、話すべき内容に集中しやすくなります。
  • 期待する成果を明確にする。そのミーティングではアイデアを集めたいのでしょうか?それとも予算の承認が必要ですか?それとも 1 か月かかるプロジェクトの担当者を決めたいのでしょうか?ミーティングで成果を出したい成果を明確にして、終了時には実際にその成果を出すようにしましょう。
  • ミーティングごとにベストな方法を選ぶ。そのミーティングは対面で行う必要がありますか?あらゆる(またはほとんどの)ミーティングをバーチャルで実施できるかどうか検討しましょう。
  • 次のステップと責任者を定義する。ミーティングのすぐ後に、内容を簡潔にまとめて共有しましょう。そこでは、次のステップとその責任者を明確にするほか、いつまでに何をすべきで、それらがプロジェクト全体にどう貢献するかも記載します。

今回紹介したコツを参考に、ミーティングの生産性をどんどん高めていきましょう。

この記事はお役に立ちましたか?

0/600

助かります!

ご意見ありがとうございました!

了解です!

ご意見ありがとうございました!

うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

読み進める

生産性

会議メモの作成に関する包括的ガイド

ビジネスの成長には会議が欠かせません。ここでは、コラボレーションを推進して会議から最大限の成果を引き出せるよう、会議メモや議事録の作成で一歩先を行くための手立てを紹介します。

コラボレーション

経営会議とは?成功させるポイントや失敗するケースを紹介

経営会議は、企業の経営方針や事業計画など、重要な役割を担っています。経営会議を開催する目的や運営に必要な基礎知識、成功させるためのポイントを解説します。

生産性

リモートマネジメントとは?目的や課題、効率的に行う方法を解説

リモートマネジメントは、リモートワーク管理の課題を解決するものです。リモートマネジメントの目的や効果的に進めるポイント、効果を高めるツールなどを紹介します。

生産性

会議の基本的な進め方とは?流れや結論を出す方法を解説

会議をどう進めていいか、不安な方もいるでしょう。会議の基本的な進め方や結論を出す方法のほか、会議前に準備しておくべきこと、会議中に実践しておくべきことなどを解説します。