社内のコミュニケーションや情報共有に役立つさまざまな機能を持つ、グループウェアを導入する企業が増えています。グループウェアには何ができ、なぜ今活用が広がっているのでしょうか。
グループウェアの主な機能や導入メリットのほか、同じくコミュニケーション・情報共有のために活用されているビジネスチャットとの違いなどについて解説します。
グループウェアとは業務効率化を促進するためのソフトウェアのこと
グループウェアとは、主に社内などの組織内におけるコミュニケーション、情報共有、業務効率化などのための機能を一通り備えたソフトウェアです。
複数名のメンバーで構成される組織で業務やプロジェクトを円滑に進めるために重要なのは、それぞれのスケジュールや進捗状況を把握し、コミュニケーションをとり合い、情報共有することです。
グループウェアは、そうした需要に応えるための各種機能をまとめて搭載した統合ソフトウェアだといえます。
グループウェアの主な機能
多くのグループウェアには、下記のような機能が搭載されています。各機能の概要について見ていきましょう。
社内コミュニケーション機能
グループウェアには、メンバー間でのコミュニケーションのための機能が搭載されています。会社全体からチーム内まで、さまざまな規模・状況に応じたコミュニケーション機能があります。
- ウェブメール
ウェブメールは、グループウェア上(ウェブブラウザ上)で閲覧・操作できるメールです。一般的なメールソフトのようにパソコンにインストールする必要がなく、インターネットへの接続環境があればスマートフォンなどからでも利用できます。
- 社内 SNS
Twitter や Facebook などの要素を取り入れた、社内向けの SNS もグループウェアに搭載されています。短いつぶやきメッセージを投稿・閲覧でき、「いいね」などのリアクションもとることが可能です。社内限定の気軽なコミュニケーションによく利用されています。
- 掲示板
全社向けのお知らせやインフォメーションなどを、掲示板ツールに掲載することができます。定期的に更新される情報や社内向けニュース、速報性のある共有事項などを知らせることが可能です。
- 社内ポータル
社内ポータルは、新着情報やスケジュール、メールや伝言などの情報を集約して表示するポータルページです。その日の仕事を始めるときなどに、まず確認する画面として活用できます。
情報共有機能
グループウェアには、組織内で情報を共有・蓄積し、活用するための情報共有機能が搭載されています。重要な情報も含まれるため、セキュリティ対策も講じられています。
- 文書管理
グループウェアでは、さまざまな種類の文書ファイルを保存し、管理することができます。更新履歴の世代管理や共同編集、全文検索、アクセス権管理など、保存してある文書を活用するための機能が備わっています。
- ファイル共有
グループウェアでは、資料やパンフレット、画像、動画といった各種ファイルを整理して格納し、必要に応じて共有することが可能です。目的のファイルをすぐに探し出したり、重要なファイルをセキュアに共有したりすることができます。
- スケジュール管理
スケジュール管理は、各自のスケジュール管理はもちろん、チーム単位などでメンバーのスケジュールをお互いに確認し、共有できるツールです。スケジュールの可視化によって、共同作業の日程調整、会議予約、業務の進捗状況のチェックなどが可能となります。
業務効率化
最近のグループウェアには、業務効率を向上させるための機能も多数搭載されています。
- ワークフロー
ワークフローとは、各種申請、承認、決裁業務をオンラインで効率的に実施するためのツールです。例えば、申請書を選ぶと所定の作業の流れが自動で表示されたり、各種申請の承認状況も容易に把握できたりするなど、通常の紙による申請よりもスムーズに業務を進めることができます。
- アンケート
グループウェアには、テンプレートなどを使ってアンケートを簡単に作成して実施できるツールも用意されています。集計や分析をし、結果を社内で公開することも可能です。従業員の意識調査、意見・アイディア募集、社内コンテストなどに利用することができるでしょう。
- 施設予約
グループウェアには、会議室などの共有施設の予約管理機能が用意されています。複数の会議室の空き状況を簡単に確認し、仮予約して管理者の承認を得るといったフローを効率化できます。社用車やプロジェクターといった機材関連の予約管理も行うことが可能です。
- タイムカード
タイムカードは、出退勤時間や外出、帰社時間などの打刻データを記録し、集計するツールです。従業員ごとの就業データのほか、全従業員の出欠状況の確認も可能です。また、勤怠管理システムと連携できるグループウェアもあります。
グループウェアを利用するメリット
グループウェアを導入すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、グループウェアを利用する 5 つのメリットをご紹介します。
1 社内コミュニケーションの円滑化
グループウェアの多彩なコミュニケーション機能は、スムーズな組織内コミュニケーションに役立ちます。メール、 SNS 、掲示板などは、それぞれ特性が異なるコミュニケーション手段のため、うまく使い分けることができれば、さまざまな角度からの情報のやりとりが可能です。
リモートワークなどによる働き方の多様化が進む中、社内コミュニケーションの方法は複数用意されていることが望まれます。電話とメールのみに頼るようなやり方だと、現在のビジネスのスピードに対応することは難しいでしょう。
また、グループウェアとビジネスチャットを連携させることもできます。チャットはスピーディーかつ頻繁なコミュニケーションをしたいときなどに有効です。
2 情報・ナレッジの共有を促進
情報やナレッジ(知見)の共有を促進するのがグループウェアの共有機能です。パソコンの共有フォルダやファイルサーバーを使うよりも、ずっと快適に文書や各種ファイルを扱うことができます。
グループウェアであれば、同じソフトウェア上でコミュニケーションをしつつ、必要なときにはファイルを指定して共有するといったことも、スムーズに行うことが可能です。例えば、マニュアルや商品資料を、コミュニケーションと編集を重ねながらアップデートしていくこともできるでしょう。
3 ペーパーレス化
紙の文書をなるべく廃止してペーパーレス化を推進したいというときにも、グループウェア導入は効果を発揮します。
グループウェアを導入することで、資料、パンフレット、カタログ、マニュアルなどを、電子文書で運用することが可能です。ペーパーレス化が進めば、印刷コストの削減やオフィスの省スペース化も期待できます。
4 リモートワークに対応
リモートワークとの親和性が高いことも、グループウェア導入のメリットです。さまざまな業務をオンラインで完結できるよう調整し、在宅勤務やモバイルワークに対応した環境を整えられます。グループウェアを提供するベンダーも、近年ではリモートワーク・テレワークを意識した機能拡張などを行っています。
5 業務効率化
ワークフローやスケジュール管理の機能は、業務効率化に有効です。さまざまな機能を活用することで、グループウェアを立ち上げれば必要な情報をすぐに探し出し、メンバーの進捗状況を把握し、コミュニケーションをとるといった環境を構築することができるでしょう。
グループウェアを導入するデメリット
グループウェアの導入には多くのメリットがありますが、グループウェアを導入するデメリットはあるのでしょうか。グループウェアを導入するデメリットを 4 つご紹介します。
1 コストがかかる
グループウェアには、オンプレミス型とクラウド型があります。オンプレミス型は基本的に初期費用が高く、 100 ユーザー程度が使用するとして、導入時に 100 万円以上かかるケースもあるでしょう。
クラウド型は、初期費用は無料または安価なことが多いものの、代わりに 1 ユーザーあたり月額 500 ~ 3,000 円程度の料金がかかります。長期間使い続ければそれだけトータルの運用コストがかさみます。
いずれにしろ、グループウェアの導入時には、費用対効果がどれだけあるのか検討する必要があります。
2 機能をすべて使いこなすのが難しい
グループウェアには多くの機能が搭載されているため、そのすべてを使いこなすのは難しいでしょう。多種多様なコミュニケーション手段や情報共有の方法をうまく使い分けられればいいのですが、場合によっては情報が分散してしまい、肝心なときに必要な情報をすぐに見つけられないという状況が生じるおそれがあります。
目的や課題が明確になっていて、機能を絞って使いたいという場合には、単体のツールを導入したほうが効率的かもしれません。
3 自社に合ったグループウェアを選ぶのが難しい
グループウェアは機能が多い分、自社にマッチした商品を選ぶのが難しいという側面もあります。
画面の見やすさや操作性、設計思想のほか、他システムやツールとの連携も含め、自社の業務内容やITスキル、企業カルチャーに適合したグループウェアを選ばなくてはなりません。選定には、十分な時間をかける必要があるでしょう。
4 社外とのコミュニケーションには使いづらい
多くのグループウェアは、基本的に社内で使うことを前提として作られています。社外の取引先、外部パートナーなどとのコミュニケーションや情報共有には、使いづらい傾向があります。
そのため、社外組織との連携で活用しようとすると、セキュリティ面でよりきめ細かい設定や管理が必要となります。外部組織とのコラボレーションが多い企業にとっては、やや商品選びが難しいというのが現状です。
グループウェアと機能を補強し合うビジネスチャット
現在、多くの企業でビジネスチャットが利用されています。これまでにご紹介したグループウェアの特徴は、ビジネスチャットの機能・役割と重なる部分も少なくありません。しかし、あくまでもチャット機能に特化しているビジネスチャットとグループウェアは、お互いに不足している機能を補い合う側面を持っているといえます。
あらためて、ビジネスチャットの特徴や強みについてご説明しましょう。
ビジネスチャットはチャット機能+情報共有のためのソフトウェア
ビジネスチャットはチャット機能、つまりテキストによるやりとりを主体とした社内外の人とのコミュニケーションのためのツールです。
メールのように文頭挨拶文などが必要なく、端的な文章を使用し、複数人で、リアルタイムでコミュニケーションをすることが可能です。また、ほとんどのビジネスチャットツールは、ファイル添付機能やタスク管理機能を備えています。
グループウェアの中にもチャットができる、もしくはチャットツールと連携できるものがあります。これに対し、ビジネスチャットはチャット・情報共有機能に特化し、それらを深化させたものとなっています。
情報伝達・共有の迅速化に強いビジネスチャット
ビジネスチャットの強みは、使用する際のハードルの低さ、手軽さ、そしてそれらによる情報伝達・共有のスピードの速さでしょう。
ビジネスにおける報告や連絡に加えて、何かちょっとした疑問があるとき、アイディアや提案が思い浮かんだときなどに、すぐにツールを立ち上げて使うことができます。プロジェクトや部署単位でグループを作成して、コミュニケーションと情報共有を効率化することも可能です。
パソコンだけではなくスマートフォンなどからも使えて、しかも使いやすいのも特徴です。シンプルであるがゆえに、迅速なコミュニケーションができるといえます。
社外組織とのコミュニケーションも活性化
ビジネスチャットの中には社内に限らず、社外とのコミュニケーションを視野に入れた機能を備えているものもあります。
単に社外の人と連絡がとれるというだけではなく、社外パートナーとのビジネスをスムーズに進められるよう、安全なスペースでコミュニケーションや情報共有ができるよう設計されているのです。会社という枠を越えた緊密なコミュニケーション・情報共有が可能になれば、ビジネスチャンスはさらに広がるでしょう。
例えば Slack には、「 Slack コネクト」という社外パートナーとのビジネスを迅速かつ安全に進めるためのオプションが用意されています。
自社にとって最適なグループウェアの活用方法を検討しよう
グループウェアには、社内のさまざまな形のコミュニケーションや情報共有をスムーズにするための機能が用意されています。そのメリットを活かし、社内に確実に浸透させるには、導入目的や利用シーンを事前に明確にして、自社にマッチした商品・サービスを選ぶことが重要です。
また、迅速かつ円滑なコミュニケーション & 情報共有を重視するなら、ビジネスチャットを選択するという方法もあります。まずはビジネスチャットでできることを確認し、不足していると思われる部分をグループウェアで補うなど、柔軟な考え方で導入を検討してみてはいかがでしょうか。
グループウェアとビジネスチャットを併用している企業も多く存在します。使い分けには工夫が必要ですが、運用ルールなどを事前にしっかりと決めておけば、両者のいいとこ取りをすることができるでしょう。
よくある質問
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