ビジネスシーンで、「ディスカッション」という言葉を耳にすることがあります。言葉の意味は何となくわかるものの、具体的に何を指しているのか、ディベートやブレストと何が違うのか曖昧な人もいるのではないでしょうか。
今回は、ビジネスにおけるディスカッションの定義や目的、具体的な進め方のほか、進め方のポイントについて解説します。
ディスカッションとは議論のこと
ディスカッションの語源は英語の discussion で、「議論」「討論」を指します。複数の人が 1 つのテーマについて意見を出し合い、より良いアイディアや優れた解決策を導き出していく過程を表しているのです。
例えば、業務でトラブルが発生した場合、再発防止策を講じる必要があります。トラブルには複合的な要因が絡んでいることも考えられるため、関係者がそれぞれの立場から見解を述べることで、有効な再発防止策が見つかる場合もあるのです。このように、意見を出し合い最適解を導く際にディスカッションが行われます。
ディスカッションとディベート、ブレストとの違い
ディスカッションと似たような言葉にディベートやブレストがありますが、いずれもディスカッションと意味が異なります。ここでは、それぞれの言葉の意味の違いについて見ていきましょう。
ディスカッションとディベートの違い
ディベートとは、あるテーマについて賛成・反対の立場に分かれて議論を交わす「論争」のことです。いかに相手よりも優れた意見を述べるか、相手を論破するかを目的としている点がディスカッションと異なります。
ディスカッションとブレストの違い
ブレストはブレーンストーミングの略で、思い浮かぶままアイディアを出し合うことによってひらめきを得ることを目指す手法です。最適解を導くことを目指すディスカッションと異なり、ブレストでは多くの意見を出し合うことが重視されます。
形式の違いによるディスカッションの特徴
ディスカッションにはいくつかの形式があるため、議論するテーマに合わせて形式を使い分けることが大切です。ここでは、代表的なディスカッションの形式である、グループディスカッションとパネルディスカッションの特徴について見ていきましょう。
グループディスカッション
グループディスカッションは、参加者をグループに分け、各グループで議論を深めていく形式のディスカッションです。グループごとに結論を発表したり、プレゼンを行ったりする場合は、グループワークと呼ばれることもあります。
パネルディスカッション
パネルディスカッションは、専門家などが務めるパネリスト(パネラー)同士が議論する形式のディスカッションです。学会や研究会などでよく見られ、専門家が交わした議論をもとに参加者が話し合ったり、質疑応答が行われたりします。
ディスカッションの目的
ディスカッションを行う際には、目的を十分に理解しておくことが大切です。ディスカッションが何を目指しているのか不明確なまま始めると、議論が迷走してしまうおそれがあります。ディスカッションの主な目的として、次の 4 点を押さえておきましょう。
多様な意見を取り入れる
複数の人から意見を聞くことで、一人では考えが及ばなかった発想や着眼点を得られる可能性があります。例えば、トラブルの再発防止策を講じるにあたって見落としがないか、異なる立場の人から意見を聞けるのです。多様な意見を取り入れることで、偏った結論に到達するのを回避することにも役立ちます。
問題を発見・解決する
取り組むべき課題が定まっていない場合、問題を発見・解決するためにディスカッションが行われることもあります。参加者各自の問題意識を持ち寄り、優先度の高い問題点を絞り込んでいくのです。
また、解決策を考える際にも、複数の人の意見を取り入れることが役立つ場合があります。それぞれが意見を出し合い、課題解決により役立つ解決策へと磨き上げていくことができるのです。
問題を共有する
チームや部署内で生じている問題について共有することも、ディスカッションを行う目的のひとつです。当事者だけでなく関係者全員が問題を把握することで、同じような問題が発生するのを未然に防ぐことができます。
また、問題点について参加者から意見や質問を受け付けることにより、問題に対する参加者の理解が深まる効果も期待できるでしょう。ディスカッションを通じて業務の質を高め、チームの結束を強めることもディスカッションの目的といえます。
画期的なアイディアの創造
一人ではなかなか思いつかない画期的なアイディアを創造するために、ディスカッションが行われることもあります。業務経験が豊かな社員や専門性の高いスキルを備えた人材がディスカッションに加わることで、参加者が見過ごしていた観点や新たな着眼点が見つかることもあるでしょう。企画会議や商品開発会議などでは、ブレストやディスカッションを通じてアイディアを創造していくケースが少なくありません。
ディスカッションの開催方法は目的に合わせて選ぶ
実際にディスカッションを行うには、対面やウェブ会議ツール、ビジネスチャットツールなどの開催方法を選べます。それぞれにメリットが異なりますので、目的や状況に合わせて開催方法を選びましょう。
意見交換を活性化するには対面が最適
対面形式でディスカッションを行えば、参加者同士が顔を見ながら話せるため、意見交換が活性化しやすいです。
ただし、参加人数に適した広さの部屋やホワイトボード、プロジェクターといった機器を準備する必要があります。参加者のスケジュール調整に難航することも珍しくありません。
ウェブ会議ツールならメンバーが離れた場所にいても開始できる
ウェブ会議ツールを活用してオンラインでディスカッションを行う方法もあります。参加者がそれぞれ離れた場所にいても、お互いに顔を見て話せることがウェブ会議ツールのメリットといえます。対面に比べて開催しやすい方法といえるでしょう。
ウェブ会議ツール上にてチャットでやりとりすることもできるため、参考 URL など口頭で伝えにくい情報を送信したい場合にも便利です。また、画面共有機能を活用して、資料を見ながら議論することもできます。
ビジネスチャットツールならディスカッションツールと連携できる
Slack などのビジネスチャットツールにも、ウェブ会議ツールの機能が備わっているものがあります。普段、使用しているチャットツール上でウェブ会議が開催できるため、リアルタイムで対話しながら議論を深めたい場合に活用するといいでしょう。
また、 Slack はほかのディスカッションツールと連携して使用することも可能です。例として、下記のようなツールと連携させることで、ディスカッションをよりスムーズに進めることができます。
ディスカッションの進め方
続いては、ディスカッションの具体的な進め方について解説します。下記のステップで進めることによって、ディスカッションをスムーズに進行できるでしょう。
1. テーマとゴール、時間配分の設定を行う
始めに、ディスカッションのアウトラインを固めておくことが大切です。下記の点を明確にし、「今回のディスカッションがどのようなものか」を参加者に共有します。
2. 参加メンバーの役割分担
ディスカッションは、参加者各自が自由に発言するだけではまとまりません。参加メンバーが役割を持ち、各自の役割を果たすことで議論を深めていく必要があります。主に、下記のような役割を決めておくことが大切です。
特に進行役は、誰もが発言しやすい場を作る上で重要な役割を果たします。中立な立場で参加者の発言を促す進行役としてファシリテーターを決めておくと、ディスカッションを円滑に進めことが可能です。
3. アイディアを出し合う
テーマに沿って参加者各自がアイディアを出し合っていきます。反対意見を述べるのは構いませんが、自分とは異なる考えや意見を批判することのないよう、あらかじめ徹底しておくといいでしょう。
また、議論がテーマから逸れている場合や、議論が白熱して予定時間を超過しそうな場合は、進行役がイニシアチブをとって軌道修正することが大切です。ディスカッションの最後に議論をまとめるだけでなく、途中で「ここまでの議論のまとめ」を行う時間を設けると、参加者に議論の進捗状況を共有しやすくなります。
4. まとめて結論を出す
ディスカッションの最後には、参加者から出された意見やアイディアを進行役がまとめて結論を出しましょう。出された意見をホワイトボードなどに書き留めておき、それぞれの意見の共通点や相違点を明確にしていくことが大切です。論点を洗い出し、シンプルな結論にまとめる必要があります。
意見がまとまらない場合は、進行役が中心となって着地点を探ることも重要です。意見が対立している場合は、対立している原因を明確にした上で妥結できそうなポイントを提案しましょう。
ディスカッションを進める際のポイント
最後に、ディスカッションを進める際のポイントについて解説します。有意義なディスカッションにするために、次の 4 つのポイントを押さえておきましょう。
ルールを定める
ディスカッションを進めるにあたって、参加者全員がルールを理解している必要があります。ルールが共有されていないと意見を言いにくくなったり、議論がまとまらなくなったりする原因になりがちです。
一例として下記のようなルールを定め、ディスカッションを始める際に遵守するよう伝えましょう。
目的を明確にする
ディスカッションの目的やゴールを明確に示すことも、重要なポイントのひとつといえます。アイディアを募りたいのか、企画案をまとめたいのか、あるいは改善策について各自の意見を聞きたいのか、ディスカッションの目的によって参加者が発言する際のスタンスが異なるからです。
議論が迷走しそうになったら、目的に立ち返ることで軌道修正をすることができます。参加者自身もディスカッションの目的に向かって議論を進めているイメージがわき、有意義な意見交換をしやすくなるでしょう。
人の意見を聞く
ディスカッションがまとまらなくなる原因のひとつに、ほかの参加者の意見を聞こうとしない人が現れることが挙げられます。自分の意見を一方的に主張し合ったり、すでに出された意見と重複する発言が頻発したりするのを防ぐためにも、人の意見に耳を傾けることを徹底しましょう。
活発に意見が交わされるディスカッションにするには、意見をきちんと聞いてもらえるという心理的安全性が保証されている必要があります。人の意見をきちんと聞くことをディスカッションのルールとして定めておくのもひとつの方法です。
ディスカッションペーパーを使う
ディスカッションに役立つ情報や論点をまとめた資料を、ディスカッションペーパーといいます。議論に必要な前提知識を共有できたり、論点がずれるのを防止できたりするため、議論の生産性を高める上で効果的です。
ディスカッションペーパーは当日に配布するのではなく、あらかじめ参加者に配信して各自で目を通しておくよう伝えましょう。それぞれの参加者が事前に意見をまとめた上でディスカッションに参加することで、議論を効率的に進められる効果が期待できます。
ビジネスチャットを活用してディスカッションを行おう
ディスカッションは、複数の参加者が意見を出し合い議論を深めるための場です。ディスカッションの目的を参加者が理解し、定められたルールに則って議論を進めることで有意義な時間となるでしょう。
ディスカッションは対面のほか、ウェブ会議ツールやビジネスチャットを活用して実施することもできます。特に Slack は、ほかのディスカッションツールと連携できるため、ホワイトボードや投票機能などを使いながら、ディスカッションを進められます。ぜひ、活発な意見が交わされるディスカッションにご利用ください。
よくある質問
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