生産性を向上させるための取り組みを進めたいと思ってはいるものの、具体的にどのような施策を講じるべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。生産性の向上を実現するには、現在抱えている課題を明確にしたうえで課題解決に向けた施策を講じる必要があります。
今回は、生産性を向上させるにあたって多くの企業が抱えがちな課題と、それらを解決するための取り組みについて解説します。生産性向上に役立つツールの活用方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
生産性向上を阻む課題
生産性の向上を目指すにあたって、多くの企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。生産性向上を阻む主な課題をまとめました。
業務の属人化・サイロ化
業務の「属人化」や「サイロ化」の解消は、生産性を向上させるための課題のひとつです。業務が属人化すると、特定の従業員しか業務内容の詳細を把握していない状況に陥り、その特定の従業員が不在となれば業務が滞ってしまいます。また、業務がサイロ化すると、部門間でスムーズな連携ができず、時間や労力を無駄に消費することにもつながります。
業務の属人化やサイロ化は、生産性を低下させる直接的な原因となるのです。業務フローが必要以上に複雑化したり、業務がブラックボックス化することで人的ミスを誘発したりする可能性も高くなります。
生産性向上を目指すのであれば、業務の属人化・サイロ化は早急に解消する必要があります。
コア業務に集中できない労働環境
生産性向上のための解決すべき課題として、コア業務に集中できない労働環境も挙げられます。
業務は利益に直結する「コア業務」と、必ずしも利益を生まない「ノンコア業務」の 2 種類に大別されますが、大量のノンコア業務を抱えてしまうと、コア業務を集中的にこなす時間が不足しがちです。利益に直結する業務が疎かになれば、生産性が低下するのは避けられません。
そのため、コア業務に集中できるような労働環境を整えることが重要です。
マルチタスクの常態化
マルチタスクが常態化することも、生産性向上を阻む課題のひとつです。 1 人の担当者が複数の役割を兼務していると、異なる作業を同時並行で進める「マルチタスク」が常態化しやすくなります。人の処理能力には限度があるため、過度なマルチタスクは集中力の低下を招き、結果として作業効率の悪化につながりかねません。能力の高い従業員に業務が集中しているようなケースでは、特に注意が必要です。
適切な人材を適切な業務に配置することで、マルチタスクの常態化を防ぐことは、生産性を向上させるための重要な施策のひとつと言えます。
長時間労働
生産性向上のための解決すべき課題には、長時間労働も挙げられます。
限られた人員で大量の業務をこなそうとすると、従業員 1 人あたりの労働時間が長くなりがちです。長時間労働の常態化は従業員の心身に負担をかけ、集中力やモチベーションの低下を招きます。業務の質が下がり、ミスが発生しやすくなるなど、生産性を下げる大きな要因になりかねないのです。
そのためにも、従業員が長時間労働に陥らないような施策を講じることが重要です。
不適切な人材配置による業務効率の低下
不適切な人材配置による業務効率の低下も、生産性向上を妨げる課題のひとつです。
人材配置は、従業員一人ひとりが適性に合った業務を担当し、得意分野を活かせるよう考慮する必要があります。人材配置が適切になされていないと能力を十分に発揮できず、業務効率の低下を招きかねません。
適材適所の人材配置を実現することは、生産性向上を目指すにあたって重要な施策のひとつと言えるでしょう。
なぜ生産性を向上させる必要があるのか
生産性の向上は多くの企業にとって重要な課題といわれていますが、そもそもなぜ生産性を向上させる必要があるのでしょうか。特に重要度の高い背景として、下記の 2 つが挙げられます。
労働人口の減少
出生率の低下に伴い、日本国内の人口は急速に減少しつつあります。内閣府の推計によれば、 2060 年までに国内の人口は現在の約 3 分の 2 にあたる 8,674 万人に減少すると予測されているのです。少子高齢化によって労働人口が減少していくなか、限られた人的資源をいかに有効活用するかが問われるのは必然でしょう。労働人口の減少に対応するには、生産性向上の実現が急務と言えます。
※内閣府「選択する未来」
国際競争力の低下
先進諸国と比べて、日本の生産性は低いといわれています。2021年の日本の時間あたり労働制生産性は 49.9 ドルと、 OECD(経済協力開発機構)加盟 38 ヵ国中 27 位にとどまっているのです。今後も生産性が低い状況が続けば、国際競争力の低下は免れません。国際競争力の低下を食い止めるためにも、生産性向上が求められているのです。
生産性とは?
生産性という言葉は、しばしば抽象的な意味で使われる傾向があります。しかし、生産性はもともと定量的な指標に基づいて判断されるべきものであり、「高い・低い」を感覚的に判断するものではありません。
労働力によって生み出される生産量は労働生産性と呼ばれ、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の 2 つに分けられます。それぞれの計算式は次のとおりです。
生産性の向上を目指す際には、上記の計算式を活用して現状の生産性を算出したうえで改善施策を講じる必要があります。
生産性を向上させるための方向性
生産性を向上させるための方向性には、大きく分けて 2 つのアプローチがあります。生産性向上を目指すにあたって、インプット・アウトプットのいずれに重点を置くかが問われることになります。インプットを縮小する方向性・アウトプットを拡大する方向性について押さえておきましょう。
インプットを縮小する
インプットとは、生産活動において投入される資源(ヒト・モノ・カネ・情報)のことです。生産に必要な原材料や設備、人員などはいずれもインプットに相当します。インプットを縮小しつつ生産量を維持することによって、生産性を高めることが可能です。
不採算部門の縮小・撤退や売却、事業の統廃合、人員削減といった大規模なインプット縮小策は「インプット大幅縮小型」の施策と呼ばれます。事業の状況によっては、こうした大胆な施策を講じる必要に迫られる場合もあるでしょう。
アウトプットを拡大する
アウトプットとは、生産活動の結果として産出される成果を指します。特に労働生産性に焦点を当てた場合、従業員 1 人あたりの成果がアウトプットです。同じインプット量でアウトプットを増やすことによって、生産性を高めることができます。
選択と集中により、生産性の高い事業へ集中的に投資すれば、結果としてアウトプットを大幅に増やすことが可能です。こうした大規模なアウトプットの増加を目指す施策を「アウトプット大幅拡大型」といいます。
生産性を向上させるために有効な取り組み
生産性向上の実現に向けて、有効な取り組みを紹介します。次に挙げる取り組みを一つひとつ進めていくことで、着実に生産性の向上を目指せるでしょう。
業務の棚卸しと可視化
生産性を向上させるために、はじめに取り組んでおきたいのが現状把握です。具体的な業務内容や業務量、それぞれの難易度を洗い出し、可視化していきます。そのうえで、業務の成果を定量的に把握できる単位に細分化しておく必要があります。また、属人化の傾向が見られる業務がないかチェックし、現在抱えている課題点を明確にしておくことが大切です。
業務の標準化
業務の標準化に取り組むことで無駄な工数を削減し、担当者によって生産性にムラが生じるのを防ぎやすくなります。
業務の進め方が担当者ごとに異なっていると、業務が属人化・ブラックボックス化する原因となり、生産性向上が難しくなります。業務を標準化させるためには、基本的な業務の進め方を整理し、効率良く進められる手順をマニュアル化しておくことが大切です。
業務の自動化
ルーティンワークや定型業務の生産性を向上させるには、 IT ツールを導入して自動化することも有効です。業務を自動化することによって業務の負担を軽減できるだけでなく、人的ミスの回避にもつながります。現在活用している設備機器が古いようなら、アップデートすることで性能の向上や、業務フローの実態に即した運用がしやすくなるはずです。
タイムマネジメント
担当者のタイムマネジメントを徹底することも、生産性の向上において重要な取り組みのひとつです。業務が完了するまで漠然と取り組むのではなく、いつまでに何を終わらせる必要があるのか、目標を掲げて業務を進めることを習慣化していきましょう。進捗状況を共有できるようにしておくことで対応漏れを回避できるだけでなく、作業に遅延が生じる兆候を早期に発見しやすくなります。
従業員のスキル向上
従業員一人ひとりのスキル向上を図ることも、生産性向上のために欠かせない要素と言えます。業務に必要な知識・スキルを習得するための研修を実施したり、資格取得にかかる費用をサポートする制度を設けたりすることで、従業員のスキル向上を後押ししていくことが大切です。
アウトソーシングの活用
生産性向上のための取り組みは、必ずしも社内だけで完結させる必要はありません。特にノンコア業務に関しては、アウトソーシングを活用して効率化を図ることも有効です。従業員がノンコア業務から解放され、コア業務に集中しやすい環境を整えることができます。
従業員のモチベーション向上
生産性向上のための取り組みは、ともすると業務効率化に集中しがちです。一方で、従業員のモチベーションを向上させることで生産性を高めるという視点も持ち合わせておくべきです。有給休暇の取得を促したり、ノー残業デーを設けたりすることで、ライフワークバランスを適切に保っていくことも重要なポイントとい言えます。
適切な人材配置
業務の棚卸しを実施した結果、現状の人材配置が適切でないことが判明することも考えられます。従業員の適性や現状のスキル、各自の希望なども考慮したうえで、適切な人材配置を再検討することが大切です。必要に応じて配置転換を行い、一人ひとりが能力を発揮しやすい環境を整えていきましょう。
生産性向上に役立つ Slack の活用
生産性向上を実現する取り組みの一環として、インテリジェント プロダクティビティプラットフォームの Slack を活用したコミュニケーションの改善をおすすめします。 Slack を導入することで得られる具体的な効果は下記の 3 点です。
柔軟にコミュニケーションが取れるため労働環境を改善しやすい
Slack にはチャンネルを活用したグループチャットやDM、ハドルミーティングや動画を活用した非同期コミュニケーション機能といった多彩なコミュニケーション方法が用意されています。状況に合わせて柔軟にやり取りできるようになり、コミュニケーションの質が高まるでしょう。また、スマートフォンなどの端末でも活用できるため、リモートワーク(テレワーク)環境下でのコミュニケーションにも最適です。アウトソーシングを活用する際には、外部スタッフとのやり取りも円滑に進めることができます。
ワークフローの作成や業務マニュアルの管理もできる
Slack canvas を活用することで、ワークフローのとりまとめや、業務マニュアルなどの効率的な作成・管理が可能です。実際、ユーザーの 86% が Slack を活用したことで情報共有が簡単になったと感じています。社内のデータやナレッジを共有・活用するためのツールとして Slack を導入することで、生産性の向上を実現しやすくなるでしょう。
各種ITツールとの連携
Slack は 2,600 以上のアプリと連携可能です。最小限のコーディングで独自のカスタムアプリを開発・導入できるため、業務プロセスの自動化・効率化に役立てることができます。既存の IT ツールはもちろんのこと、新たに導入予定の IT ツールとも連携させて活用することで、生産性向上がいっそう加速するでしょう。
生産性を向上させるには適切な取り組みが重要
生産性を向上させるには、現在の課題を整理したうえで適切な解決策を講じていく必要があります。具体的な取り組みを計画に沿って進めていくことで、着実に生産性の向上を実現できるでしょう。
今回紹介したポイントを参考に、ぜひ生産性向上に向けた課題解決に取り組んでください。生産性が向上することによって業務の質が高まるだけでなく、従業員にとって働きやすい・やりがいのある職場環境を整えられるはずです。
よくある質問
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