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生産性

APIとは?連携することで得られるメリットやデメリット

API を利用しているウェブサービスがありますが、API と連携すると何ができるのでしょうか。API の種類やAPI 連携を行うメリット・デメリット、API を利用する流れを紹介します。

Slack チーム一同作成2024年1月26日

API という言葉を、ウェブサービスやソフトウェアを利用している際に見かけることがあります。API とはどのようなものか、連携すると何ができるのかなど、詳しいことはわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、API の概要や種類とAPI 連携を行うメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。API を利用する流れと併せて見ていきましょう。

API とはプログラムやサービスで外部と連携する仕組み

API(Application Programming Interface)とは、ソフトウェアの機能を別のソフトウェアから呼び出す仕組みのことを指します。API を活用することで、異なるソフトウェアやウェブサービス同士を簡単に連携させることができます。まずはAPIに関する基本的な知識を整理しておきましょう。

Web API とは?

Web API とは、インターネット経由でアプリケーション同士を接続するための仕組みです。Web API を活用することで、ウェブサービスのうち必要な機能のみを呼び出して活用できます。多くのWeb API は無料で提供されているため、手軽に導入可能です。

API の役割

API の役割は、API 利用者と API 提供者をつなぐことです。API 利用者がAPI を通じてリクエストを送ると、API 提供者からレスポンスを得られます。例えば EC サイトなどでクレジットカードを利用する場合、クレジットカード運営会社の API に利用者のデータを用いてリクエストを行えば、決済のレスポンスを得られるのです。このように、API 利用者は自身でプログラムを開発することなくAPI 提供者の機能を活用できます。

APIを活用するために必要な知識

API はアプリケーションに組み込む必要があることから、API 利用者にはプログラミング言語の基礎的な知識が必要です。しかし、API を利用する仕組みを一般のユーザーが活用する際は、連携のリクエストを送るだけですので特別な知識は必要ありません。そもそもAPI を利用していることを知らない人もいるでしょう。このように、誰もが外部ソフトウェアやウェブサービスの便利な機能を手軽に活用できるようにすることが、API の本来の目的といえます。

API連携とは?

API を活用してソフトウェアやウェブサービスを接続することを API 連携といいます。API 連携によって、自社でプログラムをゼロから開発しなくても既存のソフトウェアやウェブサービスが提供している機能を活用できるのです。API 連携を行うことで、業務を効率化できるメリットがあります。

APIの種類

API には提供される目的や用途に応じていくつかの種類があります。どれも提供元や活用方法が異なりますので、どの API を使うのが最適なのかを知るためにも、API の種類による違いを理解しましょう。

Web API

Web API は、ウェブサービスベンダーが提供する API です。主にほかのウェブサービスの利便性を高める目的で提供されています。Google API や Facebook API なども Web API です。

ネイティブ API

オペレーティングシステム(OS)から提供されるのがネイティブ API です。Windows や Android といったOS にあらかじめ組み込まれており、アプリケーションから呼び出すことで動作します。

ライブラリ API

ライブラリ API とは、主にプログラミング言語のフレームワークです。既存のプログラムを呼び出し、ほかのアプリケーションなどに埋め込むために活用されます。

ランタイム API

アプリケーションを実行するために必要なリソースの設定や制御を行うための API です。ランタイム API を活用することで、適切なプログラムを効率よく作成することができます。

データベース API

データベースベンダーから提供されている API です。データを格納するテーブルや、データのメンテナンスに必要な処理があらかじめ用意されているため、データベース構築の工数を削減できます。

Web API の種類

Web API は、インターネットを利用したプログラミング言語の種類を問わず汎用的に活用できる API です。Web API の主な種類を押さえておきましょう。

REST API

REST API は、ウェブサービスアプリケーション同士の通信を支援する API です。シンプルで互換性に優れているため、標準的な Web API として幅広く活用されています。

SOAP API

SOAP API は、リクエスト、レスポンスをいずれも XML 形式のデータで実行する Web API です。エラー対策やセキュリティ面に強い API といえます。

GraphQL API

GraphQL API は、リクエストしたデータのみを効率的に取得するための API です。Web API を開発するために使用されるクエリ言語で、クライアントとサーバー間のデータ問い合わせに特化している点が特徴です。

JSON-RPC API

JSON-RPC API は、JavaScript でリクエストやレスポンスを行う API です。JavaScriptはウェブサービスで多く使用されている言語のため、人気のAPI となっています。

OAuth API

OAuth API は、異なるウェブサービスアプリケーション間で安全に通信を行うための API です。リクエストの送信者が正当なユーザーであることを確認し、悪意のある操作を防ぐ役割を担っています。

API 提供スタイルの種類

API にはさまざまな提供スタイルがあります。代表的な提供スタイルの特徴と、対象となる利用者は次のとおりです。

パブリックAPI

パブリックAPIは外部 API やオープン API とも呼ばれ、登録さえすれば誰でも利用できる API です。多くの人に利用してもらうことが提供目的の API に用いられています。

パートナー API

パートナー API は、パートナー企業など、協力している組織間で使用する API です。パートナー企業以外の外部ユーザーには公開されないため、安全性や機密性を保持しやすくなります。

プライベート API

プライベート API は、内部 API とも呼ばれる、特定の開発チームやユーザー間でのみ使用する API です。プライベート API は、システムへのアクセスを許可する前に身元を確認するセキュリティ対策があるため、安心して使えます。

API 連携を行うメリット

API 連携を行うことによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。アプリケーションなどを開発する際に API 連携を活用する主なメリットは次のとおりです。

開発におけるコスト削減

API 連携を行えば、すでに公開されているソフトウェアの機能を活用できるため、開発コストを削減できるのが大きなメリットです。新たな機能をゼロから開発する場合、要件定義や設計、開発、テストを経る必要があります。API連携を活用することで設計や開発、テストの工程を大幅に削減可能です。

連携ソフトウェアの情報を利用可能

連携するソフトウェアの情報を利用できることも、API 連携のメリットです。例えば、EC サイトと API連携を行うことで顧客の購買行動に関するデータを取得したり、SNS との API 連携によりユーザーの投稿内容を分析して活用したりできます。

ユーザーの利便性が向上

API 連携を活用することにより、ユーザーの利便性が向上します。例えば、ユーザーが自社サービスに登録・ログインする際、ユーザーがすでに所有している SNS などのアカウントを流用できれば、ユーザー情報の入力などを省略できるでしょう。

顧客満足度の向上

API 連携を活用することで、新たな機能をスピーディーに実装しやすくなります。ユーザーニーズに素早く応えられれば、顧客満足度の向上を図りやすくなるでしょう。

セキュリティの向上

セキュリティレベルの高いソフトウェアやウェブサービスと API 連携を行うことにより、セキュリティが向上します。例えば、2段階認証などの仕組みを、API 連携で実装できます。

常に最新情報にアップデート

API 連携によって、接続したサービスから最新情報を自動取得できるようになれば、自社サイトの情報を常に最新情報にアップデートできます。例えばECサイトなら、API 提供者による商品情報や販売価格の変更にもいち早く対応できるでしょう。

API 連携を行うデメリット

API 連携には多くのメリットがある反面、デメリットもあります。次に挙げる3点については、API連携を活用する際に注意が必要です。

トラブルへの対応が難しい

API 提供元で何らかのトラブルが発生した場合、API 連携を活用しているサービスにも影響が及ぶおそれがあります。API 提供元でトラブルを解消しない限り自社では対応ができませんし、トラブルがいつ解消されるのか予測できません。自社ではコントロールが不可能な要素がある点は、大きなデメリットです。

サービスの継続が API 提供企業に依存する

API 連携によって機能を実装した場合、API 提供元がサービスを停止すればその機能は使えなくなります。サービス継続は API 提供企業次第ですので、重要な機能を使用している場合は自社のサービス継続にも深刻な影響を与えかねません。API 提供元の事業は、必ずしも永続的ではない点に注意しましょう。

利用コストがかかる

API によっては無償ではなく有償のサービスもありますし、使用するデータ量に応じて利用料金が上がるサービスもあります。また、将来的に API 利用料金や利用プランなどが改定される可能性も十分にあります。こうしたコスト面でのデメリットも注意しなければいけません。

API を利用する基本的な手順

API を利用する場合の基本的な流れについて解説します。利用する API の種類や目的によって手順は異なりますが、基本的な手順として次の流れを押さえておきましょう。

導入目的を明確にする

自社がなぜ API の導入を必要としているのか、目的を明確にしておくことが大切です。目的が定まっていれば、必要な API の連携先を適切に絞り込むことができます。API 連携先の候補をいくつかピックアップし、運用コストを比較した上で連携先を確定してください。

API の連携先にユーザー登録をする

API 提供元のサービスにユーザー登録を行い、連携に必要な設定を済ませましょう。API 連携を利用するには事前に審査が必要なケースもあるため、審査の有無も含めてあらかじめ確認しておきましょう。

API キーとシークレットキーを取得する

API 連携時には、使用するソフトウェアやユーザーを識別・認証するための「API キー」と「シークレットキー」が必要です。API キーとシークレットキーによって、API 提供元はソフトウェアやユーザーを追跡したり、悪意ある利用を未然に防止したりすることができます。

仕様書に沿って連携する

API キーとシークレットキーを取得したら、いよいよ API 連携を行います。API 提供元が公開している仕様書に沿ってAPI 連携を進めてください。

API 連携を確認する

API 連携の実装が完了したら動作テストを行い、API が正常に作動しているか確認しておくことが大切です。不具合が見られないか、さまざまな条件でテストを実施してください。動作の確認が完了したら、リリースへと進みましょう。

API 連携を効果的に活用しよう

API 連携はアプリケーションの開発工数を削減し、新たな機能を効率よく実装する上で効果的な手段です。セキュリティの向上や顧客満足度の向上にもつながるため、自社が求める機能を利用できる API があれば連携を検討してみるとよいでしょう。今回紹介したメリット・デメリットや利用の流れを参考に、ぜひ API 連携を効果的に活用してください。

よくある質問

API 連携を行うことによって、開発におけるコスト削減につながる、公開ソフトウェアの二次利用が可能になる、利便性が向上する、顧客満足度の向上につながる、セキュリティが向上する、最新の情報を自動取得し常にアップデートが可能になるなど、さまざまなメリットを得られます。すでに公開されているソフトウェアの情報も活用できます。
API を利用する際には、まず自社がなぜAPIを必要としているのか、何を実現するためにAPIを活用するのか、導入目的を明確にします。その上で目的を達成できるAPI連携先を適切に絞り込み、API連携先を決定してください。連携先の API が確定したら、API 提供元のサービスにユーザー登録を行い、連携に必要な設定を済ませましょう。 API 連携時に必要な API キーとシークレットキーを取得したら、API 提供元が公開・配布している仕様書に沿って API 連携を行います。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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