従業員のエンゲージメントやチームのパフォーマンスを一番よく知っているのは従業員自身です。自分たちが最善を尽くしているのか、それとも早く時間が過ぎないかと時計を見ているだけなのかは、彼ら自身がよくわかっています。 そのためエンゲージメント調査はとても大切です。
会社に対する従業員の満足度について心配がある、またはただ従業員のモチベーションを知りたいのなら、従業員に聞いてみましょう。従業員の声を聞いて初めて、仕事への取り組み方をより正しく把握できるからです。
適切なエンゲージメント調査の項目があれば、リーダーシップやチーム力学、職場文化や社内コミュニケーションが、従業員の幸福や生産性、全体的なエンゲージメントにどう直結するか(またはどう間接的に影響するか)についてしっかり理解できるようになります。
エンゲージメント調査の準備
まず、エンゲージメント調査を始める前に時間を取り、調査する理由を従業員にはっきりと伝えましょう。 従業員は調査に警戒心を示す傾向があります。「デジタルな環境での調査は本当に匿名なのか」「正直に答えると評価が下がるのではないか」と心配するのです。
こうした抵抗感は無理もありません。一方で従業員の 80% は、組織で意思決定がどのようになされているのかもっと知りたいとも考えています。そのため、すべての従業員が調査を行われる理由を理解し、安心して率直なフィードバックを伝えられるようにしなければなりません。
エンゲージメント調査に入れるべき 24 項目
ここで紹介する 24 項目は 6 つのカテゴリーにわかれており、各カテゴリーは従業員エクスペリエンスにおける特定の分野に対応しています。これらの質問に対する答えから、モチベーションの高い従業員が普段業務にどのように取り組んでいるかや、潜在的な障害や改善機会について知ることができます。
従業員には各項目において、5 段階または 10 段階で回答してもらいます(1 = まったく当てはまらない、5 = 非常によく当てはまる)。ただし、最後の 4 つの質問は自由回答形式です。
個人としての気持ちと信念
- ここで働けることを誇りに思う。
- 仕事に喜びを感じる。
- この会社をよい職場として推薦したい。
- 自分の役割や職場にやりがいを感じている。
会社とリーダーシップ
- 自分は会社と同じ方向に向かって進んでいる。
- 目標達成のためのリーダー層のアプローチを信頼している。
- 自分の役割が会社の成功にどう関係しているかを理解している。
- 自分に期待されていることを知っている。
設備とサポート
- よい仕事をするのに必要なリソースや情報を利用できる。
- よい仕事をするための十分な時間がある。
- 自分の仕事はきちんと評価されている。
- 最善を尽くす気持ちを持つことができる。
マネジメントとチーム
- マネージャーは自分の話を聞くし、大事にされていると感じる。
- 同僚やチームのメンバーを信頼している。
- チームで働くことを楽しんでいる。
- 経営層やリーダーは自分のキャリア目標を本当に気にかけている。
能力開発
- この会社は自分のキャリアを伸ばすのによい場所だ。
- 2 年後もこの会社で働いていると思う。
- この会社でのキャリアに関して、次のステップが明確にわかっている。
- 担当している仕事は挑戦しがいのあるものだ。
自由回答
- 仕事や職場に関して何か 1 つだけ変えられるとしたら、何を変えますか?
- 仕事や職場のどのような点を気に入っていますか?
- この会社の最大の弱みは何ですか?
- この会社の最大の強みは何ですか?
エンゲージメント調査のフォローアップ
従業員は、自分の貢献したものには価値があり、高く評価されていると感じたいものです。そのため、エンゲージメント調査の結果がいつ共有されるかについて、その見通しと期限を設定しておく必要があります。そうすることで、経営側はエンゲージメント調査に説明責任を持つことができ、従業員も調査が無駄に行われたわけではないと知って安心することができます。またエンゲージメント調査は大きな戦略の重要な一部ではあるものの、労働条件改善の唯一の解決策ではないことを従業員に再認識してもらうことも大切です。
調査結果を共有する際には、必ず要点とテーマをまとめるほか、従業員にフィードバックや反応を求め(デジタルフォーラムまたはプライベートセッションを利用)、次に何を計画しているのか、最も重要な課題や懸念にどう対応するつもりなのかを伝えてください。
このようなコミュニケーションや行動が伴わなければ、従業員はエンゲージメント調査を何の結果も生み出さない無意味なものだったと感じるかもしれません。がっかりしたメンバーが仕事より時間ばかり気にするようになるという皮肉な結果になる可能性すらあります。結果をチームに伝える最適な方法については、Culture Amp の「調査に対応する 5 つの方法」をご覧ください。
従業員にフィードバックを求める頻度
従業員エンゲージメントの実態を知ることは、職場でのコミュニケーション改善の大きな第一歩ですが、それを継続して見守ることが、エンゲージメントを高める秘訣です。
調査を行う頻度にもテクニックが必要です。定期的に調査を実施する場合でも、従業員が「もう 5 段階評価を見るのも嫌だ」と感じるほど頻繁に行うのはやめましょう。Clture Amp のチーフサイエンティスト、Jason McPherson 氏は、あまりにも頻繁な調査を避けるべき理由を次のように説明しています。「これまでの統計では、調査を継続的に行う企業の 90% は、同じ従業員に対して毎週または毎月調査を実施する場合、50% 以下の回答率しか得られていません」。
とはいえ、さまざまなアプローチを試してみるとよいでしょう。『Forbes』の寄稿者で『The Future of Work』の著者でもある Jacob Morgan 氏は、半年に 1 度の頻度で調査を実施するよう提案していますが、すべての組織に当てはまる絶対的な方法があるわけではありません。
従業員とのオープンで建設的な関係を維持するという調査の目的をきちんと意識できている限り、従業員のエンゲージメント調査をそれほど形式化・構造化する必要はないのかもしれません。