リモートワークは、働き方の選択肢のひとつとして注目されています。導入を検討されている企業であれば、リモートワークのメリットやデメリットが気になるのではないでしょうか。
ここでは、リモートワークのメリット・デメリットを従業員・企業・社会に分けて紹介します。ぜひ参考にしてください。
リモートワークとはオフィス以外で働く方法
リモートワークとは、本来の就業場所であるオフィスとは異なる場所で働くことの総称です。リモートワークは、remote(遠隔)と work(働く)を組み合わせた造語になります。
リモートワークが可能になった背景として、情報通信技術(Information and Communication Technology)の発達が挙げられます。インターネットを使った、クラウドツールやコミュニケーションツールなどの進歩・普及に伴い、必ずしもオフィスにいなくても業務を進められるようになったのです。
リモートワークとテレワーク、在宅勤務との違い
リモートワークと似た言葉に「テレワーク」があります。総務省の「テレワークの推進」ページによればテレワークは「情報通信技術を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義されています。そのため、厳密には、リモートワークはオフィスとは異なる場所で働くこと、テレワークは情報通信技術を利用した働き方のことを指しますが、テレワークはリモートワークとほぼ同じ意味と捉えて差し支えないでしょう。また、在宅勤務は従業員がそれぞれの自宅で就業する働き方です。つまり、在宅勤務はリモートワークやテレワークの一形態と言えます。
※総務省「テレワークの推進」
リモートワークの種類
リモートワークを導入しているすべての企業が、同じ形態のリモートワークを採用しているわけではありません。実は、一口にリモートワークといっても、大きく分けて 4 つの種類があります。
企業によっては、フルリモートワークだけでなく、ハイブリッドリモートワークやテンポラリーリモートワークを採用しているケースもあります。また、部門や職種の特性に応じて、リモートワークと出社を使い分けているケースも少なくありません。
テレワークと雇用型テレワークの種類
テレワークも、大きく分けて「雇用型テレワーク」と「自営型テレワーク」の2種類があります。雇用型テレワークとは、正社員など企業に勤務している人がテレワークに従事する場合の総称です。自営型テレワークはフリーランスなど、特定の企業に所属しない人の働き方です。自宅やレンタルオフィスなど、就業場所を自由に決められます。
なお、雇用型テレワークはさらに次の3タイプに分けられます。
従業員にとってリモートワークのメリットとは?
リモートワークを実践することで、さまざまなメリットがあります。例えば自分が従業員という立場であれば、以下のようなメリットを得られます。
通勤などの移動時間を削減できる
リモートワークの場合、オフィスに毎日出社する必要がないため、通勤をはじめとする移動時間を削減できます。また、毎日満員電車で移動するストレスから解放される人もいるでしょう。
ワークライフバランスが向上する
リモートワークで通勤時間が減ると、自由に使える時間が増えて、プライベートを充実させやすくなります。ワークライフバランスが向上し、生活の質も向上するでしょう。
仕事に集中できる環境を作れる
自宅でリモートワークをする場合、仕事に集中できる環境を作れます。業務中に話しかけられたり、周囲の会話が気になったりすることがないのは、リモートワークのメリット言えます。
従業員の居住エリアが自由になる
オフィスへの出勤が必要のないリモートワークであれば、基本的にはどこに住んでもよいことになります。従業員の居住エリア選びが自由になり、住みたい場所に住めるようになることはメリットと言えるでしょう。
空いた時間で自己投資できる
リモートワークで移動時間が削減される分、空いた時間を自己投資に回すことも可能です。知見を広げるために勉強や習い事をしたり、副業などに挑戦したりすることもできます。
育児や介護との両立が可能
育児や介護などの事情で自宅を不在にできない従業員も、リモートワークであれば仕事との両立を図りやすくなります。仕事を続けながら育児や介護ができれば、キャリアへの影響も最小限にとどめられるでしょう。
モチベーションが向上するサイクルを作れる
リモートワークで多様な働き方に対応しやすくなると、従業員のモチベーション向上につながります。結果として業務効率や生産性が向上すれば、さらにモチベーションが向上する好循環を作っていくことも可能です。
感染防止や健康管理
出勤が必要ないリモートワークでは、満員の電車内や人混みの中を移動する機会がなくなることで、感染防止の対策になります。また、空いた時間でジムに通うなどして、体力づくりを強化するなどの健康管理も図りやすくなります。
企業にとってリモートワークのメリットとは?
リモートワークの導入は、従業員だけではなく企業にとっても多くのメリットをもたらします。代表的なメリットは次のとおりですので、導入を検討する際の参考にしてください。
優秀な人材を確保しやすい
リモートワークで多様な働き方に対応できることは、人材採用において有利な条件となります。優秀な人材から「選ばれる」企業になれる可能性が増すでしょう。
離職率の改善や離職防止につながる
従業員のライフステージの変化や、家族の介護・配偶者の転勤といった諸事情による離職も、リモートワークの導入で防ぐことが期待できます。結果として従業員の定着率が高まり、離職率の改善へとつながることもメリットです。
オフィスコストや通勤手当を削減できる
リモートワークで出社する従業員数が減れば、オフィスの規模を縮小したり、オフィス自体を手放したりすることも可能です。また、従業員の通勤手当も削減できるので、コスト削減につながるでしょう。
従業員の稼働率改善につながる
リモートワークを導入すれば、業務で発生する移動時間や待機時間を削減できるため、従業員の稼働率を改善できます。無駄な時間を削減して、生産的な仕事に時間を使いやすくなるのです。
DXや業務改善が可能
リモートワークを導入することで、DX推進や業務改善のメリットがあります。リモートワークを導入した場合、クラウドツールの導入などDX推進は必須となるため、生産性を向上しやすい環境が整備されるのです。
企業のブランドイメージ向上につながる
リモートワークなど多様な働き方に対応していると、外部から見た場合に好印象を与えやすいというメリットがあります。そのため、リモートワークの導入は、企業のブランドイメージ向上施策の一環としても有効です。
BCP対策ができる
リモートワークで従業員の就業場所が分散していれば、災害やパンデミックといった緊急時にも事業を継続しやすくなります。リモートワークの導入は、BCP(事業継続計画)対策としても効果的です。
ペーパーレス化を推進できる
リモートワークの環境下において、紙の文書を頻繁にやりとりするのは現実的ではありませんので、ペーパーレス化を推進できるメリットが発生します。また、ペーパーレス化は業務効率の改善にもつながるでしょう。
営業効率が向上する
リモートワークでオンライン商談を行えば、営業担当者の移動時間や交通費などを削減できます。営業効率が向上し、利益率の改善を図ることも可能です。また、営業担当者が営業戦略の立案や、顧客対応に集中しやすくなる点も大きなメリットと言えます。
社会にとってリモートワークのメリットとは?
リモートワークを推進する企業が増えることは、社会全体にも多くのメリットをもたらします。具体的なメリットは次のとおりです。
労働人口増加
諸事情により出社が困難な人であっても、リモートワークが可能であれば就業できる可能性があります。結果として労働人口が増加し、人手不足を解消する効果が期待できるでしょう。
雇用を創出
リモートワークでも対応可能な部門が増えることにより、新たな雇用を創出する効果が期待できます。リモートワークを導入するにあたって、業務の分担や部門の細分化が促されるケースは少なくありません。
環境負荷の軽減
リモートワークが浸透すれば、発電に必要な化石燃料の消費量を抑え、環境負荷を軽減する効果が期待できます。オフィスと比べると一般世帯の消費電力は少ないことから、リモートワークの推進は電力の削減にもつながるのです。
経済効果の向上
みずほ総合研究所の調査によれば、リモートワークの導入により通勤時間の削減や労働生産性が向上することで、リモートワークを導入しない場合よりもGDP が 4,318 億円押し上げられます。リモートワークには、こうした経済効果も期待されています。
※みずほ総合研究所「テレワークの経済効果」
パンデミックの対策
リモートワークの導入はパンデミック対策にもなります。コロナ禍のようなパンデミックが、将来再び発生する可能性はゼロではありません。万が一パンデミックが発生した場合にも、リモートワークを導入していれば、事業を維持できます。
地域の活性化
リモートワークは居住地を選べるので、都市部への人口集中を解決する手段にもなるでしょう。地域の活性化を促進しつつ、社会全体の経済成長を持続させていく効果が期待できます。
従業員にとってリモートワークのデメリットとは?
数多くのメリットを得られる一方で、リモートワークにもデメリットがあります。従業員にとって、どのようなデメリットがあるのかを押さえておきましょう。
コミュニケーション不足が発生する
リモートワークではコミュニケーション不足が発生しやすいデメリットがあります。リモートワークでは、各従業員が離れた場所で就業するため、オフィスに集まって仕事をする場合と比べてほかの従業員と会う機会が減るのが原因です。
仕事とプライベートの切り分けが難しく自己管理が大変
リモートワークで在宅勤務をする場合、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすい傾向があります。結果として長時間労働が慢性化したり、仕事とプライベートの切り替えがうまくいかず業務に集中できなくなったりしがちです。時間の自由度が高くなる分、自己管理が求められる働き方と言えます。
作業効率が低下するケースもある
在宅勤務の場合、趣味などプライベートに関する情報が目に入りやすく、作業効率が低下するケースもあります。ほかにも、十分な執務スペースやPCなどの機器を準備できなかったり、子供の世話をしたりすることなどがあれば、作業が進めにくくなるかもしれません。
運動不足になる
1 日の大半を自宅で過ごすことが増えるリモートワークでは、運動不足になりがちです。オフィスのように椅子から立ち上がる頻度が低く、座った姿勢で長時間作業をすることで体への負担が増すことも懸念されます。
企業にとってリモートワークのデメリットとは?
リモートワークの導入は、企業としてもデメリットがあります。導入への障壁ともなりますので、検討される場合には注意が必要です。具体的なデメリットは、以下になります。
労務管理の変更が必要
リモートワークへ移行するにあたり労務管理の方法を変更する必要があります。これまでタイムカードや紙の書類によって労務管理をしていた場合、勤怠管理システムを導入したり、有給休暇などの申請や承認をペーパーレスで完結する仕組みを整えたりする必要があるでしょう。また、新たにツールを導入するコストがかかることもデメリットです。
プロジェクトやタスク管理が煩雑になる
離れた場所で就業するリモートワークの場合、プロジェクトやタスクの管理方法も最適化する必要があります。オフィスで当たり前のように行っていた打ち合わせや細かな相談・確認などができなくなることを想定しましょう。
セキュリティ面のリスクが増す
リモートワークを導入すると、業務で使用する機器や資料などをオフィス外へ持ち出したり、社外のインターネット環境を活用したりすることで、セキュリティリスクが増します。セキュリティを強化すると同時に、リモートワーク時のセキュリティ管理についてルールを定める必要があるでしょう。
社会にとってリモートワークのデメリットとは?
リモートワークを導入する企業が増加することで、社会にもさまざまな悪影響を与える可能性があります。社会的なデメリットとなるのは以下の 2 点です。
オフィス空室率が上がる
オフィスを縮小したり解約したりする企業が増えることで、オフィスの空室率が上がる可能性があります。空室率が上がることにより景気の悪化につながるおそれがあります。
GDPが低下する可能性がある
リモートワークの増加はGDPを引き上げる要因になる反面、GDPの低下を招く原因にもなります。通勤する人の数が減ることで公共交通機関の売上が減少するなど、一時的なGDPの落ち込みを招くリスクもあるのです。
Slack を活用してリモートワークを効率的に進めよう
リモートワークのメリット面を引き出し、労働生産性を効果的に高めるには、コミュニケーションの課題を解決することが重要です。Slack を活用してリモートワークを効率的に進める方法を紹介します。
報告や共有は、チャンネル投稿やクリップで行う
リモートワークで必要になる業務上の報告事項や情報共有は、Slack のチャンネル投稿やクリップ機能を活用して行うことをおすすめします。複数人をチャンネルに招待することで、必要な情報をリアルタイムで共有可能です。また、必要な情報は検索機能を活用して素早く見つけられるため、資料などを探す時間を短縮し、業務効率を向上させることができるでしょう。
ワークフローやアプリ連携を活用して定例会議をSlackに置き換える
Slack のワークフローやアプリ連携を活用することにより、特定の情報を自動で収集したり、重要なタスクのリマインドの設定を行ったりすることができます。従来は定例会議で都度報告していた事項をSlackに置き換えることで、リモートワークでお互いが離れた場所で就業していても、スムーズに情報を共有できるでしょう。
突発的な対応や簡易な相談は、ハドルミーティングを使ってクイックに対応する
チャンネルやダイレクトメールによるやりとりで突発的な対応や相談が発生した際には、ハドルミーティングに切り替えることで音声・映像による対話が可能になります。ハドルミーティングにはクリック 1 つで切り替えられるため、リモートワーク時に「今すぐに相談しておきたい」といったシーンでも機動的な対応が可能です。
クリップやテキスト投稿などを活用し円滑にコミュニケーションをとる
Slack のクリップやテキスト投稿は非同期通信のため、働く場所や時間帯が異なるメンバーとも円滑にコミュニケーションをとることができます。リモートワークをしている時差勤務の従業員や、海外在住の従業員とも、お互いにとって都合のよい時間帯に情報を共有、確認できる点が大きなメリットです。
議事録やリソースなどは canvas に集約し、社内のナレッジとして蓄積する
会議や打ち合わせの議事録や、共有した資料などは canvas に集約することで社内のナレッジとして活用できます。必要な時に canvas を検索すれば、目的の情報を素早く見つけられるでしょう。過去の議事録や資料などをいつでも参照できるため、チームや部署内での認識を統一することができます。
リモートワークのメリットを引き出す仕組みを整える
リモートワークには従業員・企業・社会の三者にとっていずれも多くのメリットがある反面、デメリットとなりかねない面もあるので注意が必要です。
今回紹介したメリット・デメリットを参考に、ぜひリモートワークのメリットを十分に引き出す仕組みや体制を整えてください。リモートワークが正しく機能すれば、業務の効率化や労働生産性の向上を実感できるはずです。
よくある質問
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