コラボレーション
Slack 社内の Slack 活用方法

新入社員研修をデジタルで行った時に得た教訓

Slack がリモートワークに合わせて研修プログラムを再編し、プログラムを改善した方法

執筆者 : Matt Haughey2020年5月8日イラスト: Josh Cochran

Slack には世界の 16 か所にオフィスがあり、どのオフィスの新入社員も、ほかの新入社員と一緒に最初の 1 週間をサンフランシスコで過ごしていました。この終日行われるインタラクティブな形式の研修セッションでは、Slack 社内での Slack の使い方、企業文化、一般的なセキュリティポリシー、法的ポリシーの説明のあと、最後に、CEO の Stewart Butterfield と対面で 90 分間の質疑応答を行っていました。

変化の最中に方法を再考

2020 年 3 月初め、ほとんどのロックダウンが発令されるよりも前の段階で、パンデミックが広がっているためこの研修方法を続けられないことは明らかでした。Slack の Organizational Effectiveness(OE)チームは、いずれ現地のオフィスの協力を得て、研修をほぼオンラインかリモートのモデルに切り替えようと考えていましたが、その考えをすぐに実行に移す必要がありました。

最初のタスクは、各オフィスからリーダーを決め、研修を現地で行うトレーニングを受けてもらい、新入社員がサンフランシスコに向かうリスクを冒さなくて済むようにすることでした。オフィスマネージャーは、現地オフィスで初日に仲間を迎え入れていたため、適任ですぐに取りかかることができました。

現地のリーダーはチャンネルに追加され、OE チームはそのチャンネルで各リーダーがすぐに仕事を把握できるようにしました。「これは Slack 上でしか達成できないことでした」と Slack の新入社員研修プログラムを指揮する OE Partner である Halimah Jones は言います。「全員がチャンネルで共有されているすべての情報を見て、会話や利用可能なリソースを把握できました」。

絶対に必要なものは残し、可能な場合は縮小

チームはリモートファーストの研修内容を作成する前に、これまでの資料を大幅に編集する必要がありました。以前の研修は、講習時間が 20 時間以上もあり、講師やさまざまなゲストスピーカーに話してもらうのが特徴で、そのプロセスで Jones は、新入社員全員に直接会って新入社員のことを知ることができました。ところが、新しいバージョンは 20 時間の Zoom ビデオにすればいいという単純なものではありませんでした。

OE チームは、研修内容をセッションごとに検討し、絶対に必要なものだけを残しました。各新入社員のラップトップの設定は初日に行う必要がありましたが、手順の説明は Zoom で行い、Business Technology チームがサポートしてくれました。人気のあるゲストスピーカーの何人かは、対面で参加できなかった時に、数週間分のセッションを録音・録画していたので、すぐにライブ講習の代わりに使うことができました。質疑応答は Slack チャンネルで行い、必要に応じて Jones が回答しました。

セキュリティや法令遵守に関するセミナーなど、いつも質疑応答があまりないセッションは録音・録画に置き換えて、各新入社員がオンデマンドで視聴できるようにしました。

全員の進捗状況を把握するために、OE チームは新入社員向けに 5 日間のチェックリストを作成しました。従業員は毎日の予定を知ることができるだけでなく、プロセスのいずれかの時点で完了しておく必要があるタスクを確認することもできました。

最終的に、20 時間の対面講習は、約 3 時間の Zoom セッションに短縮されました。これらのセッションでは、Slack の文化、特にフィードバックとコラボレーションに重点を置き、この文化が Slack 社内での Slack の使い方にどのように浸透しているのかについて説明します。これらのセッションはインタラクティブな形式で、新入社員の間に一体感と帰属意識を浸透させます。OE チームはこれが最も重要だと考えているため、新入社員に対してこれらのセッションをデジタルで実施し続けました。また出席できなかった人のためにセッションの録音・録画も用意しました。

各週の最後に、各オフィスのリーダーと OE が #replanning-covid-2020-onboarding チャンネルに集まり、うまくいったことと、うまくいかなかったことについて話し合い、それに応じて研修体験をどう改善できるかを検討しました。実験の約 1 か月後、リモートファースト研修のかなり安定した新しいバージョンに落ち着きました。

(いずれ)オフィス勤務を再開する時が来ても、続けたいこと


急な変更のあとには、必ず、振り返りを行う必要があります。1 か月であわただしく再編成し、次の 1 か月で新しいやり方に落ち着いたあと、OE チームは、いくつかのことがとてもうまくいっていることに気づき、それらは今後も長く続くと考えました。

  1. 研修チェックリストは、新入社員、マネージャー、OE スタッフの間で好評でした。以前は明確に示されていなかった手順が、はっきりとわかるようになったからです。チェックリストのおかげで、事務手続きや最初の週の面倒なタスクを適切なタイミングで思い出すことができます。
  2. 現地の研修を担当するオフィスのリーダーは新しい貴重な人材であり、今後も必要です。リーダーは、OE チームとのプライベートチャンネルに参加しており、全員がプロセスを改善し続けることができるように新入社員に関する重要なフィードバックを提供します。
  3. ゲストスピーカーによる精力的なセッションは相変わらず大好評で、今後は録音・録画ではなく、Zoom でのライブ講習をスケジュールに入れる形で再開する可能性があります。
  4. セキュリティとプライバシーのコンプライアンスに関するセッションは、通常はやり取りがあまりないため、自習ビデオとして続けることになりそうです。
  5. 研修は、サンフランシスコを拠点とした一元的な運営ではなく、ハブアンドスポークモデルになりました。各オフィスには、新入社員を現地で正式にサポートする権限が与えられています。

自社でこれを再現する方法

この数か月は、どの規模の組織でもアジリティを高め、大幅な変更を行う必要がありましたが、Slack が何年もかけて得た教訓のリストをここにまとめてみました。自社でリモート研修に移行する際の参考にしてください。

  1. 会社のワークスペースとは別に、新入社員向けの特別な Slack ワークスペースを作成する。このワークスペースでは、入社前に採用担当者と OE チームが質問に答え、リマインダーを送信します。また、新入社員はお互いに会話して知り合ったり、プレッシャーを感じることなく Slack で新しい力を試したりできます。Slack ですべてを行うということは、仕事のメールがまったくないということでもあり、これによって新入社員は新しい仕事でメールを使わないことに慣れます。
  2. その週に Zoom で実施した研修のライブセッションは必ず録音・録画し、新入社員用の Slack チャンネルに再度投稿する。出席できなかった従業員は、都合のよい時に遅れを取り戻すことができます。グループ内の誰でも、あとから簡単に資料を参照できます。
  3. Qualtrics を使って Slack 上で送信したアンケートからフィードバックを集める。アンケート結果は、プライベートチャンネルに投稿できます。このチャンネルで、研修担当チームはフィードバックを確認し反映させることができます。
  4. 緊急度を示す 🔴/🔵/⚪ 絵文字システムを使って、新入社員向けにトリアージ式のサポートチャンネルを作成する。メッセージの例 :「🔴 ニューヨークの @Brenda がネットワークに接続できず、IT サポートが早急に必要です」。ここから、チャンネル内の誰でも問題の解決に取りかかることができます。
  5. 研修プログラムを監督する場合は、特定のチャンネル(ヘルプチャンネル、トリアージチャンネルなど)のすべてのメッセージについて最高レベルで通知を設定し、問題をしっかりと把握できるようにする。
  6. ワークフロービルダーを検討する。この Slack 機能を使うと、メンバーが特定のチャンネルに参加したりショートカットを使ったりすると立ち上がるインタラクティブなメッセージを作成できます(ショートカットは、メッセージ作成ツールの横にある「稲妻」アイコンから使用できます)。新入社員にとってこの体験は、自分とボットが学びを得る会話を行っているように感じるでしょう。

未知の領域でも、意味のあるタッチポイント

Slack の OE チームは絶えず再評価を行い、フィードバックサイクルが速かったため、困難な状況を乗り切ることができました。新入社員がどの場所にいても、私たちがこれまでに得た教訓が、自社の研修プログラムの円滑な実施や、新入社員のサポートに役立つことを願っています。

これらの変化があったにもかかわらず、Butterfield は、数週間おきに実施される「CEO に会おう」質疑応答セッションを楽しんでいます。今は Zoom でのライブ配信ですが、新入社員は、ありとあらゆることについて質問できます。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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