メールに代わるコミュニケーション手段として、ビジネスチャットの認知度が高まりつつあります。調査によると、ビジネスにおけるメールの使用率は 2019 年時点でも 97% と圧倒的ですが、そのデメリットがさまざまな側面で指摘されるようになり、より効率的なコミュニケーション手段の 1 つとしてビジネスチャットが注目を集めているのです。
ではメール連絡のデメリットとは具体的にはどのようなことでしょうか。例えば、ある調査では、回答者の 38% が「受け取ったメールに必要な情報がない」と感じた経験があると判明。また「仕事関連で受信したメールのうち開封するのは 69%」という結果も。そのほかにも、添付忘れや宛先を間違えるうっかりミスなど、おなじみとも言えるけれど冗談にできないような問題も浮かびます。
この記事では、そんなメールの不便を解決する手段としての、ビジネスチャットのメリットを具体例を挙げながら紹介したいと思います。メール連絡で起こりうるさまざまな問題が、ビジネスチャットに切り替えることでどう解決できのるか見ていきましょう。
要件がわかりづらい→ポイントのみ伝えられる
メール連絡には手間と時間がかかります。例えば、メール作成にありがちなのは「お世話になっております」などの定型文。毎回入力するのは効率がよいとは言えませんし、読み手側も「用件だけ知りたい」と感じているかもしれません。加えて、メールを読む時には「自分はアクションを求められているのか?」「同じトピックで複数のメールが来ていないか?」などに配慮しながら確認する必要があり、場合によっては長文すぎて読みきっても要点がよくわからない、ということも。メール 1 つひとつに対応しているだけで、大きく時間が取られてしまうことも珍しくないはずです。
そのような手間や時間はビジネスチャットの活用で大きく節約できます。まずチャットでは、メール特有の挨拶文などを抜きにして、自然な会話のように要点を端的に伝えられます。また読む側にとっても、会話がトピックごとに分けられているので理解はぐっと楽に。加えて個人へのタグづけ機能を使えば、特定の人に話しかけたり依頼したりすることができ、受け手もアクションが取りやすくなります。メール連絡にありがちな無駄をなくして、効率の良いやりとりができるのです。
ただ、こうした簡潔さが魅力のビジネスチャットでも、企業によっては挨拶文などのマナーを重視するあまり、そのメリットを活かせていない例もあるようです。導入時にはチャットを使う目的や意味をしっかり共有したうえでツール活用を進めるようにしましょう。
閉じた情報共有→チーム全員に共有できる
メールコミュニケーションでは情報共有が送信者と受信者の間で限定されるため、まさに「閉じた情報共有」と言えるでしょう。「閉じた情報共有」で生じるデメリットの 1 つが、似たような情報共有が社内で繰り返されてしまうこと。例えば、同じ説明を違う相手に繰り返さなくてはならなかったり、複数のグループで似かよった共有作業が行われていたり。もちろん、このような重複したやりとりは時間の無駄になります。また閉じた情報共有のせいで「情報を探しているが、誰に聞いたらいいかわからない」という状況も生じかねません。
こうした問題は、オープンなビジネスチャットを活用すれば解決できます。仕事に関する会話をオープンなチャット上で行い、ファイルやデータのなどの情報共有もチャットツール上で行うのです。仮に、やりとりが特定の少人数で進んでいる場合でも、そのチャットルームをオープンにしてほかのメンバーもアクセスできるようにしてみましょう。そうすれば必要に応じて、ほかのメンバーもそのチャットルームから情報収集ができるようになります。さらにやりとり内を検索できるツールを使えば、過去の会話のすべてから、欲しい情報をピンポイントで見つけることも可能です。
送信ミスの可能性→なくなる
「社外秘だったのに、うっかり外部の人に送ってしまった」「仲良しの同僚に返信しようとしたら、間違って全員宛にすごくフレンドリーなメールを送信してしまった」…こうしたうっかり送信ミス、身に覚えのある方もいるのではないでしょうか。恥ずかしいだけで済めばまだしも、大切な情報をうっかり間違った相手に送信してしまうことは企業にとって大きなリスク。加えて情報を送ってしまった相手からの信頼も失いかねません。
ビジネスチャットではこうした送信ミスを避けることができます。さらにおすすめなのが、情報の機密性の高さに応じてチャットルームを作れるツールを選ぶこと。例えば、社外とのやり取りを行うチャットルームと、社内メンバーだけのチャットルームを明確に分けること。そして「社外との情報共有はここまで」という線引きをしっかり設けておけば、誤って情報共有してしまうリスクもぐっと少なくなります。
また社内専用のビジネスチャットでも、内容に合わせてチャットルームをどこまでオープンにするのか考えて設定しましょう。広く役立てられる情報はオープンに、機密性が高ければプライベートに。仲良しの同僚との雑談もダイレクトメッセージを活用すれば安心。仕事の内容と切り離して息抜きの時間を楽しめます。
さらに万が一誤ったテキストを送信してしまった場合でも、ビジネスチャットでは内容を編集したり削除したりすることができることが多いので、メールよりはカバーしやすいと言えるでしょう。
複数プロジェクトで情報錯綜→しなくなる
同じメンバーで複数のプロジェクトを進めていると、情報が錯綜しがちです。ずっと 1 つのプロジェクトの話を進めてきたメールスレッドに「そういえば、あっちの件はどうなりました?」などと別プロジェクトの話題が振られると、メール内は一気に混沌とした状況に。あとあと内容を確認したいときに「どのスレッドを見ればいいかわからない…」という事態になっても、後の祭りです。
こうした情報錯綜も、ビジネスチャットを使えば未然に防ぐことができます。プロジェクトごとにスレッドを立てられるツールを使うと、異なるトピックの会話が混ざることがありません。仮に別のスレッドの会話が紛れ込んでしまった場合でも、「その内容はこちらのスレッドですよ」と誘導することも簡単です。絵文字が使えるツールなら、「別スレですよ」を意味する絵文字をチームで決めておく、というのも良いかもしれませんね。
メール連絡にありがちな問題を解決できるビジネスチャット。導入したことで、現場から感謝の声が寄せられたという事例や、「職場の魅力につながった」という事例もあります。こうしたメール連絡の問題点に心あたりがあったら、導入を検討してみる価値は大いにありそうです。