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柔軟性を欠くオフィス回帰施策により従業員体験スコアが急落

最新の調査で、働く時間の柔軟性がない場合に従業員体験が著しく下がると判明

Slack チーム一同作成2022年4月19日

Slack では、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、イギリスのナレッジワーカー 10,000 人以上に対して、四半期ごとにアンケート調査 Future Forum Pulse を実施しています。その最新の結果によれば、柔軟性を欠くオフィス回帰施策が従業員体験にマイナスの影響を与え、離職を加速させていると判明しました。

  • 世界でナレッジワーカーの 34% が完全オフィス勤務に戻っているなか、仕事に対するストレスや不安は 2020 年の調査開始以降で最悪のレベル
  • 一般従業員がオフィスに週 5 日出勤する可能性は経営層の約 2 倍。それだけでなく、仕事に対するストレスや不安を訴える割合も 2 倍に
  • 働く時間を自由に決められないナレッジワーカーは、柔軟なスケジュールで働く人に比べて、今後 1 年間に新たな職を探す可能性が 2.6 倍

                                                 [レポート(英語のみ)をダウンロードする]

SlackBoston Consulting GroupMillerKnollMLT を設立パートナーとして立ち上げたコンソーシアムである Future Forum は、企業がデジタルファーストな職場での働き方を再定義できるよう支援しています。本日発表した最新の Pulse 調査の結果からは、完全オフィス勤務に戻ることを求められたナレッジワーカーや、働く時間を柔軟に決められない人たちの従業員体験スコアが急落したことがわかりました。

現在、ナレッジワーカーの 3 分の 1 以上(34%)が週に 5 日オフィスに勤務していますが、これは 2020 年 6 月に Future Forum が調査を開始してから最も高い数値です。この変化に伴って従業員心理はかつてないほど低いレベルにまで落ち込み、仕事に対するストレスや不安のスコアは 28%、ワークライフバランスのスコアは 17% 悪化しました(前四半期との比較)。

こうした不満に対して、雇用主は代償を払うことになるでしょう。その兆候は調査結果に表れています。現状の働く場所と時間の柔軟性について不満を感じている従業員は、今後 1 年間に新たな仕事を探す可能性が 3 倍高いと判明しました。

またデータによると、オフィス回帰の流れのなかで一般従業員は経営層よりもはるかに大きなストレスを感じています。以前より経営層と一般従業員の間には、仕事満足度における隔たりがあったのですが、それがさらに広がる結果となりました。一般従業員のワークライフバランスのスコアは経営層に比べて 40% 低く、前四半期からの下げ幅は経営層の 5 倍に達しています。また、一般従業員が抱える仕事上のストレスや不安のレベルは経営層の 2 倍以上です。

「リーダーは 9 時 5 時のオフィス勤務を押しつけるのではなく、共通の目的を軸にチームの方向性を揃え、自ら見本となることに専念する必要があります。従業員を信頼し、各自にとってベストな時間や場所で働ける柔軟性を備えることが、ビジネスの成果や従業員の満足度につながるのです」

Future ForumExecutive LeaderBrian Elliott

完全オフィス勤務者の従業員体験スコアが著しく低下

今四半期は、あらゆるナレッジワーカーの従業員体験スコアが低下しました。おそらく、その原因はオミクロン株の蔓延による不安や課題でしょう。なかでも著しく低下したのは完全オフィス勤務者です。これまでの Pulse アンケートでも、完全オフィス勤務者は 8 つの主な心理指標で柔軟に働く従業員(ハイブリッドおよびリモート勤務者)を下回っていましたが、今回その差がさらに広がっています。今四半期の調査で、完全対面勤務のナレッジワーカーは次のような結果となりました。

  • ワークライフバランスのスコアの下げ幅が、柔軟に働く従業員の 2 倍
  • 職場環境に対する全体的な満足度の下げ幅が、柔軟に働く従業員の 1.6 倍
  • 仕事に対するストレスや不安が、リモート勤務者の 1.5 倍悪化

データによると、週 5 日のオフィス勤務に戻された従業員のうち、55% は部分的にでも勤務時間の柔軟性を望んでいます。つまり過半数の人は戻るのに気が進まないのです。このような期待と現実の乖離は、従業員のオフィス回帰を義務づけた雇用主に対して 1 つの課題を突きつけています。というのも、柔軟な働き方が認められていない企業の従業員は、完全オフィス勤務以外の選択肢がある従業員に比べて、翌年に転職を考える可能性が 20% 高いのです。

女性従業員やワーキングマザーは、たいてい家庭でも大きな責任を担っていますが、そうした人々はオフィス回帰の動きによって、働く場所にはある程度柔軟性が必要だという思いをますます強めています。この四半期に、柔軟な働き方を週 3 日以上希望する女性の割合は 58% に跳ね上がりました。一方、男性では 48% です。さらに、せめて働く場所にはある程度の柔軟性がほしいと考えるワーキングマザーの数は、Future Forum の調査開始以来最大(82%)に達しました。

経営層がオフィス回帰を叫ぶも、実際に出社が増えるのは従業員

Pulse のデータからは、出社についての厄介なダブルスタンダードも見えてきました。一般従業員が毎日オフィスに通勤することになる可能性は、経営層の 2 倍近くに達するのです。この違いは、経営層が引き続き柔軟な働き方を続ける一方で、一般従業員の働き方に関する選択肢が元に戻ってしまうことを示しています。従業員が強く求めるワークライフバランスや安心感は、柔軟な働き方によって実現してきたのにもかかわらず、です。そう考えると、ワークライフバランス、仕事に対するストレスや不安といった従業員体験の主な指標で、経営層と一般従業員の差が前四半期に比べてかなり広がったのも不思議ではありません。

またデータからは、今後の働き方について経営層からの指針が曖昧だったり遅れていたりするために、従業員が疲弊していることも読み取れます。自社に「今後の働き方のプランの透明性」が欠けていると考える従業員は、今後 1 年間に「必ず」転職すると答える傾向がほぼ 4 倍高いことがわかりました。さらに、自社に柔軟な働き方についてのポリシーがない従業員の方が、自社ではリモートワークが禁止されている従業員よりも、「必ず」転職を試みると答える傾向にあることも判明しました。これは経営層にとっては驚く結果かもしれません。

「従業員はこれまで、柔軟な働き方でも仕事を進められるとはっきり証明してきました。もし経営層がこうした柔軟性を元どおりなくしてしまったり、今後従業員に与える選択肢の決定を先延ばしにしたりするのなら、従業員の離職の波が待っているでしょう」

Boston Consulting GroupManaging Director and Senior PartnerDeborah Lovich

従業員の満足と定着に重要なのは、場所よりも時間の柔軟性

多くの企業では、オフィス回帰に関する議論の焦点が働く「時間」ではなく「場所」に集中しており、時間の柔軟性が非常に重要である点が見過ごされています。現在、9 割以上の従業員(94%)が働く時間の柔軟性を希望しています(働く場所の柔軟性を希望する人は 79%)。その一方で、従業員のほぼ 3 分の 2(65%)は、たまに病院に行く場合を除いて、決まったスケジュールを自分で調整することは(ほぼ)できないと回答しました。

Pulse データが示すところによれば、こうした融通の利かないスケジュールは、従業員体験全体を大きく損ないます。働く時間を柔軟に調整できないと答えたナレッジワーカーの結果は以下のとおりです。

  • 仕事に対するストレスや不安を感じる割合が 2.2 倍
  • ワークライフバランスへの不満を持つ割合が 1.7 倍
  • 燃え尽きを感じる割合が 1.4 倍

経営層がこの大転職時代に人材の流出を心配しているのであれば、今後の働き方プランに働く時間の柔軟性を組み込む必要があります。そのためには従業員の会議にかかる負担を減らしたり、「コアタイム」をさらに縮小したりできるほか、チームレベルでのルールなど別の戦略を試してみてもよいでしょう。もしそうしたアクションを起こさなければ、その代償は高くつきます。実際、自分で時間の予定を(ほぼ)決められないナレッジワーカーが今後 1 年間に「必ず」転職すると答えた割合は、働く時間にある程度の柔軟性がある従業員に比べて 2.6 倍に達しました。

これからの働き方

今四半期の Pulse アンケートが実施されたのは、多くの人が 2020 年 3 月以降初めてオフィスで定期的に仲間と顔を合わせて働くようになった時期です。そのため調査結果には、この大規模な移行時期における従業員の様子がよく表れています。一部の企業では、長い間検討してきた柔軟な働き方ポリシーをようやく大規模に試す段階に入りました。また、従業員フィードバック(や離職状況)に基づいて柔軟性をさらに高める方向に舵を切った企業もあります。今こそ、私たちの誰もがこれからの働き方を見定めるべき時です。

柔軟な働き方の導入を検討しているリーダーの皆さまは、Future Forum の Brian Elliott と Sheela Subramanian、Helen Kupp の 3 名による『How the Future Works』(2022 年 5 月 17 日に Wiley より発売予定、英語のみ)もぜひ参考にしてください。さらに詳しい調査結果のほか、ケーススタディ、テンプレート、ベストプラクティスが詰まっています。

ほかにも世界各地のナレッジワーカーの体験や要望に関するデータや、リーダー向けのガイダンスを知りたい場合は、Future Forum Pulse レポート全文(英語のみ)を参照してください。

調査方法

今回の Future Forum Pulse アンケートは、アメリカ、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、イギリスの合計 10,818 人のナレッジワーカーを対象に、2022 年 1 月 27 日から 2 月 21 日にかけて Qualtrics によって実施されました。本調査は Slack の従業員や顧客を対象に実施したものではありません。回答者はすべてナレッジワーカーです。ナレッジワーカーとは、フルタイム(週 30 時間以上)で雇用され、「データを扱う、情報を分析する、創造的に考える」と答えた人、または以下のいずれかの役割を担う人と定義しています。エグゼクティブマネジメント(例 : 社長や共同経営者、CEO、CFO などの経営幹部)、シニアマネジメント(例 : エグゼクティブ VP、シニア VP)、ミドルマネジメント(例 : 部門やグループのマネージャー、VP)、ジュニアマネジメント(例 : マネージャー、チームリーダー)、シニアスタッフ(例 : 非管理職)、スキルを備えたオフィスワーカー(例 : アナリスト、グラフィックデザイナー)。

Future Forum Pulse では、ナレッジワーカーが自らのビジネスライフについてどのように感じているかを 8 つの項目において 5 段階で回答し、その結果を -60(最も悪い)から +60(最もよい)までのインデックスで評価しています。

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うーん、システムがなにか不具合を起こしてるみたいです。後でもう一度お試しください。

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