エグゼクティブサマリー : Salesforce は、Slack に組み込んだ AI 搭載の IT サポートソリューション Techforce エージェントにより、28,000 人以上の従業員に回答をすばやく提供し、定型的なタスクを自動化して、社内の IT 業務 を変革しています。Techforce エージェントが IT 関連の問題の 35% を瞬時に解決することで、年間 16,800 時間が節約され、チームはより複雑で影響力の大きい仕事に集中できるようになっています。
IT 関連のサポートでは、スピードがきわめて重要です。会議の直前にシステムがクラッシュしたり、重要なファイルにアクセスできなくなったりした時には、すぐに解決しなければなりません。状況に応じたシームレスなサポートを迅速かつ大規模に提供するには、緊密に連携する仕組みと、必要に応じて効率的に対応できるチームが必要です。
Salesforce では、社内の IT サポートチーム「Techforce」が毎月 25,000 件以上のリクエストに対応しています。ただ最近までは、どんなにシンプルな問題でも、あらゆるリクエストに人間の担当者による対応が必要でした。
Techforce チームは、同じ問題に何度も繰り返し対応しなければならないことで、時間が無駄になっていることに気づきました。従業員は、自分で答えを見つけられるような問題でも、チームからの回答を待っていました。サポート担当者は、同じような問題のチケット対応を繰り返すことで、より優先度の高い課題に十分に集中できていませんでした。つまり、何かを変える必要があったのです。
そこで Salesforce は、Agentforce を用いて「Techforce エージェント」を構築し、従業員が普段から利用している Slack に直接組み込みました。このエージェントは、よくある IT の問題への回答を従業員が即座に得られるよう支援したり、定型的なタスクを自動化したりできるほか、必要に応じて複雑な問題を人間の担当者にエスカレーションすることも可能です。
この Techforce エージェントにより、28,000 人を超える従業員は問題をスピーディーに解決できるようになり、IT サポートチームは貴重な時間をより影響力の大きな仕事に使えるようになりました。
一度のやり取りで解決して、サポートを簡素化
エージェントの利用を始める前から、Techforce チームはサポートモデルを Slack に導入していました。ただそれでも、従業員は適切な答えをすぐに入手することに苦労していました。必要な情報を見つけるために、古いヘルプセンターの記事の中を探し回る必要があったのです。
エージェントの導入により、そのような苦労は過去のものになりました。問題について従業員が簡単な言葉で説明するだけで、たとえば、セルフサービスで操作できるパスワードリセットポータルに誘導したり、ステップバイステップのガイダンスを提供したりなど、エージェントが一人ひとりに合わせてサポートしてくれます。
導入以来、Techforce エージェントは 64,000 件以上の会話に対応し、Salesforce の 28,000 人の従業員に利用されています。この人数は全従業員の 37% に相当し、その数は増え続けています。また、同エージェントは人間の介入なしに問題の 35% を解決し、年間 16,800 時間の節約に貢献しています。
「このエージェントの真の力は、求められる情報を正確に提供できることにあります。何度もやり取りを繰り返す必要がないのです」と、Salesforce の Director of Techforce Support を務める Neil Cummins は話します。
Slack でスムーズに機能するエージェント
Techforce エージェントは Service Cloud 上で実行され、Slack の「Bring Your Own Channel」機能を使用します。この仕組みにより、Techforce チームはサポート関連の技術スタック全体を活用しながら、従業員に Slack ネイティブの機能をシームレスに提供できます。
ユーザーから見ると、動作はシンプルです。Slack チャンネルに質問を入力するだけで、すぐに回答が得られます。必要に応じて、人間の担当者にエスカレーションする際にも、会話の経緯が保存されているため、従業員は同じ説明を繰り返す必要がありません。
これにより、関係者全員が、よりスムーズで迅速なエクスペリエンスを得られます。
よりスマートなナレッジで、成果を向上
Techforce チームは、エージェントによる回答を支える IT 関連ナレッジの管理方法にも新しいアプローチを採用しました。チームは当初、2,000 件を超える社内記事を情報源に用いていましたが、情報が多すぎるとエージェントが適切な回答を見つけにくくなることがわかりました。
そこで、チームは記事を 600 件に厳選し、AI 向けにフォーマットを調整して、ナレッジベースを絞り込みました。
「ユーザーが『パスワードをリセットしたい』と言うとき、システムやツールの名前は提示されないことがほとんどです」と Cummins は話します。「そのため、エージェントがそのつど相手の意図を推測して、適切な回答を返すようにする必要がありました」
この強化されたナレッジモデルは、チームが傾向をモニタリングして、エージェントの対応を継続的に改善していくことにも役立ちます。今後に向けて、Slack の会話から得た情報をナレッジに組み込むなど、よりスマートな機能のためのインテグレーションも計画されています。
まもなく登場 : さらなる自動化と対応範囲の拡大
Techforce エージェントの現在のバージョンは、ナレッジの抽出と、ユーザーをセルフサービスのソリューションに誘導することに重点を置いています。そして、すでに開発が始まっている次のバージョンでは、従業員に代わって直接アクションを実行する機能が追加され、さらなる進化を遂げる予定です。
Salesforce がどのように Agentforce in Slack を大規模に活用しているかについて、詳しくはこちらをご覧ください。