在宅勤務がより一般的になるなかで、多くの人が感じる問題が「コミュニケーションが取りづらい」ということのようです。アドビが実施した在宅勤務に関する調査によると、日本の回答者のうち「以前より同僚とのコミュニケーションがとりづらい」と回答した人は約 55%。また「同僚からの協力が得づらい」と答えた人は 33% に上りました。
一方、アメリカの回答者で「以前より同僚とのコミュニケーションがとりづらい」と回答した人はわずか 14% で、「以前と変わらない」との回答が 63% を占める結果に。比較すると、日本では対面でのやりとりがより重視されており、そのため在宅勤務でのコミュニケーションに問題を感じやすいようです。
在宅勤務でのコミュニケーションを取りやすくするには、離れていてもメンバー同士で「つながっている」と感じられることが欠かせません。そのためには、在宅勤務という状況に合わせた工夫が求められます。今回は、在宅勤務で別々の場所にいてもメンバーのつながりを深め、コミュニケーションをスムーズにするためのアイデアを紹介します。
1. 各メンバーの在宅勤務環境をリーダーが把握
在宅勤務では、メンバーの自宅の環境により仕事のしやすさが大きく変わってしまいます。スムーズなコミュニケーションの前提として、まずは各メンバーの状況をリーダーが把握していることが欠かせません。そのため、それぞれのメンバーの状況をリーダーが把握する機会を設けましょう。
例えばまず、在宅勤務に欠かせない Wi-Fi の接続状況や必要な備品など、基本的な設備についてアンケートで聞いてみるとよいでしょう。さらに、より個人的なこと、例えば育児や家事などの家庭の事情については、その内容に応じてリーダーと個別に共有できる機会があるとよいかもしれません。
2. プライベートな面も含めた状況をチームで共有
また、メンバー同士でも互いの在宅勤務状況についてオンラインで共有しあえるとよいでしょう。気軽に話せるトピック、例えば、かわいいペットや育てている植物の写真をシェアしたり、在宅勤務中におすすめのランチメニューを紹介したりするのも一案です。また、はまっている屋内エクササイズや在宅勤務で集中する秘訣を、専用スレッドを作って共有しあうのもおすすめ。互いの在宅勤務での日常風景が垣間見えることで、メンバー同士の心理的な距離を縮めるのに役立つでしょう。
さらに、アイデアや考え事、悩みをリーダー含めチームで共有できる場を作ってみるのもよいかもしれません。「在宅勤務でこういう取り組みがあるみたいだけど、私たちも取り入れてみませんか?」「腰痛でワークチェアを買いたいけどおすすめはありますか?ちなみに手当は出るんでしょうか」など、オープンな場で話し合うことでメンバーの意見やニーズを広く知ることができるはずです。
3. 気軽なアンケートでメンバーの業務状況を確認
気軽なコミュニケーション手段としてカジュアルなアンケートをとってみるのもおすすめです。かしこまった内容でなくても「今週はどんな 1 週間だった?」「最近ちゃんと寝てる?」といった気軽な質問を投げかけてみましょう。結果はチーム全体で共有することで、各メンバーの「最近どんな感じか」を互いに把握でき、メンバー同士が会話を始めるきっかけにもなります。
たとえ質問が気軽なものでも、答えからは深い洞察が得られるかもしれません。例えば、アンケートの回答から全員が多忙な 1 週間だったことや、睡眠不足の人が多いことが判明したら、リーダーはそこから在宅勤務の見直しを始めることもできます。
4. リレー形式で全員を巻き込んで在宅勤務を改善
「在宅勤務での気づき」「在宅勤務のお役立ちアイテム」などお題を決めて、リレー形式でメンバー同士の情報共有や発信を促すのもコミュニケーションを充実させる方法の 1 つです。
ある企業ではリレー形式の投稿を実施したところ、コメントや絵文字での反応が多く寄せられ大いに盛り上がりました。結果としてリモート勤務でのコミュニケーションが改善できたことに加え、事業間の新しいつながりまで生むことができたそうです。オンラインでのリレー形式というオープンで有機的な交流方法なら、部門を超えたコミュニケーションが気軽にしやすいことに加え、簡単に全員を巻き込み、普段は自分からあまり発信しない人でも自然に会話の輪に加えられるメリットがあります。
5. バーチャル休憩でつながりを拡大
オフィスならコーヒー休憩中に給湯器の近くでたまたま居合わせた人と軽く雑談、といったことは日常風景のひとコマです。でも在宅勤務でそれを諦める必要はありません。そうした気軽な雑談をまじえた休憩を在宅勤務で実現させるのがバーチャルコーヒー休憩です。
そのためのお役立ちアプリもあります。例えば Donut アプリなら、チーム内で一緒にコーヒー休憩をとる相手をランダムに選ぶことができます。こうすれば在宅勤務中でもコミュニケーションが特定の人に偏らず、メンバー同士でのつながりを広げられるでしょう。
離れていても心理的なつながりは深められる
今回紹介したアイデアは、明日からすぐに実践できるものばかり。チームのニーズやメンバーの特徴にフィットしそうなものから、まずは 1 つ取り入れてみてはいかがでしょうか。デジタルツールの特性を活かした方法で楽しみながらチームの連帯感が強まれば、在宅勤務でのコミュニケーションもスムーズに取れるようになるでしょう。