2020-06_JP_Slack_ToppanCustomerStory_Hero

在宅体制でも組織風土は変えられる!凸版印刷が Slack 導入で得たもの

凸版印刷株式会社は、創業以来 120 年にわたって日本の印刷業界をリードし続ける存在で、印刷テクノロジーをベースに持ちつつ常に新たなテクノロジーとの融合に挑むことで未来を変える独自の価値を生み出しています。一方、労働環境の整備は全社的な課題となっており、メンバーのライフステージが変化するなかでも活躍し続けてもらう方法を模索していました。

そんな凸版印刷のシステム部門であるデジタルイノベーション本部では、コミュニケーションを活性化して生産性向上につなげようと、2020 年 4 月から Slack を導入。しかし同時に、新型コロナウイルス感染症の影響で原則全員が在宅勤務になってしまいます。メンバーがオフィスに集まれないまま止まってしまうかと思われた改革が見せた、予想外の展開とは…?

今回は、この取り組みをリードしてきたデジタルイノベーション本部企画部企画チームの山下恵理子さんに、そのいきさつと手ごたえを伺いました。

いつでもどこでもコミュニケーションできる「仮想オフィス」を作りたい

総合印刷会社として長い歴史を持つ凸版印刷。そのシステムを長年担ってきたデジタルイノベーション本部では、自分のチーム以外の情報がなかなか入ってこない風通しの悪さや、長く続けた働き方に固執しがちな雰囲気から、メンバーのモチベーションが上がらないという課題がありいました。しかし介護や育児などそれぞれのメンバーが抱える背景が今後さらに多様になっていくなかでも、働きがいを感じられる組織でありたいという思いを持っていました。

課題を克服し、理想の姿に近づくためのさまざまな働き方改革施策のひとつとして、山下さんたちのチームでは Slack 導入の検討をスタート。いつでもどこでもつながることができて心理的にもオープンな「仮想オフィス」を作ることができれば、コミュニケーションが活性化し、どんな背景を持つメンバーもパフォーマンスを高く保てるのではないかと考えたのです。

また、Slack なら 1 対 1 のメッセージのやり取りにとどまらずにほかのメンバーがやり取りする様子が見えるため、「自分もこういうことを聞いて大丈夫なんだ」と安心して発言できる雰囲気が生まれること、さらに情報共有の大切さを実感できることも期待していました。

仮導入たった 2 週間で約半数が生産性向上を実感

2020 年 2 月後半、まずは 130 名の部門で Slack の仮導入が始まりました。

利用を促進するために、山下さんらは社風に合った運用しやすいガイドラインを用意したほか、メンバー 10 人あたり 1 人の割合でアンバサダーを配置。アンバサダーには事前に説明会とトレーニングを受けてもらい、導入初期にメンバーがつまずかないようフォローしてもらいます。このアンバサダーという「改革の意味を理解してくれる味方」を中心に Slack 利用の輪が広がったと、のちに山下さんはその存在の重要性を振り返ります。

また、仮導入直後は導入チームのリーダーである山下さん自ら Slack にはりつき、あらゆる書き込みに即返信&リアクション。書き込み直後という最も Slack に意識が向いているタイミングを逃さず反応を返すことで、利便性や楽しさを実感してもらいました。

これらの工夫が奏功し、仮導入から 2 週間後に実施したアンケートでは「コミュニケーションが効率的になった」と感じた人が 57 %、「生産性が向上した」と感じた人が 46 %という結果が出ました。一方でネガティブな声はほとんどなく、山下さんは「2 週間という短期間で半数が効果を実感できるならば、この良さは全体にもっと広げていける」と手ごたえを感じたといいます。

凸版印刷Slack導入効果

このほか、「わざわざ集まって会議で確認しなくても Slack を見ればわかるようになり、コミュニケーションが速くスムーズになった」という声や、「これまで近くにいる『答えを知っていそうな人』に質問していたことを Slack に書き込むことでオープンに広く教えてもらうことができる」という声も聞かれたことから、4 月から約 300 名の本部全員で Slack を導入することが決定されました。

いよいよ本部全体展開へ!ところが、原則全員在宅勤務に…

Slack の本部全体導入まで漕ぎつけた改革チーム。ところがその矢先、新型コロナウイルス感染症の影響で原則全員が在宅勤務となってしまいます。

「働き方改革はリアルな場に集まらないとできないと思っていた」という山下さん。Slack の本部展開でも、メンバーを集めて説明会を開くなどオフィスでの細やかなフォローを考えていました。新型コロナウイルスが収束するまで何もできないのではないか?と、働き方改革全体の中断も覚悟したといいます。

しかし実際には、予想外のことが起こりました。Slack がメンバー全体の反応を見ながら発信できる唯一のツールであったことから、メンバーも情報も圧倒的に Slack に集まってきたのです。Slack に本部メンバー全員が招待されてから、在宅勤務中のアクティブ率は 8 割をキープ。まさに目指していた「仮想オフィス」が急速に築かれ、仮想オフィスだからこそできる働き方改革の一部がここで進められていきました。

「役職呼びの廃止」も「幹部とのつながり」も、仮想オフィスだからこそ実現

「『さん』づけ呼称活動」もそのひとつです。これは役職呼びをやめて「さん」づけで呼び合うことで話しやすい雰囲気が生まれること狙った施策で、もともとはリアルに顔を合わせないとできないと考えられていました。ところが、幹部も含めた全員が Slack でコミュニケーションをとっているうえ、「呼び間違えてもすぐに修正することができる」という Slack ならではのハードルの低さが功を奏し、メンバーは在宅勤務期間中に「さん」づけに慣れることができました。

また、「幹部つぶやきチャンネル」も開設。幹部に日常の雑談を投稿してもらうことで、これまで幹部層と接点のなかったメンバーにも人柄が伝わり、新たなつながりが生まれました。今では「楽しい情報も読める場」とメンバーが実感できることで、Slack でのコミュニケーションはさらに活発になっています。1 日のメッセージ数が 2000 件を超える日も現れました。

離れた場所にいても心の距離は縮められる

全員が在宅勤務体制にありながら組織風土が変わっていくのを目の当たりにして、「これまでオフィスで物理的に近くにいても、話しかけづらい空気があったのならば心の距離は遠かったのかもしれない」と山下さんは振り返ります。

山下さんが所属するチームの課長である岩崎直人さんも「何かを助けてもらった時に『ありがとう』と言葉を交わすような基礎的なコミュニケーションは、モチベーション高く仕事をする上でも大切。それが顔を合わせていた時よりも Slack のほうが活発にできる」と思わぬ発見があったことを語ってくれました。

在宅勤務体制でメンバーは離れた場所で仕事をすることになりましたが、気軽に質問し、言葉をかけあえる関係性が Slack 上で築けたことで、メンバー同士の心の距離はむしろ近づいたのでした。

今後はコミュニケーションツールを Slack に集約しさらに利用を深めつつ、Slack をほかの本部にも展開していき、デジタルイノベーション本部で得た知見を全社へ広げたいと考えているそうです。