2020 年 6 月 24 日、Slack は新しい働き方のヒントを探るカンファレンス「Workstyle Innovation Day Online」を開催しました。登壇者・参加者の全員がリモートで参加した初めてのオンラインカンファレンスでしたが、2,700 名もの参加登録をいただき、大成功のうちに終えることができました!
当日は Slack を活用している企業のリーダーをお迎えし、「生産性向上」「組織・カルチャー改革」「リモートワーク」という 3 つのテーマ別に 8 社の取り組みをご紹介。さらに、セッション終了後は登壇者との Q&A の場や、Slack スタッフに直接質問ができるバーチャルブースを通して、参加した皆さまにネットワーキングを楽しんでいただきました。
今回はそんな Workstyle Innovation Day の振り返り記事第 1 弾として、オープニングセッションと、「生産性向上」と「組織改革・カルチャーシフト」の事例セッションの内容をお伝えします。参加したセッションの振り返りに、また参加できなかったメンバーへの共有にぜひお役立てください。
日本代表からのメッセージ : Slack で実現するニューノーマル時代の働き方
Slack が日本でビジネスをスタートしてちょうど 2 年。「日本は Slack にとってアメリカの次に大きなマーケットであり、最近では非 IT 企業の皆さまにも多く活用いただけるようになりました」と、Slack Japan 日本代表の佐々木聖治は冒頭でごあいさつしました。
「今回のイベントを完全オンラインにしたのは、ウイルス感染拡大阻止のために Slack としてできることをするという社会的責任からです。だからこそ、登壇者・運営者を含めた全員が自宅から参加し『誰も外出せずに済むカンファレンス』にこだわりました」。
コロナ禍で突然始まったニューノーマル時代。そんななか生産性を高める鍵となるのが、メンバーの目指す方向を揃える「アラインメント」という概念です。物理的に同じ場所で働くことが減ったこのニューノーマル時代において、組織の「アラインメント」はますます重要になっています。
またコミュニケーションの進化も求められています。離れていてもチームが自律的に仕事を進めるには、会話形式でのやり取りや万全のセキュリティが欠かせませんが、Slack ならそれが実現します。「Slack とは、ニューノーマル時代に新しい働き方と生産性向上を実現する、ビジネス用のメッセージ・プラットフォームなのです」。
生産性向上|さらなる成長に向けて生産性を上げるには
ニューノーマルの時代に求められるのは、チームが離れていても生産性を上げること。このセッションでは、SOMPO システムイノベーションズ、アスクル、旭鉄工の 3 社より、Slack がチームの生産性にもたらす効果が共有されました。ここでは、そのうち 2 社の事例を取り上げます。
SOMPO システムイノベーションズが会議時間を 4 分の 1 に圧縮
損保ジャパンの基幹システム刷新を担う SOMPO システムイノベーションズ。同社が手掛けるプロジェクトは大規模で、多いときには 5 階層 50 チーム、2000人 以上が関わります。たくさんの会議と膨大な情報共有が行われるなかで抱えていたのは、「会議予定が調整できない」「会議出席者が増える」などの課題でした。
そこで同社では、「複数の業務を並行してスピーディーで進めていくオンラインプロジェクトルーム」として Slack を導入。ただ、忙しいとどうしても新しいものに対して抵抗しがちです。そこでまず 100 名規模で 2 か月間試験的に導入し、成功事例を作ることにしました。
試験導入後は、階層ごとに行っていた会議を集約できたほか、並列に検討を進めることで全体のスピードを上げ、幅広い情報共有を効率化。さらに日程調整、議事録作成の手間も削減でき、月 320 時間もあった会議を 80 時間にまで圧縮できたのです。こうして同社では、目指していた「時間や場所の制約から解き放たれたコミュニケーション」を実現できました。
アプリ連携で物流センターの作業を 365 時間分減らしたアスクル
アスクルではアプリ連携・Bot を積極的に活用しています。例えば、Github とのインテグレーションで、テスト失敗時に Slack に通知が届くようにしたことで開発効率が上がったほか、Twitter との連携でツイートから障害の可能性をすばやく発見できるようになりました。また「人事メーリングリストくれ」など入力すると該当のものを返してくれる 「くれ Bot」も活用しています。
さらに物流センターでは、バーコードリーダーの読み取り精度が閾値を下回ったら故障予知が Slack に届くようにしました。この結果、作業員の見回り作業がなくなったうえ、作業の効率化とタイムリーな修復ができるようになり、20 か所で年間 365 時間もの削減につながったのです。これを全 600 か所に展開すれば年間 10,950 時間もの削減になる見込みです。
同社が目指すのは「業務を効率化して自由な時間を増やすこと」。今後も Slack のインテグレーションでそれを実現していく予定です。
組織改革|組織のニューノーマルとは?先進企業が実践するカルチャー変革
Slack が企業文化や新しい組織のあり方に貢献できることを探ったこのセッション。登壇したマスヤグループ、リクルート、NTT ドコモより 2 社の事例を紹介します。
社長自ら組織を自律分権型へと進化させたマスヤグループ
「おにぎりせんべい」でおなじみのマスヤグループでは、社長主導のもと 3 年前から自律分権型組織へと変革してきました。それまでは社長が何でも握る管理統制型だったのですが、事業が広がるにつれてその限界を感じ、従業員が自分で判断して動ける組織に進化すると決めたのです。
それでも、社長が事実を把握することは大切です。ただそのために「報告」という場を設けると、儀式化して準備に時間が費やされるうえ、従業員の「解釈バイアス」によって事実と解釈の区別がつきづらくなります。そこで Slack を導入して日常のやり取りを「ちょい見」できるようにしたことで、「解釈バイアス」に惑わされずしっかり事実をつかめるようになりました。また、「既読」マークがないことや、絵文字リアクションなど従業員の心理的安全性を高く保つ設計のおかげで、自由にやり取りできるようになったそうです。
こうしてマスヤグループは見事に自律分権型組織へと進化し、今では遠隔地の従業員や社外関係者との心理的距離も縮めることができているそうです。
NTT ドコモが実現した、オープンで上下関係を意識させない文化
Slack 導入後、組織がオープンになったという NTT ドコモ。マネージャーを対象に行ったアンケートでは、9 割もの人が「チーム内の情報透明性が向上した」と答えたそうです。
その理由の 1 つが、複数のワークスペースを横断してコミュニケーションできる OrG チャンネルです。8000 人が参加する「#docomo」チャンネルのほか、「#英語話そう」「#ラグビー」など 50 以上のコミュニティ型チャンネルで組織を横断したやり取りが実現。なかでも「#docomo-random」では 社長講話を聞きながらのライブディスカッションから、在宅勤務や印鑑のあり方の議論まで活発に使われています。またさまざまな業務に関するアンケート依頼が毎週のようにチャンネルに流れ、自然とコメントや議論も発生するようになりました。
「上下の差を意識させない風土改革」に大活躍しているのが絵文字リアクションです(そもそも絵文字はドコモが発祥!)。絵文字で反応されることで、発言する際の心理的ハードルが下がり「勇気を出して発言する」という従業員が増えたそうです。ある部門では、Slack 導入によってコミュニケーションハードルが下がったと回答した人が 55% に上りました。
ドコモの企業理念は「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」。その第一歩である社内のコミュニケーション変革に、うまく Slack を活用しています。
リモートワーク|ニューノーマル時代の多様な働き方・学び方をリードする組織とは
コロナ禍の今、想定外の状況でもスピードを落とさずビジネスを継続できる環境や、多様な働き方・学び方がの実現が以前にも増して求められています。このセッションでは、近畿大学の教職員が「オンライン入学式」を決断した背景や、コロナ前からリモートワークを導入していたユーザーベースがコロナ後にどう変わったのか事例をご紹介。詳細は改めて別の記事でお伝えする予定です。どうぞお楽しみに!