Slack 歴 6 年以上、スマートニュースが実践する業務効率化

「Slack と組み合わせることで、新しいサービスを導入する敷居が低くなります」

SmartNewsJP Corporate Engineering Manager和田 正人 氏

「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」をミッションに掲げ、スマートフォンアプリ「SmartNews」などの開発・運営を展開するスマートニュース。2012 年 6 月に設立後、東京やサンフランシスコ、パロアルト、ニューヨーク、上海などに拠点を持ち、拠点で業務を分けることなく従業員が一丸となって事業を展開しています。

現在リモートワークが中心の従業員も多いスマートニュースでは、部門間の壁のない円滑なコミュニケーションを重視しています。社内外におけるコミュニケーションのハブとして、Slack を導入してから 6 年以上、もはや「あって当たり前」と言えるほどに Slack は同社内に深く浸透しています。スマートニュースではネクストレベルの活用術として組織の業務効率化に向けた意識改革を進めています。全社的な IT 管理業務を担う JP Corporate Engineering 部門で Manager を務める和田 正人さんと同チームの花輪さんに、自社での Slack の活用方法やその具体例についてお話を伺いました。

システムと繋ぐことで、始業から終業までの業務が Slack 上で完結

2014 年 6 月から Slack を導入しているスマートニュースでは現在、アクティブメンバーは 1 日あたり約 700 人です。1 日の投稿メッセージは、システムからの投稿も含めて 2.5 万件以上にも及びます。

「社内の円滑なコミュニケーションの主体は Slack」と語る和田さん。その言葉のとおり、多くの従業員がコミュニケーションの基盤として積極的に Slack を活用するスマートニュースでは、必要に応じてチャンネルを作り、コミュニケーションの円滑化を図っています。これまでもチームやプロジェクトごとに特定の議論や課題に関するチャンネルが活用されてきましたが、現在では、それに加えて社内告知や雑談、趣味にまつわるものなど、多彩なチャンネルが社内で展開されています。チャンネルやグループで絵文字などを使って、従業員それぞれが Slack でやりとりする機会が増えているそうです。

同社ではすでに Slack がコミュニケーションの中心となっているため、他のツールで作業をする際のアプリケーションを切り替える手間を減らすため、API 連携などを活用して、可能なことは極力 Slack 上で実施できるよう取り組んでいます。

この取り組みについて和田さんは「スマートニュースでは人対人のやり取りはもちろん、それだけでなく、Google WorkSpace 連携によるドキュメントの共有や、受付システムとの連携による訪問者の通知、経費精算の申請・承認といったことも Slack の画面上から行えるよう、システム連携を進めています」と説明します。

実際にほとんどの業務が Slack を軸に動いているという花輪さんは「始業時は Slack のメンション確認から始まり、日中は自身の業務に関連するチャンネルでやり取りやタスクの確認・管理をします。お昼にはランチの話題を Slack 上で交わしたりすることもあります。終業時には退勤の際の連絡も Slack で行っています」と 1 日の流れを紹介します。

Slack コネクトの活用で、垣根の無いコミュニケーションを社外にも拡張

社内だけでなく、取引先など社外の方とのやり取りにおいても、Slack の活用が盛んになっているというスマートニュース。社外とのコミュニケーションで特に重宝しているのが、Slack コネクトです。同社では、頻繁にコミュニケーションが必要な場合、Slack コネクトを使ってチャンネル上で対話することが多くなってきているといいます。

ただし、社外と Slack コネクトで繋がる場合、1 対 1 での DM(ダイレクトメッセージ)は管理が難しいことを理由に禁止しています。また、相手側が Slack を利用していなかったり、 Slack コネクトを許可していない場合には、ゲストとして招待することで対応し、特定のチャンネルのみを使用してもらうといった工夫をしています。

「業務効率化のためであれば、ユーザー主導で Slack を活用することも推奨しています」と語る和田さん。以前は承認制だった Slack コネクトを自動承認にしたことで管理部門へのアカウント申請が不要となり、メールよりも迅速なやり取りが可能になったと現場から好評価が得られているといいます。

Slack コネクトは社外とのやり取りが多い営業部門をはじめ、共にプロジェクトを進めるパートナー企業や、ネットワークの保守を担う企業とのやり取りで利用されており、今後もさらに活用が広がっていくことが期待されています。

「メールのやり取りでも誤送信や情報流出などのリスクは存在しますし、一般的なチャットツールでも、使用済みで不要になったゲストアカウントが乱立することがあります。その点、Slack コネクトは利用の責任分界が明確なので、各社のセキュリティポリシーに沿ったチャンネルの運用が可能で、相手のアカウント運用を気にせず、自社の運用管理に集中することができます」(和田さん)

「Slack コネクトは利用の責任分界が明確なので、各社のセキュリティポリシーに沿ったチャンネルの運用が可能で、相手のアカウント運用を気にせず、自社の運用管理に集中することができます」

スマートニュース株式会社 JP Corporate Engineering Manager和田 正人 氏

Slack 利用によって社内の業務効率化への意識に変化

Slack をハブとするコミュニケーションの浸透によりコミュニケーションのオープン性が高まったことで、その量と質にも変化が見られているそうです。

「チャンネルに文字として履歴が残ることで、そのトピックについてのこれまでの経緯が容易に確認できます。おかげでキャッチアップや情報共有が早くなっていると感じます。特に、新型コロナウイルスの影響でリモートワークが加速してからは、関係するチャンネルにアジェンダを事前に共有しておくことで会議の密度を上げることができました」と和田さんは具体例を語ります。

他にも、社内のサポートデスクとしての役割も行う Corporate Engineering 部門では、問い合わせ対応にSlack ワークフロービルダーを活用しています。それによって、チャンネル上に蓄積される情報を見ることで問い合わせをしなくても解決できることも増え、問い合わせ件数が減少しています。くわえて、質問の量や傾向などの分析をすることも可能になり、今後のメンバーの増員計画も立てやすくなるという副次効果も生まれました。同部門以外でも、ワークフロービルダーを使った業務効率化が図られているといいます。

また、同社ではサービス連携も積極的に進めています。その代表である連携自動化ツール Zapier の活用について、和田さんは「業務で利用するシステムやサービスと Zapier、そして Slack の 3 者を繋ぐことで、システムやサービスに更新等があると Zapier を通じて Slack に自動で通知が飛んできます。この仕組みを個人やチームそれぞれが自分たちの業務効率化のために活用しています」と説明します。

「Slack のワークフロービルダーは、誰でも簡単に面白いワークフローを作成できます。他のシステムやワークフロー間のデータ連携の拡充など、今後の機能追加に期待したいです」(和田さん)

「Slack のワークフロービルダーは、誰でも簡単に面白いワークフローを作成できます」

スマートニュース株式会社JP Corporate Engineering Manager和田 正人 氏

Slack ファーストを前提とした設計で、さらなる効率化へ

スマートニュースでは、Slack によってリモートワークでも活発で円滑、自由度の高いコミュニケーションと組織の意識変革を実現しています。

今後の展望について花輪さんは「より Slack の便利な機能を使いこなせるように、IT サービスの管理業務の自動化を推進することなど、新しいことも試していきたいです」と語ります。

また、和田さんも「Slack と組み合わせることで、新しいサービスを導入する敷居が低くなります。今後も新システムの導入や運用を考える際には、Slack を中心とする設計を前提に上手く回るフロー・プロセスを構築していきたいです」と、Slack のさらなる有効活用に意欲を示しています。

組織内により Slack を浸透させることで、各部署やメンバーごとの積極的な工夫が自然と促進され、多くの業務効率化のアイデアを実現してきたスマートニュース。この好循環に乗って、さらなる効率化が進んでいきそうです。