ペルソナとは?ターゲットとの違いやメリット、設定方法を解説
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ペルソナとは?ターゲットとの違いやメリット、設定方法を解説

ペルソナとはマーケティング戦略を策定する上で重要なユーザーイメージです。ペルソナとターゲットの違いのほか、ペルソナを設定するメリットや設定方法を解説します。

Slack チーム一同作成2023年4月5日

マーケティングでは「ペルソナ」という言葉がよく使われます。商品企画や販売戦略に携わったことがある方なら、一度は耳にしたことがあるでしょう。一方で、ペルソナが何を意味しているのか、ターゲットとどう違うのか、詳細に把握していない方もいるのではないでしょうか。

今回は、ペルソナの定義や設定する理由、具体的な作り方についてわかりやすく解説します。ペルソナを設定する際の注意点も紹介しますので、マーケティング施策を検討する際にお役立てください。

ペルソナとはユーザーイメージのこと

元々ペルソナは、「人格」や「仮面」という意味を表すラテン語です。マーケティングでは、商品・サービスの典型的なユーザーイメージを表します。

イメージとはいえ、年齢や性別、居住地域、家族構成、職業、年収、価値観、ライフスタイルといった具体的なモデルを設定し、まるで実在する人物であるかのように作られるのがペルソナの特徴です。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとよく似た概念として「ターゲット」が挙げられます。商品・サービスのユーザーイメージを表す点はペルソナと共通していますが、ターゲットで絞り込まれるのは「ユーザー層」までです。例えば、「20代男性」「会社員」「関東地方在住」のように、該当する人物が数多く含まれています。

これに対してペルソナは、具体的な一個人を想定している点が大きな違いです。1人のユーザーを設定することで、同じ属性のユーザーにも商品・サービスが受け入れられると考えるのがペルソナの基本的な考え方といえます。

ペルソナと STP の違い

STP とは「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の頭文字を取った言葉で、マーケティング戦略を策定する際の分析方法のことです。市場を細分化して狙うべき市場を決定し、自社の立ち位置を明確化することを指します。市場の全体像やユーザーニーズを把握し、他社との差別化を図るポイントを見極める際に用いられる手法です。

ペルソナを設定するには、そもそも自社が狙う市場はどこなのか、自社が発揮できる強みは何であるのかを把握しておかなくてはなりません。ですから、 STP はペルソナを設定する前段階で行っておくべき分析として位置付けられます。

ペルソナを設定する理由

商品開発やマーケティング戦略の策定において、ペルソナの設定は重要なプロセスといわれています。ペルソナを設定する主な理由は、下記の 3 点です。

社内、チーム内でのユーザーイメージの統一

商品開発やマーケティング施策に携わる関係者は複数名にわたります。仮に関係者 10 名が「20 代男性」や「関東在住」といった幅を持たせたターゲットを共有した場合、ユーザーイメージが 10 名とも少しずつ異なるといったずれが生じかねません。ユーザーイメージのずれは、チーム内での意見の不一致や方向性の違いとなって表面化するおそれがあります。

ペルソナを設定することで、より具体的なユーザーのイメージを共有しやすくなります。チーム内でユーザーイメージを統一化すれば、商品開発やマーケティング施策の方向性を一致させやすくなるのです。

見込み客の問題点の洗い出し

見込み客が抱えている課題や問題点を洗い出し、商品・サービスの改善につながるヒントを探索しやすくすることもペルソナを設定する理由のひとつです。見込み客が日頃から感じている課題や問題点をイメージするには、実際にどのような生活を送っているのか、日常生活での行動パターンや考え方に対して想像力を働かせる必要があります。

ペルソナを設定することによって、ユーザーイメージが具体的な人物に絞られます。その人物が実際にどのように暮らし、どういった価値観を持っているのかを詳細に分析しやすくなります。

ユーザー視点での効果的な施策決定

商品・サービスの訴求ポイントやタッチポイントをユーザー目線で考えるためにも、ペルソナの設定が有効です。例えば、「20 代男性はシンプルなデザインを好む」「若年層はスマートフォンで情報収集をする」といったユーザー像は、担当者自身の先入観が生み出しているのかもしれません。

より実在の人物に近いペルソナを設定することにより、見込み客が実際に何を考え、どのように行動しているのかを詳細にイメージしやすくなります。ユーザー視点での効果的な施策を策定・決定していく上で、ペルソナは重要な役割を果たしているのです。

ペルソナを設定するメリット

ペルソナを設定することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な 4 つのメリットについて見ていきましょう。

社内で認識が統一される

ペルソナを設定することにより、具体的なユーザーイメージが社内で共有され、認識を統一しやすくなります。異なる部門が協力して商品開発やマーケティング施策に取り組む際にも、各部門が同じユーザー像をイメージしながら仕事を進められるでしょう。

ユーザー像に関する認識の相違は、商品・サービスのコンセプトや方針のずれにつながります。結果として「誰に向けて作られた商品なのかがわからない」といった事態に陥りかねません。社内で認識の共有が促されることは、ペルソナを設定するメリットといえます。

ユーザーのニーズを商品に反映させやすくなる

ライフスタイルや価値観を深掘りしたペルソナは、固有の人格ともいえる存在です。ペルソナが何を思い、どのような価値基準にもとづいて商品・サービスを選ぶかを考えることは、結果的にユーザーのニーズをより深く考察することにつながります。

赤の他人に向けて手紙を書くのが難しいように、商品開発やマーケティング施策を検討する際も、顔のない相手を想定するのは容易ではありません。ひとつの人格としてペルソナを設定することでユーザーのニーズをより具体的に捉え、商品に反映させやすくなることは大きなメリットといえるでしょう。

業務効率化につながる

ユーザー像が明確になることで、商品開発やマーケティング戦略の策定に向けたプロジェクトの方向性が定まります。全体の方向性が大きくずれていなければ、プロジェクトの途上で議論のやり直しや作業の手戻りが発生するリスクを最小限に抑えられるでしょう。

施策の検討から実行までを最短距離で進められれば、業務効率化にもつながります。結果として、業務上の「ムリ・ムダ・ムラ」を削減できることも、ペルソナを設定することで得られるメリットのひとつです。

マーケティングの精度が上がる

ペルソナを設定した場合のマーケティング施策は、必然的にシンプルなものとなります。特定の1人に訴求し、満足度を高めることが目的となるからです。ペルソナに対して効果的な施策を講じることで、ペルソナと同じ属性の見込み客にもリーチする可能性は十分にあるでしょう。

ターゲットを設定したとしても、想定されるニーズを抱えた見込み客が実在するとは限りません。ターゲット層全体のニーズを満たす商品・サービスを目指した結果、個々のニーズから少しずつずれてしまうケースは決して少なくありません。

ある特定の1人のニーズを捉えることでマーケティングの精度を高められることは、ペルソナを設定するメリットといえます。

ペルソナの設定方法

ペルソナを設定する際には、想像や先入観だけに頼らず、入念な分析にもとづいて作成する必要があります。下記の手順に沿って、具体的なユーザー像を形成していきましょう。

1. 自社と見込み客を分析する

始めに着手するべきことは、自社と見込み客の分析です。自社の強みはどのような点にあるのか、競合他社との差別化を図るポイントを洗い出しておく必要があります。 3C(顧客・競合・自社)の視点で自社の立ち位置を複合的に分析し、強みを発揮できるポイントを明確化しましょう。

次に、ターゲットの情報収集を行います。ユーザーアンケートやヒアリングを通じてターゲットの声を収集するのもひとつの方法です。大前提として、ペルソナは実在しうる人物像でなくてはなりません。実際のユーザーの声を収集することで、机上の空論ではないペルソナ設定が可能になります。

2. 分析をもとにペルソナを設定する

分析した情報をもとに、ペルソナを設定していきます。実在する見込み客の中から要素を抽出していくのがポイントです。具体的には、下記の要素を設定してきましょう。

いずれの要素も、具体的なデータの裏付けがあることが重要です。理想や思い込みにより、自社にとって都合の良いペルソナを設定しないよう注意が必要です。

3. ペルソナの改善

ペルソナは一度設定すれば半永久的に変わらないものではありません。実際の顧客も、社会情勢や流行に応じてニーズは変化していくはずです。商品・サービスのリリース後も定期的にペルソナを見直し、実態に合ったユーザー像へと軌道修正を図る必要があります。

社会情勢や経済情勢に変化の兆候が見られた場合や、競合他社が新商品を投入した場合などは特に注意が必要です。ペルソナは決して固定的なものではなく、常に揺れ動いていることを念頭に置く必要があるでしょう。

ペルソナを設定する際の注意点

ペルソナは商品開発やマーケティング戦略の起点となる重要な要素です。ペルソナを設定する際には下記のような点に注意を払い、効果を最大限に引き出していきましょう。

リアリティが重要

ペルソナには、リアリティがあることが重要です。たとえ、緻密な分析にもとづいて設定したとしても、全体として見た場合に「このような人はどこにも実在しそうにない」と感じられるようではペルソナの意味をなしません。担当者の思い込みや理想が加味されると、リアリティに欠けたペルソナになりやすいため十分に注意してください。

リアリティのあるペルソナを設定するコツは、身近にいそうな人物設定にすることです。知人や家族など、具体的な顔や名前が思い浮かぶ人物をイメージしてみましょう。ペルソナは理想像ではなく、実在しうる人物像でなければなりません。

作り込みすぎない

ペルソナは詳細に設定することが重要ですが、あまりにも作り込みすぎた結果、人物像がわかりにくくなってしまうようでは本末転倒です。人物設定を社内で共有することがペルソナの目的でもあるため、特定の人にしか理解できない設定は避けるべきでしょう。

例えば、「スポーツジムに週 2 日通う」といった行動パターンは具体的ですが、この行動バターンがペルソナの何を意味しているのかが伝わりにくい可能性があります。「健康志向」「運動不足を解消したい」といった課題や願望を挙げたほうがわかりやすくなります。

このように、ペルソナを設定する際には要素の粒度に気を配り、どのような人物か、誰から見てもわかりやすい人物像にすることが大切です。

設定したペルソナはメンバーとの共有が重要

ペルソナが設定できたら、チーム内や各部署で共有します。共有する際には、ペルソナの設定に利用した分析データなども併せて共有すればイメージをつかみやすくなるでしょう。その際に利用したいのが、 Slack のようなコミュニケーションツールです。

状況に応じた方法でペルソナを共有できる

例えば Slack なら、複数人で情報共有ができるグループチャットや、 1 対 1 でやりとりができるダイレクトメッセージのほか、音声でやりとりできるハドルミーティング、顔を見ながら話せるビデオ会議といった機能を備えています。設定したペルソナについて、データを確認しながらハドルミーティングやビデオ会議で議論をすることも可能です。

ペルソナ作成に使用したデータは Slack に集約する

ペルソナを作成したら、その際に利用したデータや情報は Slack に集約し、いつでも参照できるようにしておきましょう。

先述のとおり、ペルソナは一度作成したら終わりではありません。社会情勢や流行によって、定期的に改善していく必要があります。

ペルソナを改善する際には、ペルソナ作成時に利用したデータや情報が必要です。しかし、そのときになって、データや情報が社内でばらばらに存在していると、最悪の場合、またペルソナを一から作り直すようなことにも発展しかねません。ペルソナに関する情報はすべて Slack に集約しておけば、必要なときにいつでもスムーズにデータを確認することができます。

しかし、 Slack では、「必要なメッセージが流れてしまって、すぐに見つけられないのでは」と思う方もいるかもしれません。そこで有効なのが、 Slack canvas です。

Slack canvas は、テキストや画像、動画、 Slack のチャンネルやメッセージ、外部サイトへのリンク、ワークフローなどをドキュメントとしてまとめて保管・共有・共同編集ができる機能(注1)です。

Slack canvas として集約した情報は、単独のメッセージやチャンネルに紐付けることができるため、検索に手間や時間がかかることもありません。また、 Slack canvas に保管したデータは、 Slack 上で閲覧・編集も可能です。

注1:2023 年 3 月末時点での情報です

ペルソナの設定が精度の高いマーケティング戦略を可能にする

ペルソナは実在する人物のように設定されたユーザーイメージのことです。ユーザー像を明確化し、見込み客が抱える課題を深掘りする上で重要な役割を果たしています。ターゲットや STP とは区別してペルソナを設定することで、より精度の高い商品開発やマーケティング戦略の策定が可能となるでしょう。

今回紹介したポイントを参考に、ぜひペルソナの設定と活用を始めてみてください。適切なペルソナの設定が、社内の意思統一やマーケティング精度の向上に寄与するはずです。

よくある質問

ターゲットで絞り込まれるのはユーザー層までです。その絞り込んだユーザー層に踏み込んで、実在する人物のような、具体的な一個人としてユーザーイメージを作り上げるのがペルソナです。一方で STP は、「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の頭文字を取った言葉で、マーケティング戦略を策定するための分析方法のことです。STP は、ペルソナを設定する前段階で行うべき分析方法として位置付けられます。
ペルソナを設定することで、社内でユーザーイメージが統一されます。ユーザーイメージを統一することで、商品・サービスのコンセプトや方針が定まります。また、ユーザー目線で商品・サービスの開発を進めることができるため、ユーザーのニーズを商品・サービスに反映させやすくなるでしょう。さらに、ユーザーイメージの認識が統一されているため、施策の検討から実行までをスムーズに進めることが可能です。業務効率が上がるほか、マーケティングの精度が上がることも期待できます。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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