仕事がルーティン化すると、業務の無駄に気がつきにくくなります。会議の無駄はその最たる例かもしれません。
パーソル総合研究所の 2018 年の調査によると、無駄な会議による企業損失は、 1,500 人規模の企業で年間 2億円に上るという結果が報告されています。会議の在り方を見直すことは、生産性向上の観点からも有益なことなのです。
ビジネスパーソンにとって、仕事の生産性向上は常に意識するべき課題のひとつ。ここでは、無駄な会議を有意義なものに変える方法や、コミュニケーションツールの活用方法などについて解説します。
無駄な会議とは?
長時間労働や労働生産性の議論が高まる昨今、「会議、打ち合わせの多さ」が問題として指摘されることがあります。
業務を遂行する上で、報告や連絡、アイディア出し、ブレスト、教育、経営層による意思決定などをはじめ、日々さまざまな会議が行われ、その多くは大変重要なものです。しかし、中には参加者が「無駄だな…」と感じる会議も少なくないようです。
業績が悪い会社ほど会議が多い?
パーソル総合研究所の 2018 年の調査によると、「業績が上がっている会社」「業績が横ばいの会社」「業績が下がっている会社」の会議時間を比較すると、業績が下がっている会社のほうが 1 回あたりの会議時間が長く、開催回数も多かったそうです。
会議時間が長くなるほど、無駄な時間が増える可能性も高くなります。また、アジェンダやゴールが定まらないまま開催している会議があれば、会議の在り方そのものを見直すべきかもしれません。
無駄な会議になってしまう理由
会議が無駄なものになってしまう理由には、どのようなものがあるのでしょうか。主な理由には、下記の 2 つが挙げられます。
大人数・定例化している
参加者の多い会議や定例化した会議の場合、単に「メンバーが集まること」が目的になり、会議本来の意義が希薄になることがあります。こうした場合、無駄だと感じる参加者が増えるのは、言うまでもありません。
参加者が自由に声を上げられない企業風土
年功序列が色濃い企業やトップダウン型の企業では、命令を聞くことはあっても意見を言える風土がない場合があります。このような環境では、自由闊達に意見が飛び交う建設的な会議は難しいものです。当事者意識がないままだと「会議に参加するだけ無駄」という意識が生まれ、会議が非建設的なものになってしまうのです。
また、会議を通じて結論が出たとしても、現場の従業員は命令待ちになり、改善に向けた具体的なアクションの実行にも時間がかかります。受け身で仕事をする人が増え「言われたことしかやらない」ことが常態化すれば、自発的な改善行動につながらなくなるでしょう。
無駄な会議にありがちな特徴
無駄な会議には、「議事進行に問題がある」「目的が不明瞭」「会議の方向性が定まっていない」「そもそも話し合える雰囲気づくりができていない」など、特徴的なパターンがいくつかあります。
会議を有意義なものにするには、まずは無駄な会議となってしまう理由を把握することが大切です。続いては、無駄な会議の特徴を解説します。
脱線して結論や方向性が決まらない
どれだけ議論を重ねても、結論が出ないままの会議は無駄なものです。議論が白熱して意見が拮抗しても、ずるずると結論を先延ばしにしたり、本筋の議題からそれた議論が延々と続いたりする会議は、開催意義を再考すべきでしょう。
もちろん、徹底的に議論を重ねて落とし所を見極める会議が必要なときもありますが、議題から外れた議論に終始して、毎回結論が持ち越されるような会議は参加者全員が疲弊するだけで、目的を見失ってしまいがちです。
目的が不明瞭
集まることが目的になると、会議が無駄なものになる場合もあります。目的が不明瞭な会議は、言い換えれば話し合うことがないという意味であり、開催自体が不要なのかもしれません。
定期的な進捗報告はプロジェクトの円滑な進行に必要なものですが、報告だけならばメールやグループウェア、コミュニケーションツールなどでも十分事足りるはずです。まずは、本当に会議を催す意味があるのかをしっかり考えた上で、会議開催の是非を判断しましょう。
無駄に長い
会議の終了時間が決まっていないことや、明確なファシリテーター(進行役)がいない会議は、結論が出にくく長引きがちです。こうした会議は、無意味な雑談が多くなり、本来あるべき会議の趣旨から離れてしまう傾向があります。
偶発的に結論が得られる場合もありますが、趣旨がはっきりしていないと無駄な会議になってしまう可能性が高いといえます。
会議の目的と関係性の薄いメンバーが参加している
プロジェクトに関係のないメンバーや、議題と関係が薄いメンバーなどが多く参加する会議では、会議本来の目的がぶれやすく、無駄な会議に終わる可能性が高くなります。特に、議題と関係がないのに発言権を持つ人物が参加すると、議題から脱線し会議が迷走しやすいものです。議題から逸脱したり、ほかのメンバーを萎縮させたりしないためにも、会議参加者の人選には十分留意しましょう。
また、発言が一部のメンバーに限られるような会議も、「参加者全員の意見合意を得て決定する」という会議本来の意味が薄れ、無駄な会議に陥るリスクがあります。
資料が多すぎる
会議は、議題に関連した資料が参加者に配布され進行します。しかし、その資料が膨大かつ散漫な内容だと、資料の理解に時間を要し、肝心の議論に注力できなくなる可能性があります。
読み込むべき資料が多い場合は、事前に資料を配布するといった工夫をするか、端的な資料づくりを心掛けましょう。
無駄な会議を有意義にするには?
会議は本来、業務を行う上で大切な機会です。参加者全員が意見を出し合い、自分たちが目指すべき方向性を定めていくことで問題の改善策を考え、新たな成長機会を生み出すことが、会議を有意義なものにする要となります。
続いては、従業員が有意義だったと感じられる会議を開催するための方法について解説します。
会議の目的や議題を参加者と共有する
会議を有益なものにするためには、参加者に「会議を開く目的」、すなわち議題をしっかりと理解してもらうことが重要です。会議の趣旨や目的を知らせるために、事前にアジェンダの作成・共有を実施しましょう。そうすれば、当日の議題と目的、会議の進行が把握でき、参加者も自分の考えをまとめる余裕が生まれ、議題が横道にそれるリスクを低減できます。
会議の具体的なゴールが明確になれば、結論への道筋などもイメージしやすくなり、結果として会議が意義のあるものへと変わります。
時間と頻度が適切かを考える
会議を開催するタイミングや所要時間をしっかり決めて、会議にかかるリソースを明確化することも大切です。参加者が「限られた時間の中で、実りある議論を行おう」という意識を持つと、臨場感やスピード感が生まれ、議論がより濃密で意義があるものに変わっていくはずです。
逼迫した問題に直面していない限り、週に何度も会議を催しているような状況は好ましくありません。会議の頻度が多すぎると緊張感がなくなり、「結論は次の会議で決めればいいや」といったように、先延ばしの意識の温床になりやすくなります。最適な会議の頻度は、関連メンバーと話し合って決めるのがいいでしょう。
ファシリテーターや議事録作成担当者を置く
さまざまな人が参加する会議は、必ず「頻繁に発言する人」と「発言しない人」がいて、発言の偏りが生じやすいものです。特に、上下関係が強い組織の場合、現場にいる若い従業員の意見が希薄になる傾向があります。
参加者全員に適切な発言権があることを知らせて、忌憚のない意見を述べやすい状況を作るためには、参加者に発言を促すファシリテーターを立てる方法がおすすめです。ファシリテーターは意見に左右されず、中立的な立場で会議の進行をリードしていく役目なので、会議を進行する上で重要な役割を果たします。
また、会議を通じて導き出された結論を参加者全員で共有するため、議事録作成担当者をあらかじめ任命することも大切です。参加者が議事録を確認することで、議論の後戻りを防止し、有意義な会議となっていくでしょう。
コミュニケーションツールを活用する
異なる事業拠点間での会議や、リモートワーク(テレワーク)中のメンバーが参加する会議には、 Zoom などのビデオ会議ツールや、 Slack などのビジネスチャットツールを活用するといいでしょう。
これらのツールは、会議に必要な資料を画面共有しながら会議ができ、質問や確認に使える便利な機能もあります。挙手機能で会議中に発言したり、チャット機能を用いてテキストで質問したりできるなど、コミュニケーション方法にバリエーションがあることも特徴のひとつです。
Z 世代やミレニアル世代は、 SNS などでチャットやメッセンジャーでのコミュニケーションに慣れているので、チャット機能の活用は、若い世代の意見をすくい上げる点でも期待できます。
コミュニケーションツールを使って、会議を有益なものに
会議は、企業活動を推進する上で欠かせないものだからこそ、無駄をなくし有意義なものにするべきです。現状、無駄な会議があると感じているなら、有意義な会議にするためにはどうすべきかを考えてみるのもいいかもしれません。
Zoom などのビデオ会議ツールや、 Slack などのビジネスチャットツールを上手に活用すれば、会議が実りあるものに変化するかもしれません。
よくある質問
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